深田一郎&アーチャー



箱舟の中に存在する仮想空間。
その一角に何の変哲もない古びた二階建てアパートがあり、その二階の一番端の部屋に彼ら二人はいた。

これから始まるのは建国の物語である。愛と徳とを兼ね備えた王による理想的な絶対王政。それを目指すある親子の物語。

そう、これは

この世のあらゆる艱難辛苦に見舞われなお、幾度と無く死を繰り返して絶望に追いやられてもなお、諦めることを知らない哀れな王の物語である。






  Ж Ж Ж


「……どうしてこうなってしまったんだ。ぼくはただナオンにもてたかっただけなのに」 ※ナオン=女性のこと

アパートの一室の中、ちゃぶ台を前に少年は暗い顔でそう呟いた。
彼の名前は深田一郎。
坊主頭に学ランと今時そう見ないイモっちぃ姿を常態とする少年で、おまけに眼鏡までもかけていたりする。
夢は女性にモテること。
そして、今回の聖杯戦争に参じたマスターの一人でもある。
彼はモブにしか見えない外見をしながら立派に記憶を取り戻すことでマスターの資格を得たのだ。

「は? なにを言ってるんじゃぜオンナスキー?」 ※オンナスキー=深田一郎のこと。以後彼の名前はこれで統一される

同じくちゃぶ台を前にする人物(?)の姿を見てオンナスキーは深く溜息をついた。そこにはよく見慣れた馬鹿の姿がある。
名前(?)はファーザー。
オンナスキーの父親を自称する謎の宇宙人(自称)であり、彼の家に居候して日々『神聖モテモテ王国』の建国を目指している。
白い坊主頭の中年男性で平行四辺形の目をしており、頭の上に赤色灯をつけ耳には謎の突起物をつけていた。
そして、スペースノイド風の軍服(上だけ)を着てマントを羽織り、ズボンは履いてなく(パンツ丸出し)、常に裸足でぺたぺたと歩いている。
とてもモブとは思えないが、決して主人公側のデザインでもない。色んな意味で人目に曝してよい姿ではなかった。

「まさか、勝てるとか言うんじゃないだろうな? ぼくは人殺しなんてできないぞ。お前だけを殺すというならともかく」
「かーっ! さらっとクーデターの計画を漏らしてんじゃねー! 唯一の腹心が裏切り者だったなどよくあることすぎて笑えんのじゃよー!」
「うるさい! ほっといても勝手に死ぬくせに!(バキー)」 ※オンナスキーがファーザーを殴る音
「ぎゃー!(グワッシャーン)」 ※ファーザーがぶっ飛ばされる音

肩を上下しながら立ち上がったオンナスキーは、学生服の袖をまくると右手の甲を床の上で悶えるファーザーに見せつける。
そこに描かれていたのは三画の令呪。マスターとサーヴァントの関係を絶対とする刻印だった。

「ほら、これを見ろ! ここではぼくがお前のマスターだ。余計なことはさせないからなっ」
「グ、グムー。おのれ、謀ったなシャア」 ※シャアは出ません

また溜息をつくとオンナスキーは殴った拍子にひっくり返った卓袱台を元に戻し、先と同じように座りなおす。

「ともかく、ぼくたちには勝ち目がない。きっと」
「はじまる前から諦めてんじゃねー! ボケがー! 指揮官がそれでは部隊の士気にかかわるのじゃよ。具体的に言うとわしのやる気」
「おまえのやる気がないのはいいことだが、本当にどうしたものか。
 そもそもなんでおまえがぼくのサーヴァントなんだ? 英霊ってのは伝説になった英雄とかがなるものなんじゃないか?」

まぁ、おまえはある意味伝説の存在ではあるが……とひとり納得しかけるオンナスキーにファーザーは卓袱台を叩いて抗議する。

「わしが解せんのはアーチャーとかいうクラスなんじゃよ。アーチャーってあれじゃろ? 2マス先から攻撃するしか脳がない最弱ユニットじゃろ?」
「さぁ、ぼくにそんなこと言われても……。おまえの存在自体が飛び道具だというなら納得するが」
「かーっ! このボンクラスキーがマスターではいくらわしとて埒があかないんじゃよー!」

ぎゃわぎゃわと騒ぎ出すファーザーにオンナスキーは三度目の溜息をついた。
こうして卓袱台の前でぐだぐだ言い合った後、適当に煽られてなし崩し的に外へとナオンをナンパしに行くのがいつものパターンだ。
そしてそれは、「ファーザーが死ぬ」「ファーザーが犬に襲われる」「ファーザーがヤクザに殴られる」「ファーザーが警察に捕まる」などして決着する。
いわゆるマルチバッドエンドというやつで、上記以外の結末もあるがファーザーがひどい目に会うという点は毎回変わらない。

「しかし……」

場合によってはオンナスキーもなんらかの被害(主にファーザーの巻き添え)を喰らうこともある。
そして今回の聖杯戦争の場合だ。もし本当に刷り込まれた記憶通りに殺しあいが行われているのだとしたら、そこで自分も死んでしまうかもしれない。
なぜか死んでも勝手に生き返ってしまうファーザーと違いオンナスキーは普通の人間なのである。そうのんきに構えていていいわけがない。

「とりあえず今回はナンパのことは忘れて生き残ることにだな……あれ?」

オンナスキーが顔を上げるとファーザーの姿はどこにもなかった。

「あっ、あの馬鹿!」

立ち上がり玄関を見る。目には開け放たれたままの扉が映っていた。これもよくあるパターン通り、ファーザーは勝手に外に出て行ってしまったらしい。

「“単独行動”か……なるほど」

オンナスキーはなぜファーザーのクラスがアーチャーだったのかに納得すると扉を閉める。その際に見えた外の光景は今までの日常とほとんど変わらなかった。

「ともかく、あいつが一度死んで戻ってくるのを待とう」

どうせどうにかなる。そう腹を括るとオンナスキーは台所に立ち、ファーザーが帰ってきた時のために食事の用意を始めた。



トンカツである。



【クラス】 アーチャー
【真名】 ファーザー
【属性】 混沌・悪

【ステータス】
 筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:E 宝具:E

【クラススキル】
 対魔力:E 対魔力などとほざきながらも全く魔法を防ぐことはできない。いくらクラススキルでもファーザーじゃこれが精一杯。
 単独行動:A マスターの元を好き勝手に離れて活動することができる。一ヶ月くらい。でも帰巣本能があるのかちゃんと戻ってくる。

【保有スキル】
 復活:EX
  死んでしまってもいつの間にかに(具体的に言うと次の話になると)生き返っているという能力。
  死因に寄らずなんの説明もなく蘇る無責任な能力。
  ただし、同じ話の中では復活できないので一度死んでから次の話がこなければ死んだままになるかもしれない。

 変装:C
  思いつきであらゆる姿に変装することができるし、時にはオンナスキーの衣装も用意する。
  ただし、どんな変装をしてもズボンは履かない。パンツ丸見えだけど(ファーザーは)恥ずかしくない。

 ナンパテク:E
  ナオンにもてる方策をいくつも持つと豪語し、実際に持ってはいるが、持っているのとそれが正しいのかはイコールではないのが残酷な現実である。

 ズボン:B
  パンツ丸出しなファーザーであるが、ズボンを履かそうとすると全力で嫌がり戦闘力が跳ね上がる。(EがE++くらいになる)
  そして、無理矢理にズボンを履かされると拒絶反応が出るのかキラキラとしたゲロを吐きながら衰弱してしまう。

 ワープ:C
  オチに困ると最後のコマで異次元にワープする。その先がどこにつながっているかはファーザー自身もわからない。

【宝具】
 『12月のクリスマス』
 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
 任意の人物に銃火器やタクティカルベストでフル装備を施し、武装ゲリラ風に仕立て上げる。
 「フフフ、あとは犯行声明でも出しておけば公安も放ってはおくまい。クリスマスもおしまいよ」
 バカップル溢れる社会を混乱に陥れようという極めて危険な思想から生まれた宝具。
 だが、敵に武装を与えてしまうという点から、自身にも危険が及ぶ可能性を生んでしまうという二重三重の危険性を孕んだ宝具でもある。

 『耳の突起物』
 ランク:E 種別:宝具か? レンジ:1 最大捕捉:自分だけ
 耳の突起物を撫でると幸せな気分になって嫌なことを忘れられる。

【weapon】
 『銃火器』
 拳銃から手榴弾やら爆弾やら様々な銃火器を押しいれの箱の中に所持している。
 入手元は不明だが、とにかくたくさんあって使っても使ってもなくならない。

 『中性子爆弾』
 核爆弾の一種。爆風や熱線の放出が抑えられている代わりに放射線の放出が高められており、生物だけを抹殺することができる。
 タイマーがないので、使用した場合スイッチを押した人が爆心地になるため使用したことがない。なので実際の効果のほどは謎。

【人物背景】
 出展は「神聖モテモテ王国」
 ある日、突然オンナスキーの前に落下してきたオンナスキーの父親を自称する宇宙人(自称)。
 混乱するオンナスキーを言いくるめて居候を始めた後は、ナオンと彼らだけの愛と蜜月の国「神聖モテモテ王国」の建立を目指して活動している。
 加えて、ナオンにもてたいという欲求を叶えるためにナンパ活動も並行しているが、どちらも失敗続きである(約100%)。

 前向きさと行動力だけは人一倍あるが、それがよい方向に働いたことはない。
 妄想力も逞しく、ナンパ中に妄想にふけり、気づけば警察やヤクザに囲まれていたということも日常茶飯事。
 ナンパは基本的にオンナスキーと二人で行うが、オンナスキーがもてるとマジギレして全力で妨害する。

 23の謎があるらしいが詳細は不明。

【サーヴァントとしての願い】
 ナオン溢れる夢の国、神聖モテモテ王国を建立する。

【基本戦術、方針、運用法】
 ナオンはナンパする。男は殺す。もてる男は許せない。

 もてる男(MO)は許せないのでもてる男はもれなく殺したいので悪評などをばらまき孤立させたところで殺したい。
 もてない男(MNO)はもてもて外人部隊(MG部隊)に勧誘してMO駆逐の手駒として利用して利用した後は最早用済みよ。


【マスター】 オンナスキー(深田一郎)

【参加方法】
 不明。

【マスターとしての願い】
 ナオンにもてたい。

【weapon】
 『金属バット』
 ファーザーが暴走した時用。これで後頭部を思いっきり殴って暴走を止める。だいたい死ぬか気絶する。

【能力・技能】
 ない。

【人物背景】
 出展は「神聖モテモテ王国」
 男子校生の冴えない少年。 ※表記にAV的なごまかしがあるのはコミックスのキャラ紹介でも表記にブレがあるから
 元々記憶喪失であり学校に通いながら通院を繰り返していたのだが、ある日目の前にファーザーが落下してきて、以後彼と2人暮らしをしている。
 ファーザーの言う建国活動には全く現実味を感じていないが、ナオンにもてさせてやるという言葉に釣られてファーザーを追い出せないでいる。
 長く同居している内にファーザーの扱いにも慣れてきて、殴ったり縛ったりファーザーを置いて逃亡するなどが上手になってきた。

 怒るとけっこう怖い。

【方針】
 とりあえず様子見をしようと考えている。ファーザーは自重させるつもりだが、それが無理なのは重々承知なので暴走すれば放っておくことにする。
 なんだかんだで適当なところでオチがついて元の日常に戻れるだろうと心のどこかでは考えている。なので微妙に緊張感がない。