「───いやはや、あのまま死にゆくのがお似合いだと思ったんだがな」

彼が意識を取り戻したのは、ありふれたなんの特徴もない家屋の中だった。
椅子に腰掛けながら、彼は右手の甲に刻まれた令呪を眺める。
───聖杯戦争。マスターの証。

義理も果たした。
未練も振り切った。
自分としての誇りも精算した。
故に彼の今の願いなど何もなく。
ここにいる意味などないはず。

───だが。

「ああ───そうか、最後に願っちまったな」

自身の命が消える最後の瞬間。
願ってしまった。
未練ができてしまった。
───あと一秒でもいいから。あの殺し合いを長く続けたかった。
その願いに、ゴフェルの木片が反応したのかもしれない。

「───まあいいさ。こちらはもとより存在しないもの。
こうしてまた機会を与えられたというのなら、好きにさせてもらうさ」

「ほう。ではどうしようというのかね?」

声に反応して彼が振り向いた先にいたのは、青い軍服を携えた老人。
しかしその身体は歳に似つかないほど鍛えあげられているのが、その雰囲気のみで理解できた。
この威圧感。この存在感。
間違いなく───

「───あんたが、俺のサーヴァントかい?」

「如何にも」

返される肯定の意。

「今回の聖杯戦争にてセイバーのクラスとして現界した。
真名───キング・ブラッドレイ」

「へぇ、キング、ねえ」

その名を聞いた彼はセイバーに薄い笑みを浮かべながら、一人思う。
───キング、ということはどこかの王サマという訳か。
───暗殺者に王サマを与えるとは、聖杯とやらはよほど皮肉が好きと見える。

「では聞こうか、マスター。
貴様はこの聖杯戦争にて何を望む?」

「何、言うならば俺は死に際を逃した亡霊みたいなものだ。今更願いなんて───」

不意に、言葉が止まる。
少し、思案する。
マスターとしての願いなどない。
だが、みすみす殺されるつもりもない。
ならば───好きなように、衝動に任せて生きるのも悪くはない。

「───いや、あったな。限界まで燃え尽きるほどの殺し合いを」

顔に笑みを浮かべながら放ったその言葉を聞いたセイバーは、少々驚いたような顔をした後───ニヤリ、と笑う。

「はっはっは───いいだろう、マスター。
この私が、君に呼ばれた理由がわかった気がするよ」

「へえ、じゃああんたの願いも聞かせて貰おうか」

「私の願い?そうだな」

セイバーは自身の武器である刀に手を伸ばす。
そこにあるのは、二振りの刀。
なんの変哲のない、ただの刀。
しかし───このセイバーが扱えば、どのような武器でも一流の性能を得たかのような活躍が可能である。

「マスター。貴様は死に直面したことはあるか?」

「・・・?」

「そのような状況になるとな。純粋に『死ぬまで闘い抜いてやろう』という気持ちしか湧いてこんのだよ」
「地位も」「経歴も」「出自も」「人種も」「性別も」
「名も、何も要らん───
何にも縛られず、誰のためでもなくただ闘う───それが心地良い」

「───私はそのような闘いを、再び味わいたい。
この歴戦の英雄が集まるこの聖杯戦争ならば、その願いも叶うやもしれん」

セイバーの生前。
この世に別れを告げる今際の際の、全てを出し切った闘い。
縛られることなど何もなく、背負うものなど何もなく。
ただ死ぬまで闘い続けたあの至高の時間を、もう一度。

「ああ、いいよ、あんた。最高だ。
最初はセイバーなんて、キングなんておれには似合わないサーヴァントだと思っていたが───存外、似たもの同士らしい」

マスターは燃え尽きるような殺し合いを。
サーヴァントは全てを出し切る最高の戦闘を。
二人が今際の際に味わった最高の時間を、再び。

「でもセイバー。女子供はなるべく相手にするなよ」

「ほう。マスター、貴様にフェミニストの気があるとはな」

「別にそんなものはないさ。元・ご主人様から言われててね。無理そうなら殺しても構わない」

「了解した」

セイバーに異論はない。
サーヴァントはマスターの意向に従うもの。
相手にしないで済むような女子供をわざわざ相手にするほど、セイバーは暇ではない。
しかしその女子供がこちらと同等に張り合えるような戦士だった場合は───無論、斬って捨てるが。
彼も同じ。
殺して楽しそうだと判断した場合な、躊躇なく殺そう。

「ああ、そうだマスター。まだ君の名を聞いていなかったな」

「名前?ああ、そうだな───」

忘れていた、というような反応でセイバーが語りかける。
マスターとサーヴァントの意思疎通。
聖杯戦争に臨むにあたって、必要なことの一つ。
名前を知らないのでは、できることもできなくなる。
マスターの彼は懐から持ち出した長方形のものを月夜に照らし、ニヤリと笑う。
瞬間。
ジャギリ、と音をたてて刃が姿を現す。

「『七夜志貴』───ただの、殺人鬼だよ」



【クラス】
セイバー
【真名】
キング・ブラッドレイ
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷A+ 魔力B 幸運C 宝具A
【属性】
 秩序・中庸
【クラススキル】
対魔力:C 魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせる。
  魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
【保有スキル】
戦闘続行:B 窮地における生命力の強さ。
  瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

無窮の武練:A+ 一つの時代で無双を誇るまでに到達した無芸の手練。
  心技体の完全な合一により、いかなる地形、戦術状況下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

人造人間:C 賢者の石によって作られた人造人間に与えられるスキル。
賢者の石自体が魔力炉となっており、ある程度の魔力を補給できる。
しかしセイバーの賢者の石は石の魂とベースになった人間の魂との抗争で大分摩耗しており、生成できる魔力はそう多くない。
【宝具】
『左眼に刻まれし最強の由縁(さいきょうのめ)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:ー 最大補足:ー

彼の眼帯に隠された左眼が宝具となったもの。魔眼の一つ。
解放すると飛び交う投擲物・射出物の軌道すら視認可能になる凄まじい動体視力を手に入れる。
持ち前の剣技、戦闘経験や戦闘技術と組み合わせることで歴戦の猛者複数人を相手にしても引けをとらないどころか圧倒するほどの戦闘力を得る。
そのズバ抜けた動体視力により、相手の挙動、技、技術を読むことで真名を看破するといった使い方も可能であり、解放と同時に矢除けの加護:B相当のスキルを獲得できる。
魔力消費は少ないが、左眼に刻まれているウロボロスの紋章を隠すために眼帯で封印されている。
生前はこの眼と戦闘技術により、軍隊や兵器をも斬り伏せ、次々と猛者を薙ぎ倒したという。
【weapon】
軍刀×5
アメストリス軍の一般兵も使用するサーベル。
しかしセイバーが使うことにより、一級品並みの活躍を可能とする。
セイバーは主にこの刀を二刀流で使用する。
固有の宝具ではなく、軍における量産品のため折れても魔力消費で修復可能。
手榴弾
セイバーが生前、最終戦に臨む時に所持していた手榴弾。
【人物背景】
軍事国家アメストリス大総統、60歳。
戦場で数々の武勲をあげ、44歳の若さで独裁者として君臨した実力の持ち主。
大総統となった後は国家錬金術師制度の導入、アメストリス軍の強化などなど、アメストリスを軍事国家として更に強力に作り上げる。
その正体は「憤怒」の名を持つ7番目に造られたホムンクルス「ラース」である。
元は普通の人間で、ホムンクルス達の計画のために、幼少時よりエリートとして養成された大総統候補生の一人であり、十二番目の実験体として体に賢者の石を注入されホムンクルスとなる。
名前の「キング・ブラッドレイ」はこの時に付けられた名。
「お父様」の命によりに沿って国家の舵を取る役割を担っている。
国民からは非情な独裁者としての認識もされつつ、「ブラッドレイ以外にこの国を纏められるのか」と指導者としての信頼も得ている。
完全なるリアリストでありながら仕事を抜け出してお見舞いに向かったりとお茶目な部分も存在する。
生前の用意されたレールの上を走らされているような人生には多少の不満を抱いていた。
最後はスカーとの最終戦にて、重症&太陽光の目眩ましによる一瞬の隙をつかれて死亡。
何にも縛られない戦闘にやりがいと満足感を感じつつ、逝った。
【サーヴァントとしての願い】
地位も経歴も出自も人種も性別も名も何も関係ない、素晴らしき戦闘をもう一度。
【基本戦術、方針、運用法】
キング・ブラッドレイの最大の武器はその剣技、戦闘力である。
よって、どう接近戦に持ち込むかが最大の鍵となる。
矢除けの加護、『左眼に刻まれし最強の由縁』を駆使してできるだけ相手に近づこう。
近づいたら後はキング・ブラッドレイの一騎当千の実力の見せ所である。
剣技、投げ、体術と接近戦における技能は軒並み高く、『左眼に刻まれし最強の由縁』との併用により主導権を握った戦闘が可能。


【マスター】
七夜志貴@MELTY BLOOD Actress Again
【参加方法】
軋間紅摩との戦闘の後、死にゆく体の下敷きになっていたゴフェルの木片に触れた。(木片によって呼ばれたとは思っていないので現在どこに所持しているかは不明)
【マスターとしての願い】
軋間紅摩との戦闘のような、燃え尽きるような戦闘をもう一度。
【weapon】
七ツ夜
月姫本編で遠野志貴が使用していた七夜家の宝刀。飛び出し式ナイフ。
吸血鬼の攻撃を受けても壊れないほどの頑丈さを持つ。

【能力・技能】

七夜の暗殺術
 その動きは特徴的であり、壁や天井をも足場とする三次元的移動、常識では有り得ない姿勢からの移動及び攻撃、いずれも人間の限界レベルの速度でなされる。
  二本足の人間が蜘蛛の如き動きを、しかも獣の速度でなす様はまさしく奇怪にして奇跡的光景であると思われる。
  静と動のメリハリがあり、静止状態からの急加速、高い速度を維持したままでの急激な方向転換などによって、相手には実際以上に速く見える。よって並の動体視力では捉えられる事もなく、瞬時に死角へと飛び込む事を可能とする。
【人物背景】
白レンの力で「遠野志貴の普段使われない部分」が七夜として呼び起こされたものでありその七夜が白レンと契約し、マスターとなったことで彼女の夢魔の力で悪夢として残留したもの。
殺人嗜好を持ち、人を殺すことに躊躇いは持たない。
しかしActress Againでは白レンの活躍によるものか比較的丸くなっている(殺人鬼なことには変わりはないが)
Actress Againでは、七夜としての誇りを精算するため、軋間紅摩との戦闘に向かう。
その時、白レンに止められるが制止を振り切り、白レンを殺害。
軋間紅摩との殺し合いに臨み、軋間紅摩の喉を切り裂く。
その時の二分間の戦いを七夜は「十何年の人生なんて話にならない。今の二分間の充実には到底及ばない」「なんかどうでもよくなるくらい最高の時間だった」と称している。
この時点で七夜の命は既に風前の灯。
本来ならここで消えるはずだったが、消える直前にこの聖杯戦争に呼ばれた。

【方針】
燃え尽きるような最高の殺し合いをもう一度。
言いつけにより、女子供にはなるべく手を出さない(しかし白レンは既に殺害後のためいつまで守る気があるかは不明)