垣根帝督&アサシン◆F61PQYZbCw



 感覚が存在しない。
 視覚、聴覚、味覚……、光と闇。
 全てが感じられないがぼんやりと、何かが脳の中に響き渡る。


 身体は存在しない、生きている実感も湧いて来ない。
 だが生命はある、皮肉な事に死にたくても死ねない状況、無論死ぬ気はないのだが。
 隠す必要も無いので彼の名前を明かす、名を垣根帝督。
 学園都市の第二位の座位に君臨する超能力者であり、スクールと呼ばれる暗部組織のリーダー格。
 その力は圧倒的であり言わば最強の分類に位置される力と強さを持っていた。


 彼は学園都市の第一位と呼ばれたとある超能力者と一つの闘争を起こす。
 垣根帝督は学園都市の統括理事長であるアレイスターとの直接交渉権を求めていた。
 そのためには『アレイスターが行うプランの対象を己に移す』事が必要だった。
 彼は画策したのだ、今動いている計画、つまり第一位に座位する一方通行を引きずり落とせばいい、と。
 数々の組織を潰しながら垣根帝督は一方通行との直接対決に辿り着きその夢へ第一歩を踏み出す。
 垣根帝督も彼なりの美学――通常思考は持ち合わせているつもりであり一般人は極力巻き込むつもりはない。
 実際には巻き込んでしまっているため彼の思考は破綻してしまい第一位からは『チンピラ』と称される。


 彼は決して弱くない、前順のとおり最強に近い存在だ。
 第一位を圧倒するも彼の気に触れた垣根は見てしまう、いや発動させてしまったと言うべきか。
 翼を体現した一方通行の前に垣根は敗れた、それも圧倒的に。
 垣根自身も未現物質を更に未知の領域に突入させ一瞬ではあるが『学園都市最強の座位』に位置付けた。
 だが一方通行は更にその上に突入してしまい結果として垣根はこの世から姿を消した。


 その筈だった。


 彼は『回収』された。


 蘇生でもない。
 手術でもない。


 回収されたのだ。


 学園都市第二位と言う実力。
 未現物質と呼ばれる超能力の力と可能性。
 何が世界を動かしたかは不明だが垣根帝督と呼ばれる存在はこの世に形を留めた。


 その姿、人に非ず。
 脳は三分割、冷蔵庫よりも巨大な装置を身体に装着される。
『超能力を吐き出す塊』と称される見た目、常人には到底理解出来ない領域。
 彼は生きていると表現するよりも生命を維持されている、此方の方が正しく響くだろう。


 そんな彼にも再び人の生として光を浴びる日が来る可能性が在った。
 在った、それは可能性の話。
 垣根帝督は後に人体細胞を創り出す術を獲得、己で己の身体を修復しその世界に君臨した。
 人の生と表現したが彼は実質不死身の身体、つまり人の枠を超えた存在になったのだ。


 未現物質。


 彼の超能力は『この世に存在しない物質を創り出す』。
 この力を応用し彼自身が未現物質に成り果てる、いや彼自身と呼べるかも怪しい。
 この男は垣根帝督なのか、未現物質なのか……。
 一つ解を与えるとするならば、垣根帝督の形を彩ったナニカが現れた。


 だが、これは通るかもしれない一つの未来の話。
 此処から先、彼に待ち受けるであろう運命とは何の関係もない幻想秘話に過ぎない。


 この垣根帝督は垣根帝督であるが垣根帝督ではない。
 しかし前述の垣根帝督が垣根帝督である保証もない。
 伴い未現物質かもしれないが未現物質ではないのかもしれないのだ。
 言わば彼と呼べる本質の在処は分からないのが現状、これから紡がれるのは何だと言うのか。
 正史から逸れた彼の運命は創作か、人生か。答えも解も理も。
 正解を唱えれる者など存在せず、紡がれる物語に首を振ればいい。


 例え、彼と呼べる行動や言動ではなくとも。
 物語が紡がれなくても、運命が動き出さず底に留まっていても。
 この垣根帝督の運命は此処に在る。


『未現物質、それに『世界の英知』を授けようではないか』

 脳に響くのは誰かも分からない謎の声だ。
 聞いたこともあるかも知れないし、無いのかもしれない。
 何方にせよ心地の良い声ではない。


『ゴフェルの木片、ノアの方舟、月の聖杯戦争……君の頭脳なら直に理解出来る』

 ゴフェルの木片、ノアの方舟……脳内に検索を掛けるように知識を炙り出す。
 今までまともな自我の自覚もなかったが今は確立している、己の活動を。
 その言葉を脳内に紐付け、出てくるのは聖書の類やそれに関連する事象、つまり過去の産物。


『君に訪れるのは一つの奇跡……最後の一人に辿り着けば願いが叶う。
 シンプルで簡単だろう? 誰にだって分かる、夢を見たければ戦え』

 理解出来た、何故自我が確立したのか、聖書の類を簡単に思い出せたのか。


【垣根帝督の身体に構成されているのは未現物質、其処にゴフェルの木片を刷り込まれたのだ】


 彼は身体の臓器一部を未現物質で構成し補っている、その一部にゴフェルの木片なる物が追加されている。
 これにより彼はその物質から形状記憶を読み取りその知識を糧にし吸収した。
 文字で表すなら数秒で可能だがその本質、過程は人によって解が異なるだろう。


『健闘を祈らせてもらおう垣根帝督……』

 聞きたくも無い言葉を最後に彼の感覚は再び遮断される。
 それは生命を無理に維持された状態ではない、もう一度人の見た目を司ったように。
 落ちていく、深い深い闇の中に。


 堕ちていく。




 ■





 目覚めた彼は自分が何処に居るのか、何をすればいいのかが直ぐに理解出来た。
 それは月の聖杯戦争、今宵の劇場にて各々の役目を演じればいい。
 アドリブなど止める権利も必要もない、変えられる筋書きに従う必要など笑止。


「……身体は動く、見た目も腕に刻まれたコイツ以外は特に変わりはない、って所か」


 垣根帝督は方舟に転移或いは構成された事を知覚すると自分の身体を動かす。
 拳を握れれば、足も踏み出せる。能力の再現も可能であり不便は感じない。
 臓器の一部は未現物質で構成され、『体内にはゴフェルの木片が含まれている』状態である。
 脳内に留まる記憶を基に袖を捲ると令呪、マスターの資格とも呼べる紋章が刻まれていた。
 月の戦争は従者「サーヴァント」を使役し生き残る最後の奇跡に縋る物語。
 全員が主役で全てが脇役、この台本に割り振りなど必要ない、そして記されるは彼のサーヴァントだ。


「それでお前が俺のサーヴァントでクラスはアサシン……」


 垣根帝督は目の前に存在している男に声を掛けた。
 見た目は自分とそれ程変わらない、つまり大人ではない少年や青年のような顔立ち。
 中性的な容姿だが身体や風格、抑え込んでいる殺気から男と推測。
 現代風忍者のような黒を主体とした服装、紫のマフラーを纏い口元を隠していた。
 垣根の声に反応するようにマフラーを下ろす、彼がサーヴァントで間違いないようだ。


「俺は音速のソニック……お前は運が良い、この俺がサーヴァントとして選ばれたんだからな」


 不敵な笑みを浮かべながらアサシン、音速のソニックは垣根帝督に言葉を告げる。
 己の力に余程の自信が在るのだろうか、まるで優勝確定のように振る舞う。
 英霊として召還された事実からは力は本物、それも強力な部類であることには変わりない。
 それを踏まえても豪語するその顔からは自信しか感じられない、が。


「……何を笑っている」


 垣根帝督は音速のソニックの言葉に返す行為は行わず俯いている。
 手で顔を隠し体を震わせる、笑いを堪えているようだった。
 アサシンは理解出来ずマスターである彼に言葉を求めていた。


 何時迄も笑っている訳にもいかないため垣根帝督は顔を上げアサシンを見つめる。
 しかし再度吹き出しそうになり手で口を覆うとそのまま下を向き笑いを堪える。
 アサシンもこの態度には苛ついており、力を行使する手段を用いようとしていた。
 その寸前に垣根帝督は顔を上げ今度こそ言葉を言い放った。


「音速ってよぉ……くく、ソニックも、まんまだろ……くく……」


 英霊と呼ばれているならば。それは教科書に載るような存在をイメージしていた。
 神話や宗教の類でもいい、高貴で神々しい存在が目の前に現れると勝手に想像していた。
 現実は自分と同じ、または下に見える程度の容姿、忍者のような装飾を施した男。
 音速のソニック、名前の衝撃ならば過去最高クラスの存在であろう。
『どれだけ速さを強調したいんだコイツは』、垣根が抱いた率直な感想であった。


 垣根の発言にアサシンの感情は極端に振り切れてしまう。
 初対面で垣根は自分のマスター、つまり仕えるべき主だ。
 そんな事は関係ない、刀を抜き、殺気を全開に開放し垣根を睨みつける。
 英霊と呼ばれるだけの力を感じた垣根の顔から笑みは消え彼も臨戦態勢を取る。
 人間といえど……『人間の見た目』を型どっている垣根帝督は学園都市第二位の超能力者。
 その実力は本物であり、人類の中でも上から数えた方が早い強さを誇っている、だが。


「この俺の速度に追い付けると思っているのか、現実も直視出来ない奴がマスターとはな」


 垣根帝督が対応するよりも速くアサシンは彼の横に移動しており刀を首筋に寄せていた。
 一歩でも動けば斬り落とす……言葉は発していないが自然と聞こえてくる。
 音速の異名は伊達や酔狂の飾り名ではなく本物だった。


 威嚇の意味合いも込めた脅しにマスターはどう反応するのか。
 音速のソニックは狼狽える姿や不安になりながらも強気を装い吠える光景を想定していた。
 己を馬鹿にした者への報復、マスターであろうと関係ない。
 今宵の聖杯戦争に『偶然垣根帝督のサーヴァントとして召還』されただけであり、マスターに価値など求めていない。
 このままビビらせ考えを改めさせる、そのつもりだった。


「仮にも俺はマスター、お前の主だぞ? 随分と粋がってやがるじゃあねぇか」


 彼は狼狽える事もなければ不安がる事もなくアサシンに対して強気な発言を噛ました。


 音速のソニックのソニックはアサシンとしての、英霊として恥じない速度を誇った。
 その結果垣根帝督が反応するよりも速く彼の首筋に刀を突き立てることに成功していた。


 けれど垣根帝督は己の力である未現物質を発動、背中から生えた白い翼を体現。
 アサシンの周囲には鋭利な羽が幾つか固定されており今にも彼に向かって発射可能な状態だった。
 音速のソニックはそのまま距離を取り羽の射程外に移動、垣根は羽を消した。


「俺の未現物質に常識は通用しねぇんだわ、覚えておけ」


 未現物質は元々この世に存在しない物質を構成する能力。
 サーヴァントには現代兵器の類は通用しないが彼の力は通用するかもしれない。
 仮に通用しなくても身体にゴフェルの木片を取り込んだ今の未現物質ならば応戦することは可能と推定可能。


「――面白い」


 己の力を止められた音速のソニックの顔は笑っている。
 それも不敵の領域ではなく、狂ったように、けらけら、と。
 マスター……言わば人間に止められた、英霊となった強化されたこの力を。
 それだけでアサシンのマスターに対する意識は変わる、『コイツはこの手で仕留めればならない』  彼のプライド、意識、誇り。ナニカに触れた垣根帝督を放って置く訳にはいかないのだが――。


「――しかし俺とお前は運命共同体、こんな所で脱落では話にならん」


「脱落する……あ?」


「俺がお前を殺せばサーヴァントである俺は現界出来ず消滅だ」


「おいおい、誰が誰に殺されるだって?」


 両者は決して相容れることはないだろう。
 だが彼らは彼らに信念を持ち合わせている、理解出来る未来は訪れないかもしれないが腐る事はない。
 垣根帝督は極力一般人を巻き込まない心がある、『極力』、完全ではない。
 その気になれば悪党らしく、チンピラらしく聖杯を取りに行くのだ。


「……まぁいい。俺は俺の戦いをするだけだ。マスターであろうと邪魔はするな」


「気に喰わねぇ下僕だな……俺もテメェに頭下げるつもりはねぇから覚えておけ」


 悪党らしく、チンピラらしく。


 聖杯を求めるだけだ。





【マスター】垣根帝督@とある魔術の禁書目録


【参加方法】ムーンセルによる召還(身体の抗生物質にゴフェルの木片が混入している)


【マスターとしての願い】アレイスターとの直接交渉権を手に入れる。


【weapon】未現物質と呼ばれる超能力。


【能力・技能】
 彼の超能力は未現物質と呼ばれている。本質はこの世に存在しない物質を創り出す力。
 能力により白い翼を精製しそれを扱う戦闘方法を垣根帝督は取る。
 自他共に認めるメルヘンな力、しかし事実上一瞬ではあるが学園都市最強の力に覚醒したこともある。
 威力、強度、再生力、何をとっても一流の力だ。なお、この垣根帝督はあくまで『とある魔術の禁書目録の垣根帝督である』

【人物背景】
 暗部『スクール』のリーダー格である学園都市第二位の超能力者でありその力は未現物質。
 闇の人間だが一般人を無意味に巻き込まない、格下は見逃す場合もある、など人間味は一応存在する。
 学園都市統括理事長であるアレイスターとの直接交渉権を欲しておりそのために画策しているが何故求めているかは不明。
 メインプランである一方通行と戦闘の機会を得るも敗北、彼はこの世から姿を消した。
 その後生命を繊維される形で生き続けるが第三者にゴフェルの木片を体内に混入されてしまった。
 影響したかどうかは不明だが未現物質で身体の足りない臓器などを補い人体として再び光を浴びた。
 余談だがゴフェルの木片に触れなくても彼は自分自信を未現物質に染め再び一方通行と相見える未来も存在していた。


【方針】
 己の信条に従い全てを潰し聖杯に辿り着く。



【クラス】アサシン


【真名】音速のソニック@ワンパンマン


【パラメータ】筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力E 幸運C 宝具D


【属性】秩序・中庸


【クラス別スキル】
 気配遮断:B
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。

【保有スキル】
 千里眼:C
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。

 直感:B
 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

 狂喜:C
 戦闘において自分の好敵手を見つけた際に狂喜の感情により一時的に理性が薄くなる。
 ステータス以上の力を発揮しマイナススキルにある程度抗う力も発動するが頭の回転は遅くなってしまう。


【宝具】

『音速』
 ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:1~100人
 彼の飾り名である音速そのものが宝具であり、彼の戦闘自体が宝具となる。
 音速の伊達ではなく圧倒的な速度で相手を追い詰め命を刈り取る。
 スキルである狂喜を用いればポテンシャル以上の力を発揮することも出来る。


【weapon】
 クナイ、手裏剣、刀など忍者のような兵装を扱う。


【人物背景】
 忍者の里出身であり自称最強の忍者。
 音速の名の通り圧倒的な速度を誇りその実力は作中の中でも上位に位置づけされている。
 中性的な容姿をしている。本文中で垣根帝督は彼を少年や青年と表したが年齢は25である。
 戦闘中に歪んだ感情を見せることも在り、好敵手の前では一時的に狂戦士のような笑顔を覗かせる。


【サーヴァントとしての願い】
 不明、少なくとも甘い願いではない。


【基本戦術、方針、運用法】
 スピードを有効活用した戦法を取る。
 武具により遠近距離に対応可能、マスターである垣根帝督も同様。
 相手に気づかれないように、気付かれたとしても圧倒的な速度で潰す。