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如月千早&バーサーカー ◆gET0fqCtw2




しばしの間、身じろぎ一つもせず瞳を閉じて佇んでいた千早。
その瞼が上がり、双眸でキャスターを見上げる。
3つの顔に6本の腕を持つ、まるで阿修羅像のような蒼い肌をした異形――アシュラマン――。
怒りのみを表したその面からは逆になんの感情も読み取ることができない。
いや、そもそも感情自体が存在しているのかが怪しい。
狂化の影響により、完全に自我を喪った彼を千早は見据える。

「少し……話させてもらってもいいかしら?」

先刻と同様に返事はない。
元々会話などは求めていなかった。
ただ、自身の心情を吐露できる何かが欲しかった。
故に物言わぬアシュラマンにその役割を求める。



「もう、何年も前の話ね。私には優って名前の弟がいたの」
「自分で言うのも恥ずかしいけど、私達はとても仲の良い姉妹で、優は私の歌をいつも楽しそうに聞いてくれていたわ」

郷愁と痛みの2つの感情が心中で渦巻くなか、過ぎ去った日々を思い返してゆく千早。
目を閉じれば2人で遊んでいたあの光景が鮮鋭によみがえる。

「あの子は、優は私の歌が好きだったわ。そして私も優の前で歌うのが好きだったの」

そう、好きだったの。
小さく呟き、彼女は自身の傷口を抉り出しにゆく。

「けど、あの子は呆気無く死んでしまったわ。私の目の前で、トラックに轢かれて」

彼女は弟の死を淡々と述べた。
しかし、次の言葉はそう簡単に出てこない。
歯を噛み締めながら無理やり言葉を絞り出す。

「助けることもできたはずなのに、私はただ見てることしかできなかった……」

それは懺悔。

「済んだことなんて割り切れるはずがない、時が経ったからって忘れられるわけがない」

彼女の中に根付き続けている後悔。

「もし優が生きていたら、私の歌を聞いてくれていたら
 そんな夢をずっとずっと思い描いていたの」

そして"ありえないこと"だったはず夢。

「ずっと待ち続けた温もりにやっと会える。一度だけ、もう一度だけでいいから聞きたい。優のヒトコトを」

その"夢"が叶う可能性を得てしまった千早はもう止まれない。

「たとえ……それが地獄を歩む道であっても」



最後の言葉は血を吐くように搾り出された。
そして、俯いた顔を上げ、自分より二回り以上大きいバーサーカーの顔を見上げる。
千早は自分が見たものが信じられなかったのか、確かめるように呟く。



「貴方、泣いているの?」



鉄面皮の上を涙が伝っていた。
流れ落ちたのはほんの数滴の雫。
ほんの僅かであるも初めて見せた彼の自我に千早は驚愕する。
が、驚愕も一瞬のこと。
千早は目が逢う瞬間に理解した。
容易く分かってしまった。

「私といっしょなのね」

彼も自分も同じなのだと。アレは家族を亡くしたものの目なのだと。

「こうして巡りあったこと、偶然じゃないかもしれないわね」

光の中で見えないものが、闇の中に浮かんでみえる。
同じ夢を叶えてゆきたい、そう思った。彼女はとうに気づいているから。
ロストしたものを取り戻す。そのために彼は戦いに身を投じたのだと。
彼女の推測は当たっていた。
アシュラマンは息子を殺してしまった過去を変えるため。
自身に流れていた悪魔の血を否定したが故に、血に抗えなかった息子を殺める結果になった過去を改編するため。
正義などに絆されず、悪魔超人としての生を完遂するため、やり直すため。
そのために聖杯に望みを託したのだ。
弟と息子、事故死と他殺。
細かい境遇は違えども、2人は『亡くしたものを取り戻したい』そんな同じ希望に燃える仲間同士であった。
アシュラマンの無言の決意が千早の背を押す。
決意がより強固なものへと塗り固められてゆく。
彼女はシャングリラへと戻らないと決めた、新たなアルカディアを探して旅立って行くことを決めた。
そう、終わらない夢の世界へと。

「ごめんみんな、私は約束を守れないみたい」

ラムネ色をした爽やかな青春の日々は過ぎ去った。
彼女の鈍い色をした甘さは冷たい熱でチョコフォンデュの様にどろどろに融かされた。
これからは千早とアシュラマンによって青き交響曲が奏でられる。

「いえ、その前にやらなきゃいけないことがあるわね」

そう言って彼女は右手に刻まれた令呪を眺める。
今からやることが無駄でしかないことは分かっている。
愚かなことであるというのも分かっている。
それでも彼女はやらずにいられなかった。沸き起こる衝動を抑えることができなかった。





「令呪を以って命じるわ。バーサーカー……狂化を解除しなさい」






千早の右手の甲が輝き始め、令呪が一角消え去る。
狂戦士は6本の腕全てで頭を抱えた。
その動きから分かるもの、明らかな拒絶。
こうなることは分かっていたと言わんばかりに千早は一片の動揺すら見せずに続ける。

「令呪を以って再度命ずる――――狂化を解除しなさい」

それは、今まで観測された聖杯戦争において例を見ない試みであった。
バーサーカーの召喚理由としてあげられるものは主に以下の2つ。
『狂化によるサーヴァントのステータスのアップ』
『思考を廃することによる裏切りの防止』
狂化を解除してしまってはその恩恵を失う。
有り体に言えばわざわざ狂戦士のクラスで召喚する必要がはじめから無いということなのだ。
しかし、彼女は貴重な令呪を消費してまで狂化を解除しようとする。
彼が来てしまったからこそ、彼女はこうせざるを得なくなってしまった。


そしてアシュラマンの動きが止まり、縋るような体勢からゆっくりと立ち上がった。

「なぜ……私を放っておかなかった」

全身の筋肉が膨張し、体を内部から破裂させそうなほどの怒気が漏れ出す。
顔を見れば、先程までの鉄面皮とは一転して仁王が如き表情を浮かべていた。
常人ならばその眼光だけで体を硬直させるであろうそれ。
返答が気に食わなければすぐにでも殺すと言わんばかりの殺気。
首筋がチリチリと灼けつくような感覚を受け止めながら、千早は無表情の中に感情を乗せ、吐き捨てるように言った。

「気に食わなかったの」
「何ッ?」

思いがけぬ答えにアシュラマンの顔に僅かな困惑が浮かんだ。
千早は怯んだ彼に対して遠慮無く言葉をぶつけて行く。

「私は弟の、優の死を忘れない。決して忘れていいことなんかじゃない。
 なのに……アナタは狂気に逃げ込んで何もかも曖昧なままで戦う。
 私には、それが、許しがたくって、腹が立って、目をこじ開けたくて。
 だから、令呪を使ったの、使わなきゃいけなかったの」

平坦、淡白、されどあらんばかりの感情を混ぜ込んだ言葉。
その中に含まれているのは嫌悪、そして嫉妬。
如月千早はバーサーカに妬いていた。
狂気によって心を塗りつぶされ、全て忘れ、そして願いが叶う。
羨ましかった、妬ましかった。故に令呪を2画使ってでも彼に正気を取り戻させようとしていた。
そんな生臭い感情に当てられ、悪魔超人は高らかに笑う。

「カ~カッカッカッカ。私よりも悪魔じみてると言わざるをえんなぁマスター。
 認めてやろうではないか。確かに私は逃げた。逃げて狂化という甘い蜜に飛びついた。
 だが、無駄だ!! お前ごときでは、お前の力量では、まだわたしを屈服させるには足りん!!」
「ッくっ……!」

怒りではない。
嘲りでもない。
裂帛の叫びから感情を読み取ることはできなかった。
しかし、千早は一つだけ理解していた。
負けたのだと。
魔術師でない自分の力では令呪二画でも足りないのだと。
彼の狂化を完全に解除するには至らなかったのだと。
思わず臍を噛む。

「さらばだマスター。この失敗に懲りずに最後の一角を使いたくばいつでも使うがいいぞ。
 お前にその覚悟があればの話だがなぁ。カーッカッ罅虧痂噬馨搗嗄■■■■■■―――――!!」

そんな千早の様子も意に介すことなく、アシュラマンは高笑いをしながら狂気の世界へと堕ちていった。
後に残されたのはアシュラマンの形をした肉の塊。
ただそこにいるだけ、その姿に千早は唇を噛んだ。
しかし、今の自分では令呪をいたずらに消費することも理解していたため、これ以上の深追いは行わない。
千早は大きくため息を吐いた。





◆  ◆  ◆





もう伏し目がちな昨日なんて要らない
煌く星はもう見えない。輝く笑顔はもう見れない。
まだそこに壁はあるけど、もう平気飛び越えるあの夢に向かって。
色んな物、色んな事をたいらげたら、あとちょっとだけ頑張ろう。


決意を固めるなか、仲間のことを改めて思った。

「春香……」

親友の名を呟いた瞬間、確かな痛みが胸に走る。
痛みが遠くすぎさるまで涙は見せるな。
自身をそう叱責し、滲みそうな涙を押し込める。
その足で立ち、共に在れ。
今の自分の相棒は765プロの仲間ではない。
隣に立つ、気に食わない男なのだ。

「ごめんなさい」

謝罪の言葉は風に溶けて消える。
今の彼女はマッチ売りの少女。寒さに怯え、手にした小さな明かりに縋りつく少女。
彼女の理想郷は本当に存在してるのか。
蒼い鳥は果たしてその先で羽ばたいているのだろうか。
弟の死という雪が解けた時、変わる世界がどうなるのか。
我が道を行き始めた彼女はそんなことなどどうでも良かった。

「さようなら、思い出の日々」

終わらない彼女の歌が終わりを告げた。
彼女の道のりは今スタートする。





【マスター】如月千早@THE IDOLM@STER(アニメ版)

【参加方法】ムーンセルによる召喚(木片の入手法は後者に任せます)

【マスターとしての願い】幼少時に事故死した弟を甦えらせる

【能力・技能』特になし。強いて言えばアイドルとしてレッスンを受けているので何の運動もやっていない同年代の少女よりは身体能力が高いだろう

【人物背景】
芸能事務所765プロ所属のアイドル。
弟を亡くしたことをキッカケに、歌に対して妄執に近い感情を抱くことになる。
性格は生真面目でクール、かと思いきや意外と笑い上戸な面も


【方針】
弟を蘇らせるために優勝する。
狂化に逃げたアシュラマンが気に食わないから可能なら狂化を消す。
後は他の書き手さんにお任せします。



【クラス】
バーサーカー
【真名】
アシュラマン(キン肉マンII世)
【パラメーター】
狂化時:筋力A+ 耐久A+ 敏捷B 魔力D 幸運D 宝具C
通常時:筋力A  耐久A  敏捷C 魔力D 幸運D 宝具D
【属性】
 秩序・悪 

【クラススキル】
狂化:C 魔力と幸運以外が上昇するが、言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。

【保有スキル】
超人レスリング:A
超人レスラー最上位の1人であることを示す。
リング上ではステータスが上昇する(これにスキルのランクは関係しない)            

トラウマ:A
子殺しという罪を背負った時に生じたトラウマ。
親子の情を見たり、恐怖に怯える子の姿を見ると一時的にステータスが大幅に減少する。

老将:C
若い肉体を持ちながらベテランの老獪さと頭脳を持つことにより生まれたスキル。
「肉体」が技を覚えているため狂化していながらもフェイバリットホールドを繰り出すことができる。
しかし、細かい駆け引きや立ち回りなどは行うことができない。

三面:C
戦闘の際に特性の違う3つの面を切り替えることができる
なお、現在は狂化の影響で怒り面に固定されており切り替えることができない

【宝具】
究極阿修羅九所蹂躙絡み(アルティメットアシュラバスター)
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1
数多の技を持つアシュラマンであったが、この技のみが彼を代表する技として宝具になった。
通常の阿修羅バスター同様、6本の腕で相手の両腕・両脚を固めた後、さらに両脚を跳ね上げて首もフックする。
阿修羅バスターと改良阿修羅バスターの欠点を克服した最強の阿修羅バスターで、絶大な威力を誇る。

恐怖の将が与えたもうし結晶(ジェネラルストーン)
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1
恐怖の将こと悪魔将軍によって与えられた膨大なエネルギーの込められた石。
他の超人たちは肉体強化の用途でこの石を取り込んだが、アシュラマンのみは全盛期の肉体を取り戻すに留まっている。
この宝具を失うとアシュラマンの肉体年齢は58歳時のかなり衰えたものになってしまう

【人物背景】
本来悪魔超人であったが、キン肉マンとの幾度化の戦闘により友情に目覚め正義超人入りする。
しかし、後に彼の息子であるシバが自身に流れる悪魔超人の血に贖うことができず、ついには母殺しの大罪を犯してしまうことになった。
アシュラマンは妻を殺した息子を粛清し、自身が正義超人になったがゆえにこの悲劇が起きたのだと嘆く。
そして彼は息子への贖罪のために再び悪魔超人として生きていくことを決意した。
悪行超人の悲願であった悪魔将軍の復活を果たすために、かつての好敵手、キン肉スグルの息子であるキン肉万太郎と激突する。
なお、キン肉マンII世時の彼は58歳であり、悪魔将軍から授けられたジェネラルストーンによって全盛期の肉体を取り戻している。
ベテラン超人の頭脳とテクニックと若手の身体能力の組み合わせは恐ろしく、上記のトラウマで自滅していなければ万太郎は敗北していただろうと思われる。
余談であるが彼のバストの数値は145である。他意はない。繰り返す、他意はない。

【基本戦術、方針、運用法】
自身の肉体を武器に戦うバーサーカー
絡め手はそれほど得意でないので真っ向勝負を挑ませるのが吉か
聖杯に懸ける願いは「情に絆されることなく生粋の悪魔超人として人生をやり直す」こと