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言峰綺礼&アサシン



「なるほど、こういうことか……」

街中を行く黒衣の男は雑踏の中で足を止めると、誰にも聞こえぬほど小さな声でそう呟いた。
その胸には紙袋が抱えられ、袋の口からはワインボトルが顔を覗かせている。

「ふむ」

先ほどの呟きから2秒。得心いったという風に頷くと、その男はまた再び雑踏の中を歩き出した。
歩き続け駅前から離れれば人も減って闇も濃くなってゆく。
目の前の十字路。真っ直ぐに進めば“自宅”へと帰り着くことができる。だが、この時この男は右に曲がり、より深い闇の中へと身を進めていった。

ほどなくして男の姿は建設途中のビルの中程に現れる。まだ骨組みと床だけで、冷たい風が遠慮なくびゅうと吹き込んでいた。
男以外に人の気配はない。また近くに明かりの点いた建物もない。それを確認すると男はただ「出てこい」と呟いた。
瞬間、虚空より人間ではない気配が浮かび上がる。

「お前が……?」

現れたのは男と同じく黒い外套を纏う者。
だが印象は大きく異なる。一見してわかる華奢で小さな体つき。外套の前は大きく広げられ、その中の肢体はほとんど下着姿に近い。
月光の中でなお白く見える蒼肌に光を跳ね返さない漆黒の髪の毛。そして何よりが、目の前の存在は“少女”だった。

男――つい先程に月の聖杯戦争の予選を突破したばかりの“言峰綺礼”は僅かに困惑した。
月と箱舟に関して憶測は多くあったが、確固たるもの――特に聖杯戦争における内実については全くないと言っても過言ではなかった。
故に、近く来る地上の第4次聖杯戦争とは違い、これといった準備、例えば狙った英霊を召喚する為の手立てなどは一切用意できなかったのだ。
そして、今目の前にいる“少女”である。
英霊であり、また自身のサーヴァントであることは魔術回路のパスを通じて感じ取ることができる。……だが、弱い。というよりもひどく空虚だ。

「問おう。君は『ハサン・サッバーハ』か?」

まず思い立ったのがそれだった。地上の聖杯戦争にはある法則がある。『アサシン』は例外なく『ハサン・サッバーハ』が召喚されるというものだ。
とはいえ、一口にハサンと言っても、ハサンとはある暗殺教団の頭領を指す言葉なので、特定の誰かではなく、歴代ハサンの中の誰かという意味だ。
言峰綺礼は目の前の少女をハサンの内の一人かと思った。
痩躯に黒衣という点ではいかにもそれのように見える。気配の希薄さも説明できる。この場合、少女であることは問題ではない。
だが――、

「“ブラックロックシューター”」

少女が名乗ったのは全く別の名だった。
言峰綺礼はますますもって訝しがる。そんな英霊の名前はこれまでに聞いたこともない。『石を以って討つ黒』――とは何者なのか?

ハズレを引いたのかもしれないと言峰綺礼は考える。
地上の聖杯戦争では、各々のマスター候補が必勝のサーヴァントを手繰り寄せる為に縁の遺物の用意や召喚の条件などに吟味を重ねる。
例えば、次の聖杯戦争で言峰綺礼が補佐する予定である遠坂時臣などは“とても常識では考えられない英霊”の召喚を狙っている。
もしそれが成功すれば、今現在打ち合わせている様々な小細工など不要であろうと断言できる、それほどの強力な英霊だ。
故に、聖杯戦争は高名な英霊同士の闘争となりえるわけである。

だが翻ってみればこの月の聖杯戦争はそうではない。英霊を選ぶ手立てがない。あるのかもしれないが、言峰綺礼はそれを知らなかった。
ならば英霊とも呼べない地霊、雑霊のようなものを呼び出してしまう可能性もあるだろう。目の前の存在はそうなのかもしれない。

「私の為に戦ってくれるか?」

言峰綺礼は問う。一応の意思確認だった。サーヴァントと話が通じないという例もある。

「私は戦う。あなたの為に。――あなたの苦しみを、あなたの悩みを、あなたの迷いを断ち切る為に」

一瞬、唇が震える。何を口走ろうとしたのか。言峰綺礼は彼女の予想外の言葉になんと反応しようとしたのか自分でも解らなかった。
ただ、この少女は――ブラックロックシューターは来るべくして我が下に来たのだと、その確信だけが心の中に生まれていた。

「それは、私の敵か?」

少女の無感情な蒼い瞳に見つめられることが酷く居心地が悪い。

「そうじゃない。私が戦うのはあなたの苦しみや、悩み、迷いそのもの。私はあなたの傷を請負い、痛みを抱いてあなたの為に戦う」

それが、私という存在だから――そうブラックロックシューターは言った。






  Ж Ж Ж


“自宅”に帰り着くと、言峰綺礼はソファに身を沈め深く溜息をついた。サーヴァントの姿は近くにはない。今は姿を消させている。

まだ悪い夢を見ているようだと思う。
見渡す室内。よく知っている。自宅なのだから。ここ数日、実際にここで生活していたのだ。
だが、それは仮のものにすぎない。箱舟の中に用意された虚構。その夢に夢だと気づき夢から覚めることこそが最初の試練だった。

それが、まだ続いているのではないかと疑ってしまう。宛がわれたサーヴァントはあまりに意味深で暗示めいている。
まだ、試されているのではと、今のこれこそが本当の試練なのでは……と。

言峰綺礼の中に迷いはある。悩み、苦しんでいる。傷を持ち、痛みは心を苛んでいる。それを、“あれ”は請け負うという。

「私は、どこに導かれようとしているのだ……」

テーブルに手を伸ばすと言峰綺礼は紙袋からワインを取り出し、そのままに口をつけると神の血を嚥下する。


だが、そこにはどんな味もなかった。



【クラス】 アサシン
【真名】 ブラックロックシューター
【属性】 中立・中庸

【ステータス】
 筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:D 幸運:C 宝具:C

【クラススキル】
 気配遮断:B サーヴァントとしての気配を絶つ能力。活発な行動をしていなければ気配を感じ取られることはない。

【保有スキル】
 痛覚無視:A
  戦闘の負傷による痛みを無視して身体が動作不能になるまで戦闘を続行することができる。

 無感情:A
  感情の揺らぎによる興奮や戸惑いがなく、理性のみで行動することができ、また精神を揺さぶる心理攻撃や魔術の類を一切無視できる。

 再生:C
  戦闘から離れ休息をとることで負傷や装備の破損を少しずつ回復することができる。

【宝具】
 『ブラックロック・ヴォルケイン』
 ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:100 最大捕捉:30~60
 ブラックロック・カノンのガトリング形態。
 ブラックロック・カノンを超次元変形させることで、大容量のドラムマガジンと3つのバレルを備えたガトリング形態へと変化させる。
 バイポッド(脚)を地面に立ててでないと使用できないので銃撃しながら動くことはできなが、飛躍的に連射速度と威力が高まる。
 また、両手に同時に出現させることで倍の攻撃をすることが可能。

【weapon】
 『ブラックロック・カノン』
 ブラックロックシューターの身長ほどのサイズがある石射砲。
 ブラックロックシューターはこれをいつでも虚空から取り出すことができ、また軽々と片手で扱うことができる。
 その名の通り、石を弾丸として発射する。
 とはいえ、この石もブラックロックシューターが生み出しているものなので補充する必要もなく、命中すれば爆発するなど威力も石程度ではない。

 『ブラックブレード』
 ブラックロックシューターが愛用する片刃の直刀。カノンと同じく虚空から自由に取り出せる点を除けば特筆すべきところはない。

【人物背景】
 出展は「ブラック★ロックシューター(TVアニメ)」
 主人公である黒衣マトの虚の世界(精神世界)における『もうひとりの自分』。
 マトの心の痛みを引き受ける存在であると同時に、虚の世界の中で他の子らの『もうひとりの自分』達を殺して回っている存在でもある。

 その行動は、マトの心の中にある痛いこと、傷ついたこと、迷い悩み苦しみを見たくない、消し去りたいという気持ちからきており、
 他の『もうひとりの自分』達同様に主人の痛みを引き受け和らげるだけでなく、目に見える全ての痛みを消し去ろうと虐殺を繰り返している。
 そして、虚の世界で『もうひとりの自分』を殺されると、本人はそれが引き受けていた痛みを記憶ごと失ってしまうことになる。
 それは決して正しい解決とは言えず、ブラックロックシューターはマトのエゴそのものである。

【サーヴァントとしての願い】
 この世の全ての(心の)傷と痛み、みんなが抱える迷いや悩み、苦しみを根絶する。

【基本戦術、方針、運用法】
 言峰綺礼の『もうひとりの自分』として、彼の見たくないもの、心を惑わすものを悉く抹殺する。
 また、彼を傷つけようとするものも全て消去し、彼に平穏を与える。


【マスター】 言峰綺礼

【参加方法】
 第八秘蹟会の代表者として、用意されていた『ゴフェルの木片』を握り、自らの意思で参加した。

【マスターとしての願い】
 不明。

【weapon】
 『黒鍵』
 聖堂教会の代行者として標準的かつ代表的な武装。
 柄のみであるが、魔力を通すとその魔力で刃が編みこまれる。剣としては重心のバランスが悪いので主に投擲武器として使用される。
 言峰綺礼はこれをカソック(司祭服)の中に多数仕込んでおり、更に服は防弾仕様になっていたりもする。

【能力・技能】
 八極拳:A
 武術。
 父である言峰璃正から習ったものであるが、繰り返される実戦の中で独自のアレンジが加えられ、現在となっては極悪な人体破壊術と化している。

 魔術:E
 魔術回路を持つ為、極初歩の魔術を行使することができる。
 だが、“傷”に特化した魔術特性を持つ為、治療魔術に関してだけはよりランクの高い魔術を行使することができる。

【人物背景】
 出展は「Fate/Zero」
 聖堂教会に所属する神父。
 同じく聖堂教会の神父であった言峰璃正の息子として生まれ、幼少時代は父の巡礼の旅に付き添い世界中を回った。
 その後、聖イグナチオ神学校に通い、卒業後に正式に聖堂教会に入る。
 一時期は実行部隊である代行者を務めていた時期もあり、今は聖遺物の管理・回収を任務とする第八秘蹟会に席を置いている。

 幼少の頃より教会の教えを学んでいるので高いモラルを持つが、故に自分の中にある悪性に日々苦悩している。
 人と同じように正しいものを正しいとは感じられずに、それよりも悪徳、他人が苦しむことや悩むことになどに愉悦を感じてしまう性質。
 その歪みと苦悩ゆえ、信仰も確たるものだとは思えず、ただ闇雲に自分を追い込むように修行や修練に打ち込み続けていた。

 そして、日本の冬木市で行われる第4次聖杯戦争に参加するために来日中、父より月と箱舟の話を聞き、今現在に至る。

【方針】
 月の聖杯戦争で勝利し、なんらかの成果を聖堂教会に持ち帰る。
 具体的な戦略戦術については未定。まずは自身と、他に参加しているサーヴァントの実力を見極め、その後に対策を立てる。