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*体調管理には注意しよう ◆k7RtnnRnf2      01/ 選択……そして帰還 『へえ、今から帰っちゃうんだ?』 「そうだ。万全とは言えない今の状態では、聖杯戦争に勝てるとは限らない」 『マスターってそんなに消耗してたっけ?』 「…………君が私にしたことを忘れたのか? 忘れたとは言わせないぞ」 『ああ……そういえば、色々と気持ちよくなってたわよね。ごめんなさい!』 「ごめんなさい、の一言で済ませる気なのか? 君が……!」 『わかってるよ! 今度からはもうちょっと気を付けるわ……きっと』  ライダーとして召喚されたサーヴァント・鏡子は、マスターである狭間偉出夫の決定に頷く。  彼の選択は、一旦拠点に戻ることだった。理由は単純。明日に向けて体力を回復する事に努めることが、現状では最適の判断だから……らしい。  狭間が体力を消耗した理由に心当たりがない訳がない。というよりも、鏡子が全ての原因だった。  鏡子自身の放つフェロモンを始めとした様々な物質で強制的に発情させ、そして射精させる…………そのせいで、狭間の精力もまた大量に放たれてしまった。  これでは確かに強敵と戦うことはできないだろう。流石にヤリすぎてしまったかもしれないと、鏡子は反省する。  ……もっとも、それと狭間をイカせないことに関してはまた別の話だが。 「全く……それと、私の体調だけじゃない。あの高層マンションを消すほどの相手がいるとわかった以上、無暗に出歩くのも得策ではないだろう。  君はあれだけの規模の攻撃に対抗できるのか?」 『それは……確かにできないね』 「だろうな。鏡子は性交こそが最大の武器だが、同時にそれしか武器を持たない。君は、君が見えていない相手の攻撃に対抗できないはずだ。  君は性交の最中、相手のダメージを与えるだろう……だが、同時にそれは君にとって最大の隙にもなるんじゃないか?」 『……それも否定できないかも』  狭間の言い分は尤もだった。  "ぴちぴちビッチ"は鏡子が持つ手鏡に映し出された相手をしごいて、絞り、思考を奪い、絶頂させて、限界まで気持ち良くさせる唯一無二の能力。この技で数多の男を快楽で酔わせてきたし、時には同性もイカせた記憶がある。  だけど、それは半径2kmまでに限られた。マンションを消滅させる程の攻撃は、どう考えても2kmを遥かに超える規模を持つだろう。もしも視界の外からそんな攻撃を受けたら一溜まりもない。  また、仮にそんな強大な相手の懐に潜り込んで性交に持ち込めたとしても、その最中に他のマスターとサーヴァントに不意打ちされる危険だってある。相手を発情させる事においては他の追随を許さない魔人だが、それ以外の力を鏡子は持たない。  狭間が言うように、性交をしている最中に2km以上離れた所からライフルなどで狙撃されたりしたら、その時点で敗北する。そうなっては、マスターである狭間だって脱落だ。 「君が性交したいのは勝手だ。そうすることで私達が勝てるのならば、私としても大いに構わない……だが、周りに目を向けることも忘れるな。  鏡子は確か聖杯に……その、あれだ。あれを…………注ぎたいんじゃ、なかったのか?」 『精液と愛液? うん! 溢れるほどに注ぎたいよ!』  鏡子が満面の笑みと共に返答する。すると、狭間は表情を顰めながら大きく溜息を吐いた。  呆れているのか、怒りを感じているのか、それとも全く別の感情なのかを鏡子は知らない。だけど、そんな狭間の反応すらも面白く見えてしまった。 「…………その為にも、体勢を整える必要がある。目先の快楽ばかりに溺れて最終目的を忘れては、本末転倒だ!  それなのに君ときたら敵のサーヴァントだけじゃなく、僕までもその手にかけて……君は本当に勝つ気があるのか!?」 『ああ、だからごめんなさいって言ってるでしょ? その点に関しては私も反省しているわ』 「ならば、次からはちゃんと下着を履くんだ! 脱ぐにしても、サーヴァントと戦う時だけにするんだ! そして替えの下着も用意する!  それを約束しなければ、僕は君の言葉を信用しない!」  人気がないのをいいことに、狭間は感情任せに言葉を吐き出し続ける。  今、ここに誰もいなくてよかったと鏡子は思う。傍から見れば、今の狭間は変質者だ。いい歳した男が下着のことを叫ぶなど正気ではない。  だが、こればかりは流石に笑うことはできないだろう。実際、マスターまでも必要以上に発情させて精力減退させては、肝心な時に戦いにならない。それにこのまま叫んでいる所に誰かが通りかかったら……それこそ、本当に狭間を変質者にさせてしまう。  これでは通報されかねないし、それが原因で警察に捕まったら聖杯戦争どころではなくなる。 『わかったわ。あなたの言うことも尤もだし、それは確かに約束しないといけないわね。あなただけじゃなく、私自身の為にも』 「当然だ。マスターである僕は君にとって生命線であることを絶対に忘れるな。これは聖杯戦争における基本中の基本だ」 『オッケー! ……あ、バスが来たみたいよ』  頷いた鏡子の目に一台のバスが飛び込んでくる。あれは丁度、錯刃大学に向かうバスだった。  丁度いいタイミングだと鏡子は笑みを浮かべる。 『でもマスター。これから籠城するのはいいけど、もしもマンションの近くに他のマスターが近づいたのなら……その時は、いいわよね?』 「それは構わない。だが、あまり騒ぎを起こしたりするな。そこから私達の存在が他のマスター達に知られては厄介だからな」 『やったあ! 大丈夫……私は騒ぎにならない程度にエッチをする方法も知っているから』 「だといいがな……さて、乗るぞ」  狭間の後を追うように、鏡子もまたバスに乗った。  乗るのがバスじゃなくて、股の上だったらいいのにな……と、まるで明日の天気が晴れになるのを期待するような気分で考えながら、鏡子は窓の外を眺める。  この一日、色々なことがあった。  童貞の狭間偉出夫に召喚されてしまい、彼に性の快楽を叩き込んだ……それから、男前なランサーと性交していっぱい気持ち良くなった。彼の精液を大量に飲み込んだが、妊娠はしていないはず。  というよりも、幽霊のような存在であるサーヴァントが妊娠などするのだろうか? 鏡子の中でそんな疑問が芽生えたが、今はそこまで重要なことではないという理由で切り捨てる。    その後、またしてもサーヴァントを快楽に沈めようとしたが、逆にその倒錯的欲求は全て自分に跳ね返されてしまった。それを愉快と思いながらも、また違う赤いサーヴァントを絶頂させようとしたが…………奇妙な違和感を感じたのを忘れない。  人間だけではない。無機物から宇宙を司る神秘まで、あらゆるものと性行為ができる鏡子ですらも、苦手意識を持ってしまう赤い大男。不可能、とはいかないが、彼との性行為は躊躇してしまう。  理由はわからない。本当になんとなくなのか、あるいは彼に生理的嫌悪感を抱いたのか……いずれにせよ、また出会う時が来るのなら注意が必要だった。  どんな理由にせよ彼は一筋縄ではいかないはずだから。  だけど、今は狭間が言うように体力を回復させることを最優先に考えるべきだ。  適当に返答をしたが、我を忘れて性行為ばかりをしていては最終目的である聖杯に辿り着かない。これだけは事実だ。  それに不必要な性行為をしては狭間から反感を受けてしまう。そうなっては信頼を得られないだけでなく、赤と白の人達のような強敵を相手にした時に戦えなくなる。それは鏡子としても嫌だった。 『それにしても、今日はちょっと暑かったわね』  だから今は、少しでもマスターと心を通わせるようになるためにも、鏡子は話を振る。  鏡子にしては珍しく、性が関わらない話題で時間を潰そうとしていた。 『この街って今は夏なのかな?』 『さあな。本当に夏かもしれないし、あるいはこの世界に季節という概念はなく、ただあらゆるマスターとサーヴァントが公平に戦えるように設定されているのかもしれない。  夏の暑さに苦しむことはなければ、冬の寒さに震えることもない……実に便利な世界だ』 『ふうん……じゃあ、もしも今が夏だったら熱中症には気をつけないといけないわね。暑い中で熱いセ…………じゃなくて、動くのも素敵だけど、水分補給を怠ったら大変だもの』 『……君が何を言おうとしたのかは聞かないことにする。だが、何故そんなことを急に言う? 私は小学生ではないぞ』 『わかってるって! でも、マスターは万全の状態で戦いたいんでしょ? だったら、身体は大事にしなきゃダメよ?』 『そんな心がけがあるのなら、私を発情させようとするな!』 『ふふっ、気をつけるわ』  夜の風景を眺めながら適当に相槌を打つ。  明日の天気がどうなるのかはわからないけど、もしも暑くなるのなら尚更対策は必要だった。サーヴァントだけではなく、そこに辿り着くまでの移動で熱中症にも気をつけなければならない。魔人皇である狭間にそこまでの心配は要らないかもしれないが。  だけど、もしも彼が普通の人間と同じように暑さでダウンするようなことがあれば、それをカバーするのがサーヴァントの使命だろうか? 手鏡だけでなく、スポーツ飲料水やおでこに貼る熱冷却シートも必要だ。  あと、あまり暑くない服装も重要だろう。そう考えるなら、ぱんつをはかないで下半身をすーすーさせるのは理想的かもしれないが……そんな提案をしたら狭間を怒らせてしまう。また、仮に本当に狭間が提案を受け入れたりなんかしたら、それはそれで大変だ。  だからあえてこれは言葉にしない。  他に大切なことは室内の気温調節だ。  エアコンや扇風機で室内を涼しくするのが一般的に理想だけど、何らかの事情で電気が使えなくなるかもしれない。そうなったら、扇子や冷えたタオルなども必要だ。無論、水分補給も重要になってくる。  PCの排熱も結構凄まじいので注意が必要だ。狭間の部屋にPCがあったかどうかは定かではないけど、本当にあるのなら気を付けよう。  あとは栄養満点の食事でスタミナを付けて、適度な運動をすることが熱中症予防だ。塩やレモン、また夏野菜や梅干しなども効果的だろう。  …………と、ここまで考えて、これだとビッチではなくお母さんみたいだと、鏡子は笑ってしまった。  実際、性行為をする場所では色気を醸す雰囲気も大事だが、それ以前に快適でなければならない。大半のホテルだって空調は効いているはずだ。  また激しく性行為をする為にも規則正しいな食生活や運動は必要だし、充分な睡眠だって欠かせない。これは性行為だけでなく学業にも……それこそ、日常生活では重要だ。  もしかしたら、ビッチとしてランクを上げているうちに、より激しい性行為を行う為の基盤を大切にするようになったかもしれない……鏡子自身のステータスは低いが。  そして、それを発揮する為にも今日はしっかり休んで、明日からまたいっぱいセックスをする。  なんだ、いつも通りじゃないか。  不意に彼女は同じ番長グル―プの一員である両性院男女を想う。  彼/彼女は誠実で真っ直ぐだった。鏡子から徹底的に絞られて、理性が吹き飛ぶ一歩手前まで愛撫されたにも関わらず、精液でべとべとになってしまった手を握り締めてくれた。そこに邪な感情は見られない。  彼/彼女は私のことを覚えてくれているのか? 激しく愛撫したとはいえ、"魔人"が関わる抗争でそれは些細なことになるかもしれない。あの一夜だって、一時の歓びに過ぎなかった。  もしかしたら、いつか忘れられてしまう可能性だってある。  だけど今は両性院のことばかり考えていられない。ビッチとして、そしてサーヴァントとしてここにいる狭間を勝たせなければいけないのだから。  その為にも、彼の身体を少しは気遣わなければならない。快楽的な意味だけでなく、肉体的な健康の意味でもだ。 『ねえ、マスター』 『なんだ?』 『今夜は一緒のベッドで寝る? そこで私達の愛を…………』 『別々に寝ろ!』 『……はぁい』  その途端、狭間の股間から微量の性臭が漂ってきて、漏らさせてしまったと鏡子は反省する。  尤も、それもすぐに忘れてしまったが。 【C-8/バス内/一日目 夜間】 【狭間偉出夫@真・女神転生if...】 [状態] 健康、気力体力減退、体スッキリ [令呪] 残り二画 [装備] [道具] 鞄(生活用具少し、替えの下着数枚) [所持金] いくらかの現金とクレジットカード。総額は不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝つ。 0.B-4で何かが起こっているらしいな。 1.夜間活発になるであろう参加者たちに警戒。一旦拠点に帰って鏡子に監視させながら籠城。 2.錯刃大学の主従(HAL組)との直接対峙は避けたい [備考] ※まだ童貞。 ※遠坂凛組、ジョンス組を確認しました。ジョンス組に錯刃大学の主従について知っている情報を渡しました。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 春川英輔(電人HAL)がマスター、ないし手がかりになるだろうと考えています。 春川英輔の経歴と容姿についてネット上に公開されている範囲で簡単に把握しました。 ※学校は必要に迫られない限りは行かないつもりです。 ※状況次第で拠点の移動も考えています。 ※ジョンス組を今回の聖杯戦争中上位の戦闘力を持ち、かつ狭間組が確実に優位に立てる相手だと判断しました。 好戦性も踏まえて、彼らの動向には少しだけ興味があります。 ※鏡子が『絞り殺されることを望む真性のドM』の相手を望んでいないことを知りました。 ※高層マンションが崩壊したことを知りました。通達に関連して集まった参加者たちによる大規模戦闘の結果だと考えています。 【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス】 [状態]欲求不満(小)、はいてない? [装備] 手鏡 [道具] [所持金] 不明 [思考・状況] 基本行動方針:いっぱいセックスする。 0.狭間と共に帰還して体調を整える。 1.次はちょっと頑張っちゃおっかな! [備考] ※クー・フーリンと性交しました。 ※アーカードと前戯しました。自身の死因から彼に苦手意識が少しありますが性交を拒否する程度ではありません。 ※甲賀弦之介との性交に失敗しました。 ※ジョンスが触れることが出来たにも関わらず射精に至ってないことを知っています。ちょっとだけ悔しいです。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 ---- |BACK||NEXT| |146-c:[[祭りのあとには]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|148:[[]]| |143:[[天国にそっくりな星]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |117:[[DANGEROUS]]|[[狭間偉出夫]]&ライダー([[鏡子]])|| &link_up(▲上へ)
*体調管理には注意しよう ◆k7RtnnRnf2      01/ 選択……そして帰還 『へえ、今から帰っちゃうんだ?』 「そうだ。万全とは言えない今の状態では、聖杯戦争に勝てるとは限らない」 『マスターってそんなに消耗してたっけ?』 「…………君が私にしたことを忘れたのか? 忘れたとは言わせないぞ」 『ああ……そういえば、色々と気持ちよくなってたわよね。ごめんなさい!』 「ごめんなさい、の一言で済ませる気なのか? 君が……!」 『わかってるよ! 今度からはもうちょっと気を付けるわ……きっと』  ライダーとして召喚されたサーヴァント・鏡子は、マスターである狭間偉出夫の決定に頷く。  彼の選択は、一旦拠点に戻ることだった。理由は単純。明日に向けて体力を回復する事に努めることが、現状では最適の判断だから……らしい。  狭間が体力を消耗した理由に心当たりがない訳がない。というよりも、鏡子が全ての原因だった。  鏡子自身の放つフェロモンを始めとした様々な物質で強制的に発情させ、そして射精させる…………そのせいで、狭間の精力もまた大量に放たれてしまった。  これでは確かに強敵と戦うことはできないだろう。流石にヤリすぎてしまったかもしれないと、鏡子は反省する。  ……もっとも、それと狭間をイカせないことに関してはまた別の話だが。 「全く……それと、私の体調だけじゃない。あの高層マンションを消すほどの相手がいるとわかった以上、無暗に出歩くのも得策ではないだろう。  君はあれだけの規模の攻撃に対抗できるのか?」 『それは……確かにできないね』 「だろうな。鏡子は性交こそが最大の武器だが、同時にそれしか武器を持たない。君は、君が見えていない相手の攻撃に対抗できないはずだ。  君は性交の最中、相手のダメージを与えるだろう……だが、同時にそれは君にとって最大の隙にもなるんじゃないか?」 『……それも否定できないかも』  狭間の言い分は尤もだった。  "ぴちぴちビッチ"は鏡子が持つ手鏡に映し出された相手をしごいて、絞り、思考を奪い、絶頂させて、限界まで気持ち良くさせる唯一無二の能力。この技で数多の男を快楽で酔わせてきたし、時には同性もイカせた記憶がある。  だけど、それは半径2kmまでに限られた。マンションを消滅させる程の攻撃は、どう考えても2kmを遥かに超える規模を持つだろう。もしも視界の外からそんな攻撃を受けたら一溜まりもない。  また、仮にそんな強大な相手の懐に潜り込んで性交に持ち込めたとしても、その最中に他のマスターとサーヴァントに不意打ちされる危険だってある。相手を発情させる事においては他の追随を許さない魔人だが、それ以外の力を鏡子は持たない。  狭間が言うように、性交をしている最中に2km以上離れた所からライフルなどで狙撃されたりしたら、その時点で敗北する。そうなっては、マスターである狭間だって脱落だ。 「君が性交したいのは勝手だ。そうすることで私達が勝てるのならば、私としても大いに構わない……だが、周りに目を向けることも忘れるな。  鏡子は確か聖杯に……その、あれだ。あれを…………注ぎたいんじゃ、なかったのか?」 『精液と愛液? うん! 溢れるほどに注ぎたいよ!』  鏡子が満面の笑みと共に返答する。すると、狭間は表情を顰めながら大きく溜息を吐いた。  呆れているのか、怒りを感じているのか、それとも全く別の感情なのかを鏡子は知らない。だけど、そんな狭間の反応すらも面白く見えてしまった。 「…………その為にも、体勢を整える必要がある。目先の快楽ばかりに溺れて最終目的を忘れては、本末転倒だ!  それなのに君ときたら敵のサーヴァントだけじゃなく、僕までもその手にかけて……君は本当に勝つ気があるのか!?」 『ああ、だからごめんなさいって言ってるでしょ? その点に関しては私も反省しているわ』 「ならば、次からはちゃんと下着を履くんだ! 脱ぐにしても、サーヴァントと戦う時だけにするんだ! そして替えの下着も用意する!  それを約束しなければ、僕は君の言葉を信用しない!」  人気がないのをいいことに、狭間は感情任せに言葉を吐き出し続ける。  今、ここに誰もいなくてよかったと鏡子は思う。傍から見れば、今の狭間は変質者だ。いい歳した男が下着のことを叫ぶなど正気ではない。  だが、こればかりは流石に笑うことはできないだろう。実際、マスターまでも必要以上に発情させて精力減退させては、肝心な時に戦いにならない。それにこのまま叫んでいる所に誰かが通りかかったら……それこそ、本当に狭間を変質者にさせてしまう。  これでは通報されかねないし、それが原因で警察に捕まったら聖杯戦争どころではなくなる。 『わかったわ。あなたの言うことも尤もだし、それは確かに約束しないといけないわね。あなただけじゃなく、私自身の為にも』 「当然だ。マスターである僕は君にとって生命線であることを絶対に忘れるな。これは聖杯戦争における基本中の基本だ」 『オッケー! ……あ、バスが来たみたいよ』  頷いた鏡子の目に一台のバスが飛び込んでくる。あれは丁度、錯刃大学に向かうバスだった。  丁度いいタイミングだと鏡子は笑みを浮かべる。 『でもマスター。これから籠城するのはいいけど、もしもマンションの近くに他のマスターが近づいたのなら……その時は、いいわよね?』 「それは構わない。だが、あまり騒ぎを起こしたりするな。そこから私達の存在が他のマスター達に知られては厄介だからな」 『やったあ! 大丈夫……私は騒ぎにならない程度にエッチをする方法も知っているから』 「だといいがな……さて、乗るぞ」  狭間の後を追うように、鏡子もまたバスに乗った。  乗るのがバスじゃなくて、股の上だったらいいのにな……と、まるで明日の天気が晴れになるのを期待するような気分で考えながら、鏡子は窓の外を眺める。  この一日、色々なことがあった。  童貞の狭間偉出夫に召喚されてしまい、彼に性の快楽を叩き込んだ……それから、男前なランサーと性交していっぱい気持ち良くなった。彼の精液を大量に飲み込んだが、妊娠はしていないはず。  というよりも、幽霊のような存在であるサーヴァントが妊娠などするのだろうか? 鏡子の中でそんな疑問が芽生えたが、今はそこまで重要なことではないという理由で切り捨てる。    その後、またしてもサーヴァントを快楽に沈めようとしたが、逆にその倒錯的欲求は全て自分に跳ね返されてしまった。それを愉快と思いながらも、また違う赤いサーヴァントを絶頂させようとしたが…………奇妙な違和感を感じたのを忘れない。  人間だけではない。無機物から宇宙を司る神秘まで、あらゆるものと性行為ができる鏡子ですらも、苦手意識を持ってしまう赤い大男。不可能、とはいかないが、彼との性行為は躊躇してしまう。  理由はわからない。本当になんとなくなのか、あるいは彼に生理的嫌悪感を抱いたのか……いずれにせよ、また出会う時が来るのなら注意が必要だった。  どんな理由にせよ彼は一筋縄ではいかないはずだから。  だけど、今は狭間が言うように体力を回復させることを最優先に考えるべきだ。  適当に返答をしたが、我を忘れて性行為ばかりをしていては最終目的である聖杯に辿り着かない。これだけは事実だ。  それに不必要な性行為をしては狭間から反感を受けてしまう。そうなっては信頼を得られないだけでなく、赤と白の人達のような強敵を相手にした時に戦えなくなる。それは鏡子としても嫌だった。 『それにしても、今日はちょっと暑かったわね』  だから今は、少しでもマスターと心を通わせるようになるためにも、鏡子は話を振る。  鏡子にしては珍しく、性が関わらない話題で時間を潰そうとしていた。 『この街って今は夏なのかな?』 『さあな。本当に夏かもしれないし、あるいはこの世界に季節という概念はなく、ただあらゆるマスターとサーヴァントが公平に戦えるように設定されているのかもしれない。  夏の暑さに苦しむことはなければ、冬の寒さに震えることもない……実に便利な世界だ』 『ふうん……じゃあ、もしも今が夏だったら熱中症には気をつけないといけないわね。暑い中で熱いセ…………じゃなくて、動くのも素敵だけど、水分補給を怠ったら大変だもの』 『……君が何を言おうとしたのかは聞かないことにする。だが、何故そんなことを急に言う? 私は小学生ではないぞ』 『わかってるって! でも、マスターは万全の状態で戦いたいんでしょ? だったら、身体は大事にしなきゃダメよ?』 『そんな心がけがあるのなら、私を発情させようとするな!』 『ふふっ、気をつけるわ』  夜の風景を眺めながら適当に相槌を打つ。  明日の天気がどうなるのかはわからないけど、もしも暑くなるのなら尚更対策は必要だった。サーヴァントだけではなく、そこに辿り着くまでの移動で熱中症にも気をつけなければならない。魔人皇である狭間にそこまでの心配は要らないかもしれないが。  だけど、もしも彼が普通の人間と同じように暑さでダウンするようなことがあれば、それをカバーするのがサーヴァントの使命だろうか? 手鏡だけでなく、スポーツ飲料水やおでこに貼る熱冷却シートも必要だ。  あと、あまり暑くない服装も重要だろう。そう考えるなら、ぱんつをはかないで下半身をすーすーさせるのは理想的かもしれないが……そんな提案をしたら狭間を怒らせてしまう。また、仮に本当に狭間が提案を受け入れたりなんかしたら、それはそれで大変だ。  だからあえてこれは言葉にしない。  他に大切なことは室内の気温調節だ。  エアコンや扇風機で室内を涼しくするのが一般的に理想だけど、何らかの事情で電気が使えなくなるかもしれない。そうなったら、扇子や冷えたタオルなども必要だ。無論、水分補給も重要になってくる。  PCの排熱も結構凄まじいので注意が必要だ。狭間の部屋にPCがあったかどうかは定かではないけど、本当にあるのなら気を付けよう。  あとは栄養満点の食事でスタミナを付けて、適度な運動をすることが熱中症予防だ。塩やレモン、また夏野菜や梅干しなども効果的だろう。  …………と、ここまで考えて、これだとビッチではなくお母さんみたいだと、鏡子は笑ってしまった。  実際、性行為をする場所では色気を醸す雰囲気も大事だが、それ以前に快適でなければならない。大半のホテルだって空調は効いているはずだ。  また激しく性行為をする為にも規則正しいな食生活や運動は必要だし、充分な睡眠だって欠かせない。これは性行為だけでなく学業にも……それこそ、日常生活では重要だ。  もしかしたら、ビッチとしてランクを上げているうちに、より激しい性行為を行う為の基盤を大切にするようになったかもしれない……鏡子自身のステータスは低いが。  そして、それを発揮する為にも今日はしっかり休んで、明日からまたいっぱいセックスをする。  なんだ、いつも通りじゃないか。  不意に彼女は同じ番長グル―プの一員である両性院男女を想う。  彼/彼女は誠実で真っ直ぐだった。鏡子から徹底的に絞られて、理性が吹き飛ぶ一歩手前まで愛撫されたにも関わらず、精液でべとべとになってしまった手を握り締めてくれた。そこに邪な感情は見られない。  彼/彼女は私のことを覚えてくれているのか? 激しく愛撫したとはいえ、"魔人"が関わる抗争でそれは些細なことになるかもしれない。あの一夜だって、一時の歓びに過ぎなかった。  もしかしたら、いつか忘れられてしまう可能性だってある。  だけど今は両性院のことばかり考えていられない。ビッチとして、そしてサーヴァントとしてここにいる狭間を勝たせなければいけないのだから。  その為にも、彼の身体を少しは気遣わなければならない。快楽的な意味だけでなく、肉体的な健康の意味でもだ。 『ねえ、マスター』 『なんだ?』 『今夜は一緒のベッドで寝る? そこで私達の愛を…………』 『別々に寝ろ!』 『……はぁい』  その途端、狭間の股間から微量の性臭が漂ってきて、漏らさせてしまったと鏡子は反省する。  尤も、それもすぐに忘れてしまったが。 【C-8/バス内/一日目 夜間】 【狭間偉出夫@真・女神転生if...】 [状態] 健康、気力体力減退、体スッキリ [令呪] 残り二画 [装備] [道具] 鞄(生活用具少し、替えの下着数枚) [所持金] いくらかの現金とクレジットカード。総額は不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝つ。 0.B-4で何かが起こっているらしいな。 1.夜間活発になるであろう参加者たちに警戒。一旦拠点に帰って鏡子に監視させながら籠城。 2.錯刃大学の主従(HAL組)との直接対峙は避けたい [備考] ※まだ童貞。 ※遠坂凛組、ジョンス組を確認しました。ジョンス組に錯刃大学の主従について知っている情報を渡しました。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 春川英輔(電人HAL)がマスター、ないし手がかりになるだろうと考えています。 春川英輔の経歴と容姿についてネット上に公開されている範囲で簡単に把握しました。 ※学校は必要に迫られない限りは行かないつもりです。 ※状況次第で拠点の移動も考えています。 ※ジョンス組を今回の聖杯戦争中上位の戦闘力を持ち、かつ狭間組が確実に優位に立てる相手だと判断しました。 好戦性も踏まえて、彼らの動向には少しだけ興味があります。 ※鏡子が『絞り殺されることを望む真性のドM』の相手を望んでいないことを知りました。 ※高層マンションが崩壊したことを知りました。通達に関連して集まった参加者たちによる大規模戦闘の結果だと考えています。 【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス】 [状態]欲求不満(小)、はいてない? [装備] 手鏡 [道具] [所持金] 不明 [思考・状況] 基本行動方針:いっぱいセックスする。 0.狭間と共に帰還して体調を整える。 1.次はちょっと頑張っちゃおっかな! [備考] ※クー・フーリンと性交しました。 ※アーカードと前戯しました。自身の死因から彼に苦手意識が少しありますが性交を拒否する程度ではありません。 ※甲賀弦之介との性交に失敗しました。 ※ジョンスが触れることが出来たにも関わらず射精に至ってないことを知っています。ちょっとだけ悔しいです。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 ---- |BACK||NEXT| |146-c:[[祭りのあとには]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|148:[[忍【ころすべきもの】]]| |143:[[天国にそっくりな星]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|149:[[甘い水を運ぶ蟲]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |117:[[DANGEROUS]]|[[狭間偉出夫]]&ライダー([[鏡子]])|151:[[アトラスの子ら(U)]]| &link_up(▲上へ)

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