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*『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』 ◆OSPfO9RMfA  ジナコ・カリギリとランサー、ヴラド三世はB-10の住宅街の外れを歩く。  周囲にNPCの気配はない。二人はこのまま人気のない廃教会へ向かうつもりだ。  突然、ジナコの持つ携帯電話が鳴りだした。  どうやら自宅の電話から転送されたもののようだ。 「ひ、ひゃあ?! ラ、ララララ、ランサーさん。ど、どどどどどうすればいいッスか?」 「……知らん。好きにしろ」  ランサーはジナコの保護を約束したが、子守までするつもりはなかった。  逆探知やイタズラ電話などの可能性も考えられる。だが、実際に物理的に問題がおこれば、今はランサーがジナコの身を保護してくれる。  結局、ジナコはあたふたしながらも、結局電話に出ることにした。 ◆  ジョンス・リーはベルク・カッツェが嫌いだ。  ベルク・カッツェは高みの見物をして人を馬鹿にし、それでいて自分は悪くないとのたまう、反吐の出るクズ野郎だ。  自身のサーヴァントに倒させるのではなく、自らの八極拳で倒さねば気が済まないほどに嫌いだった。  だが、ベルク・カッツェはアサシンだ。サーヴァントだ。  サーヴァントの本質は霊体であり、神秘の存在しない攻撃は効果がない。ベルク・カッツェもその例外ではない。如何にジョンスの八極拳の威力が強かろうとも、単なる物理攻撃でしかないそれでは、ベルク・カッツェには届かない。  故に、ベルク・カッツェを倒す術を探しに、図書館まで来た。  伝承からベルク・カッツェの弱点を見つけるために。サーヴァントをサーヴァントならざる身で倒す方法を見つけるために。  そして本に埋もれること数十分。ついにベルク・カッツェと思わしき伝承の書物にあたった。  しかし、熟読する前に二度の襲撃を受け、未だに弱点を探し出せては居なかった。  襲撃で受けた傷も治療し、ふと時計を見やる。そろそろ18時を回ろうとしていた。 「そうだな。一度、連絡してみるか」  駄肉こと、ジナコにベルク・カッツェのマスター、宮内れんげを保護させている。ジョンスがベルク・カッツェを倒す前に、れんげを誰かに殺されてしまっては意味がない。ベルク・カッツェにはれんげを護る意思が無いことは分かっていたが、自身で連れ歩いていては闘争ができない。その為、ジナコに任せていた。  まだベルク・カッツェ撃破の糸口を掴んだだけだが、既に誰かに倒されていないか、確認の意も込めて連絡する必要があるだろう。  ジョンスは図書館を出ると、携帯電話に手を掛けた。 『もしもし……?』 「俺だ、ジョンスだ」 『えっと……どちら様ッス?』  ジナコのマヌケな声が帰ってくる。 「寝ぼけてるのか?」 『ひいいいいいっ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』  電話の向こうで平謝りするジナコの声を呆れながら聞いて、ふと思い出す。 「……そう言えば、名乗ってなかったか」  ジョンスがジナコといた間、彼女はほとんど気を失っていた。電話番号を聞いたときも、名乗った覚えはない。さらに、電話番号を聞く際に寝ていたジナコを叩き起こした。言葉通り、寝ぼけてたのかもしれない。 「悪い。ジョンス・リー。八極拳のジョンス・リーだ。れんげから聞いてるだろ? あいつは今どうしてる」 『八極拳のジョンス……れ、れんげちゃん?! えっと、えっと……』  ジナコが歯切れの悪い返答をしていると、電話の向こうで携帯電話が引ったくられる音がした。 『電話を替わった。お前が八極拳か?』  次に聞こえた音は、壮年の男の声だった。聞き覚えのない声だ。 「そうだ。そう言うあんたは駄肉のサーヴァントか?」 『冗談にも言って良い冗談と悪い冗談がある。気をつけろ』  ジナコのサーヴァント扱いはよほど心外なのだろう。機嫌悪そうな声だ。  電話越しの相手は一拍おいてから、言葉を続ける。 『ランサーだ。今は警察に追われているこの女を保護している』 「警察に追われている? 何しやがったんだ?」 『知らんのか』  ジョンスはジナコの家を出てからテレビやラジオから情報を得ていない。図書館には当然そのようなものはなく、新都の現状を全く知らなかった。 『新都でこの女の偽者が暴れ回った。この女はその濡れ衣を着せられたわけだ』 「ベルク・カッツェか」  ジョンスは『偽者』と言うワードにすぐさま把握する。ベルク・カッツェがジナコの姿を真似て、彼女に罪を着せるために暴れ回ったのだろう。奴が変身能力を持っているのは知っている。あのクズ野郎ならやるだろうと、容易に予想が付いた。  それと同時に、図書館に着いてから少し感じていた違和感についても納得がいった。  銃を使った戦闘が三回もあったのに、警察もルーラーも全く来ない。おそらく、新都の騒ぎに人を割きすぎて、こちらまで回す余裕がなかったのだろう。 『そいつの名までは知らん』 「そいつには手を出すな。俺が倒す」 『余は手を出すつもりはない。だが、それなら急いだ方が良い。この女は偽者を許さんだろう』 「……そうだな。わかった」  他人事のようなランサーの口調から、ベルク・カッツェを倒す意思がないのはわかった。  だが、直接被害を負っているジナコは違うだろう。そのジナコに対して『俺が倒すから止めろ』と言うのは我が儘でしかない。いくら駄肉とはいえ、それを強要する気にはなれなかった。 『それで、れんげと言ったか。彼女はホシノ・ルリと名乗る警官に保護されている。連絡先を教えようかね?』 「そうだな、頼む」  警官に保護されているのなら、今すぐに電話しなくてもいいか。  ジョンスはそう思いながらも、ランサーから聞いた番号を、ジナコの電話番号を書いた紙に併記する。 「助かった。用事が終わったから切るぞ」 『待て』  ランサーが強い口調で止める。  電話なので一方的に切ることもできたが、色々親切に教えて貰ったからか、その行為は躊躇われた。 『お前はアーカードのマスターだな? 奴に替われ』 「アーカードにか」  アーチャー、アーカード。ジョンスのサーヴァントだが、今は魔力回復のために寝ている。  真名は特に隠していないので、ランサーがアーカードの名を知っていることについては何とも思っていない。だが、寝ている彼を起こすのは少々躊躇われた。 「あいつは今寝ている。言伝なら俺が聞く」 『叩き起こせ。奴にも有益な話だ』  どうしてもランサーはアーカードと直接会話をしたいようだ。  ジョンスは、仕方ない、と溜息をつく。 「わかった。少し待て」 ◆ 「おはよう。私を叩き起こしたのは何処の誰かな?」  ジョンスに念話で起こされ、アーカードはサディスティックな笑みを浮かべて電話に応じる。 『余はランサー、ヴラド三世だ』 「ほう。懐かしい響きだ。その名を騙るとは、よほど命知らずと見える」  アーカードは殺気と怒気を含め、電話越しの相手に返す。  それは、機械を介してさえ伝わりそうなほどの殺意だった。  しかし―― 『笑わせるな、“化け物”』  それに対する言の葉は、その殺意すらも貫くほど冷たく鋭利であった。  ヴラドの言葉に、アーカードの笑みが止まる。 『この聖杯戦争が、数多の世界の座より召喚されることは知っていよう。だが、余“が”ヴラド三世だ。ヴラド三世はお前のような醜い“化け物”ではない』 「――くく、くくくくく……」  並行世界、パラレルワールド、もしくは異世界か。  ともあれ、アーカードは認識する。  電話越しの相手が、別世界の“もう一人の自分”であることを。  アーカードは認識する。  “もう一人の自分”は、“化け物”ではないことを。 「はは、はははははHAHAHAHAHAHA!! なるほど、貴様は“人間”と言うことか。ならば問おうヒューマン、私に何の用だ!」 『知れたことを。余の名を穢す“化け物”を滅ぼす。お前は、塵芥も残さぬ』 「そうか、そういうことか」  ――『人間のままでいられた強い“人間”<ヴラド三世>』が『人間でいられなかった弱い“化け物”<アーカード>』を殺しに来る。  アーカードは唇の端を、これでもかと言わんばかりに釣り上げる。 「素晴らしい!! 実に素晴らしい!! さぁ、来い! 今すぐ来い!! 速く来い!! 私を殺し、証明して見せろ!! いいや、待ちきれん!! 私がそちらに行こう!! 貴様は何処だ! 何処にいる!!!」 『D-9の廃教会だ。日付が変わるまで、そこで待つ』 「ほう、そこならルーラーの横槍も入るまい。良いだろう!! 今すぐに迎えに行こうではないか!!」 『お前は余の手で滅ぼす。それまで死んでくれるなよ』  その言葉を最後に、通話が切れた。 ◆  ヴラド三世は通話を切ると、無言でジナコに携帯電話を返した。 「ど、どうなったんッスか……」 「少し事情が変わった」 「え?」  ジナコがどういう事か聞き返そうとすると、前方から足音が聞こえた。ジナコは思わずヴラド三世の影に隠れる。  現れたのは、ヴラド三世のマスター、アレクサンド・アンデルセンだった。ヴラド三世はジョンスやアーカードとの会話中、彼と念話にて連絡を取っていた。 「すまんな、神父」 「なに、アーカード滅殺は王の悲願。彼女は俺に任せて貰おう」 「頼んだ」  ジナコを無視した会話が行われ、それが終わるとヴラド三世は南へと走り去っていった。  ヴラド三世はアーカードが来る前に、一度陣地を確認しておきたかった。故に、ジナコをアンデルセンに任せることにした。勿論、何かあれば令呪ですぐさま駆けつけるつもりである。 「え、ちょ、ランサーさん?!」  もっとも、その説明をする時間さえヴラド三世に取っては惜しい。ジナコはヴラド三世に向けて話し掛けようとしたが、すでに姿が見えないほど遠くに行っていた。  そんな彼女に、アンデルセンはゆっくりと歩み寄る。 「ジナコさん、でしたかな?」 「ひ、ひぇっ!? は、はい……」 「俺はアレクサンド・アンデルセン。先ほどのランサーのマスターだ。彼に急務ができた。今は俺があなたを保護しよう。よろしいかね?」 「は、はい……」  ジナコは首を縦に振る。自分を無視した流れに、若干の憤りを覚えると共に、無力故の仕方なさも感じていた。 【C-10/住宅街のはずれ/一日目 夕方】 【ランサー(ヴラド三世)@Fate/apocrypha】 [状態]健康、ジナコに対する苛立ち [装備]サーヴァントとしての装備 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:勝利し、聖杯を手に入れる。 1.アーカードとの戦いに備え、領土の確認をする。アーカードが来たら滅殺。 2.日付が変わるまでにアーカードが来なければ、こちらから攻める。 3.アンデルセンと情報収集を行う。アーチャーなどの広域破壊や遠距離狙撃を行えるサーヴァントを警戒。 4.聖杯を託すに足る者をアンデルセンが見出した場合は同盟を考えるが、聖杯を託すに足らぬ者に容赦するつもりはない。 [備考] ※D-9に存在する廃教会にスキル『護国の鬼将』による領土を設定しました。 ※美遊陣営を敵と判断しました。 ※ジナコを率いれましたが、彼女が『もう一人のジナコ』を殺害しない場合、どのような判断を下すかは後続にお任せします。 ※ジョンスとアーチャー(アーカード)の声を確認しました。 ◆ 「電話は終わったか?」  通話が終わったのを見計らって、ジョンスがアーカードに話し掛ける。  と、アーカードはジョンスの両肩を掴むと顔を近づけ、狂気にも近い歓喜に満ちあふれた笑顔を向けた。 「さぁ、マスター!! D-9の廃教会に行こうではないか! 今すぐにだ!! ハリー! ハリーハリー!! ハリーハリーハリー!!!」  アーカードは新しい玩具をねだる子供のように、ジョンスの肩を揺らしながらまくし立てた。 「待て。図書館での俺の用事が終わっていない」  だが、ジョンスは冷静に告げる。  アーカードは力無く、肩を落とす。 「…………………………………………………………そうか」 「おあずけを喰らったような犬のような顔をするな。しかたねぇ、ちょっと待ってろ」  ジョンスはアーカードをその場に置いて、図書館の中に入る。  図書館の中には利用者は一人もおらず、館の職員と思わしきNPCが二人いるだけだった。  とは言え、カウンターの向こうにいる女はパジャマ姿、もう一人の女はスーツ姿ではあるが、頭と背にコウモリの羽根のようなアクセサリーを付けており、なんともまぁ、自由な職場だとジョンスは感じた。  ジョンスはパジャマよりはまともそうだと、スーツ姿のNPCに近づいた。 「少し良いか?」 「はい、何でしょうか?」 「この図書館、本は何冊まで借りれるんだ?」  ジョンスに必要なのは、ベルク・カッツェの情報だ。図書館そのものではない。  その為、本さえ持ち出せれば問題ないだろうと考えた。 「ごめんなさい、当館は本の貸し出しは禁止なんです」 「そうか」  丁寧に謝る職員に、ジョンスは短く言葉を返す。  本を持ち出されると他の参加者が困るのだろう。それ故の貸し出し禁止。その事はある程度予想はしていた。  無理に持ち出す方法が無いわけではないが、聖杯戦争に関わる施設だ。ルーラーが制止しにくるかもしれない。またお小言を聞かされるのはまっぴらゴメンだ。 「この図書館は何時まで開いてるんだ?」 「10時開館の22時閉館ですね」 「結構遅くまでやってるんだな」 「大変ですけど、その分お給料がいいですからね」  職員は冗談めかして笑いながら答える。意外とこの施設、公営ではないのかもしれない。  もっとも、この街全てが聖杯戦争の為に作られた街だ。私営だろうが公営だろうが、そんなことはどうでもいい話ではある。 「あとは……そうだな、魔法関連の本って何処にあるんだ?」  ジョンスはついでに、狭間偉出夫が使ったと思われる『魔法』についても尋ねてみる。もし『魔法』が存在するのであれば、サーヴァントをこの身で倒すのに使えるかもしれないし、『魔法』を知れば狭間に対応しやすくなる。。 「魔法、魔術関連の書籍は、ちょうどこのブロックですね」  職員が手で示したのは、本が500冊は入ってそうな棚。それが3本分だった。 「結構な数あるな……魔法と魔術の違いって何だ?」 「定義の違いですね。でも地域によって、魔法と魔術の定義が結構違ってたりします。ある地域では魔法と呼ばれる行為も、別の地域では魔術に該当したりすることも良くある話です」 「なるほど」  真名が分かっていたベルク・カッツェとは違い、ジョンスが望む魔法が記述されている本を探し当てるのは、非常に骨が折れそうだ。  ましてやジョンスは『魔法』も『魔術』も門外漢だ。本一冊を理解するのにも時間が掛かるだろう。  『魔法』の知識を得る、という目的の優先順位は下げるべきかもしれない。  ジョンスは職員に礼を言うと、図書館から出てアーカードと合流する。 「アーチャー、とりあえず飯を食いに行く。そこで今後の予定を立てる」  今は18時過ぎ。図書館の閉館は22時。図書館は当然飲食禁止だ。図書館に籠もるにせよ、廃教会に行くにせよ、切りの良いこのタイミングで食事を取るべきだと判断した。 「ではマスター、私も頂こう」 「サーヴァントは食わなくてもいいんじゃなかったか?」 「確かに食事が不可欠というわけではない。だが、食事を取った方が魔力は回復する」  ジョンスが今すぐに廃教会行きを渋る理由がもう一つ。  現状、アーカードは多大に魔力を消費している。今すぐ戦場に行くと、アーカードの劣勢は容易く予想できる。アーカード自身はそれよりもヴラド三世との戦いを望んでいるようだが、一蓮托生のジョンスとしては余り勧められた物ではない。 「他に魔力を回復する方法はなんだ?」 「マスターからの魔力供給が第一。あとは睡眠や食事、他には魂食いだな」 「魂食いか」  魂食いは、ジョンスとしては余り気乗りはしない。  魂食いはある程度なら許容される、と言うのは理解している。  が、アーカードと戦った際、そこらのチンピラがちょっと怪我しただけでルーラーがすっ飛んできた。  許容される『ある程度』が、実際どの程度かわかったものではない。 「それから、そうだな。私は吸血鬼だ。血を吸うことで魔力を回復することも可能だろう」 「血か。病院に行けば輸血パックがあるだろうな」  病院。狭間にマスターとサーヴァントが居ることを教えられた場所。  病院に行く理由ができたとも言えるが、そこで魔力を回復した以上に消費してしまったら元も子もない。リスクとリターンがどれほどかは考える必要がある。廃教会と方向が逆なのもネックだ。  かといって図書館に引きこもって睡眠を取らせても、大して魔力は回復しないだろう。図書館に誰かが来る可能性もある。 「まぁ、その辺も含めて相談するか」 「了解した、マスター」  ジョンスとアーカードは、図書館近くのイタリアンレストランへと消えていった。 【C-8/図書館付近/一日目 夕方】 【ジョンス・リー@エアマスター】 [状態]顔面に痣、疲労(大)、右腿の銃痕(応急処置済み)、空腹 [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]ジナコの自宅の電話番号、ホシノルリの連絡先を書いた紙 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:闘える奴(主にマスターの方)と戦う。 0.晩飯を食べながら今後の方針についてアーカードと相談する。 1.図書館でアサシン(カッツェ)を八極拳で倒す方法を探す。ついでに『魔神皇』の情報も探す? 2.あの男(切嗣)には必ず勝つ。狭間ともいずれ決着を。ただ、狭間のサーヴァント(鏡子)はなんとかしたい。 3.アーカードがD-9の廃教会に行きたいと言っているので、ある程度考慮する。 4.『魔法』の情報を探す。 5.ある程度したらルリに連絡をする。 6.錯刃大学の主従をどうするか。アーカードの魔力回復の為に病院に寄ることも考える。 7.聖と再戦する。 [備考] ※先のNPCの暴走は十中八九アサシン(カッツェ)が関係していると考えています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人でなにかやっている可能性が高いと考えています。 ※宝具の発動と令呪の関係に気付きました。索敵に使えるのではないかと考えています。 ※聖、ジナコの名を聞きました。アサシン(カッツェ)の真名を聞きました。 ※ランサー(ヴラド三世)の声を聞きました。 ※アサシン(カッツェ)、セイバー(ロト)、アーチャー(エミヤ)のパラメーターを確認済み。 ※科学忍者隊ガッチャマン、おはよう忍者隊ガッチャマン、ガッチャマン(実写版)におけるベルク・カッツェを把握しました。  ベルク・カッツェ(クラウズ)の書物も見つけましたが、切嗣との戦闘によりある程度しか読めていません。  どの程度まで把握したかは、後続の書き手さんに任せます。  →まだほとんど読めていません。 ※狭間偉出夫の容姿と彼のサーヴァント(鏡子)の『ぴちぴちビッチ』を確認しました。更にサーヴァントの攻撃が性的な攻撃だと気づいてます。  狭間偉出夫が実力の大部分を隠していると気づいています。 ※狭間偉出夫から錯刃大学の主従についての情報を受け取りました。  受け取った情報は『春川英輔について』『超常の反撃能力について』です。 ※狭間偉出夫の『トラフーリ』を確認しました。切嗣戦と合わせてマスターの中に『ジョンスの常識を超えた技を使える者』が居ることに気づきました。  魔法の存在にも存外理解があります。 ※ジナコが警察に追われていることを知りました。ベルク・カッツェの仕業だと思っています。 【アーチャー(アーカード)@HELLSING】 [状態]魔力消費(極大)、ヘブン状態 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:主(ジョンス・リー)に従う。 0.晩飯を食べながら今後の方針についてジョンスと相談する。 1.ランサー(ヴラド三世)と戦うために廃教会に行きたい。 2.錯刃大学の主従をどうするか。 3.アーチャー(エミヤ)そしてセイバー(ロト)と再戦し、勝利する。 4.性のサーヴァント(鏡子)に多大な興味。直接会い、再戦することを熱望。狭間には興味なし。 5.アサシン(カッツェ)が起こそうとしている戦争には興味がある。 6.アサシン(カッツェ)が接触してきた場合、ジョンスに念話で連絡する。 7.参加者中にまだまだ『ただの人間から英雄へと至った者』が居ると考えています。彼らとの遭遇も熱望してます。 [備考] ※野次馬(NPC)に違和感を感じています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人で何かしている可能性が高いと考えています。 ※セイバー(ロト)の真名を見ました。主従共に真名を知ることに余り興味が無いので、ジョンスに伝えるかどうかはその時次第です。 ※セイバー(ロト)の生前の話を知りました。何処まで知っているかは後続の書き手さんに任せます。少なくとも魔王との戦いは知っているようです。 ※アーチャー(エミヤ)の『干将莫耶』『剣射出』『壊れた幻想』を確認しました。 ※狭間が『人外の存在』だと気づいています。 ※ライダー(鏡子)の宝具『ぴちぴちビッチ』を確認しました。彼女の性技が『人間の技術の粋』であることも理解しています。  そのため、直接出会い、その上での全力での闘争を激しく望んでいます。ちなみに、アーカード的にはあれは和姦です。 ※英霊中に人間由来のサーヴァントが多数居ることを察しています。彼らとの闘争を心から望んでいます。 ※ヴラド三世が、異なる世界の自身だと認識しました。また、彼を“人間”だと認識しています。 [共通備考] ※図書館は10時開館、22時閉館です。 ◆  アンデルセンとジナコは孤児院の離れに存在する礼拝堂に入った。  アンデルセンは事前に公衆電話で何人たりとも礼拝堂に入らぬよう、ハインケルに指示をした。  新都の事件の重要参考人であるジナコを匿うことは、犯人隠匿の罪に当たる。アンデルセンはマスターであり、この街が作られた物と知っているが故に気にならないが、ハインケル達はNPCであり、彼らにとってはこの街が全てだ。牧師の業務行為として無罪となった判例もあるが、それでもハインケル達に迷惑が掛かるのは避けられない。  彼らに迷惑を掛けぬよう、アンデルセンは理由を言わずに指示を出し、ハインケルは理由を聞かず承諾した。堅い信頼関係が、それを為した。 「すまぬがここで少し待って貰おう。廃教会に行く前に、孤児院の様子を見ておきたい」  アンデルセンはジナコにそう断りをいれる。アーカードとヴラド三世の戦いを見届ける意味でも、ジナコを匿う意味でも、廃教会の方が都合がいいだろう。  だが、アンデルセンは自身の役割である院長として、孤児院の様子を確認しておきたかった。それに加え、食料を用意するという理由もある。中間地点として、この礼拝堂を利用する形だ。 「神父さん……一つ、良いッスか?」 「何だ?」  礼拝堂に着くまで沈黙を保っていたジナコが、顔をうつむかせたまま小さな声で尋ねる。  アンデルセンは彼女の言葉を待った。 「アタシ、何もしていない……悪いこと、何もしていない。なのに、どうして……どうして……」  ジナコはうつむいていた顔を上げる。 「どうして、神様はアタシを助けてくれないんッスか?! どうして神様はアタシにこんなことするんッスか?!」  涙を流し、泣きじゃくり、まるで子供のようにわめきながらアンデルセンに問いかける。 「『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』」  アンデルセンは静かな声で答える。 「えっ……?」 「『あなたはなお、わたしに責任を負わそうとするのか。あなたはわたしを非とし、自分を是としようとするのか』」 「……?」  アンデルセンの言葉の意味が分からず、ジナコは押し黙った。 「旧約聖書、ヨブ記、第40章の6節と8節。簡単に言えば、『お前は自身を正当化するために、主が間違っていると言うのか?』と言う主の問いかけだ」 「い、いや、アタシ、そんな――」 「その気持ち、わからんでもない」 「……え?」  慌てて否定しようとするジナコだが、肯定したアンデルセンに思わず呆けてしまう。  アンデルセンは長椅子に座り、ジナコに背を向ける。 「戦争、流行病、天災、人災、化け物……この世は全知全能の主が作ったにしては、苦難が多すぎる。『どうして悪いことをしていないのに、私がこんな目にあわないといけないのか』。そう主に嘆く気持ちは分からんでも無い。第3章11節、『なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか』。義人であるヨブですら、数多の苦難を前に、己が生まれたことを呪った」 「……」  アンデルセンの語りに、ジナコは泣きやみ、黙って聞き入った。 「だが違うのだ。世界は我ら人間の為にあるわけではない。主の前には俺も、お前も、矮小な一人の生き物にすぎん。主が与えし苦難の理由を、たかが人間が分かるよしもない」 「じゃあ、アタシはどうすれば……」 「苦難を受け入れよ」  アンデルセンはそう宣告する。 「苦難に対し、『間違ってる』『私は悪いことをしていないのにどうして』と否定して目を背けるのではなく、主から与えられた苦難を無知なる人間として素直に受け入れるのだ。勿論、それは決して容易いことではない。だが、苦難を受け入れれば、新たな発見があるだろう」  アンデルセンはそこまで語ると立ち上がる。 「食事を持ってくる。少し待っていろ」  アンデルセンは背を向けたまま、礼拝堂を出て行く。  ジナコはその背を見守ったまま、立ちつくしていた。 「……苦難を、受け入れる……」  静寂に満ちた礼拝堂に、ジナコの小さな声が響いた。 【C-9/孤児院の離れの礼拝堂/一日目 夕方】 【ジナコ・カリギリ@Fate/EXTRA CCC】 [状態]脇腹と肩に鈍痛、精神消耗(大)、ストレス性の体調不良(嘔吐、腹痛)、昼夜逆転、空腹、いわゆるレイプ目、アサシン(ベルク・カッツェ)へのわずかな殺意? [令呪]残り3画 [装備]カツラ、いつもと違う格好 [道具]変装道具一式、携帯電話、財布、教会に関するメモ [所持金]ニートの癖して金はある [思考・状況] きほん■■■■:『アタシ』を殺す? 0.苦難を……受け入れる……? 1.ひとりぼっちは嫌。だから『自分』を殺す。殺さないと。 2.れんげやジョンスに謝りたい、でも自分からは何も出来ない。 3.『もう一人のジナコ=カリギリ』の情報を集める……? [備考] ※ジョンス・リー組を把握しました。 ※密林サイトで新作ゲームを注文しました。二日目の昼には着く予定ですが仮に届いても受け取れません。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)にトラウマを深く抉られました。ですがトラウマを抉ったのがカッツェだとは知りませんし、忘れようと必死です。 ※『もう一人のジナコ=カリギリ』の再起不能をヤクザに依頼し、ゴルゴから『もう一人のジナコ=カリギリ』についての仮説を聞きました。  『もう一人のジナコ=カリギリ』殺害で宝具を発動するためにはかなり高レベルの殺意と情報提供の必要があります。  心の底からの拒絶が呼応し、かなり高いレベルの『殺意』を抱いていると宝具『13の男』に認識されています。  さらに高いレベルの宝具『13の男』発動のために情報収集を行い、ヤクザに情報提供する必要があります。 ※ヤクザ(ゴルゴ13)がジョンス組・れんげを警戒対象としていることは知りません。 ※変装道具一式をヤクザから受け取りました。内容は服・髪型を変えるための装飾品・小物がいくつかです。  マネキン買いしたものなのでデザインに問題はありませんが、サイズが少し合わない可能性があります。 ※放送を耳にしました。しかし、参加者が27組いるという情報以外は知りません。 ※教会なら自分を保護してくれると思い込んでいます。メモにはカレンのいる教会(D-5)も記載されています。 ※ランサー(ヴラド3世)のパラメーターを把握しました。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)を殺害しなければランサー(ヴラド3世)に見捨てられると思い込んでいます。 ※独りではない為、多少精神が安定しています。 ※アンデルセン組を把握しました。 【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】 [状態]健康 [令呪]残り二画 [装備]無数の銃剣 [道具]ジョンスの人物画 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を託すに足る者を探す。存在しないならば自らが聖杯を手に入れる。 1.ジナコとともに廃教会へ行く。 2.昼は孤児院、夜は廃教会(領土)を往復しながら、他の組に関する情報を手に入れる。 3.戦闘の際はできる限り領土へ誘い入れる。 [備考] ※方舟内での役職は『孤児院の院長を務める神父』のようです。 ※聖杯戦争について『何故この地を選んだか』『どのような基準で参加者を選んでいるのか』という疑念を持っています。 ※孤児院はC-9の丘の上に建っています。 ※アキト、早苗(風祝の巫女――異教徒とは知りません)陣営と同盟を組みました。詳しい内容は後続にお任せします。 ※ルリと休戦し、アーカードとそのマスターであるジョンスの存在を確認しました。  キリコのステータスは基本的なもの程度しか見ていません。 ※美遊陣営を敵と判断しました。 ※れんげは「いい子」だと判断していますが、カッツェに対しては警戒しています。 ---- |BACK||NEXT| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|123:[[現実なのに夢のよう]]| |120:[[勇者よ――]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|127:[[籠を出た鳥の行方は?]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |115:[[俺はお前で、私はあなた]]|[[アレクサンド・アンデルセン]]&ランサー([[ヴラド三世]])|141-a:[[we are not alone]]| |~|[[ジナコ・カリギリ]]|~| |117:[[DANGEROUS]]|[[ジョンス・リー]]&アーチャー([[アーカード]])|123:[[現実なのに夢のよう]]| &link_up(▲上へ)
*『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』 ◆OSPfO9RMfA  ジナコ・カリギリとランサー、ヴラド三世はB-10の住宅街の外れを歩く。  周囲にNPCの気配はない。二人はこのまま人気のない廃教会へ向かうつもりだ。  突然、ジナコの持つ携帯電話が鳴りだした。  どうやら自宅の電話から転送されたもののようだ。 「ひ、ひゃあ?! ラ、ララララ、ランサーさん。ど、どどどどどうすればいいッスか?」 「……知らん。好きにしろ」  ランサーはジナコの保護を約束したが、子守までするつもりはなかった。  逆探知やイタズラ電話などの可能性も考えられる。だが、実際に物理的に問題がおこれば、今はランサーがジナコの身を保護してくれる。  結局、ジナコはあたふたしながらも、結局電話に出ることにした。 ◆  ジョンス・リーはベルク・カッツェが嫌いだ。  ベルク・カッツェは高みの見物をして人を馬鹿にし、それでいて自分は悪くないとのたまう、反吐の出るクズ野郎だ。  自身のサーヴァントに倒させるのではなく、自らの八極拳で倒さねば気が済まないほどに嫌いだった。  だが、ベルク・カッツェはアサシンだ。サーヴァントだ。  サーヴァントの本質は霊体であり、神秘の存在しない攻撃は効果がない。ベルク・カッツェもその例外ではない。如何にジョンスの八極拳の威力が強かろうとも、単なる物理攻撃でしかないそれでは、ベルク・カッツェには届かない。  故に、ベルク・カッツェを倒す術を探しに、図書館まで来た。  伝承からベルク・カッツェの弱点を見つけるために。サーヴァントをサーヴァントならざる身で倒す方法を見つけるために。  そして本に埋もれること数十分。ついにベルク・カッツェと思わしき伝承の書物にあたった。  しかし、熟読する前に二度の襲撃を受け、未だに弱点を探し出せては居なかった。  襲撃で受けた傷も治療し、ふと時計を見やる。そろそろ18時を回ろうとしていた。 「そうだな。一度、連絡してみるか」  駄肉こと、ジナコにベルク・カッツェのマスター、宮内れんげを保護させている。ジョンスがベルク・カッツェを倒す前に、れんげを誰かに殺されてしまっては意味がない。ベルク・カッツェにはれんげを護る意思が無いことは分かっていたが、自身で連れ歩いていては闘争ができない。その為、ジナコに任せていた。  まだベルク・カッツェ撃破の糸口を掴んだだけだが、既に誰かに倒されていないか、確認の意も込めて連絡する必要があるだろう。  ジョンスは図書館を出ると、携帯電話に手を掛けた。 『もしもし……?』 「俺だ、ジョンスだ」 『えっと……どちら様ッス?』  ジナコのマヌケな声が帰ってくる。 「寝ぼけてるのか?」 『ひいいいいいっ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』  電話の向こうで平謝りするジナコの声を呆れながら聞いて、ふと思い出す。 「……そう言えば、名乗ってなかったか」  ジョンスがジナコといた間、彼女はほとんど気を失っていた。電話番号を聞いたときも、名乗った覚えはない。さらに、電話番号を聞く際に寝ていたジナコを叩き起こした。言葉通り、寝ぼけてたのかもしれない。 「悪い。ジョンス・リー。八極拳のジョンス・リーだ。れんげから聞いてるだろ? あいつは今どうしてる」 『八極拳のジョンス……れ、れんげちゃん?! えっと、えっと……』  ジナコが歯切れの悪い返答をしていると、電話の向こうで携帯電話が引ったくられる音がした。 『電話を替わった。お前が八極拳か?』  次に聞こえた音は、壮年の男の声だった。聞き覚えのない声だ。 「そうだ。そう言うあんたは駄肉のサーヴァントか?」 『冗談にも言って良い冗談と悪い冗談がある。気をつけろ』  ジナコのサーヴァント扱いはよほど心外なのだろう。機嫌悪そうな声だ。  電話越しの相手は一拍おいてから、言葉を続ける。 『ランサーだ。今は警察に追われているこの女を保護している』 「警察に追われている? 何しやがったんだ?」 『知らんのか』  ジョンスはジナコの家を出てからテレビやラジオから情報を得ていない。図書館には当然そのようなものはなく、新都の現状を全く知らなかった。 『新都でこの女の偽者が暴れ回った。この女はその濡れ衣を着せられたわけだ』 「ベルク・カッツェか」  ジョンスは『偽者』と言うワードにすぐさま把握する。ベルク・カッツェがジナコの姿を真似て、彼女に罪を着せるために暴れ回ったのだろう。奴が変身能力を持っているのは知っている。あのクズ野郎ならやるだろうと、容易に予想が付いた。  それと同時に、図書館に着いてから少し感じていた違和感についても納得がいった。  銃を使った戦闘が三回もあったのに、警察もルーラーも全く来ない。おそらく、新都の騒ぎに人を割きすぎて、こちらまで回す余裕がなかったのだろう。 『そいつの名までは知らん』 「そいつには手を出すな。俺が倒す」 『余は手を出すつもりはない。だが、それなら急いだ方が良い。この女は偽者を許さんだろう』 「……そうだな。わかった」  他人事のようなランサーの口調から、ベルク・カッツェを倒す意思がないのはわかった。  だが、直接被害を負っているジナコは違うだろう。そのジナコに対して『俺が倒すから止めろ』と言うのは我が儘でしかない。いくら駄肉とはいえ、それを強要する気にはなれなかった。 『それで、れんげと言ったか。彼女はホシノ・ルリと名乗る警官に保護されている。連絡先を教えようかね?』 「そうだな、頼む」  警官に保護されているのなら、今すぐに電話しなくてもいいか。  ジョンスはそう思いながらも、ランサーから聞いた番号を、ジナコの電話番号を書いた紙に併記する。 「助かった。用事が終わったから切るぞ」 『待て』  ランサーが強い口調で止める。  電話なので一方的に切ることもできたが、色々親切に教えて貰ったからか、その行為は躊躇われた。 『お前はアーカードのマスターだな? 奴に替われ』 「アーカードにか」  アーチャー、アーカード。ジョンスのサーヴァントだが、今は魔力回復のために寝ている。  真名は特に隠していないので、ランサーがアーカードの名を知っていることについては何とも思っていない。だが、寝ている彼を起こすのは少々躊躇われた。 「あいつは今寝ている。言伝なら俺が聞く」 『叩き起こせ。奴にも有益な話だ』  どうしてもランサーはアーカードと直接会話をしたいようだ。  ジョンスは、仕方ない、と溜息をつく。 「わかった。少し待て」 ◆ 「おはよう。私を叩き起こしたのは何処の誰かな?」  ジョンスに念話で起こされ、アーカードはサディスティックな笑みを浮かべて電話に応じる。 『余はランサー、ヴラド三世だ』 「ほう。懐かしい響きだ。その名を騙るとは、よほど命知らずと見える」  アーカードは殺気と怒気を含め、電話越しの相手に返す。  それは、機械を介してさえ伝わりそうなほどの殺意だった。  しかし―― 『笑わせるな、“化け物”』  それに対する言の葉は、その殺意すらも貫くほど冷たく鋭利であった。  ヴラドの言葉に、アーカードの笑みが止まる。 『この聖杯戦争が、数多の世界の座より召喚されることは知っていよう。だが、余“が”ヴラド三世だ。ヴラド三世はお前のような醜い“化け物”ではない』 「――くく、くくくくく……」  並行世界、パラレルワールド、もしくは異世界か。  ともあれ、アーカードは認識する。  電話越しの相手が、別世界の“もう一人の自分”であることを。  アーカードは認識する。  “もう一人の自分”は、“化け物”ではないことを。 「はは、はははははHAHAHAHAHAHA!! なるほど、貴様は“人間”と言うことか。ならば問おうヒューマン、私に何の用だ!」 『知れたことを。余の名を穢す“化け物”を滅ぼす。お前は、塵芥も残さぬ』 「そうか、そういうことか」  ――『人間のままでいられた強い“人間”<ヴラド三世>』が『人間でいられなかった弱い“化け物”<アーカード>』を殺しに来る。  アーカードは唇の端を、これでもかと言わんばかりに釣り上げる。 「素晴らしい!! 実に素晴らしい!! さぁ、来い! 今すぐ来い!! 速く来い!! 私を殺し、証明して見せろ!! いいや、待ちきれん!! 私がそちらに行こう!! 貴様は何処だ! 何処にいる!!!」 『D-9の廃教会だ。日付が変わるまで、そこで待つ』 「ほう、そこならルーラーの横槍も入るまい。良いだろう!! 今すぐに迎えに行こうではないか!!」 『お前は余の手で滅ぼす。それまで死んでくれるなよ』  その言葉を最後に、通話が切れた。 ◆  ヴラド三世は通話を切ると、無言でジナコに携帯電話を返した。 「ど、どうなったんッスか……」 「少し事情が変わった」 「え?」  ジナコがどういう事か聞き返そうとすると、前方から足音が聞こえた。ジナコは思わずヴラド三世の影に隠れる。  現れたのは、ヴラド三世のマスター、アレクサンド・アンデルセンだった。ヴラド三世はジョンスやアーカードとの会話中、彼と念話にて連絡を取っていた。 「すまんな、神父」 「なに、アーカード滅殺は王の悲願。彼女は俺に任せて貰おう」 「頼んだ」  ジナコを無視した会話が行われ、それが終わるとヴラド三世は南へと走り去っていった。  ヴラド三世はアーカードが来る前に、一度陣地を確認しておきたかった。故に、ジナコをアンデルセンに任せることにした。勿論、何かあれば令呪ですぐさま駆けつけるつもりである。 「え、ちょ、ランサーさん?!」  もっとも、その説明をする時間さえヴラド三世に取っては惜しい。ジナコはヴラド三世に向けて話し掛けようとしたが、すでに姿が見えないほど遠くに行っていた。  そんな彼女に、アンデルセンはゆっくりと歩み寄る。 「ジナコさん、でしたかな?」 「ひ、ひぇっ!? は、はい……」 「俺はアレクサンド・アンデルセン。先ほどのランサーのマスターだ。彼に急務ができた。今は俺があなたを保護しよう。よろしいかね?」 「は、はい……」  ジナコは首を縦に振る。自分を無視した流れに、若干の憤りを覚えると共に、無力故の仕方なさも感じていた。 【C-10/住宅街のはずれ/一日目 夕方】 【ランサー(ヴラド三世)@Fate/apocrypha】 [状態]健康、ジナコに対する苛立ち [装備]サーヴァントとしての装備 [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:勝利し、聖杯を手に入れる。 1.アーカードとの戦いに備え、領土の確認をする。アーカードが来たら滅殺。 2.日付が変わるまでにアーカードが来なければ、こちらから攻める。 3.アンデルセンと情報収集を行う。アーチャーなどの広域破壊や遠距離狙撃を行えるサーヴァントを警戒。 4.聖杯を託すに足る者をアンデルセンが見出した場合は同盟を考えるが、聖杯を託すに足らぬ者に容赦するつもりはない。 [備考] ※D-9に存在する廃教会にスキル『護国の鬼将』による領土を設定しました。 ※美遊陣営を敵と判断しました。 ※ジナコを率いれましたが、彼女が『もう一人のジナコ』を殺害しない場合、どのような判断を下すかは後続にお任せします。 ※ジョンスとアーチャー(アーカード)の声を確認しました。 ◆ 「電話は終わったか?」  通話が終わったのを見計らって、ジョンスがアーカードに話し掛ける。  と、アーカードはジョンスの両肩を掴むと顔を近づけ、狂気にも近い歓喜に満ちあふれた笑顔を向けた。 「さぁ、マスター!! D-9の廃教会に行こうではないか! 今すぐにだ!! ハリー! ハリーハリー!! ハリーハリーハリー!!!」  アーカードは新しい玩具をねだる子供のように、ジョンスの肩を揺らしながらまくし立てた。 「待て。図書館での俺の用事が終わっていない」  だが、ジョンスは冷静に告げる。  アーカードは力無く、肩を落とす。 「…………………………………………………………そうか」 「おあずけを喰らったような犬のような顔をするな。しかたねぇ、ちょっと待ってろ」  ジョンスはアーカードをその場に置いて、図書館の中に入る。  図書館の中には利用者は一人もおらず、館の職員と思わしきNPCが二人いるだけだった。  とは言え、カウンターの向こうにいる女はパジャマ姿、もう一人の女はスーツ姿ではあるが、頭と背にコウモリの羽根のようなアクセサリーを付けており、なんともまぁ、自由な職場だとジョンスは感じた。  ジョンスはパジャマよりはまともそうだと、スーツ姿のNPCに近づいた。 「少し良いか?」 「はい、何でしょうか?」 「この図書館、本は何冊まで借りれるんだ?」  ジョンスに必要なのは、ベルク・カッツェの情報だ。図書館そのものではない。  その為、本さえ持ち出せれば問題ないだろうと考えた。 「ごめんなさい、当館は本の貸し出しは禁止なんです」 「そうか」  丁寧に謝る職員に、ジョンスは短く言葉を返す。  本を持ち出されると他の参加者が困るのだろう。それ故の貸し出し禁止。その事はある程度予想はしていた。  無理に持ち出す方法が無いわけではないが、聖杯戦争に関わる施設だ。ルーラーが制止しにくるかもしれない。またお小言を聞かされるのはまっぴらゴメンだ。 「この図書館は何時まで開いてるんだ?」 「10時開館の22時閉館ですね」 「結構遅くまでやってるんだな」 「大変ですけど、その分お給料がいいですからね」  職員は冗談めかして笑いながら答える。意外とこの施設、公営ではないのかもしれない。  もっとも、この街全てが聖杯戦争の為に作られた街だ。私営だろうが公営だろうが、そんなことはどうでもいい話ではある。 「あとは……そうだな、魔法関連の本って何処にあるんだ?」  ジョンスはついでに、狭間偉出夫が使ったと思われる『魔法』についても尋ねてみる。もし『魔法』が存在するのであれば、サーヴァントをこの身で倒すのに使えるかもしれないし、『魔法』を知れば狭間に対応しやすくなる。。 「魔法、魔術関連の書籍は、ちょうどこのブロックですね」  職員が手で示したのは、本が500冊は入ってそうな棚。それが3本分だった。 「結構な数あるな……魔法と魔術の違いって何だ?」 「定義の違いですね。でも地域によって、魔法と魔術の定義が結構違ってたりします。ある地域では魔法と呼ばれる行為も、別の地域では魔術に該当したりすることも良くある話です」 「なるほど」  真名が分かっていたベルク・カッツェとは違い、ジョンスが望む魔法が記述されている本を探し当てるのは、非常に骨が折れそうだ。  ましてやジョンスは『魔法』も『魔術』も門外漢だ。本一冊を理解するのにも時間が掛かるだろう。  『魔法』の知識を得る、という目的の優先順位は下げるべきかもしれない。  ジョンスは職員に礼を言うと、図書館から出てアーカードと合流する。 「アーチャー、とりあえず飯を食いに行く。そこで今後の予定を立てる」  今は18時過ぎ。図書館の閉館は22時。図書館は当然飲食禁止だ。図書館に籠もるにせよ、廃教会に行くにせよ、切りの良いこのタイミングで食事を取るべきだと判断した。 「ではマスター、私も頂こう」 「サーヴァントは食わなくてもいいんじゃなかったか?」 「確かに食事が不可欠というわけではない。だが、食事を取った方が魔力は回復する」  ジョンスが今すぐに廃教会行きを渋る理由がもう一つ。  現状、アーカードは多大に魔力を消費している。今すぐ戦場に行くと、アーカードの劣勢は容易く予想できる。アーカード自身はそれよりもヴラド三世との戦いを望んでいるようだが、一蓮托生のジョンスとしては余り勧められた物ではない。 「他に魔力を回復する方法はなんだ?」 「マスターからの魔力供給が第一。あとは睡眠や食事、他には魂食いだな」 「魂食いか」  魂食いは、ジョンスとしては余り気乗りはしない。  魂食いはある程度なら許容される、と言うのは理解している。  が、アーカードと戦った際、そこらのチンピラがちょっと怪我しただけでルーラーがすっ飛んできた。  許容される『ある程度』が、実際どの程度かわかったものではない。 「それから、そうだな。私は吸血鬼だ。血を吸うことで魔力を回復することも可能だろう」 「血か。病院に行けば輸血パックがあるだろうな」  病院。狭間にマスターとサーヴァントが居ることを教えられた場所。  病院に行く理由ができたとも言えるが、そこで魔力を回復した以上に消費してしまったら元も子もない。リスクとリターンがどれほどかは考える必要がある。廃教会と方向が逆なのもネックだ。  かといって図書館に引きこもって睡眠を取らせても、大して魔力は回復しないだろう。図書館に誰かが来る可能性もある。 「まぁ、その辺も含めて相談するか」 「了解した、マスター」  ジョンスとアーカードは、図書館近くのイタリアンレストランへと消えていった。 【C-8/図書館付近/一日目 夕方】 【ジョンス・リー@エアマスター】 [状態]顔面に痣、疲労(大)、右腿の銃痕(応急処置済み)、空腹 [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]ジナコの自宅の電話番号、ホシノルリの連絡先を書いた紙 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:闘える奴(主にマスターの方)と戦う。 0.晩飯を食べながら今後の方針についてアーカードと相談する。 1.図書館でアサシン(カッツェ)を八極拳で倒す方法を探す。ついでに『魔神皇』の情報も探す? 2.あの男(切嗣)には必ず勝つ。狭間ともいずれ決着を。ただ、狭間のサーヴァント(鏡子)はなんとかしたい。 3.アーカードがD-9の廃教会に行きたいと言っているので、ある程度考慮する。 4.『魔法』の情報を探す。 5.ある程度したらルリに連絡をする。 6.錯刃大学の主従をどうするか。アーカードの魔力回復の為に病院に寄ることも考える。 7.聖と再戦する。 [備考] ※先のNPCの暴走は十中八九アサシン(カッツェ)が関係していると考えています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人でなにかやっている可能性が高いと考えています。 ※宝具の発動と令呪の関係に気付きました。索敵に使えるのではないかと考えています。 ※聖、ジナコの名を聞きました。アサシン(カッツェ)の真名を聞きました。 ※ランサー(ヴラド三世)の声を聞きました。 ※アサシン(カッツェ)、セイバー(ロト)、アーチャー(エミヤ)のパラメーターを確認済み。 ※科学忍者隊ガッチャマン、おはよう忍者隊ガッチャマン、ガッチャマン(実写版)におけるベルク・カッツェを把握しました。  ベルク・カッツェ(クラウズ)の書物も見つけましたが、切嗣との戦闘によりある程度しか読めていません。  どの程度まで把握したかは、後続の書き手さんに任せます。  →まだほとんど読めていません。 ※狭間偉出夫の容姿と彼のサーヴァント(鏡子)の『ぴちぴちビッチ』を確認しました。更にサーヴァントの攻撃が性的な攻撃だと気づいてます。  狭間偉出夫が実力の大部分を隠していると気づいています。 ※狭間偉出夫から錯刃大学の主従についての情報を受け取りました。  受け取った情報は『春川英輔について』『超常の反撃能力について』です。 ※狭間偉出夫の『トラフーリ』を確認しました。切嗣戦と合わせてマスターの中に『ジョンスの常識を超えた技を使える者』が居ることに気づきました。  魔法の存在にも存外理解があります。 ※ジナコが警察に追われていることを知りました。ベルク・カッツェの仕業だと思っています。 【アーチャー(アーカード)@HELLSING】 [状態]魔力消費(極大)、ヘブン状態 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:主(ジョンス・リー)に従う。 0.晩飯を食べながら今後の方針についてジョンスと相談する。 1.ランサー(ヴラド三世)と戦うために廃教会に行きたい。 2.錯刃大学の主従をどうするか。 3.アーチャー(エミヤ)そしてセイバー(ロト)と再戦し、勝利する。 4.性のサーヴァント(鏡子)に多大な興味。直接会い、再戦することを熱望。狭間には興味なし。 5.アサシン(カッツェ)が起こそうとしている戦争には興味がある。 6.アサシン(カッツェ)が接触してきた場合、ジョンスに念話で連絡する。 7.参加者中にまだまだ『ただの人間から英雄へと至った者』が居ると考えています。彼らとの遭遇も熱望してます。 [備考] ※野次馬(NPC)に違和感を感じています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人で何かしている可能性が高いと考えています。 ※セイバー(ロト)の真名を見ました。主従共に真名を知ることに余り興味が無いので、ジョンスに伝えるかどうかはその時次第です。 ※セイバー(ロト)の生前の話を知りました。何処まで知っているかは後続の書き手さんに任せます。少なくとも魔王との戦いは知っているようです。 ※アーチャー(エミヤ)の『干将莫耶』『剣射出』『壊れた幻想』を確認しました。 ※狭間が『人外の存在』だと気づいています。 ※ライダー(鏡子)の宝具『ぴちぴちビッチ』を確認しました。彼女の性技が『人間の技術の粋』であることも理解しています。  そのため、直接出会い、その上での全力での闘争を激しく望んでいます。ちなみに、アーカード的にはあれは和姦です。 ※英霊中に人間由来のサーヴァントが多数居ることを察しています。彼らとの闘争を心から望んでいます。 ※ヴラド三世が、異なる世界の自身だと認識しました。また、彼を“人間”だと認識しています。 [共通備考] ※図書館は10時開館、22時閉館です。 ◆  アンデルセンとジナコは孤児院の離れに存在する礼拝堂に入った。  アンデルセンは事前に公衆電話で何人たりとも礼拝堂に入らぬよう、ハインケルに指示をした。  新都の事件の重要参考人であるジナコを匿うことは、犯人隠匿の罪に当たる。アンデルセンはマスターであり、この街が作られた物と知っているが故に気にならないが、ハインケル達はNPCであり、彼らにとってはこの街が全てだ。牧師の業務行為として無罪となった判例もあるが、それでもハインケル達に迷惑が掛かるのは避けられない。  彼らに迷惑を掛けぬよう、アンデルセンは理由を言わずに指示を出し、ハインケルは理由を聞かず承諾した。堅い信頼関係が、それを為した。 「すまぬがここで少し待って貰おう。廃教会に行く前に、孤児院の様子を見ておきたい」  アンデルセンはジナコにそう断りをいれる。アーカードとヴラド三世の戦いを見届ける意味でも、ジナコを匿う意味でも、廃教会の方が都合がいいだろう。  だが、アンデルセンは自身の役割である院長として、孤児院の様子を確認しておきたかった。それに加え、食料を用意するという理由もある。中間地点として、この礼拝堂を利用する形だ。 「神父さん……一つ、良いッスか?」 「何だ?」  礼拝堂に着くまで沈黙を保っていたジナコが、顔をうつむかせたまま小さな声で尋ねる。  アンデルセンは彼女の言葉を待った。 「アタシ、何もしていない……悪いこと、何もしていない。なのに、どうして……どうして……」  ジナコはうつむいていた顔を上げる。 「どうして、神様はアタシを助けてくれないんッスか?! どうして神様はアタシにこんなことするんッスか?!」  涙を流し、泣きじゃくり、まるで子供のようにわめきながらアンデルセンに問いかける。 「『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』」  アンデルセンは静かな声で答える。 「えっ……?」 「『あなたはなお、わたしに責任を負わそうとするのか。あなたはわたしを非とし、自分を是としようとするのか』」 「……?」  アンデルセンの言葉の意味が分からず、ジナコは押し黙った。 「旧約聖書、ヨブ記、第40章の6節と8節。簡単に言えば、『お前は自身を正当化するために、主が間違っていると言うのか?』と言う主の問いかけだ」 「い、いや、アタシ、そんな――」 「その気持ち、わからんでもない」 「……え?」  慌てて否定しようとするジナコだが、肯定したアンデルセンに思わず呆けてしまう。  アンデルセンは長椅子に座り、ジナコに背を向ける。 「戦争、流行病、天災、人災、化け物……この世は全知全能の主が作ったにしては、苦難が多すぎる。『どうして悪いことをしていないのに、私がこんな目にあわないといけないのか』。そう主に嘆く気持ちは分からんでも無い。第3章11節、『なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか』。義人であるヨブですら、数多の苦難を前に、己が生まれたことを呪った」 「……」  アンデルセンの語りに、ジナコは泣きやみ、黙って聞き入った。 「だが違うのだ。世界は我ら人間の為にあるわけではない。主の前には俺も、お前も、矮小な一人の生き物にすぎん。主が与えし苦難の理由を、たかが人間が分かるよしもない」 「じゃあ、アタシはどうすれば……」 「苦難を受け入れよ」  アンデルセンはそう宣告する。 「苦難に対し、『間違ってる』『私は悪いことをしていないのにどうして』と否定して目を背けるのではなく、主から与えられた苦難を無知なる人間として素直に受け入れるのだ。勿論、それは決して容易いことではない。だが、苦難を受け入れれば、新たな発見があるだろう」  アンデルセンはそこまで語ると立ち上がる。 「食事を持ってくる。少し待っていろ」  アンデルセンは背を向けたまま、礼拝堂を出て行く。  ジナコはその背を見守ったまま、立ちつくしていた。 「……苦難を、受け入れる……」  静寂に満ちた礼拝堂に、ジナコの小さな声が響いた。 【C-9/孤児院の離れの礼拝堂/一日目 夕方】 【ジナコ・カリギリ@Fate/EXTRA CCC】 [状態]脇腹と肩に鈍痛、精神消耗(大)、ストレス性の体調不良(嘔吐、腹痛)、昼夜逆転、空腹、いわゆるレイプ目、アサシン(ベルク・カッツェ)へのわずかな殺意? [令呪]残り3画 [装備]カツラ、いつもと違う格好 [道具]変装道具一式、携帯電話、財布、教会に関するメモ [所持金]ニートの癖して金はある [思考・状況] きほん■■■■:『アタシ』を殺す? 0.苦難を……受け入れる……? 1.ひとりぼっちは嫌。だから『自分』を殺す。殺さないと。 2.れんげやジョンスに謝りたい、でも自分からは何も出来ない。 3.『もう一人のジナコ=カリギリ』の情報を集める……? [備考] ※ジョンス・リー組を把握しました。 ※密林サイトで新作ゲームを注文しました。二日目の昼には着く予定ですが仮に届いても受け取れません。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)にトラウマを深く抉られました。ですがトラウマを抉ったのがカッツェだとは知りませんし、忘れようと必死です。 ※『もう一人のジナコ=カリギリ』の再起不能をヤクザに依頼し、ゴルゴから『もう一人のジナコ=カリギリ』についての仮説を聞きました。  『もう一人のジナコ=カリギリ』殺害で宝具を発動するためにはかなり高レベルの殺意と情報提供の必要があります。  心の底からの拒絶が呼応し、かなり高いレベルの『殺意』を抱いていると宝具『13の男』に認識されています。  さらに高いレベルの宝具『13の男』発動のために情報収集を行い、ヤクザに情報提供する必要があります。 ※ヤクザ(ゴルゴ13)がジョンス組・れんげを警戒対象としていることは知りません。 ※変装道具一式をヤクザから受け取りました。内容は服・髪型を変えるための装飾品・小物がいくつかです。  マネキン買いしたものなのでデザインに問題はありませんが、サイズが少し合わない可能性があります。 ※放送を耳にしました。しかし、参加者が27組いるという情報以外は知りません。 ※教会なら自分を保護してくれると思い込んでいます。メモにはカレンのいる教会(D-5)も記載されています。 ※ランサー(ヴラド3世)のパラメーターを把握しました。 ※アサシン(ベルク・カッツェ)を殺害しなければランサー(ヴラド3世)に見捨てられると思い込んでいます。 ※独りではない為、多少精神が安定しています。 ※アンデルセン組を把握しました。 【アレクサンド・アンデルセン@HELLSING】 [状態]健康 [令呪]残り二画 [装備]無数の銃剣 [道具]ジョンスの人物画 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を託すに足る者を探す。存在しないならば自らが聖杯を手に入れる。 1.ジナコとともに廃教会へ行く。 2.昼は孤児院、夜は廃教会(領土)を往復しながら、他の組に関する情報を手に入れる。 3.戦闘の際はできる限り領土へ誘い入れる。 [備考] ※方舟内での役職は『孤児院の院長を務める神父』のようです。 ※聖杯戦争について『何故この地を選んだか』『どのような基準で参加者を選んでいるのか』という疑念を持っています。 ※孤児院はC-9の丘の上に建っています。 ※アキト、早苗(風祝の巫女――異教徒とは知りません)陣営と同盟を組みました。詳しい内容は後続にお任せします。 ※ルリと休戦し、アーカードとそのマスターであるジョンスの存在を確認しました。  キリコのステータスは基本的なもの程度しか見ていません。 ※美遊陣営を敵と判断しました。 ※れんげは「いい子」だと判断していますが、カッツェに対しては警戒しています。 ---- |BACK||NEXT| |121:[[selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|123:[[現実なのに夢のよう]]| |120:[[勇者よ――]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|127:[[籠を出た鳥の行方は?]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |115:[[俺はお前で、私はあなた]]|[[アレクサンド・アンデルセン]]|141-a:[[we are not alone]]| |~|[[ジナコ・カリギリ]]|~| |~|ランサー([[ヴラド三世]])|| |117:[[DANGEROUS]]|[[ジョンス・リー]]&アーチャー([[アーカード]])|123:[[現実なのに夢のよう]]| &link_up(▲上へ)

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