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*Q【くえすちょん】 ◆WRYYYsmO4Y  アサシンことベルク・カッツェは、現在女装した爾乃美家累の姿に擬態していた。  爾乃美家累は性別上は男性だが、端正な顔立ちと華奢な体格も相まって、  女の格好をすると下手な女性より女性らしい、可憐な美少女にしか見えなくなる。  そしてそれ故に、夜道の中で彼の格好は余計に目立ってしまう。  女子高生と思しき少女が夜の街を徘徊するなど、何か訳でもあるとしか思えない。  その周りに数人の監視が付いているのなら、その姿は猶更怪しく映るだろう。  そういう事情もあってか、移動には車が利用される事となった。  綺麗とは言い難い、使い古された五人乗りのミニバンである。  それの後部座席の真ん中に、カッツェは座っている。  彼の両隣には、洗脳されているであろう女性が配置されていた。  フェミニズムに配慮でもしたつもりなのだろうか。  擬態している者の性別は男性だというのに、滑稽は話である。 (しっかしまじ令呪おもんねーわー)  カッツェとしては、車による長い移動は退屈極まりない時間であった。  無言を貫くNPCに囲まれた上、車内では周りの景色も満足に眺めれない。  おまけに、令呪によって発生したのであろう重圧感が未だに燻っている。  退屈どころか、最早不愉快一歩手前の状態である。  果たして、『HAL』なる人物に同行して良かったものなのか。  仮にれんげを発見できたとしても、展開次第では何が起こるか分からない。  最悪の場合、NPCによってれんげが殺害されるという可能性さえ在り得るのだ。  それはそれで美味しいのだが、生憎アサシンはまだまだ愉しんでいたいのである。  その時、スマートフォンが着信音と共に振動を起こした。  手に取って確認してみると、どうやらHALからメールがあったらしい。  送られた伝言には、事務的な口調でこう書かれていた。 『これより孤児院に向かう。そこに君が求めている幼女がいる可能性が高い』 (ちょ……それは流石にないわー)  それを見たアサシンは、怪訝そうに顔を顰めた。  たしかに幼女のいる場所ならどこでもとは言ったが、流石にそれは安直すぎるだろう。  れんげに関しては最低限の情報しか流していないが、それが仇になったか。 (もしかしてミィの事バレてたりしてwwwつーかもうバレてるっしょwwwwww)  いや、もしや。  見つからないのではなく、あえて見つけられないフリをしているのか。  恐らくHALは、自分がサーヴァントである事に気付いている。  何せここまで警戒されているのだ。そう考えない方がおかしいだろう。  そして、こちらがNPCに手出しできない事も把握されている可能性がある。 (ミィがれんちょんと会うのそんなに嫌っすかェwwwwわかるわwwwwww)  もしや、HALは既にこちらの手を読んでいるのか。  自分の狙いが令呪であると見通した上で、マスターとの合流を防いでいるのかもしれない。  もしそうだとしたら、HALは中々に頭の回る相手である。  NPCの扇動を主な武器とするアサシンと、NPCを利用して暗躍するHALとの相性は良いとは言い難い。  もしアサシンがHALと同じ立場なら、尖兵を好き勝手されるのを放っておく訳がないだろう。 (ドラッグ掌握にはまーだ時間かかりそうっすねェ……ムカつくわー)  苛立ちが募るが、そもそも舟に乗りかかったのはこちらの方だ。  仕方ないが、HALの要求通り孤児院に向かうとしよう。  それに、行った先に何が待ち受けているのかまだ分からないのだ。  もしかしたられんげが本当にそこで自分を待っているかもしれないし、  悪意の詰まった脳細胞を満足させるような、新しい標的に出会える確立もゼロではない。  もし玩具(れんげ)に出会えたのなら、その時はめいっぱい遊んでやろう。  刹那主義のアサシンは、ショートケーキの苺は初めに食べる主義なのだ。 ■ □ ■  PCに映し出されるのは、数字の羅列。  一見すると、何を意味するのか不明瞭な数列である。  だがHALの眼を通して見れば、これらは重大な資料へ早変わりする。  HALの電人としての能力のほんの一端である。  表示された暗号を解析し、情報として脳に受信させる。  これを用いる事で、下手な写真や映像よりも鮮明に情景を把握できるのだ。  そうした手段で得た、幾つもの武器(じょうほう)達。  その中でもHALが注目すべきと判断したものは、二つ。  一つは、HALが事前に洗脳した――倒壊したビル付近で殺されかけた――チンピラ達から寄せられた情報だ。  なんでも、彼等が出入りしていたヤクザの事務所に強盗が入ったらしい。  話によれば、強盗は小型金庫を無理やりこじ開け、中の銃器を強奪したというのだ。  更に、破壊された金庫は近くの道に投げ捨てられていたというではないか。  "まるで純粋な握力でこじ開けた"ような指先の跡を、おまけとして残した金庫が。  小型とはいえ金庫を破壊できる程の剛性による犯罪。  まず間違いなく、サーヴァントを用いた犯行である。  随分と不用心なマスターだと、HALはやや呆れ気味に息をついた。 (盗まれたのはデザートイーグルとCZ75B。そこまでの痛手ではないか)  矮小な地方ヤクザの事務所に、過剰な威力を持つデザートイーグルが隠されていた。  その不可解な"謎"は、HALが彼等を利用して武器を密輸入したというのが真相である。  神秘性を伴わない重火器では、ではサーヴァントを殺傷できないのは百も承知だ。  しかし、一方で生身のマスターにダメージを与えるのには十分すぎる威力を持っている。  来たるべき時に洗脳したNPC達に持たせれば、相応の成果が期待できるだろう。  そういった理由もあって、聖杯戦争が正式に開始された以前から、  HALはヤクザの組員を電子ドラッグで洗脳し、武器調達を行っていたのである。  大型金庫には、たしか狙撃銃を始めとした強力な武装が収容されてあった筈だ。  交渉の有効なカードに成り得るであろうそれらが盗まれるのに比べれば、  デザートイーグル等の拳銃の強奪など、些細なものに過ぎない。  とはいえ、聖杯戦争の参加者に武器を強奪されたのは事実である。  武器を手に入れた所有者は、そう遠くない内に敵に向けて発砲するだろう。  もし冬木で銃撃事件があれば、その犯人がマスターだと考えてもいい。 (そう上手くいくとは思えないがな)  夜も更けてきたとはいえ、強盗犯も注意深くなっている筈だ。  銃を使うとしても、可能な限り怪しまれない様に使うと考えるのが道理である。  いくら金庫に証拠を残したとはいえ、相手もそこまで迂闊ではないだろう。  何にせよ、警戒するに越したことはない。  強盗犯についてはチンピラも利用して捜索に当たるとしよう。  尤も、そう簡単に見つかるとも思えないのだが。  そして、もう一つ。  ほんの少し前に監視下に置いたサーヴァントの件である。  収集した情報を元にすれば、奴の素性は容易く割れた。  これは、当の本人が後先考えずに行動してくれたのが大きい。  彼がもう少し冷静に動いていれば、こうまで容易く正体を掴めなかったであろう。  ベルク・カッツェ――自らの能力を以て数多の星を破滅させた異星人。  『他人になりすますサーヴァント』の実態は、まさしく邪悪であった。  言ってしまえば、悪意が服を着て歩いている様な存在である。 (面倒なサーヴァントに出くわしたものだ)  電子ドラッグは抑圧された犯罪願望を解放するものである。  元より犯罪願望を曝け出している悪人には、効き目など無いに等しい。  邪悪だけで構成された怪物に至っては、結果など言うまでもない。  血液の入ったバケツに血を何滴垂らそうが変化が無いように。  悪意そのものに何度電子ドラッグを与えても、何の影響もありはしない。  せいぜいそよ風が吹いた程度にしか思われず、さしたる変異も起こらないだろう。  恐らく、これ以上監視を続けたとしても大したものは得られないだろう。  標的にカッツェを選んだ時点で、実験は失敗したと言ってもいい。  そもそも、何故カッツェは幼女の発見を急いでいるのだろうか。  捜索を願い出ているという事は、つまりこれまで主を放任していたという事になる。  それまで無視しておきながら、どうして今更マスターを探そうとするのか。  第一、子供であれば必ず家庭という居場所がある筈だ。  にも関わらず、カッツェは幼女を見つけられないままでいる。  自分のマスターは帰る場所の無い、天涯孤独の身とでも言いたいのだろうか。 (何か策があるのか、端から策すら持ち合わせていないのか)  仮に後者だとすれば、接触した事自体が痛手である。  何をしでかすか分からない刹那主義者など、爆弾以外の何物でもない。  慎重派のHALにとっては、そんな物をいつまでも抱え込むなど愚策である。  天才・春川英輔をコピーした思考回路を稼働させ、思考する。  ルーラーの令呪に縛られたサーヴァントと、行方知らずのマスター。  二つの点が線で繋がれるのに、そう時間はかからなかった。 (……令呪による制限の解除か?)  マスターが持つとされる三画の絶対命令権――令呪。  あれを用いれば、ルーラーが課した制限の解除が可能だと考えているのではないか。  恐らくマスターであろう幼女を探すのは、その子に令呪を使わせる為。  そう想定すれば、マスターの探索という謎めいた行動にも納得がいく。  NPCに被害を加えられないという枷は、人間の悪意を弄ぶカッツェには苦痛に違いない。  思うに、その枷を外す為なら奴はあらゆる手段を講じるだろう。  マスターとの早期合流も、その手段の一つに過ぎないと考えていい。  そうした事実を考慮した上で、思案を巡らせる。  果たして、カッツェをマスターに合流させるべきなのか。  HALが少し考え込んだ末に下した判断は、NOであった。  カッツェの能力を用いれば電子ドラッグの効力が増幅するのは事実だ。  彼の制限が解放されれば、ドラッグ漬けのNPCは更なる力を得るだろう。  だが、同時に命令を聞かなくなるという致命的なデメリットも備えているのもまた事実。  そもそも、電子ドラッグを用いるのは他の主従の情報収集の為である。  好き勝手に暴れさせる為にNPCを洗脳している訳では断じてないのだ。  水面下で暗躍したい自身の方針と、今すぐにでもNPCを暴れさせたいであろうカッツェ。  相反し合う両者の思想は、最悪の場合互いの首を絞めかねない。  カッツェの方は知らないが、自分が不利な状況に陥る訳にはいかなかった。 (切り捨てるべきか)  多少の情報漏洩はあれど、これ以上関係を持つとこちらに被害が及びかねない。  切り捨てるだけなら、すぐにでも関係を断つ事が出来る。  カッツェに提供したメールアドレスも、複数所持するアカウントの一つ。  ジナコ=カリギリを陥れる際学生に作らせた、言うなれば「捨て垢」というやつだ。  仮にそれ経由で居場所を探ろうとしても、錯刃大学に辿り着くのは困難だろう。  敵のサーヴァントに自分の弱点を曝け出す程、HALは間抜けではない。  しかし、捕えた狂犬をすぐさま野に放してしまっていいものなのか。  ただ逃すだけでなく、他の使い道があるかもしれない。  ここはひとまず、子供がいそうな孤児院にカッツェを誘導するとしよう。  勿論あんな場所に目当ての幼女はいないが、いなくて結構なのだ。  元より、カッツェのマスターに令呪を使わせる気などないのだから。  実を言うと、既にカッツェの探しているであろう幼女は発見できている。  喫茶店でアルバイトをしていたNPCが、それらしき人物を見つけているのだ。  勿論、HALはその情報を依頼主に報告するつもりはないのだが。  マスターとはいえ、相手は所詮ただの幼女に過ぎない。  やろうと思えば今すぐ暗殺に取り掛かれるのだが、生憎そうにもいかなかった。  衆人環視の中の暗殺はリスクが伴うし、何より幼女を保護している女がいるらしいのだ。  彼女の周りにいるその少女も、聖杯戦争の参加者と見て間違いないだろう。  むしろ、その幼女を保護下に置いていた少女の方が重要だった。  というのも、カッツェと遭遇する前から、彼女には警戒せよとNPCに伝えていたからだ。  幼女を発見できたのも、その少女の探索を同時進行させていたからである。  洗脳した警察官の情報によれば、その女性は不審な行動が目立っているのだという。  警察内部からも不可解だという声が漏れ出ている彼女は、聖杯戦争の関係者の可能性がある。  これまでは疑惑程度で済んだ話であったが、カッツェのマスターと行動しているなら話は別だ。 (ホシノ・ルリ……やはり立ちはだかるか)  僅か16歳で警視の階級に上り詰めたエリート中のエリート。  無数の難事件を解決してきたとされる「警視の妖精」。  聖杯を掴もうとする自身の道を遮る、幾つもの壁の内の一つ。  脳裏に浮かぶのは、HALの元いた世界で活躍していた探偵の姿だ。  たしかその少女――桂木弥子と言ったか――も、ルリと同年代だった筈である。  "女子高生探偵"が敵となる事実に、妙な因果を感じざるを得なかった。  注視すべきなのは、なにもホシノ・ルリだけではない。  これまで集めた情報の中には、彼女以外にも強敵の影がいくつも見え隠れしている。  まだ正体の掴めない性技を武器とするサーヴァント。  確実にこの地にいるであろう「アーカード」なる吸血鬼。  B-4のキャスターを抹殺した「忍殺」のマスクを被ったアサシン。  従えたアサシン一人で、これらの敵全員に太刀打ちできるのか。  答えは否だ。それをこなせる程、彼は万能のサーヴァントではない。 (いよいよ動く必要があるな)  難敵達の存在を認知し、HALは改めて認識する。  今の自分達に最も必要なのは、「同士」だ。  カッツェの様な刹那主義者ではなく、聖杯の入手に全力を注げる者。  電子ドラッグを用いずとも、勝利の為に動いていける利口な主従。  手を取り合う価値のある同士なくして、この戦争は乗り越えれない。  あるいは、野良となったサーヴァントを従えるか。  今抱えている膨大な魔力量なら、複数の英霊を従えてもまだ余裕がある。  尤も、偶然マスターを喪ったサーヴァントと出くわすとも思えないが。  だがしかし、アサシンの力を借りれば話は別だ。  彼の本懐はサーヴァントとの戦闘ではなく、マスターの暗殺である。  マスターを殺害した後、契約者を喪ったサーヴァントと契約を結ぶ。  そうした方法で手駒を増やすという選択肢も選ぶ事だって出来るのだ。  時間はある。まだ焦る時期ではない。  着実に勝利へ駒を進めるにはどうするべきか。  僅かなミスも許されない状況で、どう立ち回れば生き残れるのか。  電子の魔人は、ただそれだけを演算し続けている。 ■ □ ■  辺りはすっかり暗くなったというのに、大学にはまだ光が散見する。  実験に時間をかけている学生達が、まだ部屋に残っているからだ。  光が漏れる窓を、魔眼のアサシン――甲賀弦之介は黙して見つめていた。  つくづく、良い時代になったものだと痛感する。  四六時中場を照らす光が満ち溢れ、その中で何をしようがお構いなし。  貧富の差はあれど、誰もが衣食住に恵まれた暮らしをしている。  何より、この世界では血を血で洗う殺し合いがない。  血族の間で横たわる怨念もなく、皆が手を取り合える可能性に溢れている。  それを常識として受け止めれる現代人を、アサシンは羨望の眼差しで見つめる。  言うなれば、アサシンは時代に殺された英霊である。  徳川の跡継ぎ選びが、甲賀と伊賀に殺し合いの道を歩ませた。  そしてその結果、アサシン含む何人もの忍が亡骸となったのだ。  死んだ忍の中には兄妹がいた。恋仲の男女がいた。アサシンの師匠がいた。  そして何より、アサシンが誰よりも愛した女がいたのである。  殺し合いそのものが過ちだったとは思わない。  世継ぎ争いがなければ、この国の命運も大きく変じていただろう。  それこそ、今見える風景とは全く異なる、地獄の様な世となる事もあり得るのだ。  過去を捻じ曲げ未来を変貌させるのは、アサシンとて願ってはいない。  だが、それは殺し合いそのものを肯定するという訳ではない。  愛する者との絆を容赦なく引き裂く戦いなど、誰が望むものか。  人は幾度も戦いを続け、その度に無数の恋人達が死んでいく。  繰り返す悲劇の積み重ねの果てに、如何なる平穏があろうと。  その平穏の下に積まれた屍の山を、アサシンは見過ごせない。  率直に言ってしまえば、アサシンは徳川を許せないでいる。  彼等だけではない。戦いを――"戦争"を望む者を赦す事が出来ない。 「……そなたらは、どうだ」  江戸の世に幕府と呼ばれた存在は、現代で政府と名を変えて続いている。  流石に民主主義となった以上世襲制は消え体勢も大きく変わっているが、国を動かすという一点は同じである。  そして、その政府の一員である政治家に加わろうとする者達が、今選挙と呼ばれる戦いを繰り広げているらしい。  もしも、彼等の中に戦争を望む者がいたのだとしたら。  そして、もしその者が聖杯戦争と関わっていたのだとしたら。  きっとアサシンは、殺意を滾らせずにはいられないだろう。  身勝手な感情である事は分かっている。  これから多くの願いを踏み躙る自分に、糾弾する資格などないのも承知の上だ。  しかし、我が儘な怒りは未だアサシンの中で燻っているのも事実であった。 『――アサシン、戻ってきてくれ。情報の共有を行う』  主からの念話で、我に返る。  周囲の監視の命からそう時間が経っていないが、何か懸念すべき事でもあったのだろうか。  そんな事を考えながら、アサシンはマスターの元に舞い戻る。  鷹も鳴かず、樹のざわめきも聞こえない。  夜の錯刃大学には、戦争の足音一つ近づいてこなかった。  少なくとも、今はまだ。 【C-7/路上・車内/一日目/夜間】 【アサシン(ベルク・カッツェ)@ガッチャマンクラウズ】 [状態]魔力消費(中)、宝具にダメージ(小)、テンション普通、苛立ち(中)、    電子ドラッグ感染、爾乃美家累の姿、NPCの運転する車に乗車中。 [令呪]NPCへの干渉不可(ルーラー) [装備]なし [道具]携帯電話(スマホタイプ)(HALのアドレス記録済) [思考・状況] 基本:真っ赤な真っ赤な血がみたぁい!聖杯はその次。  0.仕方ないので孤児院の移動に付き合う。  1.まずはれんちょんと合流しましょうwwwww幼女誘拐するのもありかもwwwww  2.うはぁwwww電子ドラッグ掌握するのマジ楽しみだわwwwwwww  3.頭の中の指示とか令呪の縛りとかマジうぜー  4.真玉橋孝一とルーラーへの対抗策を模索する。 [備考] ※他者への成りすましにアーカード(青年ver)、ジナコ・カリギリ、野原みさえが追加されました。 ※NPCにも悪意が存在することを把握しました。扇動なども行えます ※喋り方が旧知の人物に似ているのでジナコが大嫌いです。可能ならば彼女をどん底まで叩き落としたいと考えています。 ※ジナコのフリをして彼女の悪評を広めました。  ケーキ屋の他にファミリーレストラン、ジャンクフード店、コンビニ、カラオケ店を破壊しました。  死人はいませんが、営業の再開はできないでしょう。 ※『ルーラーちゃん顔真っ赤涙目パーティ』を計画中です。今のところ、スマホとNPCを使う予定ですが、使わない可能性も十分にあります。  電子ドラッグを利用することを考慮に入れています。 ※カッツェがジナコの姿で暴れているケーキ屋がヤクザ(ゴルゴ13)の向かったケーキ屋と一緒かどうかは不明です。 ※真玉橋組を把握しました。また真玉橋に悪意の増長が効きにくい為、ある程度の警戒を抱いています。 ※HALと電子ドラッグの存在に気が付きました。いずれ電子ドラッグを自身の手で掌握しようと考えています。 ※電子ドラッグで洗脳されたNPC数人によって現在監視されています。 【C-6/錯刃大学・春川研究室/一日目/夜間】 【電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]『コードキャスト:電子ドラッグ』 [道具] 研究室のパソコン、洗脳済みの人間が多数(主に大学の人間) [所持金] 豊富 [思考・状況] 基本:勝利し、聖杯を得る。  1.ルーラーを含む、他の参加者の情報の収集。特にB-4、B-10。  2.他者との同盟,あるいはサーヴァントの同時契約を視野に入れる。  3.ベルク・カッツェの監視。彼をマスターと遭遇させない上で利用する術を模索する。  4.『ハッキングできるマスター』はなるべく早く把握し、排除したい。  5.性行為を攻撃として行ってくるサーヴァントとに対する脅威。早急に情報を入手したい。 [備考] ※洗脳した大学の人間を、不自然で無い程度の数、外部に出して偵察させています。 ※大学の人間の他に、一部外部の人間も洗脳しています。(例:C-6の病院に洗脳済みの人間が多数潜伏中) ※ジナコの住所、プロフィール、容姿などを入手済み。別垢や他串を使い、情報を流布しています。 ※他人になりすます能力の使い手(ベルク・カッツェ)を警戒しており、現在数人のNPCを通じて監視しています。  また、彼はルーラーによって行動を制限されているのではないかと推察しています。 ※カッツェとはメールアドレスを互いに知っている為、メールを通して連絡を取り合えます。  ただし、彼に渡したメールアドレスは学生に作らせた所謂「捨て垢」です。 ※サーヴァントに電子ドラッグを使ったら、どのようになるのかを他人になりすます者(カッツェ)を通じて観察しています。  →カッツェの性質から、彼は電子ドラックによる変化は起こらないと判断しました。   一応NPCを同行させていますが、場合によっては切り捨てる事を視野に入れています。 ※ヤクザを利用して武器の密輸入を行っています。テンカワ・アキトが強奪したのはそれの一部です。 【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク~甲賀忍法帖~】 [状態] 健康 [装備] 忍者刀 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本:勝利し、聖杯を得る。  1.HALの戦略に従う。  2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。  3.性行為を行うサーヴァント(鏡子)、ベルク・カッツェへの警戒。  4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。 [共通備考] ※『ルーラーの能力』『聖杯戦争のルール』に関して情報を集め、ルーラーを排除することを選択肢の一つとして考えています。  囮や欺瞞の可能性を考慮しつつも、ルーラーは監視役としては能力不足だと分析しています。 ※ルーラーの排除は一旦保留していますが、情報収集は継続しています。  また、ルーラーに関して以下の三つの可能性を挙げています。  1.ルーラーは各陣営が所持している令呪の数を把握している。  2.ルーラーの持つ令呪は通常の令呪よりも強固なものである 。  3.方舟は聖杯戦争の行く末を全て知っており、あえてルーラーに余計な行動をさせないよう縛っている。 ※ビルが崩壊するほどの戦闘があり、それにルーラーが介入したことを知っています。ルーラー以外の戦闘の当事者が誰なのかは把握していません。 ※性行為を攻撃としてくるサーヴァントが存在することを認識しました。房中術や性技に長けた英霊だと考えています。 ※鏡子により洗脳が解かれたNPCが数人外部に出ています。洗脳時の記憶はありませんが、『洗脳時の記憶が無い』ことはわかります。 ※ヴォルデモートが大学、病院に放った蛇の使い魔を始末しました。スキル:情報抹消があるので、弦之介の情報を得るのは困難でしょう。 ※B-10のジナコ宅の周辺に刑事のNPCを三人ほど設置しており、彼等の報告によりジナコとランサー(ヴラド3世)が交わした内容を把握しました。 ※ランサー(ヴラド3世)が『宗教』『風評被害』『アーカード』に関連する英霊であると推測しています。 ※ランサー(ヴラド3世)の情報により『アーカード』の存在に確証を持ちました。彼のパラメータとスキル、生前の伝承を把握済みです。 ※検索機能を利用する事で『他人になりすます能力のサーヴァント』の真名(ベルク・カッツェ)を入手しました。 |BACK||NEXT| |136:[[スカイ・イクリプス Sky Eclipse]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|138:[[フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]| |135:[[このそうびは のろわれていて はずせない! ▽]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|138:[[フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |131:[[悪意の所在]]|アサシン([[ベルク・カッツェ]])|| |~|[[電人HAL]]&アサシン([[甲賀弦之介]])|| &link_up(▲上へ)
*Q【くえすちょん】 ◆WRYYYsmO4Y  アサシンことベルク・カッツェは、現在女装した爾乃美家累の姿に擬態していた。  爾乃美家累は性別上は男性だが、端正な顔立ちと華奢な体格も相まって、  女の格好をすると下手な女性より女性らしい、可憐な美少女にしか見えなくなる。  そしてそれ故に、夜道の中で彼の格好は余計に目立ってしまう。  女子高生と思しき少女が夜の街を徘徊するなど、何か訳でもあるとしか思えない。  その周りに数人の監視が付いているのなら、その姿は猶更怪しく映るだろう。  そういう事情もあってか、移動には車が利用される事となった。  綺麗とは言い難い、使い古された五人乗りのミニバンである。  それの後部座席の真ん中に、カッツェは座っている。  彼の両隣には、洗脳されているであろう女性が配置されていた。  フェミニズムに配慮でもしたつもりなのだろうか。  擬態している者の性別は男性だというのに、滑稽は話である。 (しっかしまじ令呪おもんねーわー)  カッツェとしては、車による長い移動は退屈極まりない時間であった。  無言を貫くNPCに囲まれた上、車内では周りの景色も満足に眺めれない。  おまけに、令呪によって発生したのであろう重圧感が未だに燻っている。  退屈どころか、最早不愉快一歩手前の状態である。  果たして、『HAL』なる人物に同行して良かったものなのか。  仮にれんげを発見できたとしても、展開次第では何が起こるか分からない。  最悪の場合、NPCによってれんげが殺害されるという可能性さえ在り得るのだ。  それはそれで美味しいのだが、生憎アサシンはまだまだ愉しんでいたいのである。  その時、スマートフォンが着信音と共に振動を起こした。  手に取って確認してみると、どうやらHALからメールがあったらしい。  送られた伝言には、事務的な口調でこう書かれていた。 『これより孤児院に向かう。そこに君が求めている幼女がいる可能性が高い』 (ちょ……それは流石にないわー)  それを見たアサシンは、怪訝そうに顔を顰めた。  たしかに幼女のいる場所ならどこでもとは言ったが、流石にそれは安直すぎるだろう。  れんげに関しては最低限の情報しか流していないが、それが仇になったか。 (もしかしてミィの事バレてたりしてwwwつーかもうバレてるっしょwwwwww)  いや、もしや。  見つからないのではなく、あえて見つけられないフリをしているのか。  恐らくHALは、自分がサーヴァントである事に気付いている。  何せここまで警戒されているのだ。そう考えない方がおかしいだろう。  そして、こちらがNPCに手出しできない事も把握されている可能性がある。 (ミィがれんちょんと会うのそんなに嫌っすかェwwwwわかるわwwwwww)  もしや、HALは既にこちらの手を読んでいるのか。  自分の狙いが令呪であると見通した上で、マスターとの合流を防いでいるのかもしれない。  もしそうだとしたら、HALは中々に頭の回る相手である。  NPCの扇動を主な武器とするアサシンと、NPCを利用して暗躍するHALとの相性は良いとは言い難い。  もしアサシンがHALと同じ立場なら、尖兵を好き勝手されるのを放っておく訳がないだろう。 (ドラッグ掌握にはまーだ時間かかりそうっすねェ……ムカつくわー)  苛立ちが募るが、そもそも舟に乗りかかったのはこちらの方だ。  仕方ないが、HALの要求通り孤児院に向かうとしよう。  それに、行った先に何が待ち受けているのかまだ分からないのだ。  もしかしたられんげが本当にそこで自分を待っているかもしれないし、  悪意の詰まった脳細胞を満足させるような、新しい標的に出会える確立もゼロではない。  もし玩具(れんげ)に出会えたのなら、その時はめいっぱい遊んでやろう。  刹那主義のアサシンは、ショートケーキの苺は初めに食べる主義なのだ。 ■ □ ■  PCに映し出されるのは、数字の羅列。  一見すると、何を意味するのか不明瞭な数列である。  だがHALの眼を通して見れば、これらは重大な資料へ早変わりする。  HALの電人としての能力のほんの一端である。  表示された暗号を解析し、情報として脳に受信させる。  これを用いる事で、下手な写真や映像よりも鮮明に情景を把握できるのだ。  そうした手段で得た、幾つもの武器(じょうほう)達。  その中でもHALが注目すべきと判断したものは、二つ。  一つは、HALが事前に洗脳した――倒壊したビル付近で殺されかけた――チンピラ達から寄せられた情報だ。  なんでも、彼等が出入りしていたヤクザの事務所に強盗が入ったらしい。  話によれば、強盗は小型金庫を無理やりこじ開け、中の銃器を強奪したというのだ。  更に、破壊された金庫は近くの道に投げ捨てられていたというではないか。  "まるで純粋な握力でこじ開けた"ような指先の跡を、おまけとして残した金庫が。  小型とはいえ金庫を破壊できる程の剛性による犯罪。  まず間違いなく、サーヴァントを用いた犯行である。  随分と不用心なマスターだと、HALはやや呆れ気味に息をついた。 (盗まれたのはデザートイーグルとCZ75B。そこまでの痛手ではないか)  矮小な地方ヤクザの事務所に、過剰な威力を持つデザートイーグルが隠されていた。  その不可解な"謎"は、HALが彼等を利用して武器を密輸入したというのが真相である。  神秘性を伴わない重火器では、ではサーヴァントを殺傷できないのは百も承知だ。  しかし、一方で生身のマスターにダメージを与えるのには十分すぎる威力を持っている。  来たるべき時に洗脳したNPC達に持たせれば、相応の成果が期待できるだろう。  そういった理由もあって、聖杯戦争が正式に開始された以前から、  HALはヤクザの組員を電子ドラッグで洗脳し、武器調達を行っていたのである。  大型金庫には、たしか狙撃銃を始めとした強力な武装が収容されてあった筈だ。  交渉の有効なカードに成り得るであろうそれらが盗まれるのに比べれば、  デザートイーグル等の拳銃の強奪など、些細なものに過ぎない。  とはいえ、聖杯戦争の参加者に武器を強奪されたのは事実である。  武器を手に入れた所有者は、そう遠くない内に敵に向けて発砲するだろう。  もし冬木で銃撃事件があれば、その犯人がマスターだと考えてもいい。 (そう上手くいくとは思えないがな)  夜も更けてきたとはいえ、強盗犯も注意深くなっている筈だ。  銃を使うとしても、可能な限り怪しまれない様に使うと考えるのが道理である。  いくら金庫に証拠を残したとはいえ、相手もそこまで迂闊ではないだろう。  何にせよ、警戒するに越したことはない。  強盗犯についてはチンピラも利用して捜索に当たるとしよう。  尤も、そう簡単に見つかるとも思えないのだが。  そして、もう一つ。  ほんの少し前に監視下に置いたサーヴァントの件である。  収集した情報を元にすれば、奴の素性は容易く割れた。  これは、当の本人が後先考えずに行動してくれたのが大きい。  彼がもう少し冷静に動いていれば、こうまで容易く正体を掴めなかったであろう。  ベルク・カッツェ――自らの能力を以て数多の星を破滅させた異星人。  『他人になりすますサーヴァント』の実態は、まさしく邪悪であった。  言ってしまえば、悪意が服を着て歩いている様な存在である。 (面倒なサーヴァントに出くわしたものだ)  電子ドラッグは抑圧された犯罪願望を解放するものである。  元より犯罪願望を曝け出している悪人には、効き目など無いに等しい。  邪悪だけで構成された怪物に至っては、結果など言うまでもない。  血液の入ったバケツに血を何滴垂らそうが変化が無いように。  悪意そのものに何度電子ドラッグを与えても、何の影響もありはしない。  せいぜいそよ風が吹いた程度にしか思われず、さしたる変異も起こらないだろう。  恐らく、これ以上監視を続けたとしても大したものは得られないだろう。  標的にカッツェを選んだ時点で、実験は失敗したと言ってもいい。  そもそも、何故カッツェは幼女の発見を急いでいるのだろうか。  捜索を願い出ているという事は、つまりこれまで主を放任していたという事になる。  それまで無視しておきながら、どうして今更マスターを探そうとするのか。  第一、子供であれば必ず家庭という居場所がある筈だ。  にも関わらず、カッツェは幼女を見つけられないままでいる。  自分のマスターは帰る場所の無い、天涯孤独の身とでも言いたいのだろうか。 (何か策があるのか、端から策すら持ち合わせていないのか)  仮に後者だとすれば、接触した事自体が痛手である。  何をしでかすか分からない刹那主義者など、爆弾以外の何物でもない。  慎重派のHALにとっては、そんな物をいつまでも抱え込むなど愚策である。  天才・春川英輔をコピーした思考回路を稼働させ、思考する。  ルーラーの令呪に縛られたサーヴァントと、行方知らずのマスター。  二つの点が線で繋がれるのに、そう時間はかからなかった。 (……令呪による制限の解除か?)  マスターが持つとされる三画の絶対命令権――令呪。  あれを用いれば、ルーラーが課した制限の解除が可能だと考えているのではないか。  恐らくマスターであろう幼女を探すのは、その子に令呪を使わせる為。  そう想定すれば、マスターの探索という謎めいた行動にも納得がいく。  NPCに被害を加えられないという枷は、人間の悪意を弄ぶカッツェには苦痛に違いない。  思うに、その枷を外す為なら奴はあらゆる手段を講じるだろう。  マスターとの早期合流も、その手段の一つに過ぎないと考えていい。  そうした事実を考慮した上で、思案を巡らせる。  果たして、カッツェをマスターに合流させるべきなのか。  HALが少し考え込んだ末に下した判断は、NOであった。  カッツェの能力を用いれば電子ドラッグの効力が増幅するのは事実だ。  彼の制限が解放されれば、ドラッグ漬けのNPCは更なる力を得るだろう。  だが、同時に命令を聞かなくなるという致命的なデメリットも備えているのもまた事実。  そもそも、電子ドラッグを用いるのは他の主従の情報収集の為である。  好き勝手に暴れさせる為にNPCを洗脳している訳では断じてないのだ。  水面下で暗躍したい自身の方針と、今すぐにでもNPCを暴れさせたいであろうカッツェ。  相反し合う両者の思想は、最悪の場合互いの首を絞めかねない。  カッツェの方は知らないが、自分が不利な状況に陥る訳にはいかなかった。 (切り捨てるべきか)  多少の情報漏洩はあれど、これ以上関係を持つとこちらに被害が及びかねない。  切り捨てるだけなら、すぐにでも関係を断つ事が出来る。  カッツェに提供したメールアドレスも、複数所持するアカウントの一つ。  ジナコ=カリギリを陥れる際学生に作らせた、言うなれば「捨て垢」というやつだ。  仮にそれ経由で居場所を探ろうとしても、錯刃大学に辿り着くのは困難だろう。  敵のサーヴァントに自分の弱点を曝け出す程、HALは間抜けではない。  しかし、捕えた狂犬をすぐさま野に放してしまっていいものなのか。  ただ逃すだけでなく、他の使い道があるかもしれない。  ここはひとまず、子供がいそうな孤児院にカッツェを誘導するとしよう。  勿論あんな場所に目当ての幼女はいないが、いなくて結構なのだ。  元より、カッツェのマスターに令呪を使わせる気などないのだから。  実を言うと、既にカッツェの探しているであろう幼女は発見できている。  喫茶店でアルバイトをしていたNPCが、それらしき人物を見つけているのだ。  勿論、HALはその情報を依頼主に報告するつもりはないのだが。  マスターとはいえ、相手は所詮ただの幼女に過ぎない。  やろうと思えば今すぐ暗殺に取り掛かれるのだが、生憎そうにもいかなかった。  衆人環視の中の暗殺はリスクが伴うし、何より幼女を保護している女がいるらしいのだ。  彼女の周りにいるその少女も、聖杯戦争の参加者と見て間違いないだろう。  むしろ、その幼女を保護下に置いていた少女の方が重要だった。  というのも、カッツェと遭遇する前から、彼女には警戒せよとNPCに伝えていたからだ。  幼女を発見できたのも、その少女の探索を同時進行させていたからである。  洗脳した警察官の情報によれば、その女性は不審な行動が目立っているのだという。  警察内部からも不可解だという声が漏れ出ている彼女は、聖杯戦争の関係者の可能性がある。  これまでは疑惑程度で済んだ話であったが、カッツェのマスターと行動しているなら話は別だ。 (ホシノ・ルリ……やはり立ちはだかるか)  僅か16歳で警視の階級に上り詰めたエリート中のエリート。  無数の難事件を解決してきたとされる「警視の妖精」。  聖杯を掴もうとする自身の道を遮る、幾つもの壁の内の一つ。  脳裏に浮かぶのは、HALの元いた世界で活躍していた探偵の姿だ。  たしかその少女――桂木弥子と言ったか――も、ルリと同年代だった筈である。  "女子高生探偵"が敵となる事実に、妙な因果を感じざるを得なかった。  注視すべきなのは、なにもホシノ・ルリだけではない。  これまで集めた情報の中には、彼女以外にも強敵の影がいくつも見え隠れしている。  まだ正体の掴めない性技を武器とするサーヴァント。  確実にこの地にいるであろう「アーカード」なる吸血鬼。  B-4のキャスターを抹殺した「忍殺」のマスクを被ったアサシン。  従えたアサシン一人で、これらの敵全員に太刀打ちできるのか。  答えは否だ。それをこなせる程、彼は万能のサーヴァントではない。 (いよいよ動く必要があるな)  難敵達の存在を認知し、HALは改めて認識する。  今の自分達に最も必要なのは、「同士」だ。  カッツェの様な刹那主義者ではなく、聖杯の入手に全力を注げる者。  電子ドラッグを用いずとも、勝利の為に動いていける利口な主従。  手を取り合う価値のある同士なくして、この戦争は乗り越えれない。  あるいは、野良となったサーヴァントを従えるか。  今抱えている膨大な魔力量なら、複数の英霊を従えてもまだ余裕がある。  尤も、偶然マスターを喪ったサーヴァントと出くわすとも思えないが。  だがしかし、アサシンの力を借りれば話は別だ。  彼の本懐はサーヴァントとの戦闘ではなく、マスターの暗殺である。  マスターを殺害した後、契約者を喪ったサーヴァントと契約を結ぶ。  そうした方法で手駒を増やすという選択肢も選ぶ事だって出来るのだ。  時間はある。まだ焦る時期ではない。  着実に勝利へ駒を進めるにはどうするべきか。  僅かなミスも許されない状況で、どう立ち回れば生き残れるのか。  電子の魔人は、ただそれだけを演算し続けている。 ■ □ ■  辺りはすっかり暗くなったというのに、大学にはまだ光が散見する。  実験に時間をかけている学生達が、まだ部屋に残っているからだ。  光が漏れる窓を、魔眼のアサシン――甲賀弦之介は黙して見つめていた。  つくづく、良い時代になったものだと痛感する。  四六時中場を照らす光が満ち溢れ、その中で何をしようがお構いなし。  貧富の差はあれど、誰もが衣食住に恵まれた暮らしをしている。  何より、この世界では血を血で洗う殺し合いがない。  血族の間で横たわる怨念もなく、皆が手を取り合える可能性に溢れている。  それを常識として受け止めれる現代人を、アサシンは羨望の眼差しで見つめる。  言うなれば、アサシンは時代に殺された英霊である。  徳川の跡継ぎ選びが、甲賀と伊賀に殺し合いの道を歩ませた。  そしてその結果、アサシン含む何人もの忍が亡骸となったのだ。  死んだ忍の中には兄妹がいた。恋仲の男女がいた。アサシンの師匠がいた。  そして何より、アサシンが誰よりも愛した女がいたのである。  殺し合いそのものが過ちだったとは思わない。  世継ぎ争いがなければ、この国の命運も大きく変じていただろう。  それこそ、今見える風景とは全く異なる、地獄の様な世となる事もあり得るのだ。  過去を捻じ曲げ未来を変貌させるのは、アサシンとて願ってはいない。  だが、それは殺し合いそのものを肯定するという訳ではない。  愛する者との絆を容赦なく引き裂く戦いなど、誰が望むものか。  人は幾度も戦いを続け、その度に無数の恋人達が死んでいく。  繰り返す悲劇の積み重ねの果てに、如何なる平穏があろうと。  その平穏の下に積まれた屍の山を、アサシンは見過ごせない。  率直に言ってしまえば、アサシンは徳川を許せないでいる。  彼等だけではない。戦いを――"戦争"を望む者を赦す事が出来ない。 「……そなたらは、どうだ」  江戸の世に幕府と呼ばれた存在は、現代で政府と名を変えて続いている。  流石に民主主義となった以上世襲制は消え体勢も大きく変わっているが、国を動かすという一点は同じである。  そして、その政府の一員である政治家に加わろうとする者達が、今選挙と呼ばれる戦いを繰り広げているらしい。  もしも、彼等の中に戦争を望む者がいたのだとしたら。  そして、もしその者が聖杯戦争と関わっていたのだとしたら。  きっとアサシンは、殺意を滾らせずにはいられないだろう。  身勝手な感情である事は分かっている。  これから多くの願いを踏み躙る自分に、糾弾する資格などないのも承知の上だ。  しかし、我が儘な怒りは未だアサシンの中で燻っているのも事実であった。 『――アサシン、戻ってきてくれ。情報の共有を行う』  主からの念話で、我に返る。  周囲の監視の命からそう時間が経っていないが、何か懸念すべき事でもあったのだろうか。  そんな事を考えながら、アサシンはマスターの元に舞い戻る。  鷹も鳴かず、樹のざわめきも聞こえない。  夜の錯刃大学には、戦争の足音一つ近づいてこなかった。  少なくとも、今はまだ。 【C-7/路上・車内/一日目/夜間】 【アサシン(ベルク・カッツェ)@ガッチャマンクラウズ】 [状態]魔力消費(中)、宝具にダメージ(小)、テンション普通、苛立ち(中)、    電子ドラッグ感染、爾乃美家累の姿、NPCの運転する車に乗車中。 [令呪]NPCへの干渉不可(ルーラー) [装備]なし [道具]携帯電話(スマホタイプ)(HALのアドレス記録済) [思考・状況] 基本:真っ赤な真っ赤な血がみたぁい!聖杯はその次。  0.仕方ないので孤児院の移動に付き合う。  1.まずはれんちょんと合流しましょうwwwww幼女誘拐するのもありかもwwwww  2.うはぁwwww電子ドラッグ掌握するのマジ楽しみだわwwwwwww  3.頭の中の指示とか令呪の縛りとかマジうぜー  4.真玉橋孝一とルーラーへの対抗策を模索する。 [備考] ※他者への成りすましにアーカード(青年ver)、ジナコ・カリギリ、野原みさえが追加されました。 ※NPCにも悪意が存在することを把握しました。扇動なども行えます ※喋り方が旧知の人物に似ているのでジナコが大嫌いです。可能ならば彼女をどん底まで叩き落としたいと考えています。 ※ジナコのフリをして彼女の悪評を広めました。  ケーキ屋の他にファミリーレストラン、ジャンクフード店、コンビニ、カラオケ店を破壊しました。  死人はいませんが、営業の再開はできないでしょう。 ※『ルーラーちゃん顔真っ赤涙目パーティ』を計画中です。今のところ、スマホとNPCを使う予定ですが、使わない可能性も十分にあります。  電子ドラッグを利用することを考慮に入れています。 ※カッツェがジナコの姿で暴れているケーキ屋がヤクザ(ゴルゴ13)の向かったケーキ屋と一緒かどうかは不明です。 ※真玉橋組を把握しました。また真玉橋に悪意の増長が効きにくい為、ある程度の警戒を抱いています。 ※HALと電子ドラッグの存在に気が付きました。いずれ電子ドラッグを自身の手で掌握しようと考えています。 ※電子ドラッグで洗脳されたNPC数人によって現在監視されています。 【C-6/錯刃大学・春川研究室/一日目/夜間】 【電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]『コードキャスト:電子ドラッグ』 [道具] 研究室のパソコン、洗脳済みの人間が多数(主に大学の人間) [所持金] 豊富 [思考・状況] 基本:勝利し、聖杯を得る。  1.ルーラーを含む、他の参加者の情報の収集。特にB-4、B-10。  2.他者との同盟,あるいはサーヴァントの同時契約を視野に入れる。  3.ベルク・カッツェの監視。彼をマスターと遭遇させない上で利用する術を模索する。  4.『ハッキングできるマスター』はなるべく早く把握し、排除したい。  5.性行為を攻撃として行ってくるサーヴァントとに対する脅威。早急に情報を入手したい。 [備考] ※洗脳した大学の人間を、不自然で無い程度の数、外部に出して偵察させています。 ※大学の人間の他に、一部外部の人間も洗脳しています。(例:C-6の病院に洗脳済みの人間が多数潜伏中) ※ジナコの住所、プロフィール、容姿などを入手済み。別垢や他串を使い、情報を流布しています。 ※他人になりすます能力の使い手(ベルク・カッツェ)を警戒しており、現在数人のNPCを通じて監視しています。  また、彼はルーラーによって行動を制限されているのではないかと推察しています。 ※カッツェとはメールアドレスを互いに知っている為、メールを通して連絡を取り合えます。  ただし、彼に渡したメールアドレスは学生に作らせた所謂「捨て垢」です。 ※サーヴァントに電子ドラッグを使ったら、どのようになるのかを他人になりすます者(カッツェ)を通じて観察しています。  →カッツェの性質から、彼は電子ドラックによる変化は起こらないと判断しました。   一応NPCを同行させていますが、場合によっては切り捨てる事を視野に入れています。 ※ヤクザを利用して武器の密輸入を行っています。テンカワ・アキトが強奪したのはそれの一部です。 【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク~甲賀忍法帖~】 [状態] 健康 [装備] 忍者刀 [道具] なし [所持金] なし [思考・状況] 基本:勝利し、聖杯を得る。  1.HALの戦略に従う。  2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。  3.性行為を行うサーヴァント(鏡子)、ベルク・カッツェへの警戒。  4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。 [共通備考] ※『ルーラーの能力』『聖杯戦争のルール』に関して情報を集め、ルーラーを排除することを選択肢の一つとして考えています。  囮や欺瞞の可能性を考慮しつつも、ルーラーは監視役としては能力不足だと分析しています。 ※ルーラーの排除は一旦保留していますが、情報収集は継続しています。  また、ルーラーに関して以下の三つの可能性を挙げています。  1.ルーラーは各陣営が所持している令呪の数を把握している。  2.ルーラーの持つ令呪は通常の令呪よりも強固なものである 。  3.方舟は聖杯戦争の行く末を全て知っており、あえてルーラーに余計な行動をさせないよう縛っている。 ※ビルが崩壊するほどの戦闘があり、それにルーラーが介入したことを知っています。ルーラー以外の戦闘の当事者が誰なのかは把握していません。 ※性行為を攻撃としてくるサーヴァントが存在することを認識しました。房中術や性技に長けた英霊だと考えています。 ※鏡子により洗脳が解かれたNPCが数人外部に出ています。洗脳時の記憶はありませんが、『洗脳時の記憶が無い』ことはわかります。 ※ヴォルデモートが大学、病院に放った蛇の使い魔を始末しました。スキル:情報抹消があるので、弦之介の情報を得るのは困難でしょう。 ※B-10のジナコ宅の周辺に刑事のNPCを三人ほど設置しており、彼等の報告によりジナコとランサー(ヴラド3世)が交わした内容を把握しました。 ※ランサー(ヴラド3世)が『宗教』『風評被害』『アーカード』に関連する英霊であると推測しています。 ※ランサー(ヴラド3世)の情報により『アーカード』の存在に確証を持ちました。彼のパラメータとスキル、生前の伝承を把握済みです。 ※検索機能を利用する事で『他人になりすます能力のサーヴァント』の真名(ベルク・カッツェ)を入手しました。 |BACK||NEXT| |136:[[スカイ・イクリプス Sky Eclipse]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|138:[[フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]| |135:[[このそうびは のろわれていて はずせない! ▽]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|138:[[フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |131:[[悪意の所在]]|アサシン([[ベルク・カッツェ]])|141-a:[[we are not alone]]| |~|[[電人HAL]]&アサシン([[甲賀弦之介]])|~| &link_up(▲上へ)

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