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弓塚さつき・バーサーカー」(2014/07/07 (月) 20:21:39) の最新版変更点

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*弓塚さつき・バーサーカー ◆holyBRftF6 「……ここまで、なんだな」  ベッドの上で、男は呟いた。  男は老人であり、英雄であり、忍者であった。  死にゆく男に悔いはない。その死は天寿をまっとうする大往生だ。  人生も満ち足りたものだった。  醜悪な野望の元、数多の可能性を奪ってきた男を好敵手との連携で討ち果たし。  諸悪の根源たる邪神と対峙する魔を断つ剣を助け。  世界を閉じる神にさえも、若き仕事人と共に抗った。  これらを成し遂げた上で人生を悔いることなど、できるはずがない。 「どうせ、みんなとは……また会えるんだからな……  話せなくなるのは、ちょっと……残念だけどよ」  いや――悔いはあるのかもしれない。  だが、死してなお男にはやる事がある。そして、その役割に不満はない。  魂を機械に宿らせ、自らの可能性を受け継がせ無くてはならない。  今までの『彼』がそうしてきたように。  男の視界が白く染まっていく。音も聞こえなくなっていく。  意識が閉じていく中……しかし、男は何かが接近してくることを自覚した。  或いはその何が接近しているのではなく、男の魂がそちらへ向かっているのかもしれないが。 「あぁ……  来たか――」  男は、己自身が走ってくる様を幻視した。  ■ ■ 「変な夢だったなぁ……」  頭を振りながら、体を起こす。  ただでさえ夢見が悪かったのにコンクリートに寝そべっていたから、寝心地は最悪。  こういうところで寝るのは慣れてるから、いつものことと言えばいつものことなんだけど……  せっかく方舟なんてところに来たのに、どうして私は地上にいた時みたいな状態なんだろう? 「うぅ……どうしてこんなことになっちゃったのかなぁ」  私――弓塚さつきは路地裏を見渡した。  見えるのはよく見かける建物と建物の隙間。私にとっては親しみのある風景だけど……でも、違うみたい。  どういうわけか頭の中に入ってきた知識によると、ここは宇宙に浮かぶ舟の中で、ぜんぶ偽物なんだって。  私はどういうわけかそんなところに呼び出されて、どういうわけか記憶を消されて普通の学校生活を送ろうとしてた。 「どうせ記憶を消すなら、日光を平気にしてくれればよかったのに……」  記憶を取り戻した時のコトを思い出して、頭を抱える。  路地裏を出て登校しようとしたら日光が直撃して死にかける……なんて体験をしたら、自分が吸血鬼だって思い出すに決まってる。  せっかく偽の記憶を植えつけるなら、体のほうもちゃんと学校に通えるようにしてほしいと思う。  そう、私は吸血鬼だ。  吸血鬼に血を吸われてしまって、そしてどういうわけか吸血鬼として生き返ってしまった。  シオンは私に凄い適性があるから、って言ってたけど……正直、そんな適性欲しくなかったなぁ。  とにかく私は吸血鬼だけど、できるだけ血を吸うのは我慢するようにしている。  している、けど……やっぱり吸血鬼な以上喉は渇いちゃうわけで。  今も喉はカラッカラ。日の当たらない路地裏からこっそり道行く人々を見ていると、どうしても唾を飲み込んじゃう。 「そういえば、ここにいるのはNPCなんだっけ……」  ふと、頭に焼き付けられた知識を思い出す。  ムーンセル? 方舟? どっちでもいいや、とにかくどっちかが作った再現データなんだっけ。  なら、血を吸ってもいいのかな…… 「だめだめさつき! NPCさんだって人間だよ、たぶん!  血を吸うのは一週間200ccまで!」  ぱんぱん、と自分の頬を張るわたし。  どうも記憶を取り戻してから、いつも以上に体が変な感じ。  なんか体は重いし、凄く喉が乾くし。まるで血を吸われているみたい……吸血鬼の私が言うことじゃないよね。 「他のマスターさんは学校に通ってたんだよね?  楽しかったのかなぁ……」  座り込んで、ぼんやりと空を見上げる。  建物の隙間から僅かに見える青空。もう、私には届かないもの。  その青空に影が差して……影? 「あ、わわ!?」  なぜか建物の一部が崩れて、がれきが私の上に降って来た!  単なる事故!? そうじゃなくてもう戦いが始まってるの!? もしくは私、狙われてるとか!?  混乱する間にも降って来るがれき。慌てて私は立ち上がって、 「せー……の!」  構えた。  がれきはざっと1メートルくらい、私の力なら大丈夫!  そのまま殴って吹き飛ばそうとして……だけど、私の腕より早く、何かがそのがれきを吹き飛ばした。 「えっ?」  何か――たしか矢のような形をした光だったと思う――が飛んできた方向を見る。  そこには機械がいた。人影で、白くて……なんていうんだろう、忍者みたいなかっこうしてる。  人が乗れそうな大きさじゃない――それこそ包みこまない限り――けど、それでも私よりは大きい。 「え、えっと、あのー?」 「………………」  思わず声を掛けてみたけど、その忍者さんは反応なし。  どうすればいいのか困っていると……頭の中に浮かぶ単語があった。 「……バーサーカー?」  目を閉じると、表みたいなのが見える。  もしかして、これが私のサーヴァントさん、なのかな?  よくよく考えてみると、さっきのも私を助けてくれたみたいだし。 「あのー、バーサーカーさん?」 「…………」  声をかけてみたけど、バーサーカーさんはいなくなってしまった。  なんか繋がってるような感じはあるから、まだ私を見てるみたいだけど。 「ほんとうに、聖杯戦争が始まってるんだ……」  聖杯戦争。いつの間にか頭の中にある知識。  戦って、勝ち抜いて、最後まで残れば聖杯が手に入る。  さっきのコトが事故なのか、それとも故意なのかはわからないけど、ぼうっとしてたら危ないのかも。 「なんでも願いが叶うんだっけ。  吸血鬼を、人間に戻すこともできるのかな……」  青空を見上げる。  路地裏から見る空は狭い。黒い影に挟まれて、きゅうくつそうな青色だ。  たったそれだけの狭い空が、今の私に許される空。  もう私は太陽の下には出られない。  遠野くんを見かけても、影から見ていることしかできない。  でももし、人間に戻れるのなら。  太陽の下で、シオンと一緒に遠野くんと正面から会いに行くことができる。  いっぱい話すことができる―― 「よし、決めた! じゃあ私がシオンの代わりに、吸血鬼の治療方法を見つけちゃおう!  ここに来るのは魔術師らしいし、戦ってもだいじょうぶだよね!」  うん、と頷く。  普通の人と戦うのは嫌だけど、わざわざここまで来るような魔術師ならそういう覚悟がある人のはず。  さすがにそういう人と戦うのは、自分を守るためにもしょうがない事だと思う。  例えばシエル先輩に襲われた時とかシエル先輩に襲われた時とかシエル先輩に襲われた時とか。  そう思って、ちょっと青ざめた。 「もしかして、シエル先輩も来てるのかな?」  方舟。教会についてよく知らない私でも、ノアの方舟のことくらいは知ってる。  そして、そんなものならシエル先輩のような人たちが目をつけないはずがないわけで。  もしかすると、シエル先輩自身が来るってことも有り得るのかも……  もしそうならどう考えても勝ち目なし、願いを叶えるどころか逃げまわるのが限界。 「……シエル先輩が来ませんように!」  とりあえず、私はそう神様に祈ることにした。  でも、吸血鬼がお祈りしても聞いてくれるのかなぁ?  ■ ■  男は、忍者そのものとなった。  かつて、世界を繰り返させる邪神がいた。  その中で自らの意志を、可能性を積み重ねることで邪神に抗った者達がいた。  魔を断つ剣・デモンベイン。忍者戦士・飛影。  これらを始めとするあらゆる可能性を。  デモンベインの対存在たるリベル・レギスという、飛影の好敵手たる零影という可能性すら収束させた部隊。  その名をアルティメット・クロス。  男は邪神の試みの中で数えきれないほど飛影に魂を宿し、そしてUXの一員として、一因子として邪神を打ち破った。  不満はなかった。  世界を繰り返させる邪神と、世界を閉じる神。  この二柱を討ち果たした自らの魂が機械に宿ることで、忍者伝説は完成する。  そしてやがて、輪廻の向こうで新たに生まれた自分達を――仲間を、愛する者を輪廻を越えて助けに行くのだ。  これほど誇らしいこともあるまい。  悔いは僅かにあった。  機械に宿る忍者そのものと化した自分達が、言葉を発する事はもはやない。  ただ助け、そして輪廻の向こうで新たに生まれた自分を迎え入れる。その中で、仲間達と話すことはできない。   故に男は――男たちは願った。  もう一度だけ仲間達と正面から出会い、話したい。飛影ではなく、ジョウとして。  それが忍者戦士飛影――ジョウ・マヤの願い。 【出展】スーパーロボット大戦UX 【クラス】バーサーカー 【真名】飛影 【パラメーター】  筋力B 耐久B 敏捷A++ 魔力D 幸運B 宝具A 【属性】  混沌・狂 【クラススキル】  狂化:C   幸運と魔力を除いたパラメーターをランクアップさせるが、言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。   敵味方の判別はできるものの、敵は殺してはいけない相手だろうと最大火力で攻撃する。 【保有スキル】  気配遮断:A   完全に気配を断つ。戦場に現れるまで存在を察知することは不可能に近い。  単独行動:A   マスター不在でも行動できる。   ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。   バーサーカーのため、このスキルがあると言えども単独で戦闘できる回数は限られる。  直感:B   戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を"感じ取る"能力。   視覚、聴覚に干渉する妨害を半減させる。  騎乗:-   バーサーカーとして召喚されたため失われている。 【宝具】  『飛影見参』   ランク:C 種別:対陣宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1人   ありとあらゆる戦場に現れる能力。向かう先が別世界であろうとバーサーカーの前には関係ない。   戦場へ突入する際に障害が発生する場合、それを無効化する。   またマスターが危機に陥った時、あらゆる障害を無視して自動的にマスターの元へ転移する。  『可能性の集約(アルティメット・クロス)』   ランク:A 種別:対神宝具 レンジ:なし 最大捕捉:無限   時空を越えて自分の意志を輝かせ、神に抗う能力。   時間が関係する能力は例え神の力であろうと通用せず、むしろバーサーカーの力となる。   「時間や空間を変化させるような能力を持つ」もしくは「神性を持つ」相手と戦う時、バーサーカーの能力は全てワンランクアップする。   また相手がクトゥルフ神話かインド神話に関係する者であった場合、全ての能力に倍加が付与される。   両方の条件を満たす場合はランクアップと倍加が重複するため、仮にクトゥルフ神話の神やインド神話の神と戦う場合バーサーカーは無敵のサーヴァントと化す。   この宝具による強化は魔力消費を増加させない。   副産物として、自らの意志を重ね続けたことにより理性を失っても戦闘技術を十全に発揮できる効果もある。 【weapon】  本来の飛影は人間の倍近い大きさを持つが、魔力消費などの関係やジョウ・マヤの一面として召喚されたことからある程度縮小して再現された。  そのため、武器もそれに見合うサイズとなっている。 ・バトルショットブレード(銃モード)  手持ちの実弾銃。忍者刀が収納されている。 ・バトルショットブレード  所謂日本刀とは違い、忍刀という反りが少ない刀。 ・手裏剣  普通の手裏剣。 ・マキビシランチャー  ふとももに内蔵されたマキビシを発射する火器。 ・サンダーアローガン  光線を発射する弓型の銃。 ・鎖分銅  腕に仕込んだ鎖分銅。 【人物背景】  戦場に突如として現れ、ジョウ・マヤとその仲間を救っていく謎のメカ・飛影。  やがてジョウは飛影と融合して操ることができるようになったが、同時に謎の声を感じるようになる。  飛影の正体、それはナイアが仕組んだループの中で機械に魂を宿らせていったジョウ・マヤそのものであった。  ジョウやその仲間を救うのも、かつてのジョウという人間の魂が今も飛影を動かしているからである。  それ故にライダーとして召喚されれば各種メカを駆るジョウ・マヤとして、アサシンとして召喚されれば飛影と融合して戦うジョウ・マヤとして召喚される。  今回はバーサーカーのため、理性を失いジョウの意志のみを宿す飛影として召喚された。 【サーヴァントとしての願い】  飛影ではなくジョウとして、もう一度ロミナ姫やレニーと……アルティメット・クロスの仲間達と話してみたい。 【基本戦術、方針、運用法】  とにかく強みは圧倒的な敏捷である、バーサーカーに追いつける存在はまずいない。  気配遮断と『忍者戦士飛影』の組み合わせもあり、どんな戦場にでも現れ掻き乱すことが可能。  また極めて高い単独行動を持つため、バーサーカーのクラスでありながら単騎でもある程度は動ける。  これらの要素により、基本的戦術はアサシンクラスに近い奇襲が主となる。  マスターしか見当たらないと調子に乗って襲いかかる敵は、バーサーカーに背後を突かれることになるだろう。 【備考】  原作では飛影の正体について不明のままだったため、オリジナルの設定を行ったスーパーロボット大戦UXからの出典として設定を補う。 【出展】MELTY BLOOD 【マスター】弓塚さつき 【参加方法】不明 【マスターとしての願い】  吸血鬼化の治療方法を発見し、シオンともども遠野志貴と普通に話せるような身に戻りたい。 【weapon】  なし。もっとも、素手で攻撃しても十分に強い。 【能力・技能】  吸血鬼として極めて高い潜在能力を持つ。  身体能力も高く、見た目と性格に反して相当なパワータイプ。人体を軽く引き千切る。  ただし血を吸いたがらないのでいつも腹ペコ。  魔力については設定がないが、ロアの地位を引き継げるほどの素質を持つということからひとまず魔力量は高いものとする。  枯渇庭園という固有結界を所持する。  これは展開した空間の自然の魔力・マナを急速に減少させ消滅させていく。魔力はさつきに還元されることなく消えてゆくのみ。  攻撃に自然の魔力・マナを必要とする魔術師、生存に魔力を必要とする精霊などには天敵と言える能力。  だが世界と切り離されつつある生物(マナをあまり使用しない人間)には効果が薄い。  ただし、サーヴァントに対してどれほどの効果があるのかはファンの間でも意見が分かれている。  そもそもさつきが能動的にこの固有結界を発動する描写はなく、基本的に暴走するような形で展開されるので使えるかどうかも微妙だが。 【人物背景】  遠野四季/ロアに血を吸われ死んでしまった少女。  しかし皮肉にも吸血鬼として高い素質を秘めていたため、吸血鬼として蘇生する。  「正義の吸血鬼」として人を殺さないように生きているため、ごく少量しか血を吸わない。  ただしたまに吸血鬼らしい発言をすることがあり、人を殺さないのは人間の心を失うことを恐れているからという理由が強い。  クラスではアイドル的な存在として人気だったが、さつき自身は遠野志貴に一途な好意を抱いている。  しかし内気な性格のため口に出せず、吸血鬼となった後は学校にすら行けないので影から見ているような状態。  シオンとは半端者の吸血鬼仲間。最近「旦那様(女)」が増えた。 【方針】  優勝を目指す。  ただ相手が魔術師などの戦闘力を持つ存在であればまだしも、無力な存在は殺せない可能性が高い。  平気で殺せるようになった時のさつきは完全に吸血鬼と化しているだろう。
*弓塚さつき・バーサーカー ◆holyBRftF6 「……ここまで、なんだな」  ベッドの上で、男は呟いた。  男は老人であり、英雄であり、忍者であった。  死にゆく男に悔いはない。その死は天寿をまっとうする大往生だ。  人生も満ち足りたものだった。  醜悪な野望の元、数多の可能性を奪ってきた男を好敵手との連携で討ち果たし。  諸悪の根源たる邪神と対峙する魔を断つ剣を助け。  世界を閉じる神にさえも、若き仕事人と共に抗った。  これらを成し遂げた上で人生を悔いることなど、できるはずがない。 「どうせ、みんなとは……また会えるんだからな……  話せなくなるのは、ちょっと……残念だけどよ」  いや――悔いはあるのかもしれない。  だが、死してなお男にはやる事がある。そして、その役割に不満はない。  魂を機械に宿らせ、自らの可能性を受け継がせ無くてはならない。  今までの『彼』がそうしてきたように。  男の視界が白く染まっていく。音も聞こえなくなっていく。  意識が閉じていく中……しかし、男は何かが接近してくることを自覚した。  或いはその何が接近しているのではなく、男の魂がそちらへ向かっているのかもしれないが。 「あぁ……  来たか――」  男は、己自身が走ってくる様を幻視した。  ■ ■ 「変な夢だったなぁ……」  頭を振りながら、体を起こす。  ただでさえ夢見が悪かったのにコンクリートに寝そべっていたから、寝心地は最悪。  こういうところで寝るのは慣れてるから、いつものことと言えばいつものことなんだけど……  せっかく方舟なんてところに来たのに、どうして私は地上にいた時みたいな状態なんだろう? 「うぅ……なんでこんなことになっちゃったのかなぁ」  私――弓塚さつきは路地裏を見渡した。  見えるのはよく見かける建物と建物の隙間。私にとっては親しみのある風景だけど……でも、違うみたい。  どういうわけか頭の中に入ってきた知識によると、ここは宇宙に浮かぶ舟の中で、ぜんぶ偽物なんだって。  私はどういうわけかそんなところに呼び出されて、どういうわけか記憶を消されて普通の学校生活を送ろうとしてた。 「どうせ記憶を消すなら、日光を平気にしてくれればよかったのに……」  記憶を取り戻した時のコトを思い出して、頭を抱える。  路地裏を出て登校しようとしたら日光が直撃して死にかける……なんて体験をしたら、自分が吸血鬼だって思い出すに決まってる。  せっかく偽の記憶を植えつけるなら、体のほうもちゃんと学校に通えるようにしてほしいと思う。  そう、私は吸血鬼だ。  吸血鬼に血を吸われてしまって、そしてどういうわけか吸血鬼として生き返ってしまった。  シオンは私に凄い適性があるから、って言ってたけど……正直、そんな適性欲しくなかったなぁ。  とにかく私は吸血鬼だけど、できるだけ血を吸うのは我慢するようにしている。  している、けど……やっぱり吸血鬼な以上喉は渇いちゃうわけで。  今も喉はカラッカラ。日の当たらない路地裏からこっそり道行く人々を見ていると、どうしても唾を飲み込んじゃう。 「そういえば、ここにいるのはNPCなんだっけ……」  ふと、頭に焼き付けられた知識を思い出す。  ムーンセル? 方舟? どっちでもいいや、とにかくどっちかが作った再現データなんだっけ。  なら、血を吸ってもいいのかな…… 「だめだめさつき! NPCさんだって人間だよ、たぶん!  血を吸うのは一週間200ccまで!」  ぱんぱん、と自分の頬を張るわたし。  どうも記憶を取り戻してから、いつも以上に体が変な感じ。  なんか体は重いし、凄く喉が乾くし。まるで血を吸われているみたい……吸血鬼の私が言うことじゃないよね。 「他のマスターさんは学校に通ってたんだよね?  楽しかったのかなぁ……」  座り込んで、ぼんやりと空を見上げる。  建物の隙間から僅かに見える青空。もう、私には届かないもの。  その青空に影が差して……影? 「あ、わわ!?」  なぜか建物の一部が崩れて、がれきが私の上に降って来た!  単なる事故!? そうじゃなくてもう戦いが始まってるの!? もしくは私、狙われてるとか!?  混乱する間にも降って来るがれき。慌てて私は立ち上がって、 「せー……の!」  構えた。  がれきはざっと1メートルくらい、私の力なら大丈夫!  そのまま殴って吹き飛ばそうとして……だけど、私の腕より早く、何かがそのがれきを吹き飛ばした。 「えっ?」  何か――たしか矢のような形をした光だったと思う――が飛んできた方向を見る。  そこには機械がいた。人影で、白くて……なんていうんだろう、忍者みたいなかっこうしてる。  人が乗れそうな大きさじゃない――それこそ包みこまない限り――けど、それでも私よりは大きい。 「え、えっと、あのー?」 「………………」  思わず声を掛けてみたけど、その忍者さんは反応なし。  どうすればいいのか困っていると……頭の中に浮かぶ単語があった。 「……バーサーカー?」  目を閉じると、表みたいなのが見える。  もしかして、これが私のサーヴァントさん、なのかな?  よくよく考えてみると、さっきのも私を助けてくれたみたいだし。 「あのー、バーサーカーさん?」 「…………」  声をかけてみたけど、バーサーカーさんはいなくなってしまった。  なんか繋がってるような感じはあるから、まだ私を見てるみたいだけど。 「ほんとうに、聖杯戦争が始まってるんだ……」  聖杯戦争。いつの間にか頭の中にある知識。  戦って、勝ち抜いて、最後まで残れば聖杯が手に入る。  さっきのコトが事故なのか、それとも故意なのかはわからないけど、ぼうっとしてたら危ないのかも。 「なんでも願いが叶うんだっけ。  吸血鬼を、人間に戻すこともできるのかな……」  青空を見上げる。  路地裏から見る空は狭い。黒い影に挟まれて、きゅうくつそうな青色だ。  たったそれだけの狭い空が、今の私に許される空。  もう私は太陽の下には出られない。  遠野くんを見かけても、影から見ていることしかできない。  でももし、人間に戻れるのなら。  太陽の下で、シオンと一緒に遠野くんと正面から会いに行くことができる。  いっぱい話すことができる―― 「よし、決めた! じゃあ私がシオンの代わりに、吸血鬼の治療方法を見つけちゃおう!  ここに来るのは魔術師らしいし、戦ってもだいじょうぶだよね!」  うん、と頷く。  普通の人と戦うのは嫌だけど、わざわざここまで来るような魔術師ならそういう覚悟がある人のはず。  さすがにそういう人と戦うのは、自分を守るためにもしょうがない事だと思う。  例えばシエル先輩に襲われた時とかシエル先輩に襲われた時とかシエル先輩に襲われた時とか。  そう思って、ちょっと青ざめた。 「もしかして、シエル先輩も来てるのかな?」  方舟。教会についてよく知らない私でも、ノアの方舟のことくらいは知ってる。  そして、そんなものならシエル先輩のような人たちが目をつけないはずがないわけで。  もしかすると、シエル先輩自身が来るってことも有り得るのかも……  もしそうならどう考えても勝ち目なし、願いを叶えるどころか逃げまわるのが限界。 「……シエル先輩が来ませんように!」  とりあえず、私はそう神様に祈ることにした。  でも、吸血鬼がお祈りしても聞いてくれるのかなぁ?  ■ ■  男は、忍者そのものとなった。  かつて、世界を繰り返させる邪神がいた。  その中で自らの意志を、可能性を積み重ねることで邪神に抗った者達がいた。  魔を断つ剣・デモンベイン。忍者戦士・飛影。  これらを始めとするあらゆる可能性を。  デモンベインの対存在たるリベル・レギスという、飛影の好敵手たる零影という可能性すら収束させた部隊。  その名をアルティメット・クロス。  男は邪神の試みの中で数えきれないほど飛影に魂を宿し、そしてUXの一員として、一因子として邪神を打ち破った。  不満はなかった。  世界を繰り返させる邪神と、世界を閉じる神。  この二柱を討ち果たした自らの魂が機械に宿ることで、忍者伝説は完成する。  そしてやがて、輪廻の向こうで新たに生まれた自分達を――仲間を、愛する者を輪廻を越えて助けに行くのだ。  これほど誇らしいこともあるまい。  悔いは僅かにあった。  機械に宿る忍者そのものと化した自分達が、言葉を発する事はもはやない。  ただ助け、そして輪廻の向こうで新たに生まれた自分を迎え入れる。その中で、仲間達と話すことはできない。   故に男は――男たちは願った。  もう一度だけ仲間達と正面から出会い、話したい。飛影ではなく、ジョウとして。  それが忍者戦士飛影――ジョウ・マヤの願い。 【出展】スーパーロボット大戦UX 【クラス】バーサーカー 【真名】飛影 【パラメーター】  筋力B 耐久B 敏捷A++ 魔力D 幸運B 宝具A 【属性】  混沌・狂 【クラススキル】  狂化:C   幸運と魔力を除いたパラメーターをランクアップさせるが、言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。   敵味方の判別はできるものの、敵は殺してはいけない相手だろうと最大火力で攻撃する。 【保有スキル】  気配遮断:A   完全に気配を断つ。戦場に現れるまで存在を察知することは不可能に近い。  単独行動:A   マスター不在でも行動できる。   ただし宝具の使用など膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。   バーサーカーのため、このスキルがあると言えども単独で戦闘できる回数は限られる。  直感:B   戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を"感じ取る"能力。   視覚、聴覚に干渉する妨害を半減させる。  騎乗:-   バーサーカーとして召喚されたため失われている。 【宝具】  『飛影見参』   ランク:C 種別:対陣宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1人   ありとあらゆる戦場に現れる能力。向かう先が別世界であろうとバーサーカーの前には関係ない。   戦場へ突入する際に障害が発生する場合、それを無効化する。   またマスターが危機に陥った時、あらゆる障害を無視して自動的にマスターの元へ転移する。  『可能性の集約(アルティメット・クロス)』   ランク:A 種別:対神宝具 レンジ:なし 最大捕捉:無限   時空を越えて自分の意志を輝かせ、神に抗う能力。   時間が関係する能力は例え神の力であろうと通用せず、むしろバーサーカーの力となる。   「時間や空間を変化させるような能力を持つ」もしくは「神性を持つ」相手と戦う時、バーサーカーの能力は全てワンランクアップする。   また相手がクトゥルフ神話かインド神話に関係する者であった場合、全ての能力に倍加が付与される。   両方の条件を満たす場合はランクアップと倍加が重複するため、仮にクトゥルフ神話の神やインド神話の神と戦う場合バーサーカーは無敵のサーヴァントと化す。   この宝具による強化は魔力消費を増加させない。   副産物として、自らの意志を重ね続けたことにより理性を失っても戦闘技術を十全に発揮できる効果もある。 【weapon】  本来の飛影は人間の倍近い大きさを持つが、魔力消費などの関係やジョウ・マヤの一面として召喚されたことからある程度縮小して再現された。  そのため、武器もそれに見合うサイズとなっている。 ・バトルショットブレード(銃モード)  手持ちの実弾銃。忍者刀が収納されている。 ・バトルショットブレード  所謂日本刀とは違い、忍刀という反りが少ない刀。 ・手裏剣  普通の手裏剣。 ・マキビシランチャー  ふとももに内蔵されたマキビシを発射する火器。 ・サンダーアローガン  光線を発射する弓型の銃。 ・鎖分銅  腕に仕込んだ鎖分銅。 【人物背景】  戦場に突如として現れ、ジョウ・マヤとその仲間を救っていく謎のメカ・飛影。  やがてジョウは飛影と融合して操ることができるようになったが、同時に謎の声を感じるようになる。  飛影の正体、それはナイアが仕組んだループの中で機械に魂を宿らせていったジョウ・マヤそのものであった。  ジョウやその仲間を救うのも、かつてのジョウという人間の魂が今も飛影を動かしているからである。  それ故にライダーとして召喚されれば各種メカを駆るジョウ・マヤとして、アサシンとして召喚されれば飛影と融合して戦うジョウ・マヤとして召喚される。  今回はバーサーカーのため、理性を失いジョウの意志のみを宿す飛影として召喚された。 【サーヴァントとしての願い】  飛影ではなくジョウとして、もう一度ロミナ姫やレニーと……アルティメット・クロスの仲間達と話してみたい。 【基本戦術、方針、運用法】  とにかく強みは圧倒的な敏捷である、バーサーカーに追いつける存在はまずいない。  気配遮断と『飛影見参』の組み合わせもあり、どんな戦場にでも現れ掻き乱すことが可能。  また極めて高い単独行動を持つため、バーサーカーのクラスでありながら単騎でもある程度は動ける。  これらの要素により、基本的戦術はアサシンクラスに近い奇襲が主となる。  マスターしか見当たらないと調子に乗って襲いかかる敵は、バーサーカーに背後を突かれることになるだろう。 【備考】  原作では飛影の正体について不明のままだったため、オリジナルの設定を行ったスーパーロボット大戦UXからの出典として設定を補う。 【出展】MELTY BLOOD 【マスター】弓塚さつき 【参加方法】不明 【マスターとしての願い】  吸血鬼化の治療方法を発見し、シオンともども遠野志貴と普通に話せるような身に戻りたい。 【weapon】  なし。もっとも、素手で攻撃しても十分に強い。 【能力・技能】  吸血鬼として極めて高い潜在能力を持つ。  身体能力も高く、見た目と性格に反して相当なパワータイプ。人体を軽く引き千切る。  ただし血を吸いたがらないのでいつも腹ペコ。  魔力については設定がないが、ロアの地位を引き継げるほどの素質を持つということからひとまず魔力量は高いものとする。  枯渇庭園という固有結界を所持する。  これは展開した空間の自然の魔力・マナを急速に減少させ消滅させていく。魔力はさつきに還元されることなく消えてゆくのみ。  攻撃に自然の魔力・マナを必要とする魔術師、生存に魔力を必要とする精霊などには天敵と言える能力。  だが世界と切り離されつつある生物(マナをあまり使用しない人間)には効果が薄い。  ただし、サーヴァントに対してどれほどの効果があるのかはファンの間でも意見が分かれている。  そもそもさつきが能動的にこの固有結界を発動する描写はなく、基本的に暴走するような形で展開されるので使えるかどうかも微妙だが。 【人物背景】  遠野四季/ロアに血を吸われ死んでしまった少女。  しかし皮肉にも吸血鬼として高い素質を秘めていたため、吸血鬼として蘇生する。  「正義の吸血鬼」として人を殺さないように生きているため、ごく少量しか血を吸わない。  ただしたまに吸血鬼らしい発言をすることがあり、人を殺さないのは人間の心を失うことを恐れているからという理由が強い。  クラスではアイドル的な存在として人気だったが、さつき自身は遠野志貴に一途な好意を抱いている。  しかし内気な性格のため口に出せず、吸血鬼となった後は学校にすら行けないので影から見ているような状態。  シオンとは半端者の吸血鬼仲間。 【方針】  優勝を目指す。  ただ相手が魔術師などの戦闘力を持つ存在であればまだしも、無力な存在は殺せない可能性が高い。  平気で殺せるようになった時のさつきは完全に吸血鬼と化しているだろう。 ----

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