遠坂凛&ランサー ◆F61PQYZbCw


 妹が離れ父が死亡し母が狂った。
 これが彼女の親族の成れの果てであり独り残された少女は似たように構成された住居で泣いている。
 見知らぬ場所だが知っている、この家は彼女の家であるのは間違いない。
 方舟に構成された限りなく現実世界に近い空間で彼女は独り……泣いていた。


 ここは聖杯戦争……運命の崩壊を引き起こした根源であるあの記憶の亜種。
 舞台と役者は違えようど彩る装置は変わらず願いを餌に殺戮を強要する。


 少女の名前は遠坂凛、由緒正しき遠坂の実縁に該当する正式後継者だ。
 幼いながらも初歩魔術を行使出来る程の天才であり、彼女もまた自分でその才能を理解している。
 順当に行くならば偉大な魔術師に昇り詰めた父に全てを叩きこまれ立派な後継者になるはずだった。
 だが聖杯戦争と呼ばれる奇跡を覗かせた永遠の闇に全てが飲み込まれてしまった。


 父――遠坂時臣は聖杯戦争に参加、そのサーヴァントはアーチャーと呼ばれ彼の優勝は固いはずだった。
 能力値だけでは世界を語れない、運命とでも呼べばいいのだろうか。彼は全てにおいて見放されていた。
 手駒に成り下がらないサーヴァント、暗躍する陰謀、裏切りを引き起こす弟子、そしてサーヴァント……。
 負の連鎖は止まることを知らず彼がこの世を去るのに時間は必要何て存在しなかったのだ。


 残されたのは彼女と妹、そして母。
 妹は養子として家系を離れていた。
 母は父を失ったこと、そして重なる幼馴染とのすれ違いから崩壊を起こしてしまった。
 残る家系は幼い彼女のみだ。しかし少女に全てを背負わせる現実は過酷の領域を軽く超えている。
 されど退路は無く進むしか無い。少女は悲しみを背負いながら確実に歩を進めていた。


 何時まで泣いていられない、例え誰も彼女を見ていなかろうが次期当主の沽券に関わる問題だ。
 少女は強くならなければならない。遠坂の名を落とす訳にはいかないのだ。
 奮起する少女を誰が咎めようか。悲しみを背負いながらも走り続ける遠坂凛を誰が笑うだろうか。


「私はもう泣かない……遠坂家の名を背負って聖杯を手に入れるの……!」


 彼女の父である遠坂時臣は聖杯を求めた。それは遠坂家の悲願であり魔術師としての地位を飛躍させる。
 父が成し得なかった願いを娘が引き継ぐ――凛は当主の名の下に聖杯を目指す。
 彼女が何故聖杯戦争に参加を、資格を得たのだろうか。
 そもそも彼女の父が参戦した聖杯戦争から確実に歳月の経過が足りなく聖杯戦争はまだ開戦されないはず。
 彼女が今宵の月を背に願望を望ませる聖杯戦争に参加理由――それは『神父』から送られたアゾット剣だ。


 神父は亡き父の弟子であり凛もよく知っている人物、その名を言峰綺礼。
 彼は凛に生前父から授かったアゾット剣を形見代わりに引き渡した。その箱だ。
 箱の構成物質は『木片』であり今回の聖杯戦争に参加する資格の一つ。
 彼女はこの事を知らず結果として意思とは関係なく聖杯戦争に身を委ねる事になってしまった。
 しかしそれは遠坂家の悲願であり彼女としても退く理由はないのだ。


 恐怖はある。


 家族の崩壊を引き起こした聖杯戦争に自分が参戦してしまったのだ。
 これから待ち受ける運命は過酷の領域ではない。恐らく幼い彼女には支え切れぬ重圧。
 独りの少女に乗り越えられるだろうか――独りではない。


「おい、泣き終わったか?」


 決意を決めたマスターを見計らって彼女のサーヴァントが姿を表わす。
 その性は男、クラスはランサー。
 現界するとそのままマスターの元へゆっくりと歩き出し始めた。


「な、泣いてなんかいないもん! ……ありがとう」


「あん? 礼を言われるような事なんざやってねぇ」


「……私に気を遣って姿を消していたんでしょ?」


 凛の言葉を聞き足を止めるランサーの表情は強張っていた。
 その言葉の通り彼は少女に気を遣い姿を消していたのだ。彼なりの優しさである。
 幼いながらマスターの将来性は高いようで魔力の素質も充分過ぎる領域であった。


「……ガキはガキらしくしといた方がいいぜ?」


 ステンドグラスから差し込む月光が少女と男を照らす。
 マスターとサーヴァント、その関係は主従、戦争に選ばれた運命共同体。


「これからはよろしくねランサー……辛い戦いになると思うから」


「へっ、上等だぜ」


 弱気なマスターの声に反逆するように当然の返しを行うランサー。
 元より聖杯戦争に生半可なサーヴァントは存在しない、楽な道など最初から在り得ないのだ。
 今宵の宴は戦争で彩る野蛮なアンサンブル、望む所と言わんばかりの決意。


「これは遠坂家の悲願……私が、遠坂凛が成し得てみせる……ッ!」


 遠坂家。この単語を聞いたランサーの表情は急に血相を変えた。
 今このガキは何と言ったのか、遠坂家だ。遠坂、あの『遠坂』と言うのだろうか。
 ランサーは英霊として呼ばれたサーヴァント、つまりこの世には既に別れを告げている。
 その彼が遠坂家を知っている理由はあるのだろうか、在る。


『彼は聖杯戦争に参加するのは二度目であり、この生は三度目になる』


 ランサーは過去に聖杯戦争に参加している、それもマスターの父である遠坂時臣が参加していた時ではない。
 遠坂凛が参加していた聖杯戦争――彼女の未来の姿が参加していた聖杯戦争に参加していた。
 その戦績は優勝に辿り着くことは無く彼もまた再びこの世を去っていたのだ。
 これは何の因果だろうか。元々二度目の聖杯戦争を体感するサーヴァントは極稀である。
 その資格を得ただけでも奇跡の領域だが彼のマスターは『彼の知っている人物の過去の姿』だ。


 聖杯とはどの時代でもロクでもない代物だ、最初から解り切っていた。
 月とは名に付いているがその本質は彼がよく知る悪趣味な器と変わりはない。
 ならば今宵の戦争も強者との戦いに身を馳せ参じるのみ――願いはない、マスターにくれてやる。
 三度目の生に興味など無く男はこの高鳴りを満足させるべく少女と共に月の夜を駆け巡る。


「小娘め……俺は歳取って出直して来いと言ったんだがな……ガキになって来るとは面白れぇじゃねぇか」




【マスター】遠坂凛@Fate/Zero

【参加方法】ムーンセルによる召還(木片はアゾット剣の収納箱)

【マスターとしての願い】遠坂家の悲願である聖杯を持ち帰る。

【weapon】アゾット剣…柄の先に宝玉がある短剣。対象に刺した後に魔力を込めることで貯められた魔力を開放する。
           余談ではあるが凛の父である遠坂時臣を殺害した武具である。

【能力・技能】五大元素使いであり幼い身でありながら既に初歩魔術行使できる。
       その才能、素質共に最高の魔術師になれるであろう

【人物背景】偉大な魔術師である父を持っていたが聖杯戦争で父は死亡し、それがきっかけで母も人格に異常を起こしてしまった。   
      唯一残された彼女は由緒正しき遠坂家のためにも立ち止まることはなく魔術師としての鍛錬を怠らない。


【方針】遠坂家の悲願である聖杯を持ち帰るためにランサーと一緒に生き残る。



【クラス】ランサー

【真名】クー・フーリン@Fate/stay night

【パラメータ】筋力B 耐久C 敏捷A 魔力C 幸運D 宝具B+

【属性】秩序・中庸

【クラス別スキル】
 対魔力:C…第二節以下の詠唱による魔術を無効化する大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない

【保有スキル】
 戦闘続行:A…往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、致命的な傷を受けない限り生き延びる。
 仕切り直し:C…戦闘から離脱する能力。不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。  
 ルーン:B…北欧の魔術刻印・ルーンの所持。
 矢よけの加護:B…飛び道具に対する防御。狙撃手を視界に納めている限り、どのような投擲武装だろうと肉眼で捉え、対処できる。ただし超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない。
 神性:B… 神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。 

【宝具】

『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1人
 突けば必ず相手の心臓を貫く呪いの槍。ゲイボルクによる必殺の一刺。
 その正体は、槍が相手の心臓に命中したという結果の後に
 槍を相手に放つという原因を導く、因果の逆転である。 
 ゲイボルクを回避するにはAGI(敏捷)の高さではなく、ゲイボルクの発動前に運命を
 逆転させる能力・LCK(幸運)の高さが重要となる。


『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』
 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人
 ゲイボルクの呪いを最大限に開放し、渾身の力を以って投擲する特殊使用宝具。
 もともとゲイボルクは投げ槍であり、使用法はこちらが正しい。
 死棘の槍と違い、こちらは心臓命中より破壊力を重視し、一投で一部隊を吹き飛ばす。

【weapon】なし

【人物背景】
 正体はケルト神話における大英雄で、アイルランドの光の皇子・クー・フーリン。
 かつては聖杯戦争に招かれ最終的には言峰綺礼のサーヴァントとなり凛達と戦いを繰り広げた。
 その最後は令呪の結果にも反逆を起こし奇跡を成し遂げた上での脱落、遠坂凛に全てを託した。   
 何の因果か、今度は幼い遠坂凛のサーヴァントとして三度目の生を受け取った。

【サーヴァントとしての願い】
 三度目の生に興味はない、強いて言うならばマスターに捧げる。

【基本戦術、方針、運用法】
 マスターを守りながら自分の気が赴くままに聖杯を戦争を生き抜く。



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