どうして、こんな事になってしまったのだろう。

どうしても、そう思ってしまう。

男は教師だった。
といっても教師になってまだ三年の新米教師である。
だからこそ、やっと任された始めての担任という仕事に、男は情熱を燃やしていた。

どこにでもあるようなごく普通のクラスだった。少なくとも男はそう思っている。
ちょっと個性的な生徒たちではあったが、あの年頃にはありがちな範疇だろう。
何にしても、彼にとっては等しく可愛い生徒たちである。

だと言うのに、どうしてだろう。
どういう訳か一人、また一人と生徒たちは次々に転校していった。
生徒一人一人にも事情がある。
それは仕方ないことだ。
けれど、ついには、生徒たちは誰もいなくなってしまった。
いや正確にはまだ一人だけ残っているが、その生徒も今は怪我で入院中だ。
卒業式には間に合うという話だが、今現在教室に通い授業に出る生徒は誰もいない。

まるで何かに呪われているようだ。
自分がしっかりしていれば、などと自惚れてはいない。
たかが担任が頑張ったところで、彼女たちの事情をどうにか出来るほどの影響力などなかっただろう。

だが、それでも、少しでも何かできたのではないか。
事情があったのならば、教師として話を聞くくらいのことはできたのではないか。
せめて、彼女たちが背負っていたのかもしれない重荷を少しは軽くしてやれたのではないか。
そう思ってしまう。

大きな溜息を付く。
受け持つクラスの生徒がいないからと言って教師の仕事が無くなるわけではない。
当然遅刻など許されないし、担当している授業や職員会議だってある。
それでも、朝のホームルームの時間は憂鬱だった。
日誌を手に取り誰もいない教室に向かう、そんなときだった。

ミョウジョウ学園10年黒組担任。溝呂木辺が月の聖杯戦争に巻き込まれたのは。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

どうして、こんな事になってしまったのだろう。

月海原学園教師。溝呂木辺が何者かに襲い掛かられていた。

いや違う。
何者かではない。
襲ってきているのは彼の受け持つ生徒たちだ。
生徒たちは何かに操られたように突然襲い掛かってきた。
これほど大規模な催眠となれば、キャスターの仕業だろうか。

「…………キャスター?」

自然と自身の脳裏の浮かんだ言葉に疑問符を浮かべる。
自分のものではない記憶や知識が自分の中にある、そんな違和感。

「―――――!」
「うゎ!?」

疑問を考える余裕などない。
物陰から襲い掛かってきた生徒の一人を何とか避ける。
今は逃げるしかない。

走り逃れるうちに、いつの間にか屋上に追い詰められた。
塔屋に積まれた机を使いバリケードを作ったため、屋上への唯一の出入り口は今は何とか塞がれている。
だが、それが打ち壊されるのは時間の問題だろう。
そこに群がる他ならぬ自らの生徒の手によって。

「くっ」

バリケード越しに見える普段とは余りにも違う生徒たちの様子に心が痛む。
普段は大人しいオレの生徒、がこんなにも、
いや、違う。
そうじゃない。
オレの生徒は。

「っ!?」

頭の中で何かがつながる感覚と共に、右胸に痛みが奔った。
同時に大きな音が鳴り、バリケードが破られた。
破られた塔屋の入口からは、雪崩のように人影が押し寄せてくる。
逃げ道などない。

もはやここまでかと諦めかけた、瞬間、ほぼ一つに重なった銃声が響いた。

吹き飛ばされ倒れる生徒たち。
ぽっかりと空いたそのスペースの中心に躍り出たのは、人型の赤い台風だった。
逆立った箒のような金髪が揺れる。

「大丈夫? 怪我はないかい?」
「こ、」

殺したのか。
一瞬、そう問いかけたが、よく見れば致命傷を負った人間は一人もいない。
撃たれたのは武器や足であり、ただ単純に無力化したのだ。

「き、君は」
「自己紹介は後、とりあえずここを切り抜けるよ」

そう言った視線の先を見る。
そこにはすでに、第二波が押し寄せていた。

「切り抜けるって、どうする気だ!?」

ここは屋上。唯一の出入り口は大量の人壁にふさがれている。
このまま突破することはできない。
強引に突破するつもりなのだろうか?。
例え偽りの生活だったとしても、彼らは生徒だ、傷つけたくはない。

「どうするって、そりゃもちろん――――」

だが、危機的状況にもかかわらず男はニッと笑った。

「――――逃げる!!」

言って、溝呂木の襟首を掴んだ赤い台風は、そのまま屋上から飛び降りた。

「うわあぁぁぁぁぁぁあああ!」

屋上から遠ざかっている溝呂木の絶叫だけが夜に響いた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ふぅ。何とか逃げ切れたみたいだ」

学園から離れた路地の一角。
男にひかれる形とはいえ、尋常ならざる速度で行動を強いられた溝呂木はもう息も絶え絶えである。

「…………それで………………君、は……?」

溝呂木の問いに男は太陽のように笑い、握手を求めるように手を差し伸べる。

「僕はヴァッシュ・ザ・スタンピード。まあアーチャーとでも呼んでくれ。ひとまずよろしくマスター」

【名前】

溝呂木辺

【出典】

悪魔のリドル

【サーヴァント】

アサシン

【参加方法】

黒組の学級日誌の表紙が『木片』だった

【人物背景】

ミョウジョウ学園10年黒組の担任。担当は生物。
教師になって3年目で初めてクラス担任を任せられた為、教師としての使命感に燃えている熱血教師。
だが、生徒が全員暗殺者であるという黒組の事情は知らない一般人である。
生徒が短期間に次々転校する状況に心を痛めている。

【weapon】

なし

【能力・技能】

なし

【願い】

クラス全員をちゃんと卒業させてやりたい。


【クラス】

アーチャー

【真名】

ヴァッシュ・ザ・スタンピード

【出典】

トライガン

【マスター】

溝呂木辺

【属性】

中立・善

【ステータス】

筋力:D 耐久:B 敏捷:A+ 魔力:B 幸運:A 宝具:A++

【weapon】

『拳銃』

 大口径のリボルバーと、左腕に仕込んだ隠し銃。

【クラススキル】

対魔力:B
 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

単独行動:A
 マスター不在でも行動できる。
 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。

【固有スキル】

不殺:A
 相手を殺さないという覚悟と信念。
 通常攻撃による致死率を下げ、行動不能率を上げる効果がある。
 しかし誤って相手を殺害してしまうと全パラメータが低下する。

プラント:A
 物理法則を無視してエネルギーの生産を行う生体ユニット。
 プランク的な不確定性を統制しエネルギー、物質、次元の操作など可能とする。
 しかし能力を使用すると疲弊が進み、黒髪化を起こして最終的には死亡する。

心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
 逆転の可能性がゼロではないなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

【宝具】

『愛と平和とタフな日々(ラブ&ピース)』

 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1000人
 常時展開されている彼の掲げる信念。
 志を同じくする対象に対して親密度が上昇しやすくなり、非常にまれに戦闘を回避できる。
 だが、相手によっては激昂状態となり戦闘に突入する可能性があるが、その際の逃走率に高い補正が加わる。

『A・ARM(エインジェルアーム)』

 ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
 右腕を銃としてプラントとしての能力を発現させる宝具。
 自然の摂理を超越したエネルギーを集め放つことで、多元的宇宙や高次元を巻き込んで崩壊させる。
 弾丸は超光速の速度で放たれ、射程は月へ届くほど。
 月を穿ったという逸話からムーンセルから嫌がらせのような封印処置をされており、本人も使用する気はないため使われることはないだろう。

【人物背景】

人類初の局地災害指定を受けた『人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)』と恐れられる元600億$$の賞金首。
数千万人規模の大都市ジュライを消滅させた「ロスト・ジュライ」、月に大穴を穿った「フィフス・ムーン」事件を引き起こしてた張本人。
その正体はプラントと呼ばれる生体ユニットの突然変異種。150年以上を生きる人型プラント。
「ラブ&ピース」を謳い、相手が悪人であっても決して人の命を奪わない。
ちなみにステータスの幸運値は自己申告で実質はD相当。

【願い】

なし。
見ていられなくて助けに来た。

【方針】

戦闘はなるべく避ける。生き残り優先。
協力者募集中。未経験者大歓迎。