上条当麻は見知らぬベットで目を覚ました。

    「・・・・・・・・・は?」

    上条がいる場所は寝る前にいた学生寮のユニットバスではなく、見知らぬ家の中。

    (何だこれ!?夢!?誘拐!?ドッキリ!?インデックスは!?)

    「あのー…誰か…。」
    声を上げながら家の中を歩くが誰もいないようだ。
    家は二階建ての一般家屋で、上条が目を覚ました部屋はさしずめ子供部屋といったところか。
    一階のテレビをつけて見てみると、夜ニュースで今年の行方不明者が多くて物騒だというようなことを流している。
    と、そこでようやく気付く。

    (ここ…もしかして俺の『実家』か…?)
    御使堕し(エンゼルフォール)の時に立ち寄り、そして土御門の魔術によって全壊したはずの上条の実家。
    もっともある理由から記憶を無くしている上条にとって「実家」という感覚は殆どないのだが。

    (おいおい…まさかまた御使堕しみたいな大魔術が発動したとかじゃないよな?)

    ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

    その時、二階から電子音が聞こえてギョッとする上条。
    恐る恐る自分が目覚めた部屋に戻ってみると、鳴っていたのは自分の携帯だった。
    そういえば寝る前にポケットに入っていたのをバスルームの床に置いた記憶がある。

    今まで聞いたことのない着信音。
    この状況でかけてくる相手。
    普通に考えればこの状況を知る第三者、もしくは首謀者本人の可能性が高い。
    緊張しながら右手で携帯を開いてみると着信ではなく、システムメッセージが浮かんでいた。

    『エラー
    エラーが発生したため「慧Cワカ>?*オヌM・GfサYス」をダウンロードできませんでした。』

    (外部から干渉して何かを無理矢理ダウンロードさせようとしたのか?)
    携帯でインデックスや知り合いにかけてみたが、「この電話番号が現在使われておりません…」という声が響き不安を掻き立てる。
    デジタル時計の表示を見ると夜中になっている。
    仕方なく上条は外に出て情報を集めることにした。

    (とりあえず交番を探して…)
    周りを見回す上条だが、その視点が一点で止まる。
    月明かりの下、周囲から明らかに浮いている男がいる。
    遠くにいるのでよくわからないが、大きな槍だと思われるものを持っている。
    (な、なんだこいつ…っ!?)
    だがそんな説明のできる違和感よりも、まるで「幽霊や猛獣のような人間でない何か」を見てしまったかのような、
    理屈を超えた本能的な悪寒が上条に走る。男はそれほどの存在感を放っていた。

    その男が、動いた。
    上条とその男の間は50メートル以上離れていた筈なのに、気付けば一瞬で数m先にまで接近しており
    そして上条に槍を勢いよく突き刺そうとしている!!

    「ッ!?あああああああああああああッ!!!!!」

    状況を頭が読み込む前に体が勝手に動いていた。
    振るった右手が槍に触れるとベキン!!という音とともに砕け散る。
    相手の驚きの気配が伝わる。上条が身構えた時には相手は既に10mほど後退していた。

    「私の宝具の一撃を打ち消すか。非力なマスターだと思ったが、侮りすぎていたようだ。」
    「いきなり何しやがる!!誰だテメエは!?」
    「奇妙な力を持っているようだが…どうやらお主は不本意ながら方舟に導かれし者のようだな。」

    男が手を振るうと、その手にまた新しい槍が出現する。
    「同情する。だが私も聖杯に託す願いがあるのでな。」
    (どっかの魔術師か?クソッ!!サッパリ状況が解らないけどやるしかないのか!!)
    相手の先ほどの動きは上条が目で追えるレベルを超えていた。さっき右手が槍に当たったのも偶然でしかない。
    拳を握りしめ必死で打開策を探る上条の目の前で槍の男に動きがあった。


    だがそれは上条と刺し殺そうとしての動きではない
    「!・・・・・マスターが・・・・くっ・・・・無念・・・・・」
    「!?」
    男の体が、服が、新たに生み出した槍が、光の粒子のように崩れて消えていく。
    上条が予想外の事態に呆然としている数秒間に、男のいた痕跡は跡形もなく消え去っていた。

    「何がどうなってるんだ・・・?」
    いきなり知らない土地に放り出されたと思ったら、急に襲い掛かってきた謎の男が目の前で消える現象
    理不尽のハプニングの連続で混乱の極みにある上条だったが、追い打ちをかけるように携帯にメールの着信が入る。

    携帯を開く
    。表示されている名前は 『iBIS』
    本文、タイトルともに空白で添付ファイルが二つ。
    一つ目のファイルを開いてみると、それは所々に水色の炎を纏った可愛らしいゲームキャラのような女の子が動くアニメーションだった。

    『上条当麻さん、始めまして。
    私は魔法のアプリの説明書。真名は『アイビス』。
    そしてこの聖杯戦争ではあなたのサーヴァントです。
    あなたが何かを求めるなら、アプリをインストールしてください。
    あ、右手でのスキンシップは厳禁ですよ?』

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    アイビスという自称「魔法のアプリの説明書」(異能の力で作られたAIだろうかと上条は推測した)は様々な情報を上条に与えた。
    現在上条が巻き込まれているのは「聖杯」というなんでも願いを叶えるアイテムを巡る殺し合いだということ。
    願いを叶えるという点で似た存在のアイビスだが「聖杯」のやり方は許容できず、
    ムーンセルにハッキングを仕掛けたが格の違いから敗北したこと。
    消去されそうなところをギリギリで自分を「都市伝説から生まれた英霊」と思わせることでプログラムに潜り込み、
    なんとか首の皮1枚繋がった状態だということ。
    そして今現在上条がいる場所は「月」であるということ。

    「ここが月!?ちょっと待て!どう見てもここは地球だろ!」
    『正確には月面にある方舟内部の仮想空間、という感じですね。』
    「だいたい月って・・・寝てる間にシャトルに載せられて月まで送られたって言うのか!?」
    『今回の聖杯戦争でムーンセルは聖杯の魔力で参加者を方舟の中に引き入れたようです。
    参加のキーアイテムは「ゴフェルの木の欠片」。ノアの方舟の欠片です。
    本来は地上に存在しない種類の木なのですが…実は結構散逸しているみたいで。
    もしかしたらマスターの周りにゴフェルの木が使われた製品があったのかもしれません。』
    「レアなんだかよくわからないな。
    …いや、そもそもおかしい。俺の右手は異能の力を無効化する。
    テレポートみたいな異能の力は効かない筈だ。」
    『私は能力バトル漫画の出身じゃないのでそっち方面のことはちょっと…。
    でもマスターが元の世界での記憶を失わなかったのもその右手のおかげかもしれませんね。
    魔法のアプリが破損したり聖杯戦争の情報が得られなくなるのは困りものですが。』
    魔法のアプリが破損した、のところでアイビスがジト目になった気が上条はした。

    上条は左手で携帯を操作してもう二つ目の添付ファイルに入っていた怪しげなアプリをインストール。
    それはアイビスと名乗る少女(?)を自分の携帯に呼ぶというアプリ。
    「魔法のアプリ」をインストールした状態で右手が携帯に触れると、「魔法のアプリ」は消失してしまうらしい。
    そして上条はアイビスから聖杯戦争というぶっ飛んだ話をレクチャーされている真っ最中なのである。t


    「サーヴァントっていうのは?」
    『ムーンセルに記録された架空・実在を問わずに記録された英霊が形をとったものです。
    この聖杯戦争のパートナーといえるでしょう。』
    上条は魔術師達が「聖人」や「神の子」の伝承を使って魔術を行使するのを何度も見ていた。
    伝承を利用しただけであれほどの現象を起こす魔術。
    その本人に近い存在が参戦していると聞いて上条は生唾を飲み込む。
    『この聖杯戦争でマスターとサーヴァントは運命共同体。
    どちらか一方が死んでしまうと、もう片方も死んでしまいます。』
    「死ぬだって!?」
    自分を襲ったサーヴァントが消えていった光景を思い出し、上条の心臓が早鐘を打ち思わず右手を見る。
    サーヴァントというのは霊のような存在で、上条はそのサーヴァントの武器を右手で…。
    『武器の一本を無効化された程度で消えるほどサーヴァントは柔な存在ではありません。
    おそらくあのサーヴァントから遠くにいたマスターが魔力を供給できなくなった、というのが妥当でしょう。』
    上条の胸中を察したのかアイビスは説明をする。
    「魔力を供給できなくなった」とアイビスはぼかしたが、おそらく何者かに殺された、という可能性が高い。
    アイビスの話では既に何百人もの人間がマスターとして目覚めて混戦状態となっているらしい。
    聖杯を巡っての殺し合いが現在進行形で続いている事実に、上条は歯噛みする。

    「つまり、こういう事か。」
    アイビスから得た情報を、上条は咀嚼するように自分の言葉にしていく。
    「この方舟では『聖杯』っていう願いを叶えるスーパーコンピューターの元に行くために、色んな奴らが殺し合いをしている。
    俺みたいな無関係の人間も巻き込まれているかもしれない。
    …俺はこの殺し合いをなんとかして止めたい。」
    なんでも願いを叶える宝物、なんて素晴らしい物は上条の個人的な思想でどうにかしていいものではないのかもしれない。
    それは地球上で起きてる問題を残らず解決してしまえるような物なのかもしれない。
    でも上条は、そのために訳も分からず巻き込まれた人の命が奪われてもいいだなんて、少しも思わない。
    『私とマスターの能力では、殺し合いに乗ってるサーヴァントとまともに戦えるとは思えません。』
    「なにも危険な参加者と戦おうってわけじゃない。
    …確かに方法なんてわからない。一足先に聖杯に行ける裏技みたいなのがあればいいんだろうけど。
    俺だけじゃ何もできないと思う。でも俺が何か手伝うことで、他の誰かが殺し合いを止める助けになれるかもしれない。」
    『…わかりました。マスターがそのつもりなら、私もサーヴァントとして精一杯サポートします。
    ところでマスター。』
    「どうした?」
    『体をべたべた触らないでくださいね?』
    「なんで唐突にセクハラオヤジ扱い!?というか二次元の女の子に触れるも触れないもないと思うんだけど!!」
    『私の、ではなくマスターの、です。
    マスターには令呪っていう、私になんでも命令できちゃう素敵な特権があるんですけど…
    あ、エッチな命令はしちゃダメですよ!!
    それは体のどっか刺青のような形で現れるんですが…もしマスターの右手が当たって全部消えたら死にます。』
    「ええーっ!?何その死に方嫌すぎる!!というか痒くなってつい掻いちゃうかもしれないし!!」

    ちなみに令呪は右肘という幻想殺しで触れられない箇所に現れたので事なきを得た上条であった。


    【CLASS】キャスター
    【真名】アイビス@i・ショウジョ
    【パラメーター】
    筋力 -(E) 耐久 E(E) 敏捷 -(E) 魔力 A 幸運 A 宝具 E~A
    ()内は少女のアバターで実体化した時のもの。普段は上条の携帯にいる。
    普段は実体化してもアヴェンジャー程度の身体能力しかない。
    【属性】混沌・善
    【クラススキル】
    ・陣地作成 E:異空間内でお風呂に入ったり自分に有利なフィールドを作ったりできる。
    また自分の姿を見た敵をその空間に引き込むことも可能。
    ・道具作成 A:様々な効果のある「魔法のアプリ」の作成が可能。やたらエロい効果のものが多い。
    【保有スキル】
    電子機器への憑依:ケータイやスマホなどに憑依する。電源と接続していないテレビなどにも憑依可能。
    対象の近くの物品に憑依することで対象を異空間に引きずり込める。
    【宝具】(いずれも対魔力で防御可能。「右手」のせいで上条には効果がない。)
    スリーサイズを知るアプリ
    ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:1
    対象の名前を入力することで画面に対象を模したアバターが現れる。
    このアバターをタッチして現実世界で相手のおっぱいを揺らしたりスカートをめくったりエッチなポーズをとらせたりするための宝具。

    透明化のアプリ
    ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
    透明化して好きな女の子の家に全裸で侵入したり気付かれずに風呂に入ったりするための宝具。
    本来は持ち物や服は透明化されないが月の聖杯戦争ではその制約はない。

    複製のアプリ
    ランク:B 種別:対人・対物宝具 レンジ:1 最大補足:1
    ケータイに保存されている画像の物品を、現在の状態で際限なく複製して実体化できる。
    例えば女の子の昔の写真を複製すると現在の女の子が現れる。
    人物を複製した場合、現在の性格や衣服や能力も複製される。
    狭い部屋でお風呂に入ろうとして服を脱いでいる最中の女の子を大量に呼び出してムギュムギュするための宝具。
    ちなみに上条の携帯には12巻で撮った御坂美琴とのツーショット写真が保存されている。

    もてもてパフューム
    ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:100
    携帯を振ると匂いが発生して初対面の異性でも「好き!抱いて!」のレベルまで洗脳できる。
    初対面の女の子達に手ずから唐揚げを食べさせてもらうための宝具。
    ただし洗脳できる時間は数分程度と短い。

    服従のアプリ
    ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1000以上 最大補足:1000以上
    メールを送った相手を服従させなんでも命令をきかせる。異性だけでなく同性にも効果がある。
    クラスの女子をメイドにしてご奉仕させるための宝具。
    NPCに「出来る限り大勢のメルアドを教えろ」というメールを送ることで効率よく手駒を増やすことが可能。

    マスコットキャラクターになるアプリ
    ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
    かわいいマスコットキャラクター「いふーくん」になることで女の子に過激なスキンシップを受けたりお尻に敷かれたりできる。

    友達を作るアプリ
    ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:50
    周囲の電子端末を持っている人物の内心が、電子端末から音声の形でダダ漏れになる。

    魔電王(ラスボス)アイビス・エター
    ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:100 最大補足:1
    数分間だけ強い三騎士並みの戦闘能力を持つサーヴァントとして実体化できる。
    また戦闘中は服を溶かして女の子をすっぽんぽんにできるスライムを召喚する。
    多分装備型の宝具も溶かせる。
    【weapon】なし。あえていえば方舟内の電子端末
    【人物背景】
    少女達の間で広がる都市伝説「魔法のアプリ」の説明書を自称する。
    なぜか少女ではなく男の子たちに超常現象を起こすアプリを与えてエロエロな展開を起こす。
    【サーヴァントとしての願い】聖杯戦争を止めたい
    【基本戦術、方針、運用法】
    元々恋愛を叶えるためのアプリなので戦闘能力は低い。
    本人の能力とアプリの能力を使った情報戦でどうにか上条をサポートしよう。


    【マスター】上条当麻@とある魔術の禁書目録
    【参加方法】持ち物に偶然ゴフェルの木片があった
    もしくはアレイスターがプラン短縮のために何らかの手段で木片を忍ばせた。
    方舟へ移動させた方法も不明だが原作でも「上条当麻以外の世界全部を動かして
    瞬間移動のような現象を起こす」魔術とかあるのでムーンセルがなんらかの抜け道を使ったということで。
    【マスターとしての願い】聖杯戦争を止めたい。方舟に呼ばれる原因となった願いは不明
    【weapon】なし。普段もあまり武器に頼らない。
    (剣を拾っても「使い方わからないのに持ってても怪我しそう」という理由で使わない。)
    【能力・技能】
    魔術・超能力などの異能の力を打ち消す右手。
    あまりに相手の力が強すぎると完全に打ち消しきれない場合もあるが打ち消す性能はかなり高い。
    エクスカリバーのような強力な宝具でも右手の骨が折れるぐらいの覚悟があれば打ち消せるだろう。
    身体能力や精神は普通の男子高校生並。音速の3倍のコインに反応できたり魔術結社の幼女ボスにドン引かれる程度には普通。
    【人物背景】
    特殊な右腕を持ったツンツン頭の少年。
    誰か困っている人(大抵女の子)を助けるためにどんな窮地にも飛び込んでいく。
    独善的や自分勝手な面があるとも言えるが基本的には優しくて正義感に溢れる少年。
    あまり誰かに頼らず自分一人で抱え込むきらいがあるのが欠点か。
    【方針】
    聖杯戦争を止めるための手段を探す。他のサーヴァントとかできる限り戦闘を避ける。
    【備考】
    右手の影響で聖杯戦争の細かいルールを把握していません。
    アニメ終了時(原作小説13巻+SS1巻)以降、新約以前のいずれかの時期から呼び出されました。


    【CLASS】ランサー
    【真名】不明
    【人物背景】ランサーとして召喚されたサーヴァントの一人。
    令呪の気配を感じて上条に襲い掛かったがどこかにいたマスターが討たれて消滅する。
    なんらかの叶えたい願いがあったようだが不明。