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 ひゅるりひゅるりとひゅるりらら。
 ビルの隙間を走る風が心地よく聞こえる眠れる深夜。
 眠れると表現するが夜こそが人間の本質が現れる危険な時間だ。
 闇に潜む蛇が牙を剥き出すのもそう時間は掛からないだろう。


 風に紛れるようにビルを飛び続ける一つの影。
 梟でも忍者でもないその影の正体は女、それも少女だ。
 赤いポニーテールを揺らし飛び続ける少女の口にはお菓子が一つ。
 そして泥棒のように担ぐ袋の中にも大量のお菓子が詰められていた。


「ラッキー! 今日は邪魔する奴もいないし大量だっ!」


 所業は泥棒、少女の名前は佐倉杏子。
 彼女は魔法少女と呼ばれる存在で魔法を使って己の身体能力を強化している。
 そのため中学生の彼女でも忍者のようにビルとビルの間を脚力で飛んでいるのだ。
 コンビニに忍び込み大量のお菓子を盗む……魔法を使えば簡単に行える。
 気配を消し逃げる時に身体能力を強化、小さな悪事を行うにはお誂え向きだった。
 折角の魔法だ使わなければ宝の持ち腐れ。彼女は現実を見ている。
 夢を見ても問題年頃だが彼女は自分のために力を使う。
 他人のために己を殺すのは偽善者でも何でもない、ただの馬鹿だ。


 彼女は無意味に他人を傷付けない、だがそれが他者を救うとは限らない。


「って嘘だけどね……あたしには尊敬できる父さんがいるから……」


 少し背伸びをして悪い人格を騙りたい年頃でもあった。
 佐倉杏子の家は教会だ。そこの娘が悪事を働くだろうか……それは働いている。
 しかし悪戯だ、本人は悪戯と考えており人助けと呼ばれる行為を何度もしているのだ。
 手に入れた魔法の力を使わないなんて宝の持ち腐れだ、使うならば全てを良い方向へ進めるために使用する。


 幾つか動いていると疲れが溜まるのは自然的な事であり杏子は足を休めるために止まる。
 適当なビルの屋上の縁に座り込み袋からお菓子を取り出す、そして食べる。
 軽快な音を鳴らしながら彼女の胃の中へ消えていくお菓子、そして新たに取り出し食す。


「今日はあの黒男もいないし最高だな……これでモモにも分けてやれる」


 最近杏子の前に黒い男が現れ彼女に接触を図っているのだ。
 悪事を働いている彼女を止めに来た……こうであればいいのだがどうやら違うらしい。
 杏子が魔法を悪用しなければ会わないかもしれないが……問題はそうではないのだ。
 男は杏子に必ず告げるのだ、謎の言葉を彼女に投げている。


『お前はいつになったら目覚める』


 この言葉に杏子は疑問しか抱かず大抵は無視を選択し男から逃走する。
 追ってくることはないのだがその視線は杏子から逸れることは絶対に無い。
 質の悪いストーカーの一種か何かと決め付け彼女は男を永遠に無視していた。
 しかし男から感じる『言葉に表せないナニカ』は彼女の中で何重にも引っかかっているのだ。


「考えても仕方ないし帰るか」


 出口の無い迷路を彷徨うほど時間を無駄にする物はない。
 杏子は家族が待つ家に帰る、妹のモモにお菓子を分けてあげるために。
 家系が苦しい訳ではないが裕福なわけでもない。
 妹にお菓子をあげると喜んでくれるため杏子は例え盗みを犯そうがお菓子を調達する。
 無論両親には内緒であり、魔法少女も隠している。当然のことだ。
 実の娘が魔法少女でした……どんな親でも頭を抱え悩んで塞ぎこんでしまう。
 杏子は家族を愛している、故に迷惑は掛けたくないのだ。だから隠す。
 無理に摩訶不思議な世界に引きこむ必要は無い、普通に暮らせていればそれが幸せだから。


「……ん、ったく静かに出来ないのかよ……ってな」


 視線を下に落とすとそこには男が五人程集まっていた。
 比率は一対四であり後者が前者に詰め寄っている光景が目に飛び込んでくる。
 魔力で視力を強化した杏子ならば常人では見えない距離も視野に入ることもある。
 詰め寄られている男は弱々しく財布を差し出そうとしていた。


 流石にあんな光景を見てしまっては気分が悪くなる。
 最近現れる黒い男の件で苛立ちが溜まっていた分此処で発散するのも悪くない。
 よしっ。腕を回し体勢を整えると杏子はそのままビルの壁を走り始め地上目掛けて突進した。






「んだよ、これしか入ってねぇのか……」
「やる気あんのか?」
「殴ったら金出るかも知れないぜ?」
「お前それ殴りたいだけだろ……賛成だけどな!」
「ゆ、許して……」


 路地裏の壁際に一人の男を追い込む四人の輩は鉄パイプやバッドなどの武器を手にしている。
 追い込まれている男は貧弱そうな体質で持ち物も特に持ち併せておらず財布を差し出していた。
 しかし中身だけ抜かれると財布は投げ捨てられ輩達は無理矢理理由を作り臨戦態勢に移っていた。


「そ、そんな! こんなの絶対おかしい……ッ、だ、誰か!!」


「助けを呼んでも誰も来ねーよバーカァ!! 残念無念また来てねんって奴さ――ん!?」


 無慈悲にバットを振り下ろそうとする野蛮な輩だったがバッドが動かない。
 どれだけ力を込めても動く気配が感じられないのだ、何かが可怪しい。
 疑問と謎の不安を募りながら男は後ろを振り向く。そこには小さな少女がバッドを片手で抑えこんでいたのだ。


「弱い者イジメは感心しねーな、っと!」


 バッドを握り締める力を更に強くした杏子は輩ごと後方に投げ飛ばしたのだ。
 輩は自分が宙を浮いていること、少女に投げ飛ばされた事実……全てに置いて混乱していた。
 そんな状態なら受け身も取ることは不能であり大地に落下、背中に衝撃が響く。
 バッドを軸に立ち上がり少女を見つめる、可愛らしい外見に似合わない力、舐めて掛かると負ける。


「お、おいお前ら! このガキ潰すz……な、あ……」


 仲間は既に杏子が全員気絶させている、残りは己のみで追い詰められたのは輩。
 こんなガキに舐められたまま終われるか――脳内では果敢に吠えているが現実は非情である。
 そのまま背を向け逃走だ、仲間を見捨てて汚らしく、形勢が不利になれば背中を見せる。
 そんな輩に興味は無く杏子は追うこともなければ追い打ちを掛ける事もしない。


 残ったのは杏子とカツアゲされていた高校生、気絶している輩だけ。
 高校生は現状に思考回路が追い付いていないが「助かった」という事実だけは受け止めている。
 礼の一つを目の前の少女に言えばいいのだが何故だが急に眠気が襲ってきた。
 こんな路地裏に倒れこむ訳にもいかないが身体を制御することは出来ずそのまま眠りにつく。


「ちょっと魔法で眠ってもらうよ……へへっ、なんか正義の味方? って感じだな」


 姿を見られてしまったからには記憶を消さなばならない。
 杏子は魔法少女の事を家族に隠している、こんな事で露見する訳には行かないのだ。
 優しい魔法で相手を包み込むように幻覚を掛ける――相手は心地の良い夢の中に沈む。


 大分寄り道してしまったため家族は既に寝ている頃であろう。
 帰るにしても静かに起こさないように細心の注意を払わなければ、足に魔力を込める。
 強化した脚力で一気にビルを駆け上がろうとするも中断――奴が居る。
 ここ最近何度も杏子の前に現れる黒い男がまたしても姿を表したのだ。


「……こんなつまらん事をしているのか」


「アンタ一体何者だ? 随分とあたしにちょっかい掛けてくるじゃねーかよ」


 困っている人を救う行いをつまらんと一蹴され杏子の苛立ちは更に募る。
 この男は何度も問を投げるような言葉しか口に出さない、おかげでストレスが溜まっている。
 意味深な台詞回しは第三者のオーディエンスには好評だが当事者にはご勘弁。
 答えを示さない質問など考えるだけで頭の疲労を加速させるのだ。


「思い出せ、お前は何のために此処にいる」


「はぁ? 何のため? 此処? この街は風見野であたしは住民だ、違うか?」


 男の問は簡単過ぎる。此処に家があるから、住んでいるから、家族が居るから。
 杏子は溜息と共に言葉を放ち呆れたような顔で男を見つめる。
 どうやらこの男は変質者の一種だ、それも宗教的な存在。意味深な台詞回しはそのためと仮定しておこう。


「何時まで夢を見ているつもりだ、お前に家族は居ない」


 男の告げた言葉は非常であるが真実ではない。
 その煽りは杏子の怒りに触れ彼女はソウルジェムを発動し魔法少女の姿に変身してしまう。
 槍を構え威嚇程度に演舞を披露し構えを取る、そして放つ。


「テメェ……いい加減にしろよ」


「いい加減にするのはお前……貴様の方だ、こんな奴が俺のパートナーとはな」


 男は謝罪を述べない所か更に煽りを加え杏子の怒りを高まらせていた。
 パートナーと言う単語に思い当たる節の無い杏子、この男は先程から何を言っているのか。
 だが家族を馬鹿にすることは許せない、いやそれを通り越している。
 存在している大切な家族を存在しないと否定した男に情けなんて必要ない。
 このまま攻撃を加え最後に魔法で回復してやれば問題もないだろう――攻める。


「これを読んでみろ」


「――んぁ!?」


 槍を構え突進の体勢に入っていた杏子の顔に当たる一つの質量。
 男が投げたものは黒い本だ――そして彼はこれを読めと言い放った。
 命令を聞く気など無いが開いて落ちている本のページは自然と目に入る。
 その文字は読んだこともないような外国の意味不明な羅列だった。
 外国語と表す通り杏子の学力は好ましくないがそれでもこの言語は全く見た記憶が無い。


 無い、無いのだ、そうだ、見たことはない。だが、何故、この文字が読めてしまうのか。


「れ、レイス……?」


 杏子は何故か読めてしまった単語を口に出す。無論聞いたことも言ったことも無い言葉だ。
 その言葉を聞くと男は片腕を掲げ杏子の方へ向け――光弾を射出した。
 突然の攻撃に面を喰らう杏子だが鎖を地面から召喚しこの光弾を防ぐ。
 その現象はまるで自分が使う魔法と変わらず杏子の頭に謎を更に蔓延ってしまう。


「テメェ! それは魔法か!?」


「そう呼びたいなら勝手に呼べ……いい加減に思いだせ、これは『聖杯戦争』だ」


 男は問に適当な返しをすると更に不明な単語を口走る。
『聖杯戦争』――聞き覚えのない言葉だが何処か頭の片隅に眠っている感覚がある。
 何故だ、頭の中に言葉が何重にも絡んでくる、痛い、痛い、お願い、やめて。
 そこには見たこともない現実が広がる。家族、友達、先輩――この記憶は何だ。


『エビフライちょーだい』
『どうして誰もお告げを聞いてくれないんだ」
『あなた……私と一緒に戦わない?』


『おねーちゃん……これイチゴじゃないよぉ……』
『もう私に構わないで!』
『聞かれなかったからさ』


『この魔女め! お前は魔女だ!』


『あたしってほんとバカ……』





「おいおい……今までの現実が夢……か。 
 記憶を無くさせる何て『聖杯』ってのは飛んだ質の悪いモンだよ……。
 分かった、ああくそ……アンタがあたしのサーヴァントのキャスター、そうだろ?」


 取り戻した記憶、思い出してしまった、夢から醒めてしまった。
 杏子の家族は死んでいる、それも杏子が魔法少女になってしまったのが原因で。
 彼女の回りの人間は彼女だけを残してこの世界から消えていったのだ。
 家族も、先輩も、そして友達も――全て彼女の手が届かない所へ行ってしまった。
 そこに持ち寄られたのが聖杯戦争に参加する条件であるという木片を宇宙の使者から譲り受けた。
 自分達を騙し絶望を押し付けた存在の言う事など聞きたくもなかったが縋れるならばもう一度。
 勝手な事だと理解しながら最後の希望を信じて彼女はもう一度奇跡に縋ったのだ。


 全てを思い出した杏子は目の前の男が自分のサーヴァントだと初めて理解した。
 腕に走る令呪が証拠……つまりこの男が今まで接触して来たのは記憶の覚醒のため。
 顔に似合わず……と言った物かどうかは不明だが彼のお陰で杏子は再び目を覚ます事が出来た。
 彼女の家族は方舟内に構成せされたNPCの一種であり初戦は幻の偽りだった。


「アンタ……礼を言わしてくれよ、ありがとう」


「くだらん。俺はパートナーのお前が腑抜けていては勝ち上がれない、それが嫌だっただけだ」


 キャスターは礼に対し余り好ましくない態度で返すが今までの接触から予想は出来ていた。
 杏子は面倒なサーヴァントを引いたと思うも是位分かりやすい方が好みと捉える。
 彼女の願いは二度目の奇跡だ、そのために躊躇うことなんて許されない。
 ならば非常に徹するか? 残念だが彼女にその選択が来る時、彼女は深い悩みに囚われるだろう。


「迷いならば捨てろ……俺もお前も二度目の願いを追いかける身だ……これ以上贅沢を言うな」


 人間に真の奇跡が訪れる事は滅多に起きない、いや人生の中で起きることがない人間が大半だ。
 キャスターもまた過去に聖杯戦争のような遊戯に参加しその身を戦火に投げ込んだ。
 杏子も魔法少女に契約し一つの奇跡をその手で掴んだ――彼女達にとって聖杯戦争は二度目の奇跡だ。


「分かってる……でもさ、答えはちゃんと出すから待ってくれ……頼む」


「勝手にしろ、お前にアイツの代りが務まるとは思わんが此処から先、俺達はパートナーだ」


 杏子には叶えたい願いが在る、だがそのために修羅になる覚悟はまだ出来ていない。
 キャスターはそれを咎めることはしない、答えは自らの手で掴むこそ意味がある。
 己の役目はマスターの記憶を覚醒させる事、此処から先は対等の立場として聖杯戦争を勝ち抜かなければならない。


 再度奇跡に手を伸ばす杏子達の前に聖杯は何を映すのだろうか。
 願いは叶うから願いなのかそれとも――。


 二度目の奇跡に縋るのだ、生半可な覚悟では参加する資格すら存在せず。





【マスター】佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ

【参加方法】ムーンセルによる召還(木片はキュゥべえから授かった模様)

【マスターとしての願い】日常の救済

【weapon】魔法少女となって戦う。武器は主に槍。

【能力・技能】契約し手に入れた魔法の力で戦う魔法少女。
       武器は槍だが多節棍であり鎖で繋がっているため近・中距離を中心に戦法を組み立てる。
       結界も貼ることが出来、身体能力の強化も出来るため戦法は多種多様。
       本来ならば過去の出来事により幻覚の魔法は封印されていだがNPCの家族に触れ合った事によって覚醒し再度使用できるようになった。


【人物背景】家族に恵まれ教会を家に成長してきた彼女だが魔法少女の契約を果たしたことで運命の転機を迎える。
      最初は家族全員が幸せになったがある日魔法少女であることが父にバレてしまいとある事象から魔女呼ばわりされる。
      そして家族は自分を残しこの世を去り信じる心を失った彼女は先輩である存在とも決別し孤独を演じる。
      魔法少女に待つ運命は奈落のみ、そして彼女は最後に神様に願いを放ち光に包まれていった――。

【方針】覚悟はまだ出来ていないが襲ってくる相手に容赦はしない。
    願いを叶えるためには非常になるしかないのは理解しているが――。




【クラス】キャスター

【真名】ブラゴ@金色のガッシュ!!

【パラメータ】筋力B 耐久C 敏捷C 魔力B 幸運D 宝具A

【属性】秩序・中庸

【クラス別スキル】
 陣地作成:D…魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。結界の形成が可能。
 道具作成:D…魔術的な道具を作成する技能。

【保有スキル】
 心眼(真):C…修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理の逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
 直感:C… 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。敵の攻撃を初見でもある程度は予見することができる。
 魔力放出:B…武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。  

【宝具】


『黒き魔本』
 ランク:E~A 種別:対軍宝具 レンジ:1~200 最大捕捉:1~500人
 記述されている呪文をマスターが唱えることで魔術を発動できる本の宝具。
 記述されている呪文は主に重力に関係する物が多く多人数相手でも戦える事が可能。
 中には己の肉体を強化する呪文もあるためその力は多種多様に渡る。
 能力はマスターの魔力及び心の力と言われる精神力にも依存する。


『シン・バベルガ・グラビドン』
 ランク:A 種別:対界宝具 レンジ:1~500 最大捕捉:1~800
 ブラゴが誇る最強の呪文。
 その力は「シン」と呼ばれる呪文の中でも最高の領域に達している力であり威力は他の呪文と比較する事も不可能。
 広範囲に重力を掛け相手を潰す呪文。その真価は地球その物の力を借りることによってランク以上の威力を叩き出す。



【weapon】宝具に依存する。

【人物背景】
 魔界の王を決める戦いの中でも優勝候補とされておりその力は本物。
 重力を操る呪文を駆使しパートナーと共に戦いを生き残ってきた。
 その最後は王様を決める候補者として最後まで残りこれまでの出会いと別れと成長を感じながら相棒と共に最後の勝負に臨んだ。

【サーヴァントとしての願い】
 ???

【基本戦術、方針、運用法】
 敵は全員倒す方針。甘いことをマスターが抜かすならその本質を正す。