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学校にチャイムが鳴る。
「それじゃ今日のホームルーム終わり! これから実習や部活の人もいるかもだけど、
 あんまり遅くならないようにね~~。それともッ! ベッキー先生とのプルァァァイベェトルェッスゥンなら当方に歓迎の用意ありよッ」 
生徒の罵声と牛の鳴き声が響きわたる。
「え~んひっど~~い。それじゃみんな~牛に轢かれないように気をつけて還るんだよ~~~きゃは♪」

田茂農の毎時の終わりは、大体こんなものだ。
職員室で明日の準備を終えた戸次菜摘はそう思った。
修理から戻ってきたばかりのスクーターを回し、家路につく。
夕暮れの道を、小さなエンジン音だけが走っていく。10年以上見続けてきた道だった。
アパートの駐車場にスクーターを入れ、キィを抜くと、キィと一緒に抜けた穴からどっと疲れが噴出した。
腿がむくみ、肩が急に凝り出した気がする。
「うぃ~到着~~。あー、もうダメだわ。クッタクタ。キャラ作る元気ないわ……」
玄関から散乱した腐海(ゴミ)をかき分けて、戸次……生徒からはベッキーと呼ばれている……
呼ばせたのはいつだったか……時の流れに沈んだ記憶を引っ張り上げるのは不可能に近い……
まぁ、ベッキーは重力とベットの吸引力に引きずり込まれ、ぼふりと沈み込む。
40才を過ぎた肉体の倦怠感と何週間も干していない布団の何とも言えない臭いに、身も心も融けていくようだ。
掃除をしなければ、と脳の一部がかすれた声で賢明に叫ぶが疲労にうちのめされた身体は反乱を許さない。
シャワーの魅力すら、この重力の井戸の底から逃れられない。
おなかが空いた、と思わなくもないが、まともな料理を作る元気もない。
たぶん今日もごはんを解凍してめんつゆとかつぶしぶっかけご飯だろう。

「……やっぱ、こうやって、人生終わっていくのかなあ……」

脳髄が、不意に言葉を漏らす。
40才。改めてその言葉の重さが、背中にのしかかる。
まだ20才だと思っていた。30代でも結婚する人はいると目をそらした。
生きている限り、可能性は続いていくのだと、そう思いこんでいた。
その結果がアラフォーだ。
職場とアパートを往復するだけの、繰り返す日々(ホロウアタラクシア)。
職場では奇異の目で見られ、かといって確立してしまったキャラを今更下げることはできず、
コンパには呼ばれず、サプライズと乱入すれば台無しにし、
数少ない休日だって、寝るしかない。同世代の知人たちは軒並み子供が2人いる。話なんて、合うはずない。
実家に帰れば、妹の娘の彼氏を見なければいけなくなる。親のなま暖かい目の向こうには、否応にも結婚の二文字が浮かんでいる。

「やってるのよ……必死に……暴飲暴食我慢して……スタイル維持して……
 その結果がこれなのよ……これ以上どうしろっていうのよ……」

少年○ャンプあたりは、生きていれば何とでもなると主人公が口をそろえて言うけれど、
○の錬金術師あたりは、あんたには足がついているだろというけれど。
それでも、どうにもならないことはあると思う。
足は浮腫で歩きにくい。未来にのばす手は四十肩であがらない。可能性なんて、あるわけ……

「ほんと、あたしって……? あ、郵便?」

ベットの上でごろりと転がった時、エントランスのポストが目に入った。
いつもダイレクトメールと市報と電気料金と水道光熱費の領収書くらいしかないはずのボックスには、一つ封筒が入っていた。
「なんだこれ……ああ、前ネットで変なのクリックしてたっけ……」
ネットの掲示板でコテ使いまくって結婚したいと連呼し続けたことがあった。
F5か何かかと間違われるほど書きすぎたため、自動botかと勘違いされてあっという間に廃墟になったが、
その中で、一人変なリプを返してきた人が居たのだ。
「『願うならば、その祈りを月の杯にくべよ。さすれば方舟はあなたを迎えるだろう』……だっけ、
 中二は高校で卒業したんだけど……クリックしちゃったんだ、わたし」
そうとう参っていたのだろう。無意識に返信してしまっていたらしい。
だとしても、住所なんて書いていないはずだが。
ベッキーは封筒をおそるおそる開いた。怪しい高額請求書が入っているかもと思いながら、
同時に――もしかしたら、もしかしたら奇跡があるかもと思いながら。

「え、何、この木片、あ――――――――――――」

方舟への鍵を手に、見上げた月に、アラフォーが落ちていく。

学園の花壇、その中で、ベッキーはすべてを取り戻した。
農業高校の生活習慣が染み着いた彼女に、普通の学園生活はよほど違和感があったのだろう。
予選は、さほど時間をかけずに突破してしまった。
そして、聖杯戦争のルールをたたき込まれて、彼女は逡巡する。
当然だ。いつもは奇矯な振る舞いをしているとは言え、彼女は普通の教師なのだ。
魔術師相手に何ができるわけでもないし、ましてや殺すことなどできるはずもない。

「そ、それに、サーヴァントだって、私なんかじゃロクな人が来てくれるわけ……」

だから無理なんだ、と自分に言い聞かせようとしたとき、
腕に刻まれた令呪が輝き、花壇を中心に魔法陣が展開する。
だが、血のように赤黒く脈動するその魔法陣は明らかに通常のそれではない。
「なれば、狂乱の縛につくべし……って、これ、バーサーカー!?」
マスターとしての知識から頭の中に響く詠唱が、バーサーカーのクラスをサーヴァントとして呼び出していることに気づく。
だが、もはや召喚は止められない。魔法陣から人型の影が浮かび上がる。
フルプレートの鎧・盾。その身を包むすべてが漆黒に包まれている人型だった。
だが、これを鎧といっていいいのだろうか。成人男性を2回りは大きくしたような鎧は、どちらかというと機械だ。機動する鎧だ。
そして、なによりも特徴的なのは、その額に位置する場所に、金色の角があったのだ。
黒き一角獣。それがベッキーが抱いた、印象だった。
「Vaaaaaaaaa……Vaar……」
(やばい、これ…………)
全身を覆う鎧の隙間から、バーサーカーの声が漏れ出す。狂うような、呻きのような、救いを求めるような声だった。
その声を効いたベッキーは震え上がる。このサーヴァントは間違いない。
確実に、確実に。

「イケメンだわ~~~~~~~!!!!!!」

何かが終了したような気がする。
だがベッキーはお構いなくバーサーカーに抱きついた。大きすぎるので、片足に抱きつくクワガタのような格好になっているが。
ベッキーは確信した。貪欲に男を切望するアラフォーのみが持つセブンス○ンシスが、
この鎧の中にいる本当のサーヴァントがイケメンであることに気づいたのだ。
「クンクン……しかも、金髪のお坊ちゃん! かなりの資産家ッ!! 我が世の春が来たァァァッァァァァッ!!」
なんでそこまでわかるんだ、という気もするが、パスで繋がっている故か、
あるいは農業に従事するものだけが得る気(ガイア)の応用故か。ベッキーは最優良物件であることに気づいたのだ。
「BAAAA!!! VAAAAA!!!」
そんなことは知らんとばかりに、バーサーカーは吠え、ベッキーから魔力を吸い尽くそうとする。
当然だった。このバーサーカーの纏う鎧ーー宝具は存在自体が破格。
もう一つの宝具で小さくし燃費を抑えているているとはいえ、本来は20メートルほどの巨人なのだ。
当然、その維持のためベッキーが支払うべき魔力も相応になる。
魔術の心得のないベッキーでは枯渇してしまうはずだ。
「ああッ! 私今すっごく求められてるッ!! いいわ、どんどん食べて! むしゃぶりついてッ!!」
だが、アラフォーの執念は魔術の理を超越した。魔力吸収を男に求められていると勘違いしたベッキーは気合いと気(ガイア)で魔力を供給し続けたのだ。

「AAAッ!! AAAAAッ!!」
「ええっ! いいわ! 私あなたについていく! っていうか逃がさないッ!
 そしてその果てに、貴方のご両親にご挨拶に行きましょうッ!! めざせバージンロ―――ドッ!!」

もはや最初の葛藤は何だったのか、更年期障害が見せる幻だったのか。それはもうわからない。
分かっていることはただ一つ。これがきっと最後であるということ。
四十を超えてしまった自身の与えられた、最後の可能性なのだ。

「AAAA……ァァァジィイイ……ェヴァアアアアアアア……!!!!」

そんなアラフォーの焦りなど知る由もなく、バーサーカーは吠え続ける。
葛藤は過去に置いてきた。嫉妬も宇宙に捨ててきた。
だが、それでも。それでも、もしこの身を狂乱に鎮めることができたなら、
無理やりにでも抱きしめる勇気があったならば、もう一つの可能性があったのではないか。

可能性を殺すために生まれた獅子を駆り、一人の男が、恋に狂う。


可能性を求め、狂える男女が、今この聖杯に挑む。


【クラス】バーサーカー
【真名】リディ・マーセナス@機動戦士ガンダムUC
【パラメーター】筋力D 耐久E 敏捷B 魔力C 幸運D- 宝具A-
【属性】秩序・狂

【クラススキル】
『バーサーカー化:D』
 魔力と敏捷のパラメーターをランクアップさせるが、
 言語能力が不自由になり、複雑な思考が難しくなる。

【保有スキル】

『エースパイロット:C』
 どのようなコンディションでもあらゆる乗り物を乗りこなす能力。
 騎乗状態に限り、精神異常による技能劣化を軽減する。
 バーサーカーは生前、様々な機体に乗り換えた。
 どんな機体に乗っても、どのような感情にあっても、その技量だけは衰えない。

『ニュータイプ:E-』
 宇宙に適応し、次の段階への戸口へ立った新人類。
 直観・感応能力に補正がかかる。
 だが、狂気に囚われたバーサーカーのクラスでは後述のNT-Dを発動させることしかできない。

『上流階級:A』
 状態が全快に近ければ近いほどパラメータがアップするが、
 不安定な状態に近づくほどにパラメータがダウンする。
 自らを規定する足場が崩れた時ほど、人は脆い。

【宝具】
『可能性を封じた複葉機(アンソロジー・オブ・レッドバロン)』
 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉 1人
 宝具を含めた自身の所有物の大きさを変化させる宝具。
 小さくした場合出力は落ちるが、魔力消費も相応に減らすことができる。
 バーサーカーの原典は散逸しており、『機体に複葉機の模型を持っていた』とも
 『小さな複葉機の入ったペンダントを手首に巻いていた』とも言われている。

『可能性を閉ざす一角獣(バンシィ・ノルン)』
 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:10~40 最大捕捉:30人
 (可能性を封じた複葉機使用時 レンジ:1~5 最大捕捉:5人)
 死と運命を告げる女神の名を冠した、黒い一角獣の機械人形。
 サイコフレームと呼ばれる特殊素材を全機構に使用した特殊機体であり、
 敵味方パイロットの精神波を感知して操作に反映させることで高機動を実現する。
 本来は全長20m近くある巨人であり、魔術を心得がある程度では発動させるだけでも死に至る宝具だが、
 『可能性を封じた複葉機』を兼用することで、人間より一回り大きいパワードアーマーサイズで運用することができる。


『未来を殺す黒き獅子(バンシィ・ノルン・デストロイモード)』
 ランク:A-(本来はA+) 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉 50人
 (可能性を封じた複葉機使用時 レンジ:1~10 最大捕捉:10人)
 可能性を閉ざす一角獣に内蔵されたシステム『NT-D(ニュータイプデストロイヤー)』を発動させた姿。
 一角は割れて、金色の鬣を持った獅子に似た姿になる。サイコフレームを黄金に輝かせたこの状態では、
 宝具の持つ『人間を超えた人間を根絶やしにする』という意志に従い、機体の性能を完全開放して敵に襲い掛かる。
 発動時は敏捷と宝具ランクが1段階増加し、魔力による誘導型の武装を乗っ取り使用することができ、
 スキル・宝具などによる『パラメータ増加』能力を持つ者へのダメージを増幅させる。
 ただし、その反動はすさまじく、5分以上連続で使用した場合バーサーカーを死に至らしめる。
 また、本来は『未来を歩む翠の獅子』という名前の、制限時間無しで使用可能な宝具であるが、
 バーサーカーのクラスでは使用できない。


【weapon】
いずれも「可能性を閉ざす一角獣」の武装。
『60ミリバルカン砲』
『ビーム・サーベル』
『ビーム・マグナム(リボルビング・ランチャー)』
『アームド・アーマーDE(シールド、メガ・キャノン)』
『アームド・アーマーXC』

【人物背景】
地球連邦軍ロンド・ベル隊のMSパイロット。
連邦政府初代首相でラプラス事件で非業の死を遂げたリカルド・マーセナスの後裔であり、ローナン・マーセナスの嫡男。
理想や家族を捨てて政治家になった父ローナンとマーセナス家に反発し、連邦軍に入った。
家の七光りではなく、自分の腕だけで名をあげようとパイロットになるも、いつまでもついてまわる家の影響に辟易している。
ラプラスの箱をめぐる事件でジオンの忘れ形見ミネバに惚れ、彼女の力になろうと忌むべき家の力に縋ったが、
家にまつわるしがらみに逆に取り込まれてしまい、それでもと彼女に求婚したことで彼女に失望された。
渦巻いた負の感情を抱えながら、ミネバを射止め、可能性の名のもとに今の秩序を乱さんとするユニコーンを駆る少年、
バナージへを討つべく、ユニコーンガンダム2号機バンシィに乗り、決戦に向かう。
あるパイロットに『頭の中はオールドタイプ』とまで言われるほど、旧来的・視野狭窄なきらいのある人物だが、
「どれだけ狂った世界であろうとも、そこに百億の生きている人がいる限り守るしかない」と根は人を守る良心を持つ。

【サーヴァントとしての願い】
 女を手に入れられなかった嫉妬を、あの少年にぶつける。
 (他のクラスで召喚された場合は、理不尽な世界であっても誰もが可能性を持てる世界を祈る)

【基本戦術、方針、運用法】
 宝具の消費が尋常ではないので、可能性を封じた複葉機の併用は必須。
 運動性能を生かした牽制射撃からの接近戦が基本かつ有効。
 バーサーカーの真価は爆発力なので、ここぞというときに未来を殺す黒き獅子を発動していきたい。
 最終手段として、令呪による可能性を封じた複葉機の解除があるが、
 実質自決と変わらないので勝利するための手段としては使えない。

【マスター】戸次菜摘@のうりん
【参加方法】ネットで結婚したいと叫んでいたら、家にゴフェルの破片が届いた。
【マスターとしての願い】いい男(バーサーカー)をゲットして持ち帰る。
【weapon】
 『気(ガイア)』
  農業を行いし者がその心の中に持つ潜在エネルギー。
  優秀な農業高校生であるほど、ガイアは大きくなっていく。
  OBであるベッキーも当然習得しているが、アラフォーになったことで黒く歪んでしまっている。
  その黒いガイアを通じて自分の40年の孤独の歴史を叩き込む『アラフォー幻魔拳』や、
  スクーターで通った道の農作物を腐らせる『独神(オットコナシ)』など(ろくでもない)技を持っている。
  ※ただし、これらは全てガイアを持つ農業高校内でのみ共有可能な設定であるため、
   社会及び月の世界でどれほど効力を持つかは不明。

【能力・技能】
 『アラフォー』
   40歳過ぎても寄り添う旦那もいない女性に冠される称号。
   その焦りは自己改造に匹敵する肉体維持とメイク技術となり、
   その嫉妬はプレデターのように男を追いつめる力となる。
   料理スキルとしても使用できるが、独身生活に特化した簡単かつ栄養優先の料理になりがち。

【人物背景】
 田茂農林高等学校2年A組の担任教諭(担当は家庭科)で、学校のOG。愛称はベッキー。
 既に40歳過ぎという年齢に反して容姿は若々しいが、朝礼や職員室で性的な妄想を語りまくる
 妄想癖の持ち主ゆえに家の中で全裸でサラダ油まみれになってドヤ顔M字開脚をセルフ撮影したり、
 女体盛りをやったりするなど暴走する欠点を持つため、結婚はおろかまだ彼氏すらいない。
 そのため、可愛い少女や自分の求愛活動を邪魔する者に対してはどす黒い敵意をむき出しにする。
 首になっていないのは父親が県議会委員だからと思われるが、根っこのところには教師としての自覚はある。

【方針】
 今はいいとこのボンボン(バーサーカー)を捕まえるため、バーサーカーに尽くす。
 いい男かつ自分を好きな男は生きよ、それ以外の奴は若さだけを捧げて朽ちていけ。