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*DANGEROUS  ◆tHX1a.clL.   透き通るような肌。白磁のような艶めく肌。   白昼でも目立つ白い制服。肌の色によく似合う制服。   癖の強い黒髪。白尽くめの容姿を彩る烏の濡羽色の髪。 「魔神皇、狭間偉出夫だ」   その上から身に纏うのは、魔を統べる皇(すめらぎ)たるオーラ。   その存在感は、NPCなどとは程遠い。   言葉で説明されるまでもない。   放っている威圧感が、内に秘めた『何か』が。肌で感じ、分かる。彼は―――魔神皇・狭間偉出夫は、圧倒的な強者だ。 「ついてるのか、ついてないのか……どっちも、か」   これだけの相手に出会える。出会ってしまう。   満足の行かない結果にむしゃくしゃしてたこの状況で出会える。技の要となる足に傷を負い出会ってしまう。   運命の女神が居るなら、そいつはそうとう、ジョンス・リーという人物を理解しているのだろう。   しかし、ジョンスの気分の高揚も、そこまでだった。 「身構える必要はない。こちらに交戦の意思はない」   瞬間、その場の空気ががらりと変わる。   周囲を霧散しまばらに漂っていた緊迫感が、張り詰めた弓の弦のように、狭間とジョンスの間で張り詰める。 「……おい、おい」   ジョンスの目が細まり、口角が引きつる。   言葉は、叩きつけるように乱雑で、短いながら怒気も感じられる。 「……じゃあなんだ、おい」   無意識に取っていた構えを解き、今度は自分の意志で拳を作る。   言うまでもない。怒りだ。ジョンスは今、かなり頭にきていた。   理由は、一つしかない。 「フヌケか、俺は」   話をしに来ただけの男に対して、臨戦態勢を取らせられた。   その事実が、心の底から気に食わない。   だから怒る。   だから魔神皇を名乗る青年に向かって一歩踏み出す。   たたらを踏んだ足を蹴り上げるように。   思わず構えをとってしまった『本能』という奴に根性を入れなおすように。   そして、フヌケたことを抜かした『魔神皇』とやらの鼻っ柱をへし折るために。 「聞こえなかったか。争う気はないと言った」 「そうか。そりゃあ大変だな」   二人の姿勢はほとんど変化していない。自然体でそこに佇む狭間と、彼に向かって一歩目を踏み出したジョンス。   しかし、目の色が違う。   相手を見据え、火花を散らすほどに睨みつけている。   右足が痛む? だからなんだ。   相手が悪い? 望むところだ。   痛むものは痛ませておけばいい。   相手が強かろうがなんだろうが、戦えるなら十分だ。   理解できない、という顔でジョンスを見つめる狭間。   ジョンスは、息を吐くならば先に吸わねばならないとでも説明するように、こう告げた。 「戦いに理由がいるか」 「……じゃあ、あれだ」 「目が合った。それで十分だ」   衝突必至。   聖杯を望む者同士、出会ったからには戦闘を避けられない。   元よりそのつもりだった。当然そこに戻った。ただそれだけ。 「やるのか」 「それ以外にあるか」   隣に立つアーチャーが笑う。   結局、ジョンスたちにはそれしかないのだ。   相手がなんであれ、戦う。   戦い、戦い、戦って、戦い、戦い、戦うしかない。   かつり、と足音。ジョンスが一歩近づく。   かつり、と足音。ジョンスが一歩近づく。   そうして着実に間合いを詰めていく。   かつり。かつり。かつり。かつり。かつ。   最初に動いたのはアーチャーだった。   どこからかジャッカルを取り出してその身体能力から横っ飛びに大きく跳躍し、左方へと飛び退る。   ジョンスの前進と自身の武器の射線とがかち合わないように。   どうもアーチャーは『魔神皇』にそんなに興味が無いらしい。接近戦には加わらず、ジョンスの戦闘にまず賭けるようだ。   そしてそれはジョンスとしても望むところだった。   狭間はサーヴァントではない、マスターだ。   ならば当然、ジョンスに戦う道理がある。   暗黙の了解とでも言うべき譲り合い。気にもとめず距離を詰める。   狭間はまだ動かない。 「くほっ、おごおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ……っ!?」   次に動いたのは、『何者か』だった。   左方から素っ頓狂な声が上がる。   何事かと目を切れば、そこには数度痙攣しながら弓なりに身体を反らせるアーチャーの姿があった。   そしてその股間には、『何かが張り付いていた』。   突如として現れ、アーチャーを捕捉し、狙い違わず攻撃を繰り出した『何か』   おそらく敵サーヴァントの攻撃だろう。   タイミングを考えるならば、目の前の『狭間偉出夫』のサーヴァントである可能性が高い。   ならば話は早い。   マスターである狭間ごと叩き潰す。それだけのことだ。   アーチャーの嬌声をBGMにかつりかつりと足音が響く。   二人の距離は十分に詰まった。   狭間はまだ動かない。   あと二歩でぶつかるというところで、ジョンスが動く。   右の拳を握りしめ、狭間に対して右肘を向けた。   素人目にも分かる、攻撃の予備動作。      右足が大きく振り上げられ、最後の一歩を踏みしめる。   その踏み込みがなされれば、どれほどの衝撃を生むのか。   その踏み込みから構えた肘の一撃を突き出せば、どれほどの武器となるのか。   狭間はまだ動かない。   右足が地面を叩き割り、肘鉄を放つ準備を整える。   そうして肘鉄が放たれる寸前。   ジョンスの目に写ったのは、突如空間に現れた『手』だった。   成程、これが。   アーチャーを止めた見えざる手。   自由自在に空間を割って入り、懐に飛び込んで先手を打つ、文字通り『逆転の手』。   手が股間に伸ばされる。   急所を狙い行動を制限するつもりのようだ。   だが、ジョンスは既にその『手』についていくつかのことを見抜いていた。   アーチャーに対して『張り付いた』からにはその本質は遠距離攻撃ではなく超近距離攻撃。   同時にジョンスを狙わなかったならば出せる手は一本、補足人数と補足距離はその手の届く範囲。   その二つしかわからなかったが、その二つを見抜いているからこそ、対応できる。   いや、攻撃を受けるアーチャーの姿を見た瞬間から『対応するものとして、攻撃に移っている』。 「と」   狭間の口が小さく動く。   この場で何をつぶやくのか。サーヴァントへの命令か。それとも念仏か。   知ったことではないし聞いてやる必要もない。   小さく息を吐き、踏み込んだ右足に重心を移動させる。   足に鈍い痛みが走る。真新しい傷跡の端が無理やり裂けて広がる。鮮やかな血が再びダーク・スーツに深い色の染みを作る。   だが、それしき。傷つけられたプライドに比べれば安いものだ。   踏み込んだ力で放たれていた肘鉄が獲物を捉えることなく止まる。   更に踏み込みに力を加え、一気に力を解き放つことで重心を右足から体幹へと戻す。   地から足が離れない程度の浮遊感。重心移動によって体の位置が少しずれ、『意識外からの攻撃』への対処を完了した。   何者かの指先が、ジョンスが先ほどまで居た場所を撫でる。その場には最早何もないにもかかわらず。   『手』は虚しく宙を掻き、最も近くに伸ばされていた人差し指が切なげにジョンスの股間を掠めただけだった。   掠めただけ。続く攻撃は来ない。   一秒あれば更に『手』を伸ばし股間を捕まえられるだろうが、その一秒でジョンスは十分一撃を放てる。 「ら」   そのまま体を捻じり、『手』を釣り出すために放った『渾身のフェイント』を振り払い更に一歩、限界点を超えた一歩へ踏み出す。   まさか思うまい。   ある程度戦闘に長けた者なら、まさか負傷痕鮮やかな右足を軸足とする負担をかけてまでフェイントを放つとは思うまい。   素人であるなら、まさかここまでの強烈な踏み込みからの一撃が囮だとは思うまい。   更に知りえるはずもない。   人体の内でも飛び抜けて凶器と呼ばれる肘の一撃がブラフで、狙いが『背中の一撃』だとは。   そして、おおよそ全ての格闘技において攻撃に転ずることのない背中こそが八極拳士の最大の武器であるとは。   回る。回る。景色を置き去りにして、ジョンスの体がきっかし九十度回転する。   ジョンスの背中が魔神皇を捉える。   刀が鞘から抜き放たれる。大砲の口が敵へと向く。ミサイル発射のスイッチに指が添えられる。例えるならば、そういうこと。 「ふ」   回転を止めるために落とされた左足とコンクリートが衝突する。   コンクリートが衝撃に耐え切れず、ズドンというおよそ人の足からは起こせ得ない音を立てながら弾け割れる。   目の端にとらえた魔神皇の表情は変わっていない。焦りも、不安も、苛立ちもない。   サーヴァントの攻撃を避けられてなお秘策があるのか。   それともフェイントからの一撃など受けても問題ないとでも思っているのか。   後者だとすれば、とんだ見くびりだ。   両の足に力を込める。背中に火薬の装填が完了する。   あとは、叩き込み、大爆発で叩き折る。魔神皇とやらのたっかいたっかい鼻っ柱を、一撃のもとに叩き折る。 「う」   それこそがジョンス・リーの最大にして最高の技。   それこそが八極拳の辿り着いた技術の粋。   それこそが現代最強の八極拳士が信条にする『一撃必殺』、その一撃。   そう、即ちそれこそが『鉄山靠』。   文字通り鉄の山がなだれかかってくるほどの衝撃が、魔神皇に向けて放たれる。   そして――― 「り」      ―――ここに、魔神皇の詠唱が完了する。   感触がない。   確かに必中の位置、必殺の間合いから放たれた一撃が、為す術無くよけられた。   何が起こった。   どう避けた。   心臓が早鐘を打ちが体中に無茶苦茶に血を送る。   その原因は恐怖ではない。   その原因は焦燥ではない。   ジョンスの股間の一物が変化している。   性的興奮を覚えた時よりもきつく、痛いほど激しく硬直している。   その原因は、即ち勃起。 「頭に登った血は、少しは降りたか」   少し離れたところから皮肉が飛ぶ。   見れば、数メートル離れたところに、変わらぬ姿勢で立ち続ける魔神皇が居た。 「仕切り直しといこう」   かつり、かつり。   今度は魔神皇の靴が石畳を叩く。   一度は正体不明の手品で突き放した距離を、今度は魔神皇自らの足で詰め、再び交渉(TALK)をしにやってくる。 「魔神皇、狭間偉出夫だ。聖杯を望んでいる。君たちと一時的な同盟を結ぶために来た」   足音が止まる。   二人の距離は約3メートル。お互いが十分攻撃に転じられる距離。   先ほどとは違う。戦う意志がないという『穏便』から始まる交渉ではなく、将来の闘争の可能性を孕んだ『剣呑』から始まる交渉。 「こちらの申し出は一つ。君たちの『他参加者との積極的戦闘を望む』ということ」   特別なことではない。   今までジョンスたちがやってきたことだ。 「提供できるものは二つ。『参加者と思われる人物の情報』とそれを討伐した際の報酬……右足の治療をしよう」   情報、あれば助かる。あてどもなく敵を探すよりはマシだ。   報酬、治療。確かに右足を引きずったままでは格好がつかない。しかし、治療の心得があるようには見えない。嘘の可能性もある。   何が目的かさっぱり見えてこない。謎の多い提案だ。   そしてそれと同じくらいに。   魔神皇がとうとうと同盟の内容を語る間も、ジョンスの意思とは関係なく彼の一物は固く屹立し続けていた。   固く大きく、それこそまさに行動に支障が出るほど、天を指し屹立する己の一物。触れられてからもう2分はたとうとしているのに一切萎える気配がない。   そちらも謎であり、戦闘になるにしろ交渉を続けるにしろなんとかせねばならぬ問題だった。   沈黙が流れる。   片や返答を待つ魔神皇。   片や突然の申し出と体の変化を訝しがる八極拳士。   二人の沈黙を破ったのは、第三者だった。 「どうした、終わりか?」   幽鬼のように立ち上がり、ゆらり、ゆらり、揺れながら歩いてくる。   足取りはおぼつかない。体を支える魔力も残っていないのか。   しかし、その言葉と歩みだけは止まらない。 「何故止める、何故止まる」 「その魔力をもってして、何故バケモノを殺しに来ない」   常人の理解を超えた言葉の羅列。   手に構えるのはアーチャーの武器である銃が一つ、比較的軽くて動かしやすい方の454カスールカスタム。   狭間の眉間に銃口が向けられる。   しかし、彼は小動もしない。 「死に体の怪物をわざわざ嬲って喜ぶような幼稚な趣味はない」   まるで『自分が死なない』と本気で思っているかのように。   表情一つ変えず、アーチャーの一挙手一投足を見つめている。   だが、アーチャーもただ狭間を脅すためだけに獲物を取り出したわけではない。   当然、撃つ。   しかしその相手は狭間ではなく…… 「私が話しかけているのは、貴様のような『混ぜ物』ではない……最初から―――」   アーチャーには『来る』とわかっていた。   一度目がそうだったように、二度目もそうであると半ば確信していた。   主たる魔神皇に付き従い、彼をサーヴァントの凶行から護るために伸ばされる『救いの手』。   狭間の眉間に向けていた銃を素早くおろし、自身の股間の真正面へと銃口をずらす。   果たしてそこには、アーカードの股間めがけて先ほどと同じ白く細い『手』が伸びていた。          ヒューマン 「―――貴様だ、『人間』」   引き金にかかった指に力が籠もり、撃鉄が跳ね起きる。   一発の銃声。   立ち昇る硝煙。   跳ね上がる石畳。   銃口の先には既に手はない。   代わりに、銃とアーカードとの間。アーカードの胸の前に現れていた。   伸ばされた手は股間の代わりにアーカードの乳頭を捻り上げる。 「 ―――――――――――――――― ッッッ !!!」   咆哮と呼ぶにはあまりに艶やかで。嬌声と呼ぶにはあまりに雄々しい。   アーチャーの胸板の上を、タクトでも振るかのように指が踊り、指が踊る度にアーチャーの口から声が上がる。   最後に愛おしげに彼の右の乳頭をもう一度撫で、手はそのまま消えてしまった。   と同時に、アーチャーも膝から崩れ落ちてしまった。   魔神皇の眉が引きつったのを、ジョンスは見逃さなかった。   どうやら彼はこの光景を見るのにあまり乗り気ではないらしい。 「……なんだ。まあ、気を強く持て」   ジョンスの口から出たのは、先ほどまで親の敵のように敵視していた人間に向けたものとは思えない言葉。   股間の怒張を収めようとするうちに、ささくれ立っていた気もつられて少し落ち着いてきたらしい。   まだまだ最初の不快感は残るが、それでも手当たり次第に殴り抜くほどではない。 「……続けよう。君たちに対して行動を強制するつもりはない。私達と戦いたいというならこの場で相手にしよう」   狭間の目が鋭くなり、先程よりさらに剣呑な言葉が飛び出す。   望むところということか。あちらとしても、闘争は。 「言っておくが、私のサーヴァント相手に二度の偶然はない……次は確実に、君の『股間』を捉えるだろう」   だというのに。   大真面目な顔で、大真面目な声で、かなり馬鹿げたことを言っている。魔神皇のその様に、ジョンスの興は一気に削がれた。   確かに狭間とは戦いたい。先ほど避けられた借りもあるし、鼻っ柱をへし折りたいという気持ちはまだある。   だが、この状況、この空気で闘争を始めてもただのギャグだ。勝つならまだしも、負けて消えれば洒落にもならない駄洒落だ。   苛立ちを紛らわせるために頭をかきむしり、狭間に向かって吐き捨てるようにこう言った。 「……なんだ。同盟って」   執拗に股間を狙い、性的な攻撃だけを仕掛ける手。   それに対して果敢に挑み、嬌声を上げながら地に伏すサーヴァント。   股間を狙って性的な攻撃をするということを胸を張って宣言する魔神皇。   もうこの場でジョンスの望む闘争は無理だ。   少なくとも、あの『手』を何とかしない限り、ジョンスと狭間との争いは『闘争』ではなくただの『シュールギャグ』になる。   聖杯戦争始まって以来のあまりに強烈な肩透かしに、ジョンスは心の中で大きくため息を吐いた。   逃した魚は、強く、大きい。   ♂  ♀  ♂  ♀ 「なあ、おい」   狭間と別れ、まるで鞘に刀を収めるように、拳をゆるめてポケットへと突っ込む。   そして、自身の側で再び立ち上がったサーヴァント・アーチャーにこう質問した。 「『トラフーリ』って何か、お前知ってるか」 「聞き覚えが無いな」 「あいつが後ろに下がる時、そう言ってた」   確かに狭間偉出夫と名乗った青年はそう言った。   その場から消え、数メートル後ろに下がる直前、『トラフーリ』と言った。   聞き覚えのない単語。そして起こる摩訶不思議な現象。それはまるで…… 「ならば魔法の呪文か」   ジョンスの思考に合わせるようにアーチャーが、茶化すように口にする。   しかし、ジョンスはそれこそ核心、腑に落ちたという風に呟いた。 「そうか、魔法か」 「『アレ』がもし魔法を使うとすれば、だがな」   思えば、ジョンスが先ほど戦闘した男もそうだった。   途中何かを呟いたかと思えば、何故かいきなり速く動き出した。   気合を飛ばせるのが居るならそういうのも居るかと納得していたが、実際にはあれも魔法の類なのかもしれない。 「……魔法、か」   世界は広い。   ただ生きてるだけじゃ出会えないバケモノばかりだ。   渺茫が居た。歴代の最強を体内に収めて戦うバケモノが居た。   アーカードが居た。自身の殺してきた者を従えて夜に君臨するバケモノが居た。   カッツェが居た。瞬間移動になりすましで扇動を行うバケモノが居た。   手の先だけを飛ばして股間に性的な攻撃を加えてくる奴(これはおそらく人間由来だが)が居た。   今更魔法が出てきたところで驚きやしない。   そこではた、と気付く。 「お前、確かあの手に攻撃されてたよな。二回」 「そうだったか」 「……なんともないのか」   ジョンスは股間を狙われた。   指先は股間をかすめた程度、だというのに彼の股間の一物は痛いほど勃起した。   ならばクリーンヒットしたように見えたアーチャーは、どうなった。 「どうした?」   いつもの調子で笑う。明確な答えはない。   だからといって確認しなければならない義務もないし確認したいわけでもない。   そしてジョンスには男の股間を眺める趣味はない。 「……はぁ」   アーチャーが勃起しようが絶頂しようが射精しようが関係ない。   今問題なのは魔神皇のもたらした情報……錯刃大学の主従についてだ。   情報によれば『春川英輔』なる人物が居るらしい。   マスターか、サーヴァントか、一般人かは分からない。   ただ、『攻撃対象を自身に移す宝具』を持つ何者かが潜伏しており、彼はその関係者であるという。   馬鹿正直に戦いに行ってやる必要はない。   同盟だと取り繕ってはいたが、結局はそいつたちと自分たちを戦わせたいだけだ。   ただ、参加者の位置がわかっているなら選択肢にも幅がでる。   もしも春川という男が腕が立つようならば、(言いなりになるようで少し癪だが)戦ってみるのも悪くない。   二度も続いた不完全燃焼な苛立ちをぶつける相手が欲しかったところだ。都合がいいにも程がある。   他の参加者を探す、というのも捨てがたい。それとも図書館に残って『魔法』や『魔神皇』について調べてみるか。   色々できることはある。   だが、まずは図書館でカッツェについて、先ほどの文献を読みなおしてから…… 「いや、まずは足か」   じくりと傷んだ右足を見て、思い出す。そういえば怪我をしていたのだと。   一方的に報酬として治療を約束されたが、そんなあるかも分からない報酬に縋るつもりは毛頭ない。   さっさと治療しないと傷口が悪化して行動に支障が出るかもしれない。   ならばまず、なによりも治療。   ジョンスは痛む足を動かして、図書館への道を戻った。   ♂  ♀  ♂  ♀ 「それにしても、あんなのが居んのか」   慣れた手つきで足に包帯を巻きながらジョンスがつぶやく。   流石に想定外だった。   性的な攻撃を行ってくるサーヴァントなんて誰が予想できるというのか。 「ふざけた戦い方だ。アレをナニして英霊になるってだけでもふざけてるが」   ふざけた技。ふざけた存在。ふざけた戦い。   全くもってふざけた時間。出来るならば出会いからやり直したい程だ。   しかし、アーチャーにとっては存外そうでもないらしい。 「……あれも、面白いサーヴァントだった」   アーチャーは想起する。先ほどの『闘争』を。   正体不明のサーヴァントの攻撃。突然伸びてきた女の手。   確かに手を異空間から飛ばす宝具による不意打ちではあった。   しかし、アーチャーの前進を止めた攻撃の本質は一つ。   『技術』だ。   人間の技術だ。   幾千・幾万と連綿に続く人間の歴史。営みの記憶。   性という人類の遺伝子に刻まれた本能を、技へと昇華させたものだ。   先の戦い、ジョンスは『ふざけた』と評価したが、アーチャーは違う。   あれもまた、彼が求め続けたものの形だ。                         アーカード   ジョンスとはまた別の人間の技術の粋が、『純然たるバケモノ』の歩みを止めたのだ。 「もう一度逢いたい。もう一度触れ合いたい」   細く嫋やかな指がしなり。   自身の一物を掴み撫でる。   一秒にも満たないその行為で、得も言えぬ快楽が巻き起こり。   衝撃が腰を砕き、脊髄を走り、脳を突き抜け、魂を天上の世界へと導いた。   銃口を向けたアーチャーに対して、母の愛のようにきつく、それでいて優しい指先で答えた。   捻り上げられた乳頭に不快な痛みはなく、心地良い痛みと快楽が再び頭蓋のうちに脳内物質を飛び散らせた。   魔力が体中から絞りあげられ、体外へと無理やり引きずり出される。   抗いがたい快楽とともに訪れる存在が周囲に霧散するような錯覚すら覚える喪失感は、命を託したつがいに頭から齧り喰われる雄蟷螂の心地と言うべきか。   極上の快楽と人の性を肯定した結果生まれる、至上の死。   彼女がアーチャーにもたらしたのは、全く新しい『人間』による『バケモノ』を殺す可能性。 「やはり、この舟に乗ったのは正解だった」   居るのだ。   居たのだ。   やはり居るのだ。   やはり居たのだ。   武器を構えず。武を知らず。女の身一つ。   人間の技術の粋で、技術の粋のみで。   アーチャーの拳の一振りで死ぬような脆い躯(からだ)で、彼が優しく触れてもたちまち折れてしまいそうな弱々しい腕一本で。   敵を、『アーカード』を殺せる、実際に魔力枯渇の寸前まで追いやった『ただの人間』もここには居たのだ。 「ここまで焦がれる、ここまで想う、ここまで―――」   何度も、何度も、記憶を辿る。   彼女との情事の記憶を辿る。   焦がれ、焦れる。   雄が雌へと抱く性的欲求の権化、肉欲が至る一つの形。   理性の蓋から漏れだした本能の雄叫び。   彼女に対するこの感情を何かと呼ぶならそれはまさしく。 「―――ここまで、愛おしい」   まさしく愛だ。 「愛おしいな」   ちっぽけな人間風情の弛まぬ研鑽と努力の末に、ついにはバケモノを殺せるに至った人の技よ。 「愛おしい」   人間の身で手に入れられる程度の技術を蓄え続け、英雄と崇められ、ついには英霊の頂にまで辿り着いた者よ。 「愛おしいぞ。『性のサーヴァント』」   顔も姿も知らぬ相手。   出来るならば、異空間からの一方的な愛ではなく。   面と向かい、互いの愛を確かめたい。   彼女の飽くなき性への愛が勝つか。   それとも自身の闘争への―――『人間』への―――愛が勝つか。 「そしてまだ見ぬ『英雄の本懐を遂げし者』たちよ」   セイバー『勇者ロト』や『無数の剣を放ったアーチャー』のように人の身で英雄の頂にまで上り詰めた人間が居たのだ。   ジョンス・リーや『性のサーヴァント』のように人の身でアーチャーを殺せる術を身に着けた人間が居たのだ。   居ないわけがない。   更なる『人間』が。   サーヴァントか。はたまたジョンスのようなマスターかは分からない。   ただ、確実に居る。     アーカード      ヒューマン   『バケモノ』を殺せる『人間』が、この地に居る。   その内の何人が弱々しくも誇り高き人間か。それはまだわからない。ただ一言、二言。                  あい 「私はここだ。はやく貴様らも殺しに来い」   この舟で死出の旅路を共にする『誰か』に向かってそう睦言を囁き、目を閉じる。   少しだけ、休む。   体の傷は気にならないが、魔力の消費が極大だ。   せっかくバケモノを倒しに来た人間を拍子抜けさせてはならない。バケモノはバケモノらしく。そうあるべきだ。 「今はただ」 「更なる逢瀬の時をひたすら待つとしよう。初恋に身悶える生娘のようにな」   夢心地のひととき。   サンタを待ちながら床につく子どものように。   きらめく明日を夢見る少年のように。   更なる人間との出会いに夢を馳せ、満足感に身を溶かす。   万感の思いを込めた笑いを残して、アーカードは最後にゆるやかにこう呟いた。 「少し、眠る」 「ああ」   アーチャーの魔力消費が多大な事にはジョンスもアーチャーも気づいていた。   そして、もしこれ以上戦いを続ければアーチャーが魔力枯渇で消えてしまうことになるにも気づいていた。   それだけはお互いに避けなければならない。   だから、一旦休憩を取る。   普通の英霊なら睡眠のような形での休憩は必要ないが、アーチャーに関してはそうもいかないらしい。   普段のアーチャーならば、椅子に腰掛けそのまま眠りにつくなどやろうはずもない。   ただ、彼は今とても飢えており、それでいて満たされていた。   深く腰掛けただけの椅子でさえ、自前の棺桶程ではないにせよ心地いい。   アーチャーと人間とが聖杯戦争という枠の中で共に死出の旅路を往くならば、さしずめこの方舟こそが大きな大きな棺桶。   成程、ならば心地よいはずだ、と納得し。そのままゆるやかに意識を無意識に明け渡した。   残されたジョンスは側で仮眠に移ったアーカードを眺めながら大きくため息を吐いて彼の演説をこう締めくくった。 「お前、キモいとかサムいとか言われたことねぇのか。知り合いに」   当然、バケモノの一途な愛はジョンスには理解してもらえない。   ジョンスは脳内に木霊する聞き慣れた/聞こえるはずのない笑い声に辟易しながら、受付に救急箱を返しに行った。 【C-8/図書館/一日目 夕方】 【ジョンス・リー@エアマスター】 [状態]顔面に痣、疲労(大) 、右腿の銃痕(応急処置済み)、苛立ち [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]ジナコの自宅の電話番号を書いた紙 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:闘える奴(主にマスターの方)と戦う。 1.図書館でアサシン(カッツェ)を八極拳で倒す方法を探す。ついでに『魔神皇』『魔法』の情報も探す? 2.あの男(切嗣)には必ず勝つ。狭間ともいずれ決着を。ただ、狭間のサーヴァント(鏡子)はなんとかしたい。 3.ある程度したらジナコに連絡をする。 4.錯刃大学の主従をどうするか。 5.聖と再戦する。 [備考] ※先のNPCの暴走は十中八九アサシン(カッツェ)が関係していると考えています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人でなにかやっている可能性が高いと考えています。 ※宝具の発動と令呪の関係に気付きました。索敵に使えるのではないかと考えています。 ※聖の名を聞きました。アサシン(カッツェ)の真名を聞きました。 ※アサシン(カッツェ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)のパラメーターを確認済み ※科学忍者隊ガッチャマン、おはよう忍者隊ガッチャマン、ガッチャマン(実写版)におけるベルク・カッツェを把握しました。  ベルク・カッツェ(クラウズ)の書物も見つけましたが、切嗣との戦闘によりある程度しか読めていません。  どの程度まで把握したかは、後続の書き手さんに任せます。 ※狭間偉出夫の容姿と彼のサーヴァント(鏡子)の『ぴちぴちビッチ』を確認しました。更にサーヴァントの攻撃が性的な攻撃だと気づいてます。  狭間偉出夫が実力の大部分を隠していると気づいています。 ※狭間偉出夫から錯刃大学の主従についての情報を受け取りました。  受け取った情報は『春川英輔について』『超常の反撃能力について』です。 ※狭間偉出夫の『トラフーリ』を確認しました。切嗣戦と合わせてマスターの中に『ジョンスの常識を超えた技を使える者』が居ることに気づきました。  魔法の存在にも存外理解があります。 【アーチャー(アーカード)@HELLSING】 [状態]魔力回復のため睡眠中、魔力消費(極大)、ヘブン状態 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:主(ジョンス・リー)に従う。 0.――――――(睡眠中) 1.錯刃大学の主従をどうするか。 2.アーチャー(エミヤ)そしてセイバー(ロト)と再戦し、勝利する。 3.性のサーヴァント(鏡子)に多大な興味。直接会い、再戦することを熱望。狭間には興味なし。 4.アサシン(カッツェ)が起こそうとしている戦争には興味がある。 5.アサシン(カッツェ)が接触してきた場合、ジョンスに念話で連絡する。 6.参加者中にまだまだ『ただの人間から英雄へと至った者』が居ると考えています。彼らとの遭遇も熱望してます。 [備考] ※野次馬(NPC)に違和感を感じています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人で何かしている可能性が高いと考えています。 ※セイバー(ロト)の真名を見ました。主従共に真名を知ることに余り興味が無いので、ジョンスに伝えるかどうかはその時次第です。 ※セイバー(ロト)の生前の話を知りました。何処まで知っているかは後続の書き手さんに任せます。少なくとも魔王との戦いは知っているようです。 ※アーチャー(エミヤ)の『干将莫耶』『剣射出』『壊れた幻想』を確認しました。 ※狭間が『人外の存在』だと気づいています。 ※ライダー(鏡子)の宝具『ぴちぴちビッチ』を確認しました。彼女の性技が『人間の技術の粋』であることも理解しています。  そのため、直接出会い、その上での全力での闘争を激しく望んでいます。ちなみに、アーカード的にはあれは和姦です。 ※英霊中に人間由来のサーヴァントが多数居ることを察しています。彼らとの闘争を心から望んでいます。   ♂  ♀  ♂  ♀ 『性急すぎた?』 「いや、いい」   ジョンス組との戦闘を思い返す。   あの場でライダーが赤い外套のサーヴァントに対して文字通り『手』を出すのは狭間にとっても想定内の行動だった。   ライダーの性技はある種の反則に近い。   宝具でもスキルでもなく、そのくせ回避はほぼ不可能かつ一度捕まれば逃げることすら敵わない。   初見殺しかつ回避不能かつ対策不可能であるならば、ある程度は見られても問題ないだろう。   もちろん見られるのは最大限避けたいが、それは時と場合による。   あの瞬間での宝具・性技の使用は赤い外套のサーヴァントの足止めとマスターの撹乱で『ライダーの存在の秘匿』以上の効果が得られた。   それを咎める所以はない。 『それにしても……意外だね』 「何がだ」 『白い方の人、話を聞いてくれるとは思わなかったから』   狭間も、最初に啖呵を来られた時はあの場で殺すのもやむなしと考えていた。   しかし出来ることならば彼らには生きていて欲しかった。   だからあえて一度距離をとり、アプローチを変えて再び接触した。   ライダーの宝具と技で彼のペースをかき乱し、判断力を鈍らせた上で再度接触した。   結果が、ご覧のとおりだ。   少し想定外の事件は起きたが、それでもほぼ恙無く交渉は終わったと言っていいだろう。 『……あの二人に、生きていて欲しいって?』   鏡子が疑問を口にする。   『殺し合い』の場で『生きていて欲しい』というのも、成程、道理がなければおかしな話だ。   狭間はバスの時刻表に目を通しながらこう問い返した。 「君は、あの二人組をどう思う?」 『……赤い方の人は、かなり乗り気だったわね。  白い方の人は……確かに触れたのに、気持よくしてあげられなかった。ちょっと残念。次は頑張らないと』   ナニがとかナニをとは聞かない。   聞くだけ時間の無駄だ。   狭間はあえてライダーの発言には触れず、自身の論を展開する。 「あの二人組は強い。マスターの方も、サーヴァントの方も、参加者中で上位に入るかもしれない」   マスターは屈指の戦闘能力を持ち、サーヴァントも超再生能力を持つ。   宝具を開放していないが、それでも他のマスター・サーヴァントを撃退出来る程の腕前を持っている。   主も強ければ従も強い。安定した強さを誇る主従だと言っても過言ではないだろう。 「私達も強い。だが、君の耐久力や宝具の性能を考えればそれは一極的な強さでしかない」   確かに狭間は強い。魔神皇の名は伊達ではなく、数多くの呪文と彼の知能を用いればどれほどのマスターが束になって来ようが完璧に対処しきれるだろう。   しかし、対魔力や神秘という概念があるかぎり、サーヴァント相手では魔神皇の魔法も形無しである可能性が高い。   対魔力持ちに傷を付けられるかもしれない高位の呪文は、基本的に規模が大きく周囲への被害も多大。使えば裁定者に目をつけられる可能性がある。   ライダーの宝具の性能は確かにいい。条件さえ揃えば2km離れたところから一方的に絞り殺すことだって可能だ。   ただ、ライダー自身の耐久は人間並、反撃されれば一太刀で地に伏すことになる。   手持ちのカードが極端すぎる。特定の相手には限りなく強く、特定の相手には限りなく弱い。それが狭間の下した自身たちへの評価だった。   だからこそ、あの二人組には生き残ってもらいたい。   他の『正統派に強い』チームに、狭間の懸念する『狭間たちにとって脅威となる相手』に対し勝負を挑み、その戦力を削ってもらいたい。   少しでも狭間たちが危機にさらされる可能性を減らすために。 「そして、彼らを選んだのにはもうひとつ」 「上位に入る強さの彼らが、一極的な強さの私達には勝てないからだ」 「力量の差ではない。ただひたすらに、彼らのスタイルと私達のスタイルの相性が悪い」   そして、彼らこそが狭間の考える『狭間たちが優位に立てる相手』。   格闘技に遠距離攻撃はない。   マスターの男は火力の弱い範囲攻撃を連発すればそれだけで近寄らせずに殺すことが出来る。   ライダー相手になすがままになっているところから考えるに、その気になればサーヴァントを絞り殺すことも可能。   狭間たちとあの二人との間には、現状では、偶然やミス程度では覆らないだけの高さの壁がある。   宝具という不確定な要素もあるが、先の戦闘や今の戦闘でも宝具を出さないところを見るとよほど条件が特殊なのか、既に宝具解放状態なのか。   もしくは魔力消費が激しく、令呪で魔力をブーストしなければ使えないほどなのか。   どれにせよ、先手を取れれば確実に無力化出来るということが今回の邂逅で分かった。 「そして、どうやらあのサーヴァントは君のことが甚く気に入っているらしい」   あの赤い外套のサーヴァントが銃を構えた瞬間にわかっていた。   狙いが狭間ではなく、彼を襲ったライダーの手だということは。   狭間に対して気が向いていないというべきか。ライダーに対して期待をしていたというべきか。   彼は望んでいた。ライダーの右手が再び自身の股間を狙ってくることを。   だから狭間は対応できた。念話でライダーに『股間へのフェイントを行い別の場所を攻撃しろ』と伝えられた。 「君があのサーヴァント相手に数秒時間を稼げば、それだけで全て片がつく」                 コンボ   彼らに対するほぼ必中必殺の『連携』。サーヴァントの足を止め、マスターを呪文で殺す。   奥の手というには愚直、かつ効果的。相手も確実に想定し、そして想定していても逃げられない、そんな質の悪い呪いのような連携。   その攻めの起点は、サーヴァントたるライダーの培ってきた『技』。   狭間が、この方舟に来てから数えるほどしかしてないライダーの『性的な攻撃』への肯定的な発言をした時だった。 『出来れば、あの赤い方の人の足止めは遠慮したいかな』   ライダーの口から、意外な言葉が飛び出したのは。 「……意外だな」   今度は狭間が、鏡子に対して言葉を返す。 「君が性交の相手を選ぶとは思わなかった。ああいうのは嫌いか」 『嫌いって程じゃないんだけど……ん、苦手……かな?』   鏡子がまだ魔人だった頃。   彼女の通う希望崎学園には、『夢見崎アルパ』という魔人が居た。   鏡子とは学年も違うし属する派閥も違う。ダンゲロス・ハルマゲドンさえなければ出会うことすらなかったかもしれない。そんな希薄な関係。   だが、残っている。   その腕(かいな)と、その脳の奥深くに、まだ残っている。 『もっと……』『もっと……』『もっと……』『もっと……』『もっとだよ……』『もっと……』『もっと……』 『ああもっと……』『鏡子ちゃん……』『いやだよ鏡子ちゃん……』『行かないで』『僕を……』   聞いた覚えのない声が残っている。   快楽に身を委ねる顔が残っている。          『    放  さ  な  い  で    』   鏡子の右腕に、あの時の『熱愛の感覚』が残っている。   掴んで決して放さない、離れることを許してくれない『愛』。   狂おしい程の、世界で一番純粋な『愛』。          『ああ、ここはまるで……                 “キミとボクの二人の世界”……』   自身への愛を逃さず捉え、未来永劫自身以外にはその矛先を向けさせない能力を持ち。   自身を殺させることで惚れた相手の心のなかに残り続けることを本気で願っている。   夢見崎アルパとはそういう魔人だった。                  ひと 『やっと見つけた……運命の女性……』『もっと……』『ああ、鏡子ちゃん……』 『さあ、あとちょっと……!』『ボクを殺して……!!』   アルパに『ぴちぴちビッチ』を発動しなければ、おそらく鏡子はその命を散らすことはなかった。   きっと数十年後も普通に生きており、セックス分野の第一人者として人間国宝になり、孫と仲良く暮らしていたことだろう。   だが、魔人は死ぬ。能力の相性であっさり死ぬ。鏡子の場合、アルパを見つけたことが運命の分岐点であり、アルパを対象と定めた瞬間に死が確定した。   だからこそ、彼との戦いは外見や性別に関係なく無償の愛を振りまく鏡子の精神に少しの陰りを産んだ。   ピーマンが嫌いな人間が居るように。   ダジャレが好きな人間が居るように。   手しか愛せない人間が居るように。   完全無欠のパーフェクト・ビッチ、ビッチオブビッチである鏡子にだって存在してもおかしくはない。   理屈を超えた、無意識判断に近い『なんとなく』での好き嫌いが。   ましてや自身の死因に直結した人間であるなら起こってしかるべしといえるだろう。   そう、鏡子は。   ダンゲロス・ハルマゲドンでの壮絶な死を経て。   『自分から絞り殺されることを望んで鏡子との性行為に当たる真性ドMかつ鏡子によくわからないベクトルで熱烈な愛情を注ぐピュア男子』がなんとなーく苦手になったのだ。 「苦手、か」   突然湧いて出た新事実を飲み込み、自身の糧にする。   ここで知れていてよかった。   何かのきっかけで、この小さな綻びが大きな破綻を生むことになるかもしれない。   少しずつ、少しずつ。着実に、そして確実に。   情報を揃え、不穏分子を排除し続け、一歩一歩聖杯に近づかなければならない。   魔神皇らしくない振る舞いかもしれないが、油断や慢心をして寝首をかかれてみっともなく死ぬよりはマシだ。 『少しだけ、ね』   声しか聞こえないのでどんな顔をしているのかは分からない。   ただ、作戦を立てる際に少し考慮しておく必要があるだろう。   狭間がそう考えていると、自身の『苦手』を知られたのが恥ずかしかったのか、今度はライダーの方から話題を変えてきた。 『それで、どうするの。これから』 「……そうだな」   そこであの二人に対する意識の共有は終え、次の思考に移る。   次に考えるべきは『これから何をすべきか』。   当座の行動の選択肢はかなりある。   まず白髪の男たちの行動の観察。   先にも説明したとおり、彼らは正統派に強く、その上で力量もはっきりと分かる主従だ。   彼らの生存状態を維持できれば、それだけ狭間たちが聖杯を手にする可能性は高くなる。   そして、彼らが好戦的というのも大きい。何者かを探し出し、戦闘をしてくれればそれだけでこちらは情報を得られる。   次に白髪の男たちと交戦していたマスター・サーヴァントとの接触。   正直なところ、ジョンス組が大学へ襲撃に向かわない可能性も大いにある。   もしも錯刃大学に潜むサーヴァントがキャスターならば、長期の放置は得策ではない。   彼らも正統派な強さを持ったマスター・サーヴァントの組だった。   好戦的であったようだし、彼らにとって因縁浅からぬ白髪の男たちが向かったと伝えれば大学方面に対して何らかのアクションを起こすだろう。   3つ目は定時通達で『警告』がされていたB-4地区の観察。   通達を聞いて集まってきた集団が、夕方から夜、朝にかけて戦闘を行う可能性がある。   彼らの情報を集めることが出来ればその分狭間たちは有利に立ち回れるようになるだろう。   幸い、『ぴちぴちビッチ』は覗いているだけならばほぼ見つかることはない。   更にこちらの宝具で空間を跳躍できるのは『ライダーの片腕』か『精液・愛液』のみ。仮に気配探知に長けたサーヴァントが居ようとも問題なく観察に徹することが出来る。   4つ目は籠城。   自身の拠点に戻り、他者との干渉を避けて翌朝まで体力回復と情報収集に務めるというもの。   いくら魔神皇といえども、複数のサーヴァント相手に立ちまわるとなると形勢が悪い。   そしてライダーの宝具の性質を考えるのであれば日中の方が戦いやすい。   ならばいっそ夜はNPC同様家に篭って睡眠・魔力回復に努め、ライダーが近辺の見張りと情報収集を行う、というのもありだ。   まだ人の身から脱せていない以上、狭間もどこかで睡眠・食事を済ませる必要がある。   その問題も解決できるため、これも見返りは大きい。   その他には…… 『あれ。ねぇ、マスター……あそこ』   ライダーの念話に思考を遮られ、何事かと顔を上げる。   狭間の目に入ってきたのは、昼ごろに見たのとほとんど変わらない風景。   ただ一点。目立っていた高層マンションが消えていることを除けば、昼と全く変わらない。 「……訂正しよう。少し条件が変わった」   方角は紛れも無くB-4方向。警告の行われたB-4地区の方で高層マンションが、一時間にも満たないうちに綺麗さっぱり消えてしまったのだ。   B-4地区で何者かが、周囲に対して大規模な影響を及ぼす技を使ったものと思われる。   宝具か、魔術かは分からない。   ただ何者かが戦闘を行い、その結果壊れたのであろう。   どれほどの火力、どれほどの規模、どれほどのサーヴァント。それは分からない。   だが、遠目にも目立つマンションを消すなんて。まるで、発動者が遠くにいる狭間たちにも分かるよう優しく教えてくれているようではないか。   『この先、DANGEROUS! 命の保証なし!!』と。 『凄いことになっちゃってるね』 「……さて、どうしたものか」   バスが来るまでもう少しだけ時間がある。   狭間はもう一度、顎に手を当てて思考の海に身を投じた。 【C-8/図書館近くのバス停/一日目 夕方】 【狭間偉出夫@真・女神転生if...】 [状態] 健康、気力体力減退、体スッキリ [令呪] 残り二画 [装備] [道具] 鞄(生活用具少し、替えの下着数枚) [所持金] いくらかの現金とクレジットカード。総額は不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝つ。 0.B-4で何かが起こっているらしいな。 1-a.B-4地区で大規模戦闘の可能性。ライダーの広範囲索敵で戦闘の観察を行う? 1-b.先ほどの二人(ジョンス組)の行動を追う。彼らの立ち回りを観察? 1-c.先ほどのアーチャー(エミヤ)の行動を追う。可能ならば彼らも錯刃大学へけしかける? 1-d.夜間活発になるであろう参加者たちに警戒。一旦拠点に帰って鏡子に監視させながら籠城? 1-e.それとも? 2.錯刃大学の主従(HAL組)との直接対峙は避けたい [備考] ※まだ童貞。 ※遠坂凛組、ジョンス組を確認しました。ジョンス組に錯刃大学の主従について知っている情報を渡しました。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。  春川英輔(電人HAL)がマスター、ないし手がかりになるだろうと考えています。  春川英輔の経歴と容姿についてネット上に公開されている範囲で簡単に把握しました。 ※学校は必要に迫られない限りは行かないつもりです。 ※状況次第で拠点の移動も考えています。 ※ジョンス組を今回の聖杯戦争中上位の戦闘力を持ち、かつ狭間組が確実に優位に立てる相手だと判断しました。  好戦性も踏まえて、彼らの動向には少しだけ興味があります。 ※鏡子が『絞り殺されることを望む真性のドM』の相手を望んでいないことを知りました。 ※高層マンションが崩壊したことを知りました。通達に関連して集まった参加者たちによる大規模戦闘の結果だと考えています。 【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス】 [状態]欲求不満(小)、はいてない? [装備] 手鏡 [道具] [所持金] 不明 [思考・状況] 基本行動方針:いっぱいセックスする。 0.索敵。 1.次はちょっと頑張っちゃおっかな! [備考] ※クー・フーリンと性交しました。 ※アーカードと前戯しました。自身の死因から彼に苦手意識が少しありますが性交を拒否する程度ではありません。 ※甲賀弦之介との性交に失敗しました。 ※ジョンスが触れることが出来たにも関わらず射精に至ってないことを知っています。ちょっとだけ悔しいです。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 ---- |BACK||NEXT| |116:[[凛として散る戦士の如く]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|118:[[前門の学園、後門のヴォルデモート]]| |116:[[凛として散る戦士の如く]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|118:[[前門の学園、後門のヴォルデモート]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |106:[[闘争弓兵クロニクル]]|[[ジョンス・リー]]&アーチャー([[アーカード]])|122:[[『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』]]| |~|[[狭間偉出夫]]&ライダー([[鏡子]])|:[[]]| &link_up(▲上へ)
*DANGEROUS  ◆tHX1a.clL.   透き通るような肌。白磁のような艶めく肌。   白昼でも目立つ白い制服。肌の色によく似合う制服。   癖の強い黒髪。白尽くめの容姿を彩る烏の濡羽色の髪。 「魔神皇、狭間偉出夫だ」   その上から身に纏うのは、魔を統べる皇(すめらぎ)たるオーラ。   その存在感は、NPCなどとは程遠い。   言葉で説明されるまでもない。   放っている威圧感が、内に秘めた『何か』が。肌で感じ、分かる。彼は―――魔神皇・狭間偉出夫は、圧倒的な強者だ。 「ついてるのか、ついてないのか……どっちも、か」   これだけの相手に出会える。出会ってしまう。   満足の行かない結果にむしゃくしゃしてたこの状況で出会える。技の要となる足に傷を負い出会ってしまう。   運命の女神が居るなら、そいつはそうとう、ジョンス・リーという人物を理解しているのだろう。   しかし、ジョンスの気分の高揚も、そこまでだった。 「身構える必要はない。こちらに交戦の意思はない」   瞬間、その場の空気ががらりと変わる。   周囲を霧散しまばらに漂っていた緊迫感が、張り詰めた弓の弦のように、狭間とジョンスの間で張り詰める。 「……おい、おい」   ジョンスの目が細まり、口角が引きつる。   言葉は、叩きつけるように乱雑で、短いながら怒気も感じられる。 「……じゃあなんだ、おい」   無意識に取っていた構えを解き、今度は自分の意志で拳を作る。   言うまでもない。怒りだ。ジョンスは今、かなり頭にきていた。   理由は、一つしかない。 「フヌケか、俺は」   話をしに来ただけの男に対して、臨戦態勢を取らせられた。   その事実が、心の底から気に食わない。   だから怒る。   だから魔神皇を名乗る青年に向かって一歩踏み出す。   たたらを踏んだ足を蹴り上げるように。   思わず構えをとってしまった『本能』という奴に根性を入れなおすように。   そして、フヌケたことを抜かした『魔神皇』とやらの鼻っ柱をへし折るために。 「聞こえなかったか。争う気はないと言った」 「そうか。そりゃあ大変だな」   二人の姿勢はほとんど変化していない。自然体でそこに佇む狭間と、彼に向かって一歩目を踏み出したジョンス。   しかし、目の色が違う。   相手を見据え、火花を散らすほどに睨みつけている。   右足が痛む? だからなんだ。   相手が悪い? 望むところだ。   痛むものは痛ませておけばいい。   相手が強かろうがなんだろうが、戦えるなら十分だ。   理解できない、という顔でジョンスを見つめる狭間。   ジョンスは、息を吐くならば先に吸わねばならないとでも説明するように、こう告げた。 「戦いに理由がいるか」 「……じゃあ、あれだ」 「目が合った。それで十分だ」   衝突必至。   聖杯を望む者同士、出会ったからには戦闘を避けられない。   元よりそのつもりだった。当然そこに戻った。ただそれだけ。 「やるのか」 「それ以外にあるか」   隣に立つアーチャーが笑う。   結局、ジョンスたちにはそれしかないのだ。   相手がなんであれ、戦う。   戦い、戦い、戦って、戦い、戦い、戦うしかない。   かつり、と足音。ジョンスが一歩近づく。   かつり、と足音。ジョンスが一歩近づく。   そうして着実に間合いを詰めていく。   かつり。かつり。かつり。かつり。かつ。   最初に動いたのはアーチャーだった。   どこからかジャッカルを取り出してその身体能力から横っ飛びに大きく跳躍し、左方へと飛び退る。   ジョンスの前進と自身の武器の射線とがかち合わないように。   どうもアーチャーは『魔神皇』にそんなに興味が無いらしい。接近戦には加わらず、ジョンスの戦闘にまず賭けるようだ。   そしてそれはジョンスとしても望むところだった。   狭間はサーヴァントではない、マスターだ。   ならば当然、ジョンスに戦う道理がある。   暗黙の了解とでも言うべき譲り合い。気にもとめず距離を詰める。   狭間はまだ動かない。 「くほっ、おごおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ……っ!?」   次に動いたのは、『何者か』だった。   左方から素っ頓狂な声が上がる。   何事かと目を切れば、そこには数度痙攣しながら弓なりに身体を反らせるアーチャーの姿があった。   そしてその股間には、『何かが張り付いていた』。   突如として現れ、アーチャーを捕捉し、狙い違わず攻撃を繰り出した『何か』   おそらく敵サーヴァントの攻撃だろう。   タイミングを考えるならば、目の前の『狭間偉出夫』のサーヴァントである可能性が高い。   ならば話は早い。   マスターである狭間ごと叩き潰す。それだけのことだ。   アーチャーの嬌声をBGMにかつりかつりと足音が響く。   二人の距離は十分に詰まった。   狭間はまだ動かない。   あと二歩でぶつかるというところで、ジョンスが動く。   右の拳を握りしめ、狭間に対して右肘を向けた。   素人目にも分かる、攻撃の予備動作。      右足が大きく振り上げられ、最後の一歩を踏みしめる。   その踏み込みがなされれば、どれほどの衝撃を生むのか。   その踏み込みから構えた肘の一撃を突き出せば、どれほどの武器となるのか。   狭間はまだ動かない。   右足が地面を叩き割り、肘鉄を放つ準備を整える。   そうして肘鉄が放たれる寸前。   ジョンスの目に写ったのは、突如空間に現れた『手』だった。   成程、これが。   アーチャーを止めた見えざる手。   自由自在に空間を割って入り、懐に飛び込んで先手を打つ、文字通り『逆転の手』。   手が股間に伸ばされる。   急所を狙い行動を制限するつもりのようだ。   だが、ジョンスは既にその『手』についていくつかのことを見抜いていた。   アーチャーに対して『張り付いた』からにはその本質は遠距離攻撃ではなく超近距離攻撃。   同時にジョンスを狙わなかったならば出せる手は一本、補足人数と補足距離はその手の届く範囲。   その二つしかわからなかったが、その二つを見抜いているからこそ、対応できる。   いや、攻撃を受けるアーチャーの姿を見た瞬間から『対応するものとして、攻撃に移っている』。 「と」   狭間の口が小さく動く。   この場で何をつぶやくのか。サーヴァントへの命令か。それとも念仏か。   知ったことではないし聞いてやる必要もない。   小さく息を吐き、踏み込んだ右足に重心を移動させる。   足に鈍い痛みが走る。真新しい傷跡の端が無理やり裂けて広がる。鮮やかな血が再びダーク・スーツに深い色の染みを作る。   だが、それしき。傷つけられたプライドに比べれば安いものだ。   踏み込んだ力で放たれていた肘鉄が獲物を捉えることなく止まる。   更に踏み込みに力を加え、一気に力を解き放つことで重心を右足から体幹へと戻す。   地から足が離れない程度の浮遊感。重心移動によって体の位置が少しずれ、『意識外からの攻撃』への対処を完了した。   何者かの指先が、ジョンスが先ほどまで居た場所を撫でる。その場には最早何もないにもかかわらず。   『手』は虚しく宙を掻き、最も近くに伸ばされていた人差し指が切なげにジョンスの股間を掠めただけだった。   掠めただけ。続く攻撃は来ない。   一秒あれば更に『手』を伸ばし股間を捕まえられるだろうが、その一秒でジョンスは十分一撃を放てる。 「ら」   そのまま体を捻じり、『手』を釣り出すために放った『渾身のフェイント』を振り払い更に一歩、限界点を超えた一歩へ踏み出す。   まさか思うまい。   ある程度戦闘に長けた者なら、まさか負傷痕鮮やかな右足を軸足とする負担をかけてまでフェイントを放つとは思うまい。   素人であるなら、まさかここまでの強烈な踏み込みからの一撃が囮だとは思うまい。   更に知りえるはずもない。   人体の内でも飛び抜けて凶器と呼ばれる肘の一撃がブラフで、狙いが『背中の一撃』だとは。   そして、おおよそ全ての格闘技において攻撃に転ずることのない背中こそが八極拳士の最大の武器であるとは。   回る。回る。景色を置き去りにして、ジョンスの体がきっかし九十度回転する。   ジョンスの背中が魔神皇を捉える。   刀が鞘から抜き放たれる。大砲の口が敵へと向く。ミサイル発射のスイッチに指が添えられる。例えるならば、そういうこと。 「ふ」   回転を止めるために落とされた左足とコンクリートが衝突する。   コンクリートが衝撃に耐え切れず、ズドンというおよそ人の足からは起こせ得ない音を立てながら弾け割れる。   目の端にとらえた魔神皇の表情は変わっていない。焦りも、不安も、苛立ちもない。   サーヴァントの攻撃を避けられてなお秘策があるのか。   それともフェイントからの一撃など受けても問題ないとでも思っているのか。   後者だとすれば、とんだ見くびりだ。   両の足に力を込める。背中に火薬の装填が完了する。   あとは、叩き込み、大爆発で叩き折る。魔神皇とやらのたっかいたっかい鼻っ柱を、一撃のもとに叩き折る。 「う」   それこそがジョンス・リーの最大にして最高の技。   それこそが八極拳の辿り着いた技術の粋。   それこそが現代最強の八極拳士が信条にする『一撃必殺』、その一撃。   そう、即ちそれこそが『鉄山靠』。   文字通り鉄の山がなだれかかってくるほどの衝撃が、魔神皇に向けて放たれる。   そして――― 「り」      ―――ここに、魔神皇の詠唱が完了する。   感触がない。   確かに必中の位置、必殺の間合いから放たれた一撃が、為す術無くよけられた。   何が起こった。   どう避けた。   心臓が早鐘を打ちが体中に無茶苦茶に血を送る。   その原因は恐怖ではない。   その原因は焦燥ではない。   ジョンスの股間の一物が変化している。   性的興奮を覚えた時よりもきつく、痛いほど激しく硬直している。   その原因は、即ち勃起。 「頭に登った血は、少しは降りたか」   少し離れたところから皮肉が飛ぶ。   見れば、数メートル離れたところに、変わらぬ姿勢で立ち続ける魔神皇が居た。 「仕切り直しといこう」   かつり、かつり。   今度は魔神皇の靴が石畳を叩く。   一度は正体不明の手品で突き放した距離を、今度は魔神皇自らの足で詰め、再び交渉(TALK)をしにやってくる。 「魔神皇、狭間偉出夫だ。聖杯を望んでいる。君たちと一時的な同盟を結ぶために来た」   足音が止まる。   二人の距離は約3メートル。お互いが十分攻撃に転じられる距離。   先ほどとは違う。戦う意志がないという『穏便』から始まる交渉ではなく、将来の闘争の可能性を孕んだ『剣呑』から始まる交渉。 「こちらの申し出は一つ。君たちの『他参加者との積極的戦闘を望む』ということ」   特別なことではない。   今までジョンスたちがやってきたことだ。 「提供できるものは二つ。『参加者と思われる人物の情報』とそれを討伐した際の報酬……右足の治療をしよう」   情報、あれば助かる。あてどもなく敵を探すよりはマシだ。   報酬、治療。確かに右足を引きずったままでは格好がつかない。しかし、治療の心得があるようには見えない。嘘の可能性もある。   何が目的かさっぱり見えてこない。謎の多い提案だ。   そしてそれと同じくらいに。   魔神皇がとうとうと同盟の内容を語る間も、ジョンスの意思とは関係なく彼の一物は固く屹立し続けていた。   固く大きく、それこそまさに行動に支障が出るほど、天を指し屹立する己の一物。触れられてからもう2分はたとうとしているのに一切萎える気配がない。   そちらも謎であり、戦闘になるにしろ交渉を続けるにしろなんとかせねばならぬ問題だった。   沈黙が流れる。   片や返答を待つ魔神皇。   片や突然の申し出と体の変化を訝しがる八極拳士。   二人の沈黙を破ったのは、第三者だった。 「どうした、終わりか?」   幽鬼のように立ち上がり、ゆらり、ゆらり、揺れながら歩いてくる。   足取りはおぼつかない。体を支える魔力も残っていないのか。   しかし、その言葉と歩みだけは止まらない。 「何故止める、何故止まる」 「その魔力をもってして、何故バケモノを殺しに来ない」   常人の理解を超えた言葉の羅列。   手に構えるのはアーチャーの武器である銃が一つ、比較的軽くて動かしやすい方の454カスールカスタム。   狭間の眉間に銃口が向けられる。   しかし、彼は小動もしない。 「死に体の怪物をわざわざ嬲って喜ぶような幼稚な趣味はない」   まるで『自分が死なない』と本気で思っているかのように。   表情一つ変えず、アーチャーの一挙手一投足を見つめている。   だが、アーチャーもただ狭間を脅すためだけに獲物を取り出したわけではない。   当然、撃つ。   しかしその相手は狭間ではなく…… 「私が話しかけているのは、貴様のような『混ぜ物』ではない……最初から―――」   アーチャーには『来る』とわかっていた。   一度目がそうだったように、二度目もそうであると半ば確信していた。   主たる魔神皇に付き従い、彼をサーヴァントの凶行から護るために伸ばされる『救いの手』。   狭間の眉間に向けていた銃を素早くおろし、自身の股間の真正面へと銃口をずらす。   果たしてそこには、アーカードの股間めがけて先ほどと同じ白く細い『手』が伸びていた。          ヒューマン 「―――貴様だ、『人間』」   引き金にかかった指に力が籠もり、撃鉄が跳ね起きる。   一発の銃声。   立ち昇る硝煙。   跳ね上がる石畳。   銃口の先には既に手はない。   代わりに、銃とアーカードとの間。アーカードの胸の前に現れていた。   伸ばされた手は股間の代わりにアーカードの乳頭を捻り上げる。 「 ―――――――――――――――― ッッッ !!!」   咆哮と呼ぶにはあまりに艶やかで。嬌声と呼ぶにはあまりに雄々しい。   アーチャーの胸板の上を、タクトでも振るかのように指が踊り、指が踊る度にアーチャーの口から声が上がる。   最後に愛おしげに彼の右の乳頭をもう一度撫で、手はそのまま消えてしまった。   と同時に、アーチャーも膝から崩れ落ちてしまった。   魔神皇の眉が引きつったのを、ジョンスは見逃さなかった。   どうやら彼はこの光景を見るのにあまり乗り気ではないらしい。 「……なんだ。まあ、気を強く持て」   ジョンスの口から出たのは、先ほどまで親の敵のように敵視していた人間に向けたものとは思えない言葉。   股間の怒張を収めようとするうちに、ささくれ立っていた気もつられて少し落ち着いてきたらしい。   まだまだ最初の不快感は残るが、それでも手当たり次第に殴り抜くほどではない。 「……続けよう。君たちに対して行動を強制するつもりはない。私達と戦いたいというならこの場で相手にしよう」   狭間の目が鋭くなり、先程よりさらに剣呑な言葉が飛び出す。   望むところということか。あちらとしても、闘争は。 「言っておくが、私のサーヴァント相手に二度の偶然はない……次は確実に、君の『股間』を捉えるだろう」   だというのに。   大真面目な顔で、大真面目な声で、かなり馬鹿げたことを言っている。魔神皇のその様に、ジョンスの興は一気に削がれた。   確かに狭間とは戦いたい。先ほど避けられた借りもあるし、鼻っ柱をへし折りたいという気持ちはまだある。   だが、この状況、この空気で闘争を始めてもただのギャグだ。勝つならまだしも、負けて消えれば洒落にもならない駄洒落だ。   苛立ちを紛らわせるために頭をかきむしり、狭間に向かって吐き捨てるようにこう言った。 「……なんだ。同盟って」   執拗に股間を狙い、性的な攻撃だけを仕掛ける手。   それに対して果敢に挑み、嬌声を上げながら地に伏すサーヴァント。   股間を狙って性的な攻撃をするということを胸を張って宣言する魔神皇。   もうこの場でジョンスの望む闘争は無理だ。   少なくとも、あの『手』を何とかしない限り、ジョンスと狭間との争いは『闘争』ではなくただの『シュールギャグ』になる。   聖杯戦争始まって以来のあまりに強烈な肩透かしに、ジョンスは心の中で大きくため息を吐いた。   逃した魚は、強く、大きい。   ♂  ♀  ♂  ♀ 「なあ、おい」   狭間と別れ、まるで鞘に刀を収めるように、拳をゆるめてポケットへと突っ込む。   そして、自身の側で再び立ち上がったサーヴァント・アーチャーにこう質問した。 「『トラフーリ』って何か、お前知ってるか」 「聞き覚えが無いな」 「あいつが後ろに下がる時、そう言ってた」   確かに狭間偉出夫と名乗った青年はそう言った。   その場から消え、数メートル後ろに下がる直前、『トラフーリ』と言った。   聞き覚えのない単語。そして起こる摩訶不思議な現象。それはまるで…… 「ならば魔法の呪文か」   ジョンスの思考に合わせるようにアーチャーが、茶化すように口にする。   しかし、ジョンスはそれこそ核心、腑に落ちたという風に呟いた。 「そうか、魔法か」 「『アレ』がもし魔法を使うとすれば、だがな」   思えば、ジョンスが先ほど戦闘した男もそうだった。   途中何かを呟いたかと思えば、何故かいきなり速く動き出した。   気合を飛ばせるのが居るならそういうのも居るかと納得していたが、実際にはあれも魔法の類なのかもしれない。 「……魔法、か」   世界は広い。   ただ生きてるだけじゃ出会えないバケモノばかりだ。   渺茫が居た。歴代の最強を体内に収めて戦うバケモノが居た。   アーカードが居た。自身の殺してきた者を従えて夜に君臨するバケモノが居た。   カッツェが居た。瞬間移動になりすましで扇動を行うバケモノが居た。   手の先だけを飛ばして股間に性的な攻撃を加えてくる奴(これはおそらく人間由来だが)が居た。   今更魔法が出てきたところで驚きやしない。   そこではた、と気付く。 「お前、確かあの手に攻撃されてたよな。二回」 「そうだったか」 「……なんともないのか」   ジョンスは股間を狙われた。   指先は股間をかすめた程度、だというのに彼の股間の一物は痛いほど勃起した。   ならばクリーンヒットしたように見えたアーチャーは、どうなった。 「どうした?」   いつもの調子で笑う。明確な答えはない。   だからといって確認しなければならない義務もないし確認したいわけでもない。   そしてジョンスには男の股間を眺める趣味はない。 「……はぁ」   アーチャーが勃起しようが絶頂しようが射精しようが関係ない。   今問題なのは魔神皇のもたらした情報……錯刃大学の主従についてだ。   情報によれば『春川英輔』なる人物が居るらしい。   マスターか、サーヴァントか、一般人かは分からない。   ただ、『攻撃対象を自身に移す宝具』を持つ何者かが潜伏しており、彼はその関係者であるという。   馬鹿正直に戦いに行ってやる必要はない。   同盟だと取り繕ってはいたが、結局はそいつたちと自分たちを戦わせたいだけだ。   ただ、参加者の位置がわかっているなら選択肢にも幅がでる。   もしも春川という男が腕が立つようならば、(言いなりになるようで少し癪だが)戦ってみるのも悪くない。   二度も続いた不完全燃焼な苛立ちをぶつける相手が欲しかったところだ。都合がいいにも程がある。   他の参加者を探す、というのも捨てがたい。それとも図書館に残って『魔法』や『魔神皇』について調べてみるか。   色々できることはある。   だが、まずは図書館でカッツェについて、先ほどの文献を読みなおしてから…… 「いや、まずは足か」   じくりと傷んだ右足を見て、思い出す。そういえば怪我をしていたのだと。   一方的に報酬として治療を約束されたが、そんなあるかも分からない報酬に縋るつもりは毛頭ない。   さっさと治療しないと傷口が悪化して行動に支障が出るかもしれない。   ならばまず、なによりも治療。   ジョンスは痛む足を動かして、図書館への道を戻った。   ♂  ♀  ♂  ♀ 「それにしても、あんなのが居んのか」   慣れた手つきで足に包帯を巻きながらジョンスがつぶやく。   流石に想定外だった。   性的な攻撃を行ってくるサーヴァントなんて誰が予想できるというのか。 「ふざけた戦い方だ。アレをナニして英霊になるってだけでもふざけてるが」   ふざけた技。ふざけた存在。ふざけた戦い。   全くもってふざけた時間。出来るならば出会いからやり直したい程だ。   しかし、アーチャーにとっては存外そうでもないらしい。 「……あれも、面白いサーヴァントだった」   アーチャーは想起する。先ほどの『闘争』を。   正体不明のサーヴァントの攻撃。突然伸びてきた女の手。   確かに手を異空間から飛ばす宝具による不意打ちではあった。   しかし、アーチャーの前進を止めた攻撃の本質は一つ。   『技術』だ。   人間の技術だ。   幾千・幾万と連綿に続く人間の歴史。営みの記憶。   性という人類の遺伝子に刻まれた本能を、技へと昇華させたものだ。   先の戦い、ジョンスは『ふざけた』と評価したが、アーチャーは違う。   あれもまた、彼が求め続けたものの形だ。                         アーカード   ジョンスとはまた別の人間の技術の粋が、『純然たるバケモノ』の歩みを止めたのだ。 「もう一度逢いたい。もう一度触れ合いたい」   細く嫋やかな指がしなり。   自身の一物を掴み撫でる。   一秒にも満たないその行為で、得も言えぬ快楽が巻き起こり。   衝撃が腰を砕き、脊髄を走り、脳を突き抜け、魂を天上の世界へと導いた。   銃口を向けたアーチャーに対して、母の愛のようにきつく、それでいて優しい指先で答えた。   捻り上げられた乳頭に不快な痛みはなく、心地良い痛みと快楽が再び頭蓋のうちに脳内物質を飛び散らせた。   魔力が体中から絞りあげられ、体外へと無理やり引きずり出される。   抗いがたい快楽とともに訪れる存在が周囲に霧散するような錯覚すら覚える喪失感は、命を託したつがいに頭から齧り喰われる雄蟷螂の心地と言うべきか。   極上の快楽と人の性を肯定した結果生まれる、至上の死。   彼女がアーチャーにもたらしたのは、全く新しい『人間』による『バケモノ』を殺す可能性。 「やはり、この舟に乗ったのは正解だった」   居るのだ。   居たのだ。   やはり居るのだ。   やはり居たのだ。   武器を構えず。武を知らず。女の身一つ。   人間の技術の粋で、技術の粋のみで。   アーチャーの拳の一振りで死ぬような脆い躯(からだ)で、彼が優しく触れてもたちまち折れてしまいそうな弱々しい腕一本で。   敵を、『アーカード』を殺せる、実際に魔力枯渇の寸前まで追いやった『ただの人間』もここには居たのだ。 「ここまで焦がれる、ここまで想う、ここまで―――」   何度も、何度も、記憶を辿る。   彼女との情事の記憶を辿る。   焦がれ、焦れる。   雄が雌へと抱く性的欲求の権化、肉欲が至る一つの形。   理性の蓋から漏れだした本能の雄叫び。   彼女に対するこの感情を何かと呼ぶならそれはまさしく。 「―――ここまで、愛おしい」   まさしく愛だ。 「愛おしいな」   ちっぽけな人間風情の弛まぬ研鑽と努力の末に、ついにはバケモノを殺せるに至った人の技よ。 「愛おしい」   人間の身で手に入れられる程度の技術を蓄え続け、英雄と崇められ、ついには英霊の頂にまで辿り着いた者よ。 「愛おしいぞ。『性のサーヴァント』」   顔も姿も知らぬ相手。   出来るならば、異空間からの一方的な愛ではなく。   面と向かい、互いの愛を確かめたい。   彼女の飽くなき性への愛が勝つか。   それとも自身の闘争への―――『人間』への―――愛が勝つか。 「そしてまだ見ぬ『英雄の本懐を遂げし者』たちよ」   セイバー『勇者ロト』や『無数の剣を放ったアーチャー』のように人の身で英雄の頂にまで上り詰めた人間が居たのだ。   ジョンス・リーや『性のサーヴァント』のように人の身でアーチャーを殺せる術を身に着けた人間が居たのだ。   居ないわけがない。   更なる『人間』が。   サーヴァントか。はたまたジョンスのようなマスターかは分からない。   ただ、確実に居る。     アーカード      ヒューマン   『バケモノ』を殺せる『人間』が、この地に居る。   その内の何人が弱々しくも誇り高き人間か。それはまだわからない。ただ一言、二言。                  あい 「私はここだ。はやく貴様らも殺しに来い」   この舟で死出の旅路を共にする『誰か』に向かってそう睦言を囁き、目を閉じる。   少しだけ、休む。   体の傷は気にならないが、魔力の消費が極大だ。   せっかくバケモノを倒しに来た人間を拍子抜けさせてはならない。バケモノはバケモノらしく。そうあるべきだ。 「今はただ」 「更なる逢瀬の時をひたすら待つとしよう。初恋に身悶える生娘のようにな」   夢心地のひととき。   サンタを待ちながら床につく子どものように。   きらめく明日を夢見る少年のように。   更なる人間との出会いに夢を馳せ、満足感に身を溶かす。   万感の思いを込めた笑いを残して、アーカードは最後にゆるやかにこう呟いた。 「少し、眠る」 「ああ」   アーチャーの魔力消費が多大な事にはジョンスもアーチャーも気づいていた。   そして、もしこれ以上戦いを続ければアーチャーが魔力枯渇で消えてしまうことになるにも気づいていた。   それだけはお互いに避けなければならない。   だから、一旦休憩を取る。   普通の英霊なら睡眠のような形での休憩は必要ないが、アーチャーに関してはそうもいかないらしい。   普段のアーチャーならば、椅子に腰掛けそのまま眠りにつくなどやろうはずもない。   ただ、彼は今とても飢えており、それでいて満たされていた。   深く腰掛けただけの椅子でさえ、自前の棺桶程ではないにせよ心地いい。   アーチャーと人間とが聖杯戦争という枠の中で共に死出の旅路を往くならば、さしずめこの方舟こそが大きな大きな棺桶。   成程、ならば心地よいはずだ、と納得し。そのままゆるやかに意識を無意識に明け渡した。   残されたジョンスは側で仮眠に移ったアーカードを眺めながら大きくため息を吐いて彼の演説をこう締めくくった。 「お前、キモいとかサムいとか言われたことねぇのか。知り合いに」   当然、バケモノの一途な愛はジョンスには理解してもらえない。   ジョンスは脳内に木霊する聞き慣れた/聞こえるはずのない笑い声に辟易しながら、受付に救急箱を返しに行った。 【C-8/図書館/一日目 夕方】 【ジョンス・リー@エアマスター】 [状態]顔面に痣、疲労(大) 、右腿の銃痕(応急処置済み)、苛立ち [令呪]残り一画 [装備]なし [道具]ジナコの自宅の電話番号を書いた紙 [所持金]そこそこある [思考・状況] 基本行動方針:闘える奴(主にマスターの方)と戦う。 1.図書館でアサシン(カッツェ)を八極拳で倒す方法を探す。ついでに『魔神皇』『魔法』の情報も探す? 2.あの男(切嗣)には必ず勝つ。狭間ともいずれ決着を。ただ、狭間のサーヴァント(鏡子)はなんとかしたい。 3.ある程度したらジナコに連絡をする。 4.錯刃大学の主従をどうするか。 5.聖と再戦する。 [備考] ※先のNPCの暴走は十中八九アサシン(カッツェ)が関係していると考えています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人でなにかやっている可能性が高いと考えています。 ※宝具の発動と令呪の関係に気付きました。索敵に使えるのではないかと考えています。 ※聖の名を聞きました。アサシン(カッツェ)の真名を聞きました。 ※アサシン(カッツェ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)のパラメーターを確認済み ※科学忍者隊ガッチャマン、おはよう忍者隊ガッチャマン、ガッチャマン(実写版)におけるベルク・カッツェを把握しました。  ベルク・カッツェ(クラウズ)の書物も見つけましたが、切嗣との戦闘によりある程度しか読めていません。  どの程度まで把握したかは、後続の書き手さんに任せます。 ※狭間偉出夫の容姿と彼のサーヴァント(鏡子)の『ぴちぴちビッチ』を確認しました。更にサーヴァントの攻撃が性的な攻撃だと気づいてます。  狭間偉出夫が実力の大部分を隠していると気づいています。 ※狭間偉出夫から錯刃大学の主従についての情報を受け取りました。  受け取った情報は『春川英輔について』『超常の反撃能力について』です。 ※狭間偉出夫の『トラフーリ』を確認しました。切嗣戦と合わせてマスターの中に『ジョンスの常識を超えた技を使える者』が居ることに気づきました。  魔法の存在にも存外理解があります。 【アーチャー(アーカード)@HELLSING】 [状態]魔力回復のため睡眠中、魔力消費(極大)、ヘブン状態 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:主(ジョンス・リー)に従う。 0.――――――(睡眠中) 1.錯刃大学の主従をどうするか。 2.アーチャー(エミヤ)そしてセイバー(ロト)と再戦し、勝利する。 3.性のサーヴァント(鏡子)に多大な興味。直接会い、再戦することを熱望。狭間には興味なし。 4.アサシン(カッツェ)が起こそうとしている戦争には興味がある。 5.アサシン(カッツェ)が接触してきた場合、ジョンスに念話で連絡する。 6.参加者中にまだまだ『ただの人間から英雄へと至った者』が居ると考えています。彼らとの遭遇も熱望してます。 [備考] ※野次馬(NPC)に違和感を感じています。 ※現在、アサシン(カッツェ)が一人で何かしている可能性が高いと考えています。 ※セイバー(ロト)の真名を見ました。主従共に真名を知ることに余り興味が無いので、ジョンスに伝えるかどうかはその時次第です。 ※セイバー(ロト)の生前の話を知りました。何処まで知っているかは後続の書き手さんに任せます。少なくとも魔王との戦いは知っているようです。 ※アーチャー(エミヤ)の『干将莫耶』『剣射出』『壊れた幻想』を確認しました。 ※狭間が『人外の存在』だと気づいています。 ※ライダー(鏡子)の宝具『ぴちぴちビッチ』を確認しました。彼女の性技が『人間の技術の粋』であることも理解しています。  そのため、直接出会い、その上での全力での闘争を激しく望んでいます。ちなみに、アーカード的にはあれは和姦です。 ※英霊中に人間由来のサーヴァントが多数居ることを察しています。彼らとの闘争を心から望んでいます。   ♂  ♀  ♂  ♀ 『性急すぎた?』 「いや、いい」   ジョンス組との戦闘を思い返す。   あの場でライダーが赤い外套のサーヴァントに対して文字通り『手』を出すのは狭間にとっても想定内の行動だった。   ライダーの性技はある種の反則に近い。   宝具でもスキルでもなく、そのくせ回避はほぼ不可能かつ一度捕まれば逃げることすら敵わない。   初見殺しかつ回避不能かつ対策不可能であるならば、ある程度は見られても問題ないだろう。   もちろん見られるのは最大限避けたいが、それは時と場合による。   あの瞬間での宝具・性技の使用は赤い外套のサーヴァントの足止めとマスターの撹乱で『ライダーの存在の秘匿』以上の効果が得られた。   それを咎める所以はない。 『それにしても……意外だね』 「何がだ」 『白い方の人、話を聞いてくれるとは思わなかったから』   狭間も、最初に啖呵を来られた時はあの場で殺すのもやむなしと考えていた。   しかし出来ることならば彼らには生きていて欲しかった。   だからあえて一度距離をとり、アプローチを変えて再び接触した。   ライダーの宝具と技で彼のペースをかき乱し、判断力を鈍らせた上で再度接触した。   結果が、ご覧のとおりだ。   少し想定外の事件は起きたが、それでもほぼ恙無く交渉は終わったと言っていいだろう。 『……あの二人に、生きていて欲しいって?』   鏡子が疑問を口にする。   『殺し合い』の場で『生きていて欲しい』というのも、成程、道理がなければおかしな話だ。   狭間はバスの時刻表に目を通しながらこう問い返した。 「君は、あの二人組をどう思う?」 『……赤い方の人は、かなり乗り気だったわね。  白い方の人は……確かに触れたのに、気持よくしてあげられなかった。ちょっと残念。次は頑張らないと』   ナニがとかナニをとは聞かない。   聞くだけ時間の無駄だ。   狭間はあえてライダーの発言には触れず、自身の論を展開する。 「あの二人組は強い。マスターの方も、サーヴァントの方も、参加者中で上位に入るかもしれない」   マスターは屈指の戦闘能力を持ち、サーヴァントも超再生能力を持つ。   宝具を開放していないが、それでも他のマスター・サーヴァントを撃退出来る程の腕前を持っている。   主も強ければ従も強い。安定した強さを誇る主従だと言っても過言ではないだろう。 「私達も強い。だが、君の耐久力や宝具の性能を考えればそれは一極的な強さでしかない」   確かに狭間は強い。魔神皇の名は伊達ではなく、数多くの呪文と彼の知能を用いればどれほどのマスターが束になって来ようが完璧に対処しきれるだろう。   しかし、対魔力や神秘という概念があるかぎり、サーヴァント相手では魔神皇の魔法も形無しである可能性が高い。   対魔力持ちに傷を付けられるかもしれない高位の呪文は、基本的に規模が大きく周囲への被害も多大。使えば裁定者に目をつけられる可能性がある。   ライダーの宝具の性能は確かにいい。条件さえ揃えば2km離れたところから一方的に絞り殺すことだって可能だ。   ただ、ライダー自身の耐久は人間並、反撃されれば一太刀で地に伏すことになる。   手持ちのカードが極端すぎる。特定の相手には限りなく強く、特定の相手には限りなく弱い。それが狭間の下した自身たちへの評価だった。   だからこそ、あの二人組には生き残ってもらいたい。   他の『正統派に強い』チームに、狭間の懸念する『狭間たちにとって脅威となる相手』に対し勝負を挑み、その戦力を削ってもらいたい。   少しでも狭間たちが危機にさらされる可能性を減らすために。 「そして、彼らを選んだのにはもうひとつ」 「上位に入る強さの彼らが、一極的な強さの私達には勝てないからだ」 「力量の差ではない。ただひたすらに、彼らのスタイルと私達のスタイルの相性が悪い」   そして、彼らこそが狭間の考える『狭間たちが優位に立てる相手』。   格闘技に遠距離攻撃はない。   マスターの男は火力の弱い範囲攻撃を連発すればそれだけで近寄らせずに殺すことが出来る。   ライダー相手になすがままになっているところから考えるに、その気になればサーヴァントを絞り殺すことも可能。   狭間たちとあの二人との間には、現状では、偶然やミス程度では覆らないだけの高さの壁がある。   宝具という不確定な要素もあるが、先の戦闘や今の戦闘でも宝具を出さないところを見るとよほど条件が特殊なのか、既に宝具解放状態なのか。   もしくは魔力消費が激しく、令呪で魔力をブーストしなければ使えないほどなのか。   どれにせよ、先手を取れれば確実に無力化出来るということが今回の邂逅で分かった。 「そして、どうやらあのサーヴァントは君のことが甚く気に入っているらしい」   あの赤い外套のサーヴァントが銃を構えた瞬間にわかっていた。   狙いが狭間ではなく、彼を襲ったライダーの手だということは。   狭間に対して気が向いていないというべきか。ライダーに対して期待をしていたというべきか。   彼は望んでいた。ライダーの右手が再び自身の股間を狙ってくることを。   だから狭間は対応できた。念話でライダーに『股間へのフェイントを行い別の場所を攻撃しろ』と伝えられた。 「君があのサーヴァント相手に数秒時間を稼げば、それだけで全て片がつく」                 コンボ   彼らに対するほぼ必中必殺の『連携』。サーヴァントの足を止め、マスターを呪文で殺す。   奥の手というには愚直、かつ効果的。相手も確実に想定し、そして想定していても逃げられない、そんな質の悪い呪いのような連携。   その攻めの起点は、サーヴァントたるライダーの培ってきた『技』。   狭間が、この方舟に来てから数えるほどしかしてないライダーの『性的な攻撃』への肯定的な発言をした時だった。 『出来れば、あの赤い方の人の足止めは遠慮したいかな』   ライダーの口から、意外な言葉が飛び出したのは。 「……意外だな」   今度は狭間が、鏡子に対して言葉を返す。 「君が性交の相手を選ぶとは思わなかった。ああいうのは嫌いか」 『嫌いって程じゃないんだけど……ん、苦手……かな?』   鏡子がまだ魔人だった頃。   彼女の通う希望崎学園には、『夢見崎アルパ』という魔人が居た。   鏡子とは学年も違うし属する派閥も違う。ダンゲロス・ハルマゲドンさえなければ出会うことすらなかったかもしれない。そんな希薄な関係。   だが、残っている。   その腕(かいな)と、その脳の奥深くに、まだ残っている。 『もっと……』『もっと……』『もっと……』『もっと……』『もっとだよ……』『もっと……』『もっと……』 『ああもっと……』『鏡子ちゃん……』『いやだよ鏡子ちゃん……』『行かないで』『僕を……』   聞いた覚えのない声が残っている。   快楽に身を委ねる顔が残っている。          『    放  さ  な  い  で    』   鏡子の右腕に、あの時の『熱愛の感覚』が残っている。   掴んで決して放さない、離れることを許してくれない『愛』。   狂おしい程の、世界で一番純粋な『愛』。          『ああ、ここはまるで……                 “キミとボクの二人の世界”……』   自身への愛を逃さず捉え、未来永劫自身以外にはその矛先を向けさせない能力を持ち。   自身を殺させることで惚れた相手の心のなかに残り続けることを本気で願っている。   夢見崎アルパとはそういう魔人だった。                  ひと 『やっと見つけた……運命の女性……』『もっと……』『ああ、鏡子ちゃん……』 『さあ、あとちょっと……!』『ボクを殺して……!!』   アルパに『ぴちぴちビッチ』を発動しなければ、おそらく鏡子はその命を散らすことはなかった。   きっと数十年後も普通に生きており、セックス分野の第一人者として人間国宝になり、孫と仲良く暮らしていたことだろう。   だが、魔人は死ぬ。能力の相性であっさり死ぬ。鏡子の場合、アルパを見つけたことが運命の分岐点であり、アルパを対象と定めた瞬間に死が確定した。   だからこそ、彼との戦いは外見や性別に関係なく無償の愛を振りまく鏡子の精神に少しの陰りを産んだ。   ピーマンが嫌いな人間が居るように。   ダジャレが好きな人間が居るように。   手しか愛せない人間が居るように。   完全無欠のパーフェクト・ビッチ、ビッチオブビッチである鏡子にだって存在してもおかしくはない。   理屈を超えた、無意識判断に近い『なんとなく』での好き嫌いが。   ましてや自身の死因に直結した人間であるなら起こってしかるべしといえるだろう。   そう、鏡子は。   ダンゲロス・ハルマゲドンでの壮絶な死を経て。   『自分から絞り殺されることを望んで鏡子との性行為に当たる真性ドMかつ鏡子によくわからないベクトルで熱烈な愛情を注ぐピュア男子』がなんとなーく苦手になったのだ。 「苦手、か」   突然湧いて出た新事実を飲み込み、自身の糧にする。   ここで知れていてよかった。   何かのきっかけで、この小さな綻びが大きな破綻を生むことになるかもしれない。   少しずつ、少しずつ。着実に、そして確実に。   情報を揃え、不穏分子を排除し続け、一歩一歩聖杯に近づかなければならない。   魔神皇らしくない振る舞いかもしれないが、油断や慢心をして寝首をかかれてみっともなく死ぬよりはマシだ。 『少しだけ、ね』   声しか聞こえないのでどんな顔をしているのかは分からない。   ただ、作戦を立てる際に少し考慮しておく必要があるだろう。   狭間がそう考えていると、自身の『苦手』を知られたのが恥ずかしかったのか、今度はライダーの方から話題を変えてきた。 『それで、どうするの。これから』 「……そうだな」   そこであの二人に対する意識の共有は終え、次の思考に移る。   次に考えるべきは『これから何をすべきか』。   当座の行動の選択肢はかなりある。   まず白髪の男たちの行動の観察。   先にも説明したとおり、彼らは正統派に強く、その上で力量もはっきりと分かる主従だ。   彼らの生存状態を維持できれば、それだけ狭間たちが聖杯を手にする可能性は高くなる。   そして、彼らが好戦的というのも大きい。何者かを探し出し、戦闘をしてくれればそれだけでこちらは情報を得られる。   次に白髪の男たちと交戦していたマスター・サーヴァントとの接触。   正直なところ、ジョンス組が大学へ襲撃に向かわない可能性も大いにある。   もしも錯刃大学に潜むサーヴァントがキャスターならば、長期の放置は得策ではない。   彼らも正統派な強さを持ったマスター・サーヴァントの組だった。   好戦的であったようだし、彼らにとって因縁浅からぬ白髪の男たちが向かったと伝えれば大学方面に対して何らかのアクションを起こすだろう。   3つ目は定時通達で『警告』がされていたB-4地区の観察。   通達を聞いて集まってきた集団が、夕方から夜、朝にかけて戦闘を行う可能性がある。   彼らの情報を集めることが出来ればその分狭間たちは有利に立ち回れるようになるだろう。   幸い、『ぴちぴちビッチ』は覗いているだけならばほぼ見つかることはない。   更にこちらの宝具で空間を跳躍できるのは『ライダーの片腕』か『精液・愛液』のみ。仮に気配探知に長けたサーヴァントが居ようとも問題なく観察に徹することが出来る。   4つ目は籠城。   自身の拠点に戻り、他者との干渉を避けて翌朝まで体力回復と情報収集に務めるというもの。   いくら魔神皇といえども、複数のサーヴァント相手に立ちまわるとなると形勢が悪い。   そしてライダーの宝具の性質を考えるのであれば日中の方が戦いやすい。   ならばいっそ夜はNPC同様家に篭って睡眠・魔力回復に努め、ライダーが近辺の見張りと情報収集を行う、というのもありだ。   まだ人の身から脱せていない以上、狭間もどこかで睡眠・食事を済ませる必要がある。   その問題も解決できるため、これも見返りは大きい。   その他には…… 『あれ。ねぇ、マスター……あそこ』   ライダーの念話に思考を遮られ、何事かと顔を上げる。   狭間の目に入ってきたのは、昼ごろに見たのとほとんど変わらない風景。   ただ一点。目立っていた高層マンションが消えていることを除けば、昼と全く変わらない。 「……訂正しよう。少し条件が変わった」   方角は紛れも無くB-4方向。警告の行われたB-4地区の方で高層マンションが、一時間にも満たないうちに綺麗さっぱり消えてしまったのだ。   B-4地区で何者かが、周囲に対して大規模な影響を及ぼす技を使ったものと思われる。   宝具か、魔術かは分からない。   ただ何者かが戦闘を行い、その結果壊れたのであろう。   どれほどの火力、どれほどの規模、どれほどのサーヴァント。それは分からない。   だが、遠目にも目立つマンションを消すなんて。まるで、発動者が遠くにいる狭間たちにも分かるよう優しく教えてくれているようではないか。   『この先、DANGEROUS! 命の保証なし!!』と。 『凄いことになっちゃってるね』 「……さて、どうしたものか」   バスが来るまでもう少しだけ時間がある。   狭間はもう一度、顎に手を当てて思考の海に身を投じた。 【C-8/図書館近くのバス停/一日目 夕方】 【狭間偉出夫@真・女神転生if...】 [状態] 健康、気力体力減退、体スッキリ [令呪] 残り二画 [装備] [道具] 鞄(生活用具少し、替えの下着数枚) [所持金] いくらかの現金とクレジットカード。総額は不明 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝つ。 0.B-4で何かが起こっているらしいな。 1-a.B-4地区で大規模戦闘の可能性。ライダーの広範囲索敵で戦闘の観察を行う? 1-b.先ほどの二人(ジョンス組)の行動を追う。彼らの立ち回りを観察? 1-c.先ほどのアーチャー(エミヤ)の行動を追う。可能ならば彼らも錯刃大学へけしかける? 1-d.夜間活発になるであろう参加者たちに警戒。一旦拠点に帰って鏡子に監視させながら籠城? 1-e.それとも? 2.錯刃大学の主従(HAL組)との直接対峙は避けたい [備考] ※まだ童貞。 ※遠坂凛組、ジョンス組を確認しました。ジョンス組に錯刃大学の主従について知っている情報を渡しました。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。  春川英輔(電人HAL)がマスター、ないし手がかりになるだろうと考えています。  春川英輔の経歴と容姿についてネット上に公開されている範囲で簡単に把握しました。 ※学校は必要に迫られない限りは行かないつもりです。 ※状況次第で拠点の移動も考えています。 ※ジョンス組を今回の聖杯戦争中上位の戦闘力を持ち、かつ狭間組が確実に優位に立てる相手だと判断しました。  好戦性も踏まえて、彼らの動向には少しだけ興味があります。 ※鏡子が『絞り殺されることを望む真性のドM』の相手を望んでいないことを知りました。 ※高層マンションが崩壊したことを知りました。通達に関連して集まった参加者たちによる大規模戦闘の結果だと考えています。 【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス】 [状態]欲求不満(小)、はいてない? [装備] 手鏡 [道具] [所持金] 不明 [思考・状況] 基本行動方針:いっぱいセックスする。 0.索敵。 1.次はちょっと頑張っちゃおっかな! [備考] ※クー・フーリンと性交しました。 ※アーカードと前戯しました。自身の死因から彼に苦手意識が少しありますが性交を拒否する程度ではありません。 ※甲賀弦之介との性交に失敗しました。 ※ジョンスが触れることが出来たにも関わらず射精に至ってないことを知っています。ちょっとだけ悔しいです。 ※錯刃大学に存在するマスターとサーヴァントの存在を認識しました。 ---- |BACK||NEXT| |116:[[凛として散る戦士の如く]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|118:[[前門の学園、後門のヴォルデモート]]| |116:[[凛として散る戦士の如く]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|118:[[前門の学園、後門のヴォルデモート]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |106:[[闘争弓兵クロニクル]]|[[ジョンス・リー]]&アーチャー([[アーカード]])|122:[[『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』]]| |~|[[狭間偉出夫]]&ライダー([[鏡子]])|147:[[体調管理には注意しよう]]| &link_up(▲上へ)

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