ラケル・クラウディウス&バーサーカー ◆Vj6e1anjAc
――狂戦士(バーサーカー)。
元は格の低い英霊にも、理性と引き換えに高いステータスを与える、弱者救済のためのクラスであった。
しかし現実は違った。
狂気に堕ち加減を忘れたサーヴァント達は、マスターの魔力を食い潰し、次々と自滅に追い込んでいった。
そのためいつしか、聖杯戦争においても、最も扱いの難しいクラスの1つとして、認知されるようになっていった。
弱い英霊しか手に入れられずとも、高い戦闘能力を得られる。
代わりにその狂気を御することができなければ、振り回され破滅へと転がり落ちていく。
このクラスを選択することは、逆転か死かを秤にかけたギャンブルを、開戦前から強いられることを意味した。
◆
「――狂気というものには、源泉があります」
誰かの声が聞こえている気がする。
胸糞が悪くなるような、猫撫で声が聞こえる気がする。
「貴方が狂ってしまったことには、必ず理由が存在するはず。何の理由も持たずして、勝手に狂うことは有り得ない」
目の前にいるのは、人間の女か。
随分と背が低く見えるが、何かに座っているのだろうか。
一見して年齢も分からない、茫洋とした印象の女だった。
金髪の放つ淡い光が、霞のようにさえ見えていた。
「聞かせてください。貴方の狂気を。貴方を駆り立てる源泉を」
女の両手が俺に伸びた。
細い指先が頬に触れた。
薄気味悪い手つきをしながら、白い指先で俺をなぞった。
「―――」
俺を駆り立てるものだと――?
そんなものは決まっている。今更問われるまでもない。
俺が唯一望むものは、あの忌まわしい男の命だ。
金も名声も必要ない。安息すらも求めていない。
俺の愛する者を奪った、あいつの心臓をぶち抜いてやるまで、俺に幸福など訪れない。
仮に幸福などなかったとしても、あいつを冥府に叩き落とすまでは、不幸から逃れることなど有り得ない。
「――なるほど。つまり、復讐ですか」
たった5音で片付けられた。
それだけのシンプルな動機だった。
しかしシンプルであればこそ、貫く意義もあるというものだ。
それだけが果たせるのなら、それでいい。
それだけで悪夢が終わるなら、俺はそれで構わない。
「でしたら喜んでください。貴方の願いは叶います。私が願いを叶えてあげます」
金髪の女はそう言った。
自分は聖杯と呼ばれる、万能の願望器とやらを探しているのだと。
その聖杯の力を使えば、憎き仇を殺すことも、容易く成し遂げられるのだと。
「しかし、それを阻む者がいます。貴方が仇と思う人が、貴方の願いを妨げています。
その者の放った刺客達が、貴方と私を亡き者にしようと、目前にまで迫ってきています」
なるほど、つまりこういうことか。
ここが決着の地というわけか。
少し前に聞いたこととは、何かが違うような気がするが、そんなことはどうでもいい。
「誰の言葉にも耳を貸してはいけません。私だけが貴方の味方です。
私の指示に従っていただければ、貴方の狂おしいまでの悲願を、叶えてあげると約束しましょう」
いいだろう。
お前の提案に乗ってやる。
俺は刺客達を皆殺しにし、聖杯の力を手に入れる。
その力をもって憎き仇を、俺の目の前に引きずり出してやる。
奴の命までは願わない。他人に始末を委ねたのでは、復讐をする意味がない。
奴を殺すのはこの俺だ。
真正面から相対して、命を奪うのは俺の引き金だ。
俺自身のこの指先で、殺らねばならない相手なのだ。
「さぁ――共に行きましょう」
恨みがこの身を駆け巡る。
憎しみが胸を満たしていく。
復讐するは我にあり。我は憎む、故に我あり。
この血肉と魂の一片までも、殺意の動力と変えてやる。
最大の怨敵を打ち倒すために、全てを投げうってでも戦ってみせる。
叫べ、願いを。
俺の魂の動機を。
奴に制裁を与えるために、叫びと共に邁進せよ――!
「……ゥウオオオオオオオオ――ッ!!」
◆
鋭い銃声が響き渡った。
バーサーカーが腰に差していた、奇妙な形状のマシンガンが、唸りを上げて鉛弾を放った。
銃弾は硝煙の匂いを纏いながら、次々と地面に放たれていく。
立ち上がったバーサーカーの周囲を、円形に取り囲むように、大地に弾痕を穿っていく。
「素晴らしい……」
ほうっとため息をつくように、ラケル・クラウディウスは呟いていた。
車椅子に座った金髪の女性は、怒れる金髪の男を前に、恍惚とした表情を浮かべていた。
彼の憎悪は本物だ。
自分の目的のためなら、たとえどんな困難であろうと、恐れず立ち向かう意志がある。
これほどの意志の持ち主だ。きっと「ブラッド」の若者達のように、ラケルの抱く大望のため、真っ直ぐに突き進んでくれるだろう。
凶悪なバーサーカーのクラスであろうが、その思考は極めて単純だ。
方向性さえ与えてやれば、遠慮を知らない狂気であろうと、御することは非常に容易い。
彼は自分の吹き込んだ嘘を、愚直なまでに信用し、思うままに動いてくれることだろう。
「Sanc――tions――charge――!」
呻くような声だった。
言語を失ったバーサーカーが、それだけでもと絞り出すように、言葉を口から発していた。
瞬間、響いたのは地鳴りだ。
突如として大地が鳴動し、英霊は地の底へと消えた。
地面は轟然と隆起する。
ぐらぐらと音を立てながら、凄まじい勢いで盛り上がっていく。
慌てた様子を見せることなく、ゆっくりと車椅子を後退させながら、ラケルはその姿を見た。
大地を豪快に突き破り、その姿を外気に晒した、巨大で歪な人型を見た。
それは機械だ。さならが巨人の纏う鎧だ。
赤銅色のずんぐりとした巨躯に、殺意の銃火器を構えて、鋼の巨兵がそびえ立っていた。
オレンジ色に光る瞳は、パイロットの憎悪を映し出す。
はためくマントの奥から覗く、爛々とした眼光は、ここにいない仇敵を見据えている。
「――ヴォルケインッッッ!!!」
バーサーカーのサーヴァント。
真名――レイ・ラングレン。
鋼鉄のヨロイ・ヴォルケインを操り、復讐のために疾駆する戦士。
憎悪の丈を込めたその名は、おぞましく濁った響きと共に、鋭く大気を震わせていた。
【マスター】ラケル・クラウディウス
【出典】ゴッドイーター2
【性別】女性
【参加方法】
『ゴフェルの木杭』による召喚。偶然確保していた研究材料に触れた
【マスターとしての願い】
終末補喰を加速させたい
【能力・技能】
科学知識
アラガミおよびゴッドイーターに関する科学知識。
P73偏食因子
脳死したラケルを救うために、投与されたアラガミ因子。
これによりラケルは蘇生したものの、その精神はアラガミと一体化してしまった。
【weapon】
車椅子
厳密には武器ではない。下半身不随のラケルは、これがなければ動くことができない。
【人物背景】
フェンリル極致化技術開発局「フライア」の副開発室長。
「ブラッド因子」の発見者であり、その運用部隊である、特殊部隊「ブラッド」を創設している。
児童養護施設「マグノリア=コンパス」の院長でもある。
穏やかながらもミステリアスな雰囲気を持った女性。常に敬語で話している。
しかしその意識は、幼少期にアラガミと一体化しており、世界のリセットである「終末補喰」のために暗躍する。
そのために人間を利用することには躊躇いがなく、非道な人体実験も辞さない。
【方針】
優勝狙い。バーサーカーの狂気を制御し、上手く立ち回る。
【クラス】バーサーカー
【真名】レイ・ラングレン
【出典】ガン×ソード
【性別】男性
【属性】混沌・狂
【パラメーター】
筋力:D 耐久:D 敏捷:C 魔力:E 幸運:E- 宝具:B
【クラススキル】
狂化:C
幸運と魔力を除いたパラメーターをランクアップさせるが、
言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。
【保有スキル】
無窮の武練:B
たった1つの動機のために、鍛え続けた戦闘技術。
心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の操縦技術を発揮できる。
精神汚染:C
深い憎悪に囚われた心。精神干渉系の魔術を中確率で遮断する。
騎乗:D
騎乗の才能。
「狂化」の影響下においても、「Sanctions Charge(ヴォルケイン)」のみは完璧に操ることができる。
いかな狂気に冒されようと、ただ1つ遺された相棒だけは、決してレイを裏切らない。
千里眼:D
視力の良さ。遠方の標的の捕捉距離の向上。「狂化」により弱体化している。
【宝具】
『Sanctions Charge(ヴォルケイン)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大補足:1人~100人
惑星エンドレス・イリュージョンを闊歩する鋼の巨人「ヨロイ」。
このヴォルケインは、銃火器で武装した遠距離戦闘型である。
脚部のローラーダッシュで自在に間合いを取り、火力をもって一気に敵を殲滅するスタイルを得意とする。
また、本機は「オリジナル7」と呼ばれるヨロイが持つ光学兵器の、テストモデルとして開発された経緯を持ち、
そのため一般のヨロイとしては珍しく、全ての武器が光学兵器となっている。
搭載された装備は、手持ち式ガトリング砲のトライガトリングライフル、
大口径拳銃型のエナジーブリットキャノン、頭部のバルカン砲。更に羽織ったマントは、エネルギー攻撃を拡散・反射できる。
超大型ビーム砲のロングバレルビームランチャーは、移動基地ジングウとの連携を前提とした装備であるため、
ジングウを使えないこの聖杯戦争では、使用することができない。
【weapon】
銃
刀のような形状をしたサブマシンガン。「Sanctions Charge(ヴォルケイン)」の発動モーションにも用いられる。
【人物背景】
死別した妻・シノの仇を取るため、惑星エンドレス・イリュージョンを駆けるヨロイ乗り。
妻を殺したカギ爪の男に対する憎悪は深く、彼を殺すためならば、全てを投げうつ覚悟を持っている。
生身・ヨロイ操縦共に銃撃戦を得意としており、達人と呼ぶに相応しい技量を持つ。
性格は冷静にして沈着。邪魔者を排除するためならば、非情な判断を取ることも辞さない。
一方、仇敵であるカギ爪の男を目の前にした時には、
念願の叶った喜びと、積年の憎しみとが入り混じった、凶悪な笑顔を浮かべている。
しかしこの性質のほとんどは、「狂化」によって塗りつぶされてしまっている。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯の力でカギ爪の男を引きずり出す
【基本戦術、方針、運用法】
世にも珍しい騎乗スキル持ちのバーサーカー。
ただしその宝具の巨大さ故に、魔力消費は輪をかけて大きく、戦局を見極めた運用が要求される。
長期戦は不利なので、圧倒的な火力をもって、素早く殲滅することを心がけよう。
最終更新:2014年07月09日 22:14