誇りを失った。
愛を失った。

あの男さえいなければ。

俺は、真夜を失うことも、王としての鎧も誇りも失うことはなかったのに。

「-----------------------------------!!!」

言葉にすらなっていない唸り声をあげるのは、かつて人間の敵対種族、ファンガイアの王として讃えられた存在。
コウモリの姿を象ったその怪人の姿はまさに夜の王――キングと言うに相応しいものだろう。

その身に理性さえ残っていれば。

今の彼は怒りと強い憎悪に身を任せ、理性を消失させた化け物でしかない。

だが、そんな彼にも願いはあった。

紅音也。あの男が現れてから全てが狂ったのだ。
妻、真夜は自分の元から離れ。
ダークキバの鎧を制御するキバットバット2世にも見限られ。
その力を身に纏った紅音也、そして未来からやってきたなどという紅渡という、そいつの息子によって敗れ。

それでも良かったはずだった。
自分よりも強い素質を秘めた己の息子に、王としての力を、誇りを託せたのであれば。

なのに。
敗れた20年後、理性を失いながらも蘇った俺を殺したのは、憎き紅音也の息子、そして全てを託したはずの俺の息子だったのだ。

そう、俺の息子すらも、紅音也の血を引く者に感化され、ファンガイアとしての誇りを失っていたのだ。
全ての魔族の王を統べるべきファンガイアの王が、人間などという者と共存の道を選ぶなどと、日和った道を選んだのだ。

最期に託したはずのファンガイアの誇りなど、もうどこにも残っていなかったのだ。

―――――憎い。あの男が
―――――真夜を、キバの鎧を、王の誇りを、俺から全てを奪っていったあの男の存在そのものが!

もはや誇りなどなかった。
狂化に身を堕とした俺の元に残った願いは、ファンガイア族の繁栄でも、王としての誇りを取り戻すことでもなかった。


俺の全てを、ファンガイア一族の悲願を狂わせたあの男、紅音也の存在を、この世界の全てから抹消する。


「-------------------------------------!!!!!!」

咆哮するキング、バットファンガイア・リボーン。
そこにいたのは、魔族の王でも誇り高きファンガイアでもない。

全てを失った、哀れな一人の怪物でしかなかった。




目の前で咆哮を上げる怪物を見た時、本来ならば恐れ、怯えるべき場面だったのだろうと後で考えれば思った。
しかし、それでも彼を怖いとは思えなかったのは、その鳴き声の中に深い悲しみを感じたような気がしたからだった

大切なものを失い、裏切られて憎悪のままに悲しみの叫び声をあげる怪物。

まるで私みたいだ。


「…誠君………」


私の全てであった誠君を奪っていった西園寺世界はもういない。

誠君との仲を阻むものは、もう何もない。
その手にあったのは、愛しき誠君なのだ。

あとは2人で幸せになればいい。

なのに。

「…こんなにも虚しい」

そう、手の中にあるのは誠君の頭だけ。
いくら愛して愛して愛し尽くしても、誠君が私を愛してくれることは、もうないのだ。

その事実に気付いた私は、誠君を抱えたまま彼に再会するためにボートの上から海へと身を投げ込み。

体が海中に沈みゆく中で、手が海中にあった何かを握りしめた瞬間、私はその海中から消失したのだ。

「その聖杯っていうのを取れば、どんな願いも叶えられるんですよね…?」

どのような願いを叶えることもできる。
それは今の私にとってはあまりにも魅力的なものだった。

それさえあれば、誠君を生き返らせることもできる。

ああ、でも誠君だけ生き返らせてももし西園寺さんのことを覚えていたらきっとまた彼女に誑かされてしまうかもしれません。
なら、いっそ誠君を生き返らせるのと同時に西園寺さんのことは”いなかった”ことにしてしまいましょうか。


そのために必要な力、それは目の前にいる怪物だ。

なんとなく、自分と近しい何かを感じさせる禍々しいもの。

「せめて仲良くしましょうね。お互いのお願いを叶えるために、その聖杯なんていうものを手に入れるまでは」
「----------------------------------------!!!!」

その言葉に肯定するかのように、鳴き声をあげるバットファンガイア。

「うふふふ、あははははははははははははははははははは。
 アハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


それに合わせるかのように、桂言葉は大きく笑い声を上げていた。
光のない、どす黒い闇しか映らぬ瞳を讃えたまま。


【CLASS】
バーサーカー

【真名】キング(バットファンガイア・リボーン)@仮面ライダーキバ


【パラメーター】
筋力 A+ 耐久 A  敏捷 C  魔力 A  幸運 E 宝具 C

【属性】
 悪・混沌

【クラススキル】
狂化:B……理性と引き換えに全ステータスを1ランク上昇させる。会話はおろか、意志の疎通すらままならないが、マスターの意向には辛うじて従う本能を残している
       本来ファンガイアの王としての誇りを持つ彼を従わせるには令呪を消費する必要があるが、狂化によりその意志はほぼ失われている。

【保有スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

魔力放出:A
身体や武器に魔力を纏わせて強化して戦う技能。
彼の場合有り余った魔力をエネルギー波として放射したりエネルギー刃として武器にすることができる。

カリスマ:-
ファンガイアを統べる王としての能力。
本来であればBランク程のランクであるが、狂化により無効となっている。



【宝具】

【吸命牙】
ランク:D 種別:対人 レンジ:1~10 最大補足:20
ファンガイアが他の生物から生命力(ライフエナジー)を吸収するために持っている牙。
空中から巨大な牙のような物体を顕現させ、それを相手の首に突き刺すことで相手の生命力を一気に奪う。
これをまともに受けた人間の体は命の色が失われ、ガラスのような無色透明の「モノ」と化し、最終的に砕け散る。
ファンガイアの王であるバーサーカーは、これを多数出現させ一度に多くの相手から生命力を吸収することが可能。
分かりやすく言うと魂食いを効率よく行うための牙といえ、サーヴァントとなった現状ではこれで魔力補給も可。
人間がこれを受けたのであれば瞬時に生命力を奪われ命を失うことになる。
サーヴァント相手にも有効であるが、その場合はその身を構成する膨大な魔力を吸い尽くすにはある程度の時間がかかるためその間に対処される可能性もあり必殺というわけではない。
また、人間相手なら刺されば一撃に近いものだが刺さるまでの動きはそう速いわけではないため回避、迎撃することは可能。刺さってもサーヴァントに素早い対処をされる可能性もある。


【夜を統べし魔族の王(ルーツ・オブ・ザ・キング)】
ランク:C 種別:対人(自分自身) レンジ:- 最大補足:-
ファンガイアの王として受け継がれし者が持つ称号。
キングとしての称号、功績がその身に宝具として宿ったものである。
エネルギー波はここから発されるものであり、その判定は筋力換算ではAであるが宝具ランクとしては当宝具と同じCとして判定される。

また、2代目キングである彼は多くの敵対魔族を絶滅寸前にまで追い込む功績から、魔族、またはそれに近しい敵対者に対して追加ダメージを恒常的に発生させることができる。
この場合の魔族とは狼男、フランケン、マーマン、ドラゴン、ゴースト、巨人などに分類されるもの、あるいはその因子を持つ者だが人間は対象外となる(サーヴァントも同様の判定)。

本来はAランク相当の宝具であり他にも様々な能力を持っているが、狂化している影響で劣化しており上記に記載された程度の力しか発揮することはできない。


【王に継がれし闇の鎧(ダークキバ)】
ランク:EX 種別:対人(自分自身) レンジ:- 最大補足:-
ファンガイアの王に代々受け継がれし鎧。分類上は一応仮面ライダーの一つともされる。
他の魔族を滅ぼすための力として作られたものであり、これを装着することができるのはファンガイアでもキングの称号を持つ者のみ。普段はキバットバット2世というコウモリが管理・制御している。
すさまじい力を誇り、全ての力を発揮すると世界を滅ぼすことも可能であると言われているほど。
しかしバーサーカーのクラスでの参戦となるためこれを使用することはできない。





【weapon】
エネルギー波
魔力放出により放たれる、膨大な赤いエネルギーの光線。
前述の通り筋力換算でAランクに相当する威力であるが、宝具【夜を統べし魔族の王(ルーツ・オブ・ザ・キング)】によりCランクの宝具としても判定される。
また、これを身にまとうことで一時的に敏捷を上げ突撃することが可能である。
しかし連発すれば当然魔力を莫大な量消費することになるため使いどきを見極めることは重要。




【人物背景】
ファンガイアの王であるキングの称号を持つ者。ファンガイアとしての真名は「暁が眠る、素晴らしき物語の果て」
人間形態はロックミュージシャンのような風貌で、右手の甲と掌に2つの紋章を持っている。
高慢かつ残忍な性格で、許婚である真夜に対しては独自の価値観での恋愛感情で接しているが、それを押し付ける傾向が強い為か自分でも気付かぬ内に真夜との距離は離れている
後に音也と真夜が愛し合うことに深い憤りを覚え、音也の命を狙う。
そして真夜からファンガイアの力を奪うとともにまだ赤ん坊であった息子を人質に音也と離れることを迫る。
しかしキングが真夜にしたことが気に入らないキバットバットII世に離反されてダークキバとしての力を失い、音也の変身したダークキバと時空を超えて現れたキバと死闘を繰り広げた末、両ライダーの必殺技を同時に受け敗北。
最期は真夜を道連れにしようとしたが、放った攻撃をキングとして覚醒した太牙に跳ね返され、それが致命傷となるも新たなキングの誕生を喜びつつ消滅した。

その22年後、現代の王を見限りその復活を望んだ部下によって蘇るも、その際には理性のない暴れまわるだけの存在と化していた。
しかしその分力は強大になっており、かつて戦ったキバや己の息子の変身したダークキバをも追い詰める。
だが最終的には二人の連携により反撃され、自分から全てを奪った男、そして実の息子の手によって完全に消滅することとなった。

【サーヴァントとしての願い】
自分から全てを奪った紅音也の存在を世界から抹消する


【基本戦術、方針、運用法】
高い筋力と耐久、魔力を誇るため正面からの戦いには非常に強い。
魔力消耗は激しくマスターが一般人であるため無理は禁物であるが、吸命牙によりある程度の魔力補給は可能である。




【マスター】
桂言葉@School Days(アニメ版)

【参加方法】
ボートの上から海に身投げしたところ、海中を漂っていた木片を掴んだことで参戦。

【マスターとしての願い】
恋人である伊藤誠を生き返らせると同時に西園寺世界のことを忘れさせる。

【能力・技能】
基本的には一般人であるが、居合の心得を持っており刃物の扱いには優れている。
また、現状においてはCランクの精神汚染に匹敵するほどに精神を病んでいる。
他者を傷つけたり残虐な行為を行うことに対して抵抗を持っているため殺人という行為に対して忌避感は薄いと思われる。



【人物背景】
榊野学園1年4組の高校生。
気の弱い性格であり、その男性の目を惹く容姿や一般の同世代女子とは少々ズレている言動などによりイジメにあうことも少なくない。
偶然同じ電車で通学する伊藤誠のことを気にしていても何もできずにいたが、友人である西園寺世界の仲介もあって誠の告白を受け入れて恋人同士となる
しかしその世界が誠に好意を持ち、誠自身も世界へと気持ちを向けるようになっていく。
そのことを知らずに、それでも誠のことを想い続けるも誠の気持ちがこちらに向くことはなく、周囲の陰湿なイジメもあって徐々に精神を病んでいく。
最終的に世界を妊娠させた(と思った?)誠が彼女から離れたことでようやく彼の気持ちを引くことに成功する。
だが誠は自分を捨てたという事実に怒りを感じた世界に殺されてしまい、言葉は誠の首を持って世界の元へ向かい彼女を殺害。
生前共に出かけようと約束したボートの上で誠の生首を抱えたまま、もう彼が誰の手にも渡ることはないと安らぎの時を過ごしていった。


今回参戦した彼女はその先で誠の死をはっきりと認識し、身投げを行ったところで参戦したものとする。


【方針】
聖杯を手に入れたいが、細かいことは考えてはいない
ただし人殺しに忌避感はない

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最終更新:2014年07月13日 14:35