ハリー・ポッター&セイバー ◆r1IIRkiESQ


 一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ。


 予言が正しいのならば、自分または闇の帝王が死ぬべき時は、二人の対決の時に違いない。
 魔法省での予言を巡る戦いが終わってからずっと、ハリー・ポッターはそう思っていた。
 しかし魔法界というものはそう簡単なものではなく、彼はいつの間にか聖杯戦争に巻き込まれてしまっていた。

 ここ数日の、魔法界での記憶を失くしたまま過ごした数日間を思い出し、溜息を吐く。
 何しろ、月である。方舟である。聖杯である。
 月にある聖杯を勝ち取るため、宙に浮かぶ方舟の中で学園生活をエンジョイした後に殺し合いを
するという馬鹿馬鹿しいフィクションなど、恐らく極東のマグルでさえ思いつかないに違いない。
 確かに友人役、家族役のNPCとの生活は楽しかった。が、それだけだ。ロンやハーマイオニーと過ごした
日々ほどに刺激的ではなく、ウィーズリー家での団欒に勝るものはないことを、彼は再確認した。
 何よりも、魔法だ。11歳の誕生日から、生活の中にはいつも魔法が傍にあったのだ。それが記憶と共に
失われていたからこそ不自由と違和感を感じ……覚醒するまでには多少は時間がかかったが、今に至る。

「こんな時、ロンだと『マーリンの髭!』とでも言うのかな?」

 右手に刻まれた――奇しくも額と同じ稲妻模様である――令呪に目を移し、また溜息。
 次にハリーは、服装と持ち物を確認する。ホグワーツの制服である黒いローブに、使い慣れた柊の杖。
 ポケットの中には、誕生日に贈られた腕時計と、ダンブルドアより相続された金のスニッチだ。

「さて……」

 勝てば願いが叶う。
 だが、そのために殺して回るのか? ノーだ。
 確かにハリーにはやらなければならないことがあるが、それは関係ない人間――当然マグルを含む――を
皆殺しにしてまで叶えるべきではないし、代わりにサーヴァントに手を汚させるというのも、彼の誇りが
許さない。

「……そうだ、サーヴァントは何処だ?」

 気付く。
 記憶を取り戻し、聖杯戦争のマスターとしての権利と、マスターに付き従うサーヴァントを手に入れたのだ。
 まずは彼もしくは彼女と話をし、互いの意見を話し合うべきじゃないのか?


 そう思い顔を上げると。
 目の前に、身の丈が自分の倍以上はある、黒々とした二本角の二足歩行の“なにか”がいて。
 そして、吼えた。






――ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ オ オ オ オ オ !!!!!!






   ▼


  ――どんなに深い闇の底でも
  あなたの灯す火が皆を導く明かりになる

  鉄の躯
  灼熱の血潮

  あなたは騎士
  鉄血の騎士


   ▼


「み、ミノタウロス……!?」

 咄嗟に距離を取り、杖を構える。
 鋼鉄で鋳造された全身鎧をまとった巨漢のようにも見えるが、足には蹄が、頭には腕より太い角がある。
 だが顔つきは牡牛のそれではなく、よく観察してみると人間の表情にも見えなくもない。
 しかし少なくとも、人ではないのだろう。吐息には熱が、身体からは時折、炎がチラチラと吹き上がる。

 威嚇の声を上げ、こちらを睨む獣人? から目を離さず、ハリーは考える。
 恐らく目の前のこれは、自分のサーヴァントであると。
 自分とそいつとの間には、何らかの繋がりがあり、ハリーはそれを感じ取っていた。
 ならば何故、サーヴァントは自分に対し、このような行為を行っているのか?
 それについてハリーは思考し――杖を下ろす。

 ・・・・
「セイバー」

 ゆっくりと、剣の英霊に呼びかけ、本音をぶつける。

「僕は、聖杯に願いを託さない」

 闇の帝王を滅ぼすために、他に犠牲はいらない。

「けれど、死ぬわけにはいかない」

 それは、自分自身の命も含めてのことだ。

「君に願いがあるのなら、僕が叶える」

 聖杯を諦め、無辜の犠牲を出さず、方舟から脱出する。
 ならば聖杯を欲するであろうサーヴァントの助力を得るためには、自らが対価を支払わなければならない。

「力を貸してほしい」

 ハリーはセイバーの目をジッと見つめ、反応を待つ。






「いいぜ」

 言うが早いが、怪物の姿が崩れ、中から少年が出てきた。
 歳は……プレティーンくらいだろうか。ホグワーツ魔法魔術学校に入学した頃の自分と、大差無さげに
見えてしまう子供が英霊だとは……ますます質の悪いフィクションのようである。

「ごめんなマスター。オレ、マスターのこと試してた」
「構わないよ。命を預けあうパートナーなんだ。信頼を得ないことには何も始まらない。
 それと、僕のことはハリーでいいよ」
「判ったよ。ところでハリー。なんでオレのこと、怖がらなかったの?」
「魔法界にはドラゴンや人狼がいるんだけど、そのどれもが君のような理性のある目を持ってなかった」
「魔法? ドラゴン? マジで!? いや、英霊のオレが言うのもなんだけど、スッゲー!」

 子供特有の笑顔に釣られ、ハリーも笑う。

「セイバー。君には聖杯に託したい願いはあるのかい?」
「願いはある。地獄のようになったオレの世界をなんとかしたいって思ってる。
 けどそれは、他の人を生贄に捧げてまで叶えないといけないのかって聞かれると、かなり迷う。
 だからハリーがオレの願いを叶えてくれるのなら……オレの世界での戦いを手伝ってほしい。
 守りたい人達がいるんだ」
「……判った。努力するよ」

 状況は、ダンブルドアが死んだ時と同じくらいに悪いのかもしれない。
 セイバーも人生経験が少しばかり足りなそうではあるが、それは自分も同様だ。
 ならばやることは今までと変わらない。足りない部分は補い合えば、道は開けるはずだ。

 膝を屈め、目線の高さを合わせる。
 右手を差し出しながら、ハリーはセイバーと名を交し合った。

「僕はハリー。ハリー・ポッターだ。よろしく」
「丑鎮鉄兵。アイアンナイトとも呼ばれてた。よろしく」




【クラス】
セイバー

【真名】
丑鎮鉄兵@アイアンナイト

【パラメーター】
筋力:A 耐久:B 敏捷:D 魔力:C 幸運:B 宝具:A

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:-
 騎乗の才能は失われている。

【保有スキル】
変身:A
 鉄の身体を持つゴブリンへと変身。それにより筋力・耐久を増幅させる。
 変身することによりセイバーとしてのスキル/宝具を使用することが可能となる。
 また、手のみといった部分的な身体変化も行える。

鉄身:B
 アイアンナイトと二つ名の由来となる鉄の肉体。
 同ランクまでの被ダメージを最大で半減させる。

魔力放出(炎):B
 武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
 セイバーの場合、燃え盛る炎が魔力となって武器ないし自身の肉体に宿る。

勇猛:C
 威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。
 また、格闘ダメージを向上させる効果もある。

【宝具】
獄炎剣(ブレイド・オブ・インフェルノ)
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大補足:1人
 胸の内に秘めた炎を武器に伝導させ、敵を溶断する。
 使用中は魔力が暴走状態に陥る。
 制限時間は10分、再使用可能までのクールタイムは2時間。

AianFaia(アイアン・ファイア)
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
 握り込んだ手を爆発させることにより、そのエネルギーを打撃に乗せる。
 スペリングが誤っているのを突っ込んではいけない。

たとえ道が分かれたとしても(ライズ・アンド・ブレイズ)
 ランク:C 種別:結界宝具 レンジ:1~5 最大補足:10人
 守るべき人々を逃がすため、理性を失くした怪物を演じたことが由来となる宝具。
 撤退戦かつ殿を受け持つという条件下でのみ使用可能。
 宝具の影響下にある味方の幸運を1ランクアップさせ、敵に対しては幸運を1ランクダウン。

【weapon】
鬼骨砕き:
 長さ5m、重さ2.5tの、柄のついた鉄板。

鱗の盾:
 鉄板を鱗のように貼り合わせている。
 酸の侵食等が全体に波及しないよう、内側から爆発させ、侵食された部分の鉄板を剥がせる構造となっている。

アイアンキャノン:
 500年前の大砲よりもシンプルな、片手持ちキャノン砲。
 薬室の中に火薬を詰め、セイバー自身の火で点火することで使用可能。
 武具鋳造スキルで作成可能。

※ 全て自作である。

【人物背景】
勾玉町で生活する10歳の少年。警察官の父を持ち、その正義感を受け継ぐ。
ある日を境に、世界中で人がゴブリンへと変異するようになり、鉄兵自身も徐々に人の姿と心を保てなくなっていったが、
『願いを叶える黒板』に書かれた言葉が切欠となり自我を取り戻し、人のために戦い、守る騎士になることを決意。
幼馴染と再会後、仲間と共に勾玉町を人の手に取り戻し、街を一年間守り通したが――

※ 以降は来月発売の最終巻3巻をお読み下さい。

【サーヴァントとしての願い】
自分の世界に戻り、戦いを続ける。

【基本戦術、方針、運用法】
変身時にしかセイバーとしてのスキル/宝具を使用できない。
バーサーカーほどではないが、そこそこに燃費が悪いので、戦うのであれば短期決戦を心がけること。
人間時の姿であれば、魔力消費量は霊体時とほぼ変わらない。


【マスター】
ハリー・ポッター@ハリー・ポッターシリーズ

【参加方法】
7巻序盤にて、ウィーズリー家の結婚式の準備の際に『木片』に触れてしまった。

【マスターとしての願い】
帰還。その後、叶うならセイバーの戦いに協力したい。

【weapon】
柊の杖:
 本体は柊、芯は不死鳥の尾羽根で、28センチ。
 かの闇の帝王が持つ杖とは芯が同じ、兄弟杖である。

【能力・技能】
闇の魔術に対する防衛術:
 攻撃的な呪文や魔法生物に対する知識、それらから身を守るための呪文を指す。

箒の飛行:
 魔法使いは箒を使い、空を飛ぶ。
 寮対抗のクィディッチ(箒に乗って行う競技)試合では、1年次からレギュラーを勤められる程に優秀。

パーセルマウス:
 蛇語(パーセルタング)を操れる人物を指す。
 闇の帝王との繋がりにより、後天的にこの能力を得てしまった。

【人物背景】
魔法使いの両親を持ち、自身も魔法使いである。
赤子の頃、闇の帝王・ヴォルデモートの襲撃により両親を失うも、母の愛情により帝王を退ける。
「生き残った男の子」として英雄視されるハリーであったが、ホグワーツ魔法魔術学校校長・ダンブルドアの
計らいにより、マグル(非魔法族)の伯母の家に預けられることに。伯母一家に虐待されながら育ったが、
11歳の誕生日に自分が魔法使いであることを知らされ、魔法界で生活するようになる。
以後、闇の帝王との間接的・直接的な介入・対決が幾度となく行われるが、友や仲間との協力もあり、
その全てをギリギリのところで生還する。

【方針】
脱出を目指す。可能なら他の組とも協力体制を取りたい。