「うっうっ…グスッ…うう……」

マイルームの一室で床に座り込んで泣く参加者がいた。
栗色の髪に小学生にも見えるほど小柄で華奢な体型。
深緑色の上着とパラソルのように広がったこげ茶のパンプキンスカートを穿いた少女。
いや、正確には少女ではなく、少女の格好をした少年である。

少年の名は不二咲千尋。
気弱な性格とは裏腹に、超高校級のプログラマーの称号を持つ天才である。


そんな彼がなぜこの戦争に参加したのか―――
時間は少し巻き戻る。


希望溢れる才能を持った若者を集める「希望ヶ峰学園」の中で、希望同士が殺しあう
「コロシアイ学園生活」を強いられ、最初の殺人と最初の学級裁判が起こった翌日のこと。

図書館に置かれていたパソコンに隠されていたデータを解析し、強固なプロテクトを解除して現れた情報。
願いを叶える聖杯の存在とルール、そしてその参加券となるゴフェルの木片の隠し場所だった。

最初は眉唾に思いながらも、記されていた隠し部屋の中に置かれていた木片を手にしていた。
もっとも、次の日のモノクマからの呼び出しで皆に言う機会を逃してしまったが…。


誰かを殺さなければ自分の知られたくない秘密を世間に公表するとのモノクマの脅しに、
彼は絶望ではなく変わろうとする意思を持ち始めた。



今こそ…今だからこそ強くなろう。
弱い自分を脱ぎ捨てて強くなろう。


そう決意した彼は、変わる切欠としてトレーニングを決意した。
そしてその日の夜に、憧れている大和田紋土にトレーニングの相手を頼み…


そして―――――





「―――ッ!!」


ブルリ…っと背筋が粟立つ。

なぜ彼が自分を殺したのか
いったい何が彼の琴線にふれてしまったのか分からなかった

ただ泣いて蹲る自分に、差し出された一本のペットボトル。
視線を向けるとそこには自分の契約したサーヴァントが立っていた。

「泣かないでお姉ちゃん」

こちらを心配そうに見下ろすキャスター。
彼は互いに自己紹介をしてからただ泣いてばかりだった自分に呆れることなくずっとそばに居てくれた。

「えっと、お姉ちゃんになにがあったのか分からないけど…
その…えっと、一人で泣いたりしないで。どうか元気を出して」


「ふっぅ…ぐすっ…ごめんねぇ、もう大丈夫だよぉ」


差し出されたペットボトルを受け取って立ち上がる。


大きなとんがり帽子に隠された真っ黒な顔
背丈は自分と同じくらい小さくどこか内気な印象を受ける。
最初は本当に英霊なのかと疑いを持ったが、泣いてばかりの自分を見限ることなくそばに居て
慰めてくれた彼のお陰で、まだ怖さは残るけれど、これからの事を考える余裕はできた。

「ありがとねキャスター。それと…聞いてほしい事があるんだ」

目元には涙の後がある。
足元は震えている。
顔にはいまだ怯えの色が強く出ている。
けれどその瞳は確かな強さの欠片があった。

キャスターは何も言わずに続きを促した。
呆れられるかもしれない。嫌悪されるかもしれない。拒絶されるかもしれない。
けれど、キャスターの信頼を裏切る行為はしたくないと思った。
せめてありのままに話そう。
覚悟を決め口を開く。


「僕ね…本当は男なんだ」











もちろん一悶着あった。
驚きのひっくり返ったキャスターに、嫌われたと思い再び泣き出す千尋。
それを見て半ばパニックに陥るキャスターと混迷を極めた。
二人が落ち着いて話し出せたのは、最初の告白から10分は立った頃だった。

そして千尋は語り始める。
自分自身が抱いているコンプレックスのこと
男らしく在りたいと願っているのにも拘らず女装をして弱さへと逃げたこと
心の中では変わりたいと願っていたこと。

「だからこの戦争に参加したの?」
「ううん、強くなりたいとは思っていたけど…それは自分の力で変わらなきゃ意味無いと思うから…」

パソコンに書かれていた情報には万物の願いを叶える聖杯としか書かれていなかった。
殺し合いやサーヴァントのことは箱舟に入ってから始めて知ったことだ。

「あのね、ここから先は信じられないかもしれない話なんだけど…」

そうして俯きながらポツポツと今までに起こった経緯を伝えた。
希望ヶ峰学園のこと。閉じ込められた超高校級の生徒のこと。
悪意の塊モノクマのこと。起こってしまった殺人と学級裁判のこと。
そうして最後の…自分を殺す大和田君の―――

「お兄ちゃん!」

ハッと顔を上げれば心配そうに見つめるキャスター。
顔を真っ青に染め口元を押さえるその様を見れば無理からぬ事であろう。

「あ…あれ…ごめんね、やっぱりまだ怖いみたい……」

無理しないでと、言葉にせずとも伝わるその様子に気弱に微笑めば、何かを言いたそうにしながらも沈黙するキャスター。

「それでね、僕を殺そうとした大和田君だけど、泣いてたんだ。
きっと彼も殺そうとしてやったことじゃないんだと思う。でもその切欠が僕にあるなら謝りたいんだ」

元の世界に戻ること、そして大和田をクロになる運命を変えたい。
そして生き残ってる仲間たちを助けたい。
だって彼らは…大切なクラスメイトなのだから。

「僕は殺し合いには乗らない。生きて皆の所にところに帰りたい。
誰も殺さずに、誰も殺させずに、ここに呼ばれた皆と一緒に帰りたい…おかしいかなぁ」
「―――『誰かを助けるのに理由なんているかい』、僕の大好きな仲間ならそう言うと思う。
僕はお兄ちゃんの願いを笑わない。僕の記憶は空に預けたけれど、
僕はおにいちゃんを『いつか帰る場所』まで必ず送るよ。それが僕の願いだ」

そして差し出された手を握り返し、どちらかともなく笑いあった。

「これからよろしくねお兄ちゃん」
「うん、よろしくねぇ。えっと…」

さんざん助けられておきながら、肝心の名前を聞いてなかったことを思い出し顔を赤らめる。
キャスターも名乗ってないのに気づいたのか、とんがり帽子をきゅっと直して名乗った。

「ビビ。ビビ・オルニティア。よろしくねお兄ちゃん」


命を作った少年と作られた命の少年。
強さを手に入れたいマスターと強さを知ったサーヴァント。
とてもよく似た心優しき主従は、帰る場所のために戦う。




【クラス】
キャスター
【真名】
ビビ・オルニティア(ファイナルファンタジーIX)
【パラメーター】
筋力D 耐久E 敏捷C 魔力A+ 幸運B 宝具EX
【属性】
 中立・善 

【クラススキル】
陣地作成‐E 生前そういった逸話を持たなかったためキャスタークラスにしてはあるまじき低さ
道具作成‐D 簡単なポーションやエーテルなどの魔法薬を作れる。ただしあまり複雑なものは作れない    

【保有スキル】
黒魔法-A++ 黒魔法を扱うスキル。A++ランクなら極めたといっていい。一般的な黒魔道士は大体Cランク程度。
ためる-A 魔力をためて次に放つ魔術の威力を底上げする。溜める回数に上限はなく溜めれば溜めただけ上昇する
リフレク倍返し-C こちらに撃たれた魔法をそのまま相手に倍の威力で跳ね返す。
          跳ね返された相手はこれを返すことは不可能だが、体性などによりレジスト可能。
魔法剣-B 魔法を刀身に宿らせ威力の底上げをする。消費魔力はなぜか相方が負担する。
     敵の防御スキルを貫通するがビビ一人では発動できず騎士系クラスの協力が必須である。

【宝具】
奮えよ我が心(トランス)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:― 最大補足:―
強く感情が高まると自動で発動する宝具。自身のステータスを1ランク引き上げる。
また黒魔法を下記のW黒魔法に変える。
発動時には自身のバットステータスを全て解除する力があり以後はゾンビ化を無効化できる。
サーヴァント化に伴い持続時間は魔力に依存する。
発動と同時に衣装が変わり帽子の先が立つ。

W黒魔法
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~500 最大補足:1~300
「震える我が心」発動時のみ使用可能。
消費魔力半減、ノータイムで二回連続発動できる。

最後の審判の日(ジハード) 
ランク:EX 種別:大国宝具 レンジ:1~1000 最大補足1~1000
正確には宝具ではなく最高クラスの魔法である。
発動時の効果は「巨大な隕石が敵味方全体を押しつぶし闇属性の大ダメージを与える」というもの
闇属性を持ってないものは例え味方であろうとダメージを負うので「最強の攻撃」であると同時に
「最悪の味方殺し」の宝具と言える。
ただし闇属性を持っている者には優秀な回復技になる。

【weapon】
メイスオブゼウス……その昔に大魔道士が使っていたといわれる『カミノチカラガヤドル(神の力が宿る)』杖。
          ダメージの追加効果に「ミニマム」が発動する。
ふゆう石のかけら……聖属性と闇属性を吸収し、力と魔力の補正が得られる便利なアクセサリ。
          外した場合筋力と魔力が1ランク低下する。

【人物背景】
とんがり帽子の内気な少年で、黒魔法の才能がありながら、いまいち自分に自信を持つことができない。
しかし、ジタンとの出会いで徐々に「自分らしく生きる」意味を知り、ときには誰よりも勇敢にたち揺るまえる
『心の強さ』を持つようになっていく。本作の「もう一人の主人公」とも言える位置にいる。
何もないところでコケたり、コケた反動でものを散らかしたりと、ドジな面もある。
幼く世間知らずな面もあるが、好奇心は旺盛であり、また『カードゲーム』が趣味なので、
そこに関してはあまり人見知りをすることはない。
正体は「霧」によって生み出された戦争用兵器「黒魔道士兵」のプロトタイプ。
つまり「人の手で造られしモノ」、それも世界中で忌まれた「霧」から造られた兵士という現実に苦悩する。
旅の中ビビとは「型番」が違う意思を得た量産型魔道士兵たちとの交流の中で死について考え、自分の存在の意味を見つけていく。
そして旅の終わり、自分がもうすぐ「止まって」しまうことを悟りながらも子供たちに冒険譚を語り仲間のことを想いながら空に記憶を預けにいった。 

【サーヴァントとしての願い】
自分の人生には納得しているので自分の願いは無い。
マスターや他の参加者を「いつか帰る場所」に送り届けたい。

【基本戦術、方針、運用法】
後衛で真価を発揮する典型的なキャスタータイプ。
ただしクラススキルが低いので陣地に篭らずとも戦える。
騎士系クラスの前衛を援護する形で戦い自分はサポート役に回るのがベスト。
ただし宝具の「最後の審判の日」は味方も殺しかねないので使うときは注意が必要。
また全体攻撃が出来るので大量の使い魔や雑魚敵には相性最高。

【マスター】
不二咲千尋
【参加方法】
希望ヶ峰学園の本当の理事長が残した希望のゴフェルの木片を探し当て参加
なお学園長は詳しいルールは知らなかった模様。
【マスターとしての願い】
殺し合いに乗らず皆と一緒に帰りたい
【weapon】
無し
【能力・技能】
超高校級のプログラミングの技術。また高度なハッキングのスキルもある。

【人物背景】
本文参考

【方針】
殺し合いには乗らない。
他のマスターと積極的に手を組んでいきたい。
戦闘はキャスターに任せ自分は聖杯にハッキングなど自分に出来ることをやる。