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*Fly into the night ◆ACfa2i33Dc  ◆選択――岸波白野     ・ルーラー達を見送る。     >・ルーラー達を呼び止める。  アゾット剣を――彼女の形見を、もう一度握り締める。  遠坂凛の死は悲しく、そして重い。彼女が死んだという事実を自分は長い間、背負い続けることになるだろう。  だが――だからといって。ここでその悲しみに膝を折り、前に進むのを一瞬でもやめることはできない。  そんな事をすれば、余計自分はランサーや遠坂凛に顔向けできなくなってしまう。 「……どうかしましたか?」  こちらの引き留める気配を察したか、ルーラーとカレンが振り向いた。  質問がある。そう前置きして、続く言葉を彼女達に投げかける。  内容は――     アサシンについて。     この戦いの後始末はどうする?     >『方舟』と、ムーンセルの関係とは?  ――この『方舟』について、聞いておきたい。 「……方舟とムーンセルについて、ですか?」  この状況で、そんな質問をされた事に困惑したのか――返答するルーラーの声には、動揺の色が混じっている。  確かに、他にも質問をしたい事は山ほどある。  遠坂凛を殺害し、キャスターのマスターを確保して逃走したアサシンについて。結果的に多くの魂喰いが判明し、更に多くの被害を生み出したこの戦いをどう隠蔽するのかについて。  だが。あくまで聖杯戦争の参加者であるアサシンとそのマスターについて聞こうとしたところで、公平を旨とする彼女たちは答えてはくれないだろうというのは予測がついたし、後者は結局管理者であるカレンとルーラーの領分で、自分が聞いても大した意味はない。  そしてそれらよりも――自分の頭に、以前から強く引っ掛かっていた疑問がある。 「……ああ、成程。そういう事ですか」  こちらの意を得たと言わんばかりに、カレンが手を打つ。 「“あなたの願い”が叶えられたのならば、どうしてこのような聖杯戦争が起こっているのか――貴方が問いたいのは、そこですね」  その通りだ、と首肯する。  キャスターとの戦いの前に懸念した、聖杯――引いてはムーンセルそのものについての疑問。  岸波白野の願いが正しく聞き届けられたのならば、岸波白野の世界において、ムーンセルを巡った聖杯戦争は二度と起こらないはず。  並行世界の遠坂凛がここにいた以上、この世界が並行世界の別のムーンセルであるという可能性は捨てられるものではないが――しかしそれはそれで、なぜ単なる異常《エラー》データに過ぎなかった岸波白野が並行世界のムーンセルに移動してしまったのかという疑問が残る。 「……いいでしょう。私が知っている範囲で解答します」  そう言ったカレンは、既にリターンクリスタルを懐に仕舞い込んでいる。  ……どうやら、こちらの質問に答えてくれるつもりのようだ。 「まず前提として。貴方の願いは、正常に聞き届けられました。少なくとも、私の知識にはそう記録されています」  なるほど。つまりムーンセルと地球は、確かに切り離されたということか。  しかし――ならば、何故また岸波白野は、聖杯戦争の場に立っているのだろう? 「それについては、私に解答することはできません。代わりに、本来の質問内容――このアークセルと、ムーンセルの関係について話すことにしましょう」  アークセル――方舟。  自分の知る『月の聖杯戦争』にはなかった存在。  この聖杯戦争がムーンセルを巡ったものでありながら、岸波白野の知るそれと大きな違いを持っている理由は――やはり、方舟との関わりによるものなのだろうか? 「アークセルはムーンセルの子機というべき存在……ではありますが、しかし、おかしいとは思いませんでしたか?」  ――おかしい?  ……いや、そうだ。  カレンにそう問われて、やっと気が付くことができた。  アークセルは“方舟”。ムーンセルは“聖杯”。この二つが繋がりがあるという事実が、しかしそこから不自然だったのだ。 「“方舟”と“聖杯”。……この二つは本来、繋がりのない伝承です。ムーンセルは厳密には『聖杯』そのものではありませんが、それでも同時に取り扱われる物としては不適当でしょう」  “方舟”が創世記に記されたノアの方舟を指すのならば。福音書に描かれる、神の子の血を受けた器である“聖杯”とはまったく別の伝説に登場する聖遺物だ。  無論、大元を辿れば同じ神話に属する聖遺物でこそあるが――それにしても、『主の啓示を受けて作られた聖遺物』である方舟と、『主の子の血を受けた器』である聖杯の間に、本来子機・親機のような順序など存在しない。 「この事からわかるように――アークセルの機能は、ただの“子機”というだけではありません。ムーンセルとアークセルには関連性は存在しますが、しかしそれぞれで独立しているのです」  ……アークセルの本来の機能。  元々の“ノアの方舟”の伝承から考えれば、それは―― 「来たる大災害のための救済――それから転じて、“魂を拾い上げるもの”。それが本来のアークセルの機能です」  ――魂を拾い上げる。  確かに、“方舟”の機能としては違和感はない。だが、その方舟が聖杯戦争においてムーンセルとの関係性を持つ理由。  そして、参加者の選定と会場としての役割以外に他の役割を持っているとしたら――それはいったい? 「……それについては、私には解答できません」  そう言って、カレンは目を軽く伏せる。  解答できない――それはつまり、ムーンセルやアークセルからその権限を与えられていないということだろうか。 「権限がない――というのもそうですが、元より解答できるだけの知識を所持していませんから。  NPCとしての私に与えられたのは、あくまで裁定者として必要な知識のみ」  その言葉に、月の聖杯戦争で出会った管理用NPC――桜や一成を思い出す。  月の裏側……の事は特殊なケースだから置いておくにしても、月の表側においては、確かに彼等も全てを知っているというわけではなかった。  カレンもまた管理用のNPCに過ぎないのならば、その権限を越えた知識を持っていないのは確かに納得できる。 「それ故に、これで私の話せる事はすべてです。納得して頂けたでしょうか」  そう言って、カレンは懐から再びリターンクリスタルを取り出した。  ――ああ、ありがとう。  何故、ムーンセルにとっては単なるエラーデータに過ぎない岸波白野がここにいるのか。  アークセルとムーンセルの繋がり、それにおいてアークセルが果たす役割とはなんなのか。  そして、独立しているアークセルとムーンセルに繋がりが生まれた事に理由はあるのか。  未だに疑問は多いが、この情報はそれを解く足がかりに違いない。 「――岸波白野」  ――不意に。  カレンの隣、今まで沈黙を保っていたルーラーが、こちらに向かって問うた。 「あなたはまだ、戦うつもりなのですか?」     >――当然だ。 「そうですか。――あなたの聖杯戦争に良き前途があることを、裁定者としてではなく個人として祈っています」  そのルーラーの言葉と共に。今度こそ、カレンとルーラーはリターンクリスタルを使い姿を消した。  さて。次は――                              ●  ◆逡巡――ウェイバー・ベルベット 「……どうするんだよ、これ」  キャスター討伐戦にウェイバー・ベルベットを誘ったアサシンは、己のマスターとして契約した少女を殺した後逃げ出した。  あの尋常ならざる様子からして、なにか事情があったのかもしれない。そもそもウェイバーにも、魂喰いを行った後のアサシンの大暴れがなければ全滅していた可能性は高かった、というのはわかる。  だが、それとこれとは全く別の話だ。  アサシンが一時的な物だったとはいえ己のマスターを騙し討ちしたのは明らかな事実だし、それを釈明する事もなくキャスターのマスターを確保して逃亡したのも事実。  裏切ったのだ、アサシンは――何を、と言えば、期待を。 (ホント、どうすんだよこれ……)  アサシンはウェイバーに一言もなく、その場にウェイバーと見知らぬランサーのマスターを残して行ってしまった。  ウェイバーからすれば、梯子を外された状態である。  キャスターの撃破という当面の目標を終えた以上、引き返すのが一番なのはウェイバーにもわかっているが―― (……あいつら、このままボクらを見逃してくれるのか?)  問題は、すぐそこにいるランサーとそのマスターだ。  ランサーのマスターは、アサシンが殺した少女と随分仲が良い様子だった。アサシンについて思うところは当然あるだろう。  そしてあの二人からすれば、ウェイバーとバーサーカーは『裏切って何処かに行ったアサシンが呼んで来ていた主従』である。アサシンの仲間扱いされて攻撃を受けても何ら不思議ではない。 (……いっそのこと、今のうちに逃げてもいいんじゃ)  この状況で戦えるわけがない。いや、バーサーカーは大丈夫かもしれないが、ウェイバーの方は間違いなく魔力の消耗で死ぬ。  となれば、これ以上話を拗らせる前に逃げる――というのは、それなりに魅力的な行動であるようにウェイバーには思えた。関係の修復は難しくなるかもしれないが、元より聖杯戦争の参加者同士だ。  幸い、今はランサーのマスターは監督役と何やら話し込んでいる。ランサーはともかく、マスターの注意が逸れているなら逃げるのは難しくはない、とウェイバーは判断した。 「……バーサーカー、あいつらの注意がこっちに向かない内に逃げるぞ」  じりじりと後ずさりしながら、小声でバーサーカーに囁く。――しかし、バーサーカーの返答はない。 (……バーサーカー?)  訝しみながら、ウェイバーはバーサーカーの方を振り向く。  ――そして次の瞬間、顔を驚愕に固まらせた。 (……なにやってんだお前ぇえええええええ!?) 「どうしたウェイバーたん? オレちゃん今アイツらどうぶっ殺すか考えてるところなんだけど」  バーサーカーは既に武装していた。背には刀、手には銃器。  今はくるくると手の中でミニガンを弄んでいるが、本人の性格から考えれば先程の言葉通り、次の瞬間にはランサーかそのマスターに襲いかかってもおかしくない。 (――そうだった、コイツはこういう奴だった。キャスター戦あたりからやけに大人しかったから油断してた!)  バーサーカー――デッドプールを制御することなどできないし、その行動を予測する事はもっと不可能である。  デッドプールはヒーローだが、しかし、それと同時に予測不可能な『狂人』(バーサーカー)なのだ。 「そうそう、それだよお前。そういう評判がそこかしこで立ってるからさ、ここはひとつオレちゃんヒーローとして期待に応えてみようかなって思ったんだ。  それにアイツら、生かしとくと主人公オーラでウェイバーたんの出番を食いそうだし?」  相変わらず虚空に向かって支離滅裂な妄言を喋りながら、バーサーカーは手にしたミニガンを振り回している。  実際にそれを撃つような事がなくとも、ランサーとそのマスターに気付かれれば戦うつもりだと誤解される危険性は十分にある。 (まずいまずいまずいまずいまずい!)  相手のランサーも消耗している。こちらが万全な状態なら、ウェイバーにも一考する余地はあったかもしれない。  だが今はまずい。バーサーカーはその再生能力でピンピンしているかもしれないが、ウェイバーの魔力は底を尽きかけている。  このまま戦ったら間違いなく魔力が尽きて死ぬか倒れる羽目になるだろう。 「やめろバーサーカー! 令呪使うぞ令呪!」 「え、なに? 令呪を使って援護してくれるって? マジかよウェイバーたん優しい! デレたか? ついにデレた?」 「違う!?」  ランサー主従に聞こえないように――どうかそうであって欲しいと願いながら――悲鳴じみた抗議を挙げるウェイバー。  実際、戦うなら令呪を使って魔力を補充するしかないのは事実だったが――そうなれば、消耗している相手も令呪を使って来る可能性は高い。  そして令呪の撃ち合いなどという事態になれば、不利なのはウェイバーの方だ。 「やめろ! やめてくれ! やめてくださいお願いします!」  もはやマスターとしての恥も外聞もなく、ウェイバーは懇願した。  これで止まらないならば、遺憾ながら令呪を使って戦闘をやめさせる以外にない。  そしてバーサーカーは―― 「ウェイバーたんがそこまでお願いするならオッケー、ここはデップーちゃん猫みたいに牙を収めちゃうぜ? ここでアイツら撃ったら読み手に叩かれちまうかもだしな! パニッシャーの真似して好き勝手皆殺しにしても拍手されてた頃が懐かしいぜ。  ――ところで今のウェイバーたんのお願い録画し損ねたんだけど、カメラあるか? おい、そこのお前だよお前! あ、文章だから見えねぇのか! 涙目のウェイバーたんが生で見れないなんて残念だったな!」  止まった。  相変わらず虚空に向けての妄言を止めてはいないが――「だから妄言じゃねぇよ、お前だお前!」――バーサーカーはミニガンを仕舞い込み、攻撃態勢を解いていた。 (……た、助かった……)  内心胸を撫で下ろしながらも、ウェイバーはすぐさまその場を去るべく踵を返して―― 「……あー、ウェイバーたん」 「な、なんだよ……戦わないんだろ、今更やめるとか言ったら本気で令呪使って――」 「いや、コイツは本気でうっかりしてたヤツなんだけどさ……『逃げるなら……いや、もう遅いか』ってカンジ?」 「……え?」  厭な予感が噴き出す。バーサーカーに気を取られて目の前のランサーとそのマスターから意識を完全に外していた事に、ウェイバーは今更気がついた。 「――待ちなさい。このまま逃げるなんて、許さないんだから」  背中から突き刺さる敵意に、ウェイバーは立ち止まらざるを得なかった。                             ●  ……運が良かった。  バーサーカー達が何処かに行ってしまう前に、どうにか引き留めることができた。 「で、どうするの子ブタ。こいつら、アサシンの知り合いでしょう?  戦うの? アサシンの行方も知ってるかもしれないし、叩きのめせば聞きだせるかも」  槍を構えバーサーカーを牽制しながら、エリザが問いかける。  ここは――     戦う。     >戦わない。  ……いや、必ずしも戦う必要があるとは限らない。  自分の目が正しければ、キャスターを倒した直後のアサシンはバーサーカーにも襲いかかろうとしていた。  魔物の群れの前に現れた時の会話から、何らかの協力関係にあったのは間違いないだろうが――だとしても、アサシンとバーサーカーの関係はそこまで明確なものではなかったのかもしれない。  そこまで含めてこちらを油断させるための策略だったとしても、あまりに迂遠すぎる。キャスターを倒した時点で最初からアサシンとバーサーカーで襲いかかっていれば、こちらはひとたまりもなかっただろう。  であるならば、話し合いをする余地はゼロではない。 「……本気なの?」  もちろん、理由はそれだけではない。  バーサーカー。彼の再生能力は、明らかに異常だ。キャスターとの戦いの最中にもかなりの速度で再生していたが――戦いが終わった今となっては、既にキャスター戦のダメージは何事もなかったかのように消えてしまっている。  サーヴァントとして召喚されている以上、弱点が存在しないわけではないだろう。だが、キャスターとの戦いで消耗した今戦うのはあまりにも厳しい。  戦わずに済むならば、それに越したことはない。 「……わかったわよ。そこまで言うなら聞いてあげるわ、子ブタ。  ――今回はやる気がないなら見逃してあげるわ。私のマスターが寛大で良かったわね、バーサーカー」 「なんだよ誤解フラグで戦闘とかないのかよ。パロロワだろ? もっとやる気出せよ書き手」 「だからお前はっ……滅多な事を、……言うなっ!」  揶揄するようにおどけるバーサーカーを、マスターがうんざりしたように怒鳴りつける。  ……喋れるバーサーカー。よくよく考えてみれば、月の聖杯戦争では出会った経験のないタイプのサーヴァントだ。  いや。正確には、見たこと自体はあったりするわけだが―― 「……なによ子ブタ。いきなりこっち見て」  まあ、それは置いといて。  やはり喋れるとはいっても、バーサーカーと意思疎通を行うのは並大抵の事ではないらしい。  それは目の前のバーサーカーを見てもよくわかった。 「オイオイ、そういう言い方はないだろ? これでもオレちゃん親しみやすくしてやってる方なんだぜ? いきなり英語で喋っても読めないだろ、読み手が」 「だからお前はちょっとでいいから黙っててくれ……」  再び喋り出したバーサーカーを、マスターが手ぶりで制する。  そして一つ、大きな溜息を吐いた。 「……わかったよ。アサシンの事が聞きたいんだろ。でも、こっちだって細かいところは知らないからな」                              ● 「――で、しんのすけは……死んだ。  ……その後、アサシンにキャスターを一緒に討伐してくれるかって頼まれて、ボクはここに来たんだ」  バーサーカーのマスター――ウェイバー・ベルベット。  彼が語ったのは、アサシンが自らのマスター――野原しんのすけを失うまでの顛末だった。  それを終わりまで聞いたエリザが、こちらの意思を確認するように顔をちらりと向けてくる。 「……で、どうするの? この話、信じるの? 子ブタ」  信じる――というよりも、辻褄は合っていると思う。  アサシンが遠坂凛を襲撃したのは朝方。  バーサーカーが魔物に襲われているしんのすけを助け、アサシンと戦ったのが昼頃。  そして、しんのすけが殺されたのが夕方。  この話が正しければ、悠に半日の間アサシンは自らのマスターを守って戦っていたことになる。  魔力が尽きかけていたとはいえ、あのランサーを圧倒するような英霊であっても……それだけの時間を戦っていれば魔力はどうしても消耗する。  それに加えてマスターを失っていれば、たとえ『単独行動』の特徴(スキル)を持ったサーヴァントだろうと常態の2割の戦闘能力も発揮できないだろう。  そんな状態では、キャスターどころかキャスターの魔物にも苦戦する有様でも不思議はない。  そしてマスターを守るために他の主従を襲撃し令呪を使わせるような、手段を選ばないサーヴァントであれば―― 「復讐のために、一時的なマスターを裏切ってもおかしくない……ってわけね」  話を聞く限り、アサシンは己のマスターであるしんのすけには過剰なまでの忠誠心を。そして、それを殺したキャスターには強い復讐心を見せていたようだ。  であるならば、その復讐を遂げるために新たなマスターである遠坂凛を裏切った――という可能性は捨て切れない。 「……確かに、そうかもな。アサシンの奴……しんのすけが死んだ直後、かなり取り乱して地面を何度も殴りつけてた。  かなり堪えてたみたいだし……復讐で頭がいっぱいになっててもおかしくない」 「実際はおじいちゃんの犯行なんだけどな。まあ結果的にはそうなっちゃうかー、そうだよなー」  ウェイバーは同意。バーサーカーは……何を言っているのかはわからないが、うんうんと頷いている。  まあ、それはともかく。もしそうだとすれば、キャスターのマスターを連れて撤退したアサシンが次に取る行動もそれなりに想像がつく。  アサシンはキャスターへの復讐を果たした。アサシンが復讐を重要視するならば、次に取る行動は――     >アサシンを狙う     自分達を狙う     ルーラーを狙う  ウェイバーが赤黒のアサシンから存在を伝えられたという、『NPCを扇動し、暴徒化させたアサシン』。  ウェイバーの話では、しんのすけが殺された時、暴徒と化したNPCの影からキャスターの魔物が現れたという。  この事から、おそらくは例のアサシンとキャスターは協力関係にあったと推測できる。  赤黒のアサシンが復讐を目的とするなら、これを見逃すはずはないだろう。  もし赤黒のアサシンを追うのならば、一つの指針となる。 「……って、おい。折角行ったのに、またアサシンを追うのか? そりゃ、そっちはその……仇討ち、したいんだろうけどさ」  凛を殺させてしまった負い目があるのか、ウェイバーが遠慮がちに問うてくる。  ――遠坂凛の仇討ちをしたいという気持ちがないと言えば、それは嘘になるだろう。  だが、それよりも。赤黒のアサシンが、こちらを放っておくとは思えない。  もし赤黒のアサシンが復讐を遂げた時、次の目標となるのはなにか。  復讐の手段を選ばない程に元のマスターに対して高い忠誠心を持っていたのなら、復讐を果たした後は―― 「……なるほど。聖杯を使って、元のマスターの蘇生を願ってもおかしくないわね」  エリザに頷く。  そしてその時、赤黒のアサシンにとって真っ先に狙うべき対象は―― 「――ボク達、ってことか?」  そう。  赤黒のアサシンにとって、自分たちは己の手の内を知られている相手だ。  聖杯を手に入れる気になった場合、最優先で始末したい対象と見られてもおかしくはない。 「え、名物のビックリドッキリエントリーしてくれんの!? やべェちょっと見たい!」  こちらが赤黒のアサシンの手の内を知っているのと同じように、彼もこちらの手の内を知っている。  こちらの手の内を知っているアサシンのサーヴァントに率先して狙われている状態になれば、あまりにも危険だ。  ならば、先手を打って行動するのも考慮に入れておきたい。 「で、どうするの子ブタ? アサシンに狙われてるかもしれない、“もう一人のアサシン”に接触する?」  ……いや。  敵の敵は味方――というワケにも、いかないだろう。  赤黒のアサシンはこちらにとって脅威だが、しかし『NPCを操るアサシン』も、推測が確かならば一時的とはいえキャスター――大魔王バーンと協力関係にあったサーヴァントだ。  一筋縄の相手とは思えない。むしろ、警戒すべき相手の可能性もある。  ここはウェイバーとバーサーカーとも協力せざるを得ない、と思うのだが――どうだろうか。 「……わかった、ボクは賛成だ。どうせ乗りかかった船だし……そっちの話が正しければ、バラバラだと各個撃破されるだけだろうからな。アサシンをどうにかするまでは協力する。  でも、こっちのサーヴァント……はともかく、そっちのサーヴァントはいいのか?」 「子ブタが言うなら我慢するわよ。ムサくて華がないのは気に入らないけどね」 「お? 花? オレちゃん花なら咲かせられるぜ。真っ赤な花だけだけどな。いや、中身によっては緑とかもイケるか」  ウェイバーと――少し心配していたが、エリザも問題なさそうだ。よかった。  なら、簡単にでもこの次の行動方針について決めておきたいところだが――さて、どうしよう。  警戒を兼ねて『NPCを操るアサシン』を探してみるにしても、流石に情報が少なすぎる。そもそも、キャスター戦に参戦しなかった事を考えると既にこの周辺を離れていてもおかしくない。 「……なら、一旦休まないか? ボクはもう、流石に魔力の消耗がキツいんだ。  これ以上バーサーカーに戦わせてたら本気で身がもたない」  考えあぐねていたところに、ウェイバーが打診してくる。  ……確かに、ウェイバーだけでなくエリザもかなりの魔力を消費している。なにか行動を起こす前に、休憩し魔力を回復するのがいいかもしれない。 「この近くに、ボクの住んでいるマンションがある。そこで休もうと思う。そっちはどうするんだ? ……アサシンの事を考えると、一緒に休みたいんだけど」  元の住居は橋の向こう。今まで使っていた遠坂邸は近場だが、アサシンに既に住所が割れている。  どちらも今から休憩するには適さないだろう。ここは、申し出を受け入れる事にした。 「マンションねえ……私とマスターを迎え入れるには適さないけど、まあ我慢してあげるわ」  憎まれ口を叩きながら、エリザもついて来てくれる。  先導するウェイバーの後を追いながら――最後にもう一度、遠坂凛の形見、アゾット剣を握り締めた。  ――夜はまだ、続いている。 【B-4/高層マンション跡地/一日目/夜】 【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:健康、喪失感 [令呪]:残り二画 [装備]:アゾット剣 [道具]:携帯端末機 [所持金] 普通の学生程度 [思考・状況] 基本行動方針:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。 1. 休息するために、ウェイバーの自宅へ。 2. 『NPCを操るアサシン』を探すかどうか……? 3. ウェイバー陣営と一時的に協力。 4. 狙撃とライダー(鏡子)、アサシン(ニンジャスレイヤー)、『NPCを操るアサシン』を警戒。 5. 聖杯戦争を見極める。 6. 自分は、あのアーチャーを知っている───? [備考] ※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。 ※遠坂凛の記憶の一部と同調しました。 ※ルーラー(ジャンヌ)、バーサーカー(デッドプール)、アサシン(ニンジャスレイヤー)のパラメーターを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。  しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。 ※足立透の人相を聞きました。 ※『NPCを扇動し、暴徒化させる能力を持ったアサシン』(ベルク・カッツェ)についての情報を聞きました。 【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中) [装備]:監獄城チェイテ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。 0. 元気出しなさいよ、子ブタ。 1.アサシン(ニンジャスレイヤー)は許さない。 [備考] ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。 【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】 [状態]魔力消費(極大)、心労(大)、嘔吐跡 [令呪]残り二画 [装備]デッドプール手作りバット [道具]仕事道具 [所持金]通勤に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:現状把握を優先したい 1.休憩の為に一度家に戻る。 2.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上令呪を使用するのは…… 3.バーサーカーはやっぱり理解できない。 4.アサシン(ニンジャスレイヤー)に不信感と警戒。 [備考] ※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。 ※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。 ※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。 ※午前の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。 ※ランサー(エリザベート)、アサシン(ニンジャスレイヤー)の能力の一部(パラメータ、一部のスキル)について把握しています。 ※アサシンからキャスター(大魔王バーン)とそのマスター(足立)、あくまのめだま・きめんどうし・オーク・マドハンド・うごくせきぞうの外見・能力を聞きました(じんめんちょうについては知りません)   また、B-4倉庫の一件がきめんどうしをニンジャが倒したときの話だと理解しました。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。 ※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。 ※放送を聞き逃しました 【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】 [状態]魔力消費(中)、再生中 [装備]ライフゲージとスパコンゲージ(直った) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針: 一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー 0.汚いなさすがニンジャきたない 1.あれ? そういやなんか忘れてる気がするけどなんだっけ? [備考] ※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。 ※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。 ※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。 ※放送を聞き逃しました。                                 † † †  薄暗い聖堂に、二対の靴音が響く。 「よかったですね」 「岸波白野が、まだ戦う気概を持っていて」  片方の靴音の主――カレン・オルテンシアは、ぽつりとそんな言葉を漏らした。 「……そんな事よりも、カレン。  ――どうやら、月海原学園で規模の大きな戦闘があったようです。マンションの件と合わせて、隠蔽の措置を」  もう片方の靴音の主――ルーラーは、既に裁定者の仮面を被っている。  岸波白野の幸運を祈った個人は、その姿から伺うことはできない。 「そうですか。では、情報隠蔽を行っておきます。マンションの件は『局地的な地盤沈下と手抜き工事による崩落事故』、月海原学園については『ガス爆発』というニュースを流しましょう」  残念そうな顔をしながら、カレンは応じた。  ――NPCの認識それ自体は、日常からはみ出た異常に対してはそれを捻じ曲げられ認識しきれないのがデフォルトになっている。  大魔王バーンによる250人の魂喰い――その余波は冬木市中に及ぶだろうが、最終的にはそのNPCの消失は『マンションの倒壊による死者』として扱われるだろう。  だが、『月海原学園で謎の爆発事件が起きた』という噂、そしてニュース自体を消し去る事はできない。  その不審なニュースを隠蔽し、表向き『単なるガス爆発』として扱わせるのは、管理役の仕事の一つだった。 「では、私は出ます。後は宜しくお願いします、カレン」  そう言い残し、ルーラーは聖堂の扉を開け夜の闇の中へと飛び出す。  後に残されたカレンは、溜め息を吐いて業務に取り掛かった。 【D-5/教会/1日目 夜】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 1. タスクは幾つか溜まっていますが、どれから片付けるべきか――。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 ※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。 ※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。足立へのペナルティは一旦保留という扱いにしています。 ※令呪使用→エリザベート(一画)・デッドプール(一画)・ニンジャスレイヤー(一画)・カッツェ(一画) 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [令呪]:不明 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。 1. 月海原学園での戦闘および、B-4でのマンション倒壊の情報隠蔽。 2. ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。 [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。  そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。 ※管理役として、箱舟内のニュースや噂などで流れる情報を操作する権限を持っています。 |BACK||NEXT| |139:[[私ではなく、オレが殺す]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|141-a:[[we are not alone]]| |139:[[私ではなく、オレが殺す]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|141-a:[[we are not alone]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[岸波白野]]&ランサー([[エリザベート・バートリー]])|| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[ウェイバー・ベルベット]]&バーサーカー([[デッドプール]])|| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[カレン・オルテンシア]]|| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|ルーラー([[ジャンヌ・ダルク]])||
*Fly into the night ◆ACfa2i33Dc  ◆選択――岸波白野     ・ルーラー達を見送る。     >・ルーラー達を呼び止める。  アゾット剣を――彼女の形見を、もう一度握り締める。  遠坂凛の死は悲しく、そして重い。彼女が死んだという事実を自分は長い間、背負い続けることになるだろう。  だが――だからといって。ここでその悲しみに膝を折り、前に進むのを一瞬でもやめることはできない。  そんな事をすれば、余計自分はランサーや遠坂凛に顔向けできなくなってしまう。 「……どうかしましたか?」  こちらの引き留める気配を察したか、ルーラーとカレンが振り向いた。  質問がある。そう前置きして、続く言葉を彼女達に投げかける。  内容は――     アサシンについて。     この戦いの後始末はどうする?     >『方舟』と、ムーンセルの関係とは?  ――この『方舟』について、聞いておきたい。 「……方舟とムーンセルについて、ですか?」  この状況で、そんな質問をされた事に困惑したのか――返答するルーラーの声には、動揺の色が混じっている。  確かに、他にも質問をしたい事は山ほどある。  遠坂凛を殺害し、キャスターのマスターを確保して逃走したアサシンについて。結果的に多くの魂喰いが判明し、更に多くの被害を生み出したこの戦いをどう隠蔽するのかについて。  だが。あくまで聖杯戦争の参加者であるアサシンとそのマスターについて聞こうとしたところで、公平を旨とする彼女たちは答えてはくれないだろうというのは予測がついたし、後者は結局管理者であるカレンとルーラーの領分で、自分が聞いても大した意味はない。  そしてそれらよりも――自分の頭に、以前から強く引っ掛かっていた疑問がある。 「……ああ、成程。そういう事ですか」  こちらの意を得たと言わんばかりに、カレンが手を打つ。 「“あなたの願い”が叶えられたのならば、どうしてこのような聖杯戦争が起こっているのか――貴方が問いたいのは、そこですね」  その通りだ、と首肯する。  キャスターとの戦いの前に懸念した、聖杯――引いてはムーンセルそのものについての疑問。  岸波白野の願いが正しく聞き届けられたのならば、岸波白野の世界において、ムーンセルを巡った聖杯戦争は二度と起こらないはず。  並行世界の遠坂凛がここにいた以上、この世界が並行世界の別のムーンセルであるという可能性は捨てられるものではないが――しかしそれはそれで、なぜ単なる異常《エラー》データに過ぎなかった岸波白野が並行世界のムーンセルに移動してしまったのかという疑問が残る。 「……いいでしょう。私が知っている範囲で解答します」  そう言ったカレンは、既にリターンクリスタルを懐に仕舞い込んでいる。  ……どうやら、こちらの質問に答えてくれるつもりのようだ。 「まず前提として。貴方の願いは、正常に聞き届けられました。少なくとも、私の知識にはそう記録されています」  なるほど。つまりムーンセルと地球は、確かに切り離されたということか。  しかし――ならば、何故また岸波白野は、聖杯戦争の場に立っているのだろう? 「それについては、私に解答することはできません。代わりに、本来の質問内容――このアークセルと、ムーンセルの関係について話すことにしましょう」  アークセル――方舟。  自分の知る『月の聖杯戦争』にはなかった存在。  この聖杯戦争がムーンセルを巡ったものでありながら、岸波白野の知るそれと大きな違いを持っている理由は――やはり、方舟との関わりによるものなのだろうか? 「アークセルはムーンセルの子機というべき存在……ではありますが、しかし、おかしいとは思いませんでしたか?」  ――おかしい?  ……いや、そうだ。  カレンにそう問われて、やっと気が付くことができた。  アークセルは“方舟”。ムーンセルは“聖杯”。この二つが繋がりがあるという事実が、しかしそこから不自然だったのだ。 「“方舟”と“聖杯”。……この二つは本来、繋がりのない伝承です。ムーンセルは厳密には『聖杯』そのものではありませんが、それでも同時に取り扱われる物としては不適当でしょう」  “方舟”が創世記に記されたノアの方舟を指すのならば。福音書に描かれる、神の子の血を受けた器である“聖杯”とはまったく別の伝説に登場する聖遺物だ。  無論、大元を辿れば同じ神話に属する聖遺物でこそあるが――それにしても、『主の啓示を受けて作られた聖遺物』である方舟と、『主の子の血を受けた器』である聖杯の間に、本来子機・親機のような順序など存在しない。 「この事からわかるように――アークセルの機能は、ただの“子機”というだけではありません。ムーンセルとアークセルには関連性は存在しますが、しかしそれぞれで独立しているのです」  ……アークセルの本来の機能。  元々の“ノアの方舟”の伝承から考えれば、それは―― 「来たる大災害のための救済――それから転じて、“魂を拾い上げるもの”。それが本来のアークセルの機能です」  ――魂を拾い上げる。  確かに、“方舟”の機能としては違和感はない。だが、その方舟が聖杯戦争においてムーンセルとの関係性を持つ理由。  そして、参加者の選定と会場としての役割以外に他の役割を持っているとしたら――それはいったい? 「……それについては、私には解答できません」  そう言って、カレンは目を軽く伏せる。  解答できない――それはつまり、ムーンセルやアークセルからその権限を与えられていないということだろうか。 「権限がない――というのもそうですが、元より解答できるだけの知識を所持していませんから。  NPCとしての私に与えられたのは、あくまで裁定者として必要な知識のみ」  その言葉に、月の聖杯戦争で出会った管理用NPC――桜や一成を思い出す。  月の裏側……の事は特殊なケースだから置いておくにしても、月の表側においては、確かに彼等も全てを知っているというわけではなかった。  カレンもまた管理用のNPCに過ぎないのならば、その権限を越えた知識を持っていないのは確かに納得できる。 「それ故に、これで私の話せる事はすべてです。納得して頂けたでしょうか」  そう言って、カレンは懐から再びリターンクリスタルを取り出した。  ――ああ、ありがとう。  何故、ムーンセルにとっては単なるエラーデータに過ぎない岸波白野がここにいるのか。  アークセルとムーンセルの繋がり、それにおいてアークセルが果たす役割とはなんなのか。  そして、独立しているアークセルとムーンセルに繋がりが生まれた事に理由はあるのか。  未だに疑問は多いが、この情報はそれを解く足がかりに違いない。 「――岸波白野」  ――不意に。  カレンの隣、今まで沈黙を保っていたルーラーが、こちらに向かって問うた。 「あなたはまだ、戦うつもりなのですか?」     >――当然だ。 「そうですか。――あなたの聖杯戦争に良き前途があることを、裁定者としてではなく個人として祈っています」  そのルーラーの言葉と共に。今度こそ、カレンとルーラーはリターンクリスタルを使い姿を消した。  さて。次は――                              ●  ◆逡巡――ウェイバー・ベルベット 「……どうするんだよ、これ」  キャスター討伐戦にウェイバー・ベルベットを誘ったアサシンは、己のマスターとして契約した少女を殺した後逃げ出した。  あの尋常ならざる様子からして、なにか事情があったのかもしれない。そもそもウェイバーにも、魂喰いを行った後のアサシンの大暴れがなければ全滅していた可能性は高かった、というのはわかる。  だが、それとこれとは全く別の話だ。  アサシンが一時的な物だったとはいえ己のマスターを騙し討ちしたのは明らかな事実だし、それを釈明する事もなくキャスターのマスターを確保して逃亡したのも事実。  裏切ったのだ、アサシンは――何を、と言えば、期待を。 (ホント、どうすんだよこれ……)  アサシンはウェイバーに一言もなく、その場にウェイバーと見知らぬランサーのマスターを残して行ってしまった。  ウェイバーからすれば、梯子を外された状態である。  キャスターの撃破という当面の目標を終えた以上、引き返すのが一番なのはウェイバーにもわかっているが―― (……あいつら、このままボクらを見逃してくれるのか?)  問題は、すぐそこにいるランサーとそのマスターだ。  ランサーのマスターは、アサシンが殺した少女と随分仲が良い様子だった。アサシンについて思うところは当然あるだろう。  そしてあの二人からすれば、ウェイバーとバーサーカーは『裏切って何処かに行ったアサシンが呼んで来ていた主従』である。アサシンの仲間扱いされて攻撃を受けても何ら不思議ではない。 (……いっそのこと、今のうちに逃げてもいいんじゃ)  この状況で戦えるわけがない。いや、バーサーカーは大丈夫かもしれないが、ウェイバーの方は間違いなく魔力の消耗で死ぬ。  となれば、これ以上話を拗らせる前に逃げる――というのは、それなりに魅力的な行動であるようにウェイバーには思えた。関係の修復は難しくなるかもしれないが、元より聖杯戦争の参加者同士だ。  幸い、今はランサーのマスターは監督役と何やら話し込んでいる。ランサーはともかく、マスターの注意が逸れているなら逃げるのは難しくはない、とウェイバーは判断した。 「……バーサーカー、あいつらの注意がこっちに向かない内に逃げるぞ」  じりじりと後ずさりしながら、小声でバーサーカーに囁く。――しかし、バーサーカーの返答はない。 (……バーサーカー?)  訝しみながら、ウェイバーはバーサーカーの方を振り向く。  ――そして次の瞬間、顔を驚愕に固まらせた。 (……なにやってんだお前ぇえええええええ!?) 「どうしたウェイバーたん? オレちゃん今アイツらどうぶっ殺すか考えてるところなんだけど」  バーサーカーは既に武装していた。背には刀、手には銃器。  今はくるくると手の中でミニガンを弄んでいるが、本人の性格から考えれば先程の言葉通り、次の瞬間にはランサーかそのマスターに襲いかかってもおかしくない。 (――そうだった、コイツはこういう奴だった。キャスター戦あたりからやけに大人しかったから油断してた!)  バーサーカー――デッドプールを制御することなどできないし、その行動を予測する事はもっと不可能である。  デッドプールはヒーローだが、しかし、それと同時に予測不可能な『狂人』(バーサーカー)なのだ。 「そうそう、それだよお前。そういう評判がそこかしこで立ってるからさ、ここはひとつオレちゃんヒーローとして期待に応えてみようかなって思ったんだ。  それにアイツら、生かしとくと主人公オーラでウェイバーたんの出番を食いそうだし?」  相変わらず虚空に向かって支離滅裂な妄言を喋りながら、バーサーカーは手にしたミニガンを振り回している。  実際にそれを撃つような事がなくとも、ランサーとそのマスターに気付かれれば戦うつもりだと誤解される危険性は十分にある。 (まずいまずいまずいまずいまずい!)  相手のランサーも消耗している。こちらが万全な状態なら、ウェイバーにも一考する余地はあったかもしれない。  だが今はまずい。バーサーカーはその再生能力でピンピンしているかもしれないが、ウェイバーの魔力は底を尽きかけている。  このまま戦ったら間違いなく魔力が尽きて死ぬか倒れる羽目になるだろう。 「やめろバーサーカー! 令呪使うぞ令呪!」 「え、なに? 令呪を使って援護してくれるって? マジかよウェイバーたん優しい! デレたか? ついにデレた?」 「違う!?」  ランサー主従に聞こえないように――どうかそうであって欲しいと願いながら――悲鳴じみた抗議を挙げるウェイバー。  実際、戦うなら令呪を使って魔力を補充するしかないのは事実だったが――そうなれば、消耗している相手も令呪を使って来る可能性は高い。  そして令呪の撃ち合いなどという事態になれば、不利なのはウェイバーの方だ。 「やめろ! やめてくれ! やめてくださいお願いします!」  もはやマスターとしての恥も外聞もなく、ウェイバーは懇願した。  これで止まらないならば、遺憾ながら令呪を使って戦闘をやめさせる以外にない。  そしてバーサーカーは―― 「ウェイバーたんがそこまでお願いするならオッケー、ここはデップーちゃん猫みたいに牙を収めちゃうぜ? ここでアイツら撃ったら読み手に叩かれちまうかもだしな! パニッシャーの真似して好き勝手皆殺しにしても拍手されてた頃が懐かしいぜ。  ――ところで今のウェイバーたんのお願い録画し損ねたんだけど、カメラあるか? おい、そこのお前だよお前! あ、文章だから見えねぇのか! 涙目のウェイバーたんが生で見れないなんて残念だったな!」  止まった。  相変わらず虚空に向けての妄言を止めてはいないが――「だから妄言じゃねぇよ、お前だお前!」――バーサーカーはミニガンを仕舞い込み、攻撃態勢を解いていた。 (……た、助かった……)  内心胸を撫で下ろしながらも、ウェイバーはすぐさまその場を去るべく踵を返して―― 「……あー、ウェイバーたん」 「な、なんだよ……戦わないんだろ、今更やめるとか言ったら本気で令呪使って――」 「いや、コイツは本気でうっかりしてたヤツなんだけどさ……『逃げるなら……いや、もう遅いか』ってカンジ?」 「……え?」  厭な予感が噴き出す。バーサーカーに気を取られて目の前のランサーとそのマスターから意識を完全に外していた事に、ウェイバーは今更気がついた。 「――待ちなさい。このまま逃げるなんて、許さないんだから」  背中から突き刺さる敵意に、ウェイバーは立ち止まらざるを得なかった。                             ●  ……運が良かった。  バーサーカー達が何処かに行ってしまう前に、どうにか引き留めることができた。 「で、どうするの子ブタ。こいつら、アサシンの知り合いでしょう?  戦うの? アサシンの行方も知ってるかもしれないし、叩きのめせば聞きだせるかも」  槍を構えバーサーカーを牽制しながら、エリザが問いかける。  ここは――     戦う。     >戦わない。  ……いや、必ずしも戦う必要があるとは限らない。  自分の目が正しければ、キャスターを倒した直後のアサシンはバーサーカーにも襲いかかろうとしていた。  魔物の群れの前に現れた時の会話から、何らかの協力関係にあったのは間違いないだろうが――だとしても、アサシンとバーサーカーの関係はそこまで明確なものではなかったのかもしれない。  そこまで含めてこちらを油断させるための策略だったとしても、あまりに迂遠すぎる。キャスターを倒した時点で最初からアサシンとバーサーカーで襲いかかっていれば、こちらはひとたまりもなかっただろう。  であるならば、話し合いをする余地はゼロではない。 「……本気なの?」  もちろん、理由はそれだけではない。  バーサーカー。彼の再生能力は、明らかに異常だ。キャスターとの戦いの最中にもかなりの速度で再生していたが――戦いが終わった今となっては、既にキャスター戦のダメージは何事もなかったかのように消えてしまっている。  サーヴァントとして召喚されている以上、弱点が存在しないわけではないだろう。だが、キャスターとの戦いで消耗した今戦うのはあまりにも厳しい。  戦わずに済むならば、それに越したことはない。 「……わかったわよ。そこまで言うなら聞いてあげるわ、子ブタ。  ――今回はやる気がないなら見逃してあげるわ。私のマスターが寛大で良かったわね、バーサーカー」 「なんだよ誤解フラグで戦闘とかないのかよ。パロロワだろ? もっとやる気出せよ書き手」 「だからお前はっ……滅多な事を、……言うなっ!」  揶揄するようにおどけるバーサーカーを、マスターがうんざりしたように怒鳴りつける。  ……喋れるバーサーカー。よくよく考えてみれば、月の聖杯戦争では出会った経験のないタイプのサーヴァントだ。  いや。正確には、見たこと自体はあったりするわけだが―― 「……なによ子ブタ。いきなりこっち見て」  まあ、それは置いといて。  やはり喋れるとはいっても、バーサーカーと意思疎通を行うのは並大抵の事ではないらしい。  それは目の前のバーサーカーを見てもよくわかった。 「オイオイ、そういう言い方はないだろ? これでもオレちゃん親しみやすくしてやってる方なんだぜ? いきなり英語で喋っても読めないだろ、読み手が」 「だからお前はちょっとでいいから黙っててくれ……」  再び喋り出したバーサーカーを、マスターが手ぶりで制する。  そして一つ、大きな溜息を吐いた。 「……わかったよ。アサシンの事が聞きたいんだろ。でも、こっちだって細かいところは知らないからな」                              ● 「――で、しんのすけは……死んだ。  ……その後、アサシンにキャスターを一緒に討伐してくれるかって頼まれて、ボクはここに来たんだ」  バーサーカーのマスター――ウェイバー・ベルベット。  彼が語ったのは、アサシンが自らのマスター――野原しんのすけを失うまでの顛末だった。  それを終わりまで聞いたエリザが、こちらの意思を確認するように顔をちらりと向けてくる。 「……で、どうするの? この話、信じるの? 子ブタ」  信じる――というよりも、辻褄は合っていると思う。  アサシンが遠坂凛を襲撃したのは朝方。  バーサーカーが魔物に襲われているしんのすけを助け、アサシンと戦ったのが昼頃。  そして、しんのすけが殺されたのが夕方。  この話が正しければ、悠に半日の間アサシンは自らのマスターを守って戦っていたことになる。  魔力が尽きかけていたとはいえ、あのランサーを圧倒するような英霊であっても……それだけの時間を戦っていれば魔力はどうしても消耗する。  それに加えてマスターを失っていれば、たとえ『単独行動』の特徴(スキル)を持ったサーヴァントだろうと常態の2割の戦闘能力も発揮できないだろう。  そんな状態では、キャスターどころかキャスターの魔物にも苦戦する有様でも不思議はない。  そしてマスターを守るために他の主従を襲撃し令呪を使わせるような、手段を選ばないサーヴァントであれば―― 「復讐のために、一時的なマスターを裏切ってもおかしくない……ってわけね」  話を聞く限り、アサシンは己のマスターであるしんのすけには過剰なまでの忠誠心を。そして、それを殺したキャスターには強い復讐心を見せていたようだ。  であるならば、その復讐を遂げるために新たなマスターである遠坂凛を裏切った――という可能性は捨て切れない。 「……確かに、そうかもな。アサシンの奴……しんのすけが死んだ直後、かなり取り乱して地面を何度も殴りつけてた。  かなり堪えてたみたいだし……復讐で頭がいっぱいになっててもおかしくない」 「実際はおじいちゃんの犯行なんだけどな。まあ結果的にはそうなっちゃうかー、そうだよなー」  ウェイバーは同意。バーサーカーは……何を言っているのかはわからないが、うんうんと頷いている。  まあ、それはともかく。もしそうだとすれば、キャスターのマスターを連れて撤退したアサシンが次に取る行動もそれなりに想像がつく。  アサシンはキャスターへの復讐を果たした。アサシンが復讐を重要視するならば、次に取る行動は――     >アサシンを狙う     自分達を狙う     ルーラーを狙う  ウェイバーが赤黒のアサシンから存在を伝えられたという、『NPCを扇動し、暴徒化させたアサシン』。  ウェイバーの話では、しんのすけが殺された時、暴徒と化したNPCの影からキャスターの魔物が現れたという。  この事から、おそらくは例のアサシンとキャスターは協力関係にあったと推測できる。  赤黒のアサシンが復讐を目的とするなら、これを見逃すはずはないだろう。  もし赤黒のアサシンを追うのならば、一つの指針となる。 「……って、おい。折角行ったのに、またアサシンを追うのか? そりゃ、そっちはその……仇討ち、したいんだろうけどさ」  凛を殺させてしまった負い目があるのか、ウェイバーが遠慮がちに問うてくる。  ――遠坂凛の仇討ちをしたいという気持ちがないと言えば、それは嘘になるだろう。  だが、それよりも。赤黒のアサシンが、こちらを放っておくとは思えない。  もし赤黒のアサシンが復讐を遂げた時、次の目標となるのはなにか。  復讐の手段を選ばない程に元のマスターに対して高い忠誠心を持っていたのなら、復讐を果たした後は―― 「……なるほど。聖杯を使って、元のマスターの蘇生を願ってもおかしくないわね」  エリザに頷く。  そしてその時、赤黒のアサシンにとって真っ先に狙うべき対象は―― 「――ボク達、ってことか?」  そう。  赤黒のアサシンにとって、自分たちは己の手の内を知られている相手だ。  聖杯を手に入れる気になった場合、最優先で始末したい対象と見られてもおかしくはない。 「え、名物のビックリドッキリエントリーしてくれんの!? やべェちょっと見たい!」  こちらが赤黒のアサシンの手の内を知っているのと同じように、彼もこちらの手の内を知っている。  こちらの手の内を知っているアサシンのサーヴァントに率先して狙われている状態になれば、あまりにも危険だ。  ならば、先手を打って行動するのも考慮に入れておきたい。 「で、どうするの子ブタ? アサシンに狙われてるかもしれない、“もう一人のアサシン”に接触する?」  ……いや。  敵の敵は味方――というワケにも、いかないだろう。  赤黒のアサシンはこちらにとって脅威だが、しかし『NPCを操るアサシン』も、推測が確かならば一時的とはいえキャスター――大魔王バーンと協力関係にあったサーヴァントだ。  一筋縄の相手とは思えない。むしろ、警戒すべき相手の可能性もある。  ここはウェイバーとバーサーカーとも協力せざるを得ない、と思うのだが――どうだろうか。 「……わかった、ボクは賛成だ。どうせ乗りかかった船だし……そっちの話が正しければ、バラバラだと各個撃破されるだけだろうからな。アサシンをどうにかするまでは協力する。  でも、こっちのサーヴァント……はともかく、そっちのサーヴァントはいいのか?」 「子ブタが言うなら我慢するわよ。ムサくて華がないのは気に入らないけどね」 「お? 花? オレちゃん花なら咲かせられるぜ。真っ赤な花だけだけどな。いや、中身によっては緑とかもイケるか」  ウェイバーと――少し心配していたが、エリザも問題なさそうだ。よかった。  なら、簡単にでもこの次の行動方針について決めておきたいところだが――さて、どうしよう。  警戒を兼ねて『NPCを操るアサシン』を探してみるにしても、流石に情報が少なすぎる。そもそも、キャスター戦に参戦しなかった事を考えると既にこの周辺を離れていてもおかしくない。 「……なら、一旦休まないか? ボクはもう、流石に魔力の消耗がキツいんだ。  これ以上バーサーカーに戦わせてたら本気で身がもたない」  考えあぐねていたところに、ウェイバーが打診してくる。  ……確かに、ウェイバーだけでなくエリザもかなりの魔力を消費している。なにか行動を起こす前に、休憩し魔力を回復するのがいいかもしれない。 「この近くに、ボクの住んでいるマンションがある。そこで休もうと思う。そっちはどうするんだ? ……アサシンの事を考えると、一緒に休みたいんだけど」  元の住居は橋の向こう。今まで使っていた遠坂邸は近場だが、アサシンに既に住所が割れている。  どちらも今から休憩するには適さないだろう。ここは、申し出を受け入れる事にした。 「マンションねえ……私とマスターを迎え入れるには適さないけど、まあ我慢してあげるわ」  憎まれ口を叩きながら、エリザもついて来てくれる。  先導するウェイバーの後を追いながら――最後にもう一度、遠坂凛の形見、アゾット剣を握り締めた。  ――夜はまだ、続いている。 【B-4/高層マンション跡地/一日目/夜】 【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:健康、喪失感 [令呪]:残り二画 [装備]:アゾット剣 [道具]:携帯端末機 [所持金] 普通の学生程度 [思考・状況] 基本行動方針:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。 1. 休息するために、ウェイバーの自宅へ。 2. 『NPCを操るアサシン』を探すかどうか……? 3. ウェイバー陣営と一時的に協力。 4. 狙撃とライダー(鏡子)、アサシン(ニンジャスレイヤー)、『NPCを操るアサシン』を警戒。 5. 聖杯戦争を見極める。 6. 自分は、あのアーチャーを知っている───? [備考] ※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。 ※遠坂凛の記憶の一部と同調しました。 ※ルーラー(ジャンヌ)、バーサーカー(デッドプール)、アサシン(ニンジャスレイヤー)のパラメーターを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。  しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。 ※足立透の人相を聞きました。 ※『NPCを扇動し、暴徒化させる能力を持ったアサシン』(ベルク・カッツェ)についての情報を聞きました。 【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中) [装備]:監獄城チェイテ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。 0. 元気出しなさいよ、子ブタ。 1.アサシン(ニンジャスレイヤー)は許さない。 [備考] ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。 【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】 [状態]魔力消費(極大)、心労(大)、嘔吐跡 [令呪]残り二画 [装備]デッドプール手作りバット [道具]仕事道具 [所持金]通勤に困らない程度 [思考・状況] 基本行動方針:現状把握を優先したい 1.休憩の為に一度家に戻る。 2.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上令呪を使用するのは…… 3.バーサーカーはやっぱり理解できない。 4.アサシン(ニンジャスレイヤー)に不信感と警戒。 [備考] ※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。 ※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。 ※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。 ※午前の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。 ※ランサー(エリザベート)、アサシン(ニンジャスレイヤー)の能力の一部(パラメータ、一部のスキル)について把握しています。 ※アサシンからキャスター(大魔王バーン)とそのマスター(足立)、あくまのめだま・きめんどうし・オーク・マドハンド・うごくせきぞうの外見・能力を聞きました(じんめんちょうについては知りません)   また、B-4倉庫の一件がきめんどうしをニンジャが倒したときの話だと理解しました。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。 ※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。 ※放送を聞き逃しました 【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】 [状態]魔力消費(中)、再生中 [装備]ライフゲージとスパコンゲージ(直った) [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針: 一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー 0.汚いなさすがニンジャきたない 1.あれ? そういやなんか忘れてる気がするけどなんだっけ? [備考] ※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。 ※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。 ※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。 ※放送を聞き逃しました。                                 † † †  薄暗い聖堂に、二対の靴音が響く。 「よかったですね」 「岸波白野が、まだ戦う気概を持っていて」  片方の靴音の主――カレン・オルテンシアは、ぽつりとそんな言葉を漏らした。 「……そんな事よりも、カレン。  ――どうやら、月海原学園で規模の大きな戦闘があったようです。マンションの件と合わせて、隠蔽の措置を」  もう片方の靴音の主――ルーラーは、既に裁定者の仮面を被っている。  岸波白野の幸運を祈った個人は、その姿から伺うことはできない。 「そうですか。では、情報隠蔽を行っておきます。マンションの件は『局地的な地盤沈下と手抜き工事による崩落事故』、月海原学園については『ガス爆発』というニュースを流しましょう」  残念そうな顔をしながら、カレンは応じた。  ――NPCの認識それ自体は、日常からはみ出た異常に対してはそれを捻じ曲げられ認識しきれないのがデフォルトになっている。  大魔王バーンによる250人の魂喰い――その余波は冬木市中に及ぶだろうが、最終的にはそのNPCの消失は『マンションの倒壊による死者』として扱われるだろう。  だが、『月海原学園で謎の爆発事件が起きた』という噂、そしてニュース自体を消し去る事はできない。  その不審なニュースを隠蔽し、表向き『単なるガス爆発』として扱わせるのは、管理役の仕事の一つだった。 「では、私は出ます。後は宜しくお願いします、カレン」  そう言い残し、ルーラーは聖堂の扉を開け夜の闇の中へと飛び出す。  後に残されたカレンは、溜め息を吐いて業務に取り掛かった。 【D-5/教会/1日目 夜】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 1. タスクは幾つか溜まっていますが、どれから片付けるべきか――。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 ※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。 ※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。足立へのペナルティは一旦保留という扱いにしています。 ※令呪使用→エリザベート(一画)・デッドプール(一画)・ニンジャスレイヤー(一画)・カッツェ(一画) 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [令呪]:不明 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。 1. 月海原学園での戦闘および、B-4でのマンション倒壊の情報隠蔽。 2. ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。 [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。  そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。 ※管理役として、箱舟内のニュースや噂などで流れる情報を操作する権限を持っています。 |BACK||NEXT| |139:[[私ではなく、オレが殺す]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|141-a:[[we are not alone]]| |139:[[私ではなく、オレが殺す]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|141-a:[[we are not alone]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[岸波白野]]&ランサー([[エリザベート・バートリー]])|142:[[remorse]]| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[ウェイバー・ベルベット]]&バーサーカー([[デッドプール]])|~| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[カレン・オルテンシア]]|143:[[天国にそっくりな星]]| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|ルーラー([[ジャンヌ・ダルク]])|~|

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