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*喜べ学生、君の商品はようやく温まる ◆DpgFZhamPE ───昼下がり、購買部にて─── 「いらっしゃいませ」 『お邪魔しますよォーッと、ヤシの実サイダー一つ貰えないっスか?』 「120円になりますが」 『えーと、120円っスね~……ほい、どうぞ』 「120円、頂戴致します。 ───温めますか?」 『ヤシの実サイダーを……!?い、いや、結構っス』 「ご利用、ありがとうございました」 『…サイダーを温めるかどうか尋ねる店員なんてよォ~……グレート!珍しい店員もいたもんだ』 「いらっしゃいませ」 『飲み物あるか』 「おしるこ、黒糖サイダー、きなこ練乳、抹茶ミルク、ヤシの実サイダーその他諸々ありますが」 『…ロクなモンねェな』 「これが当店のラインナップでして」 『あー、じゃあきなこ練乳でイイわ』 「120円になります。 ───温めますか?」 『・・・きなこ練乳をか?バカなンじゃねェの、オマエ。温めねェよ』 「ご利用、ありがとうございました」 「いらっしゃいませ」 『……何だよその顔、せっかく僕が買ってやろうってのにさ。 まあいいさ、なんか食べられる物くれよ』 「焼きそばパン、カレーパンにプレミアムロールケーキ───あと、激辛麻婆豆腐と百味ビーンズがありますが」 『百味ビーンズ?何だよソレ』 「何でも見たこともない様々な種類の味が楽しめるゼリービーンズ状の菓子類だとか」 『へぇー、じゃあ僕がそれと激辛麻婆豆腐買ってやるよ』 「500円になりますが」 『ほら』 「丁度、頂戴致します。 ───温めますか?」 『菓子をか……!?するわけないだろ』 「ご利用、ありがとうございました」 『ったく、これだから常識のない店員はさ……! しっかり働けよ、サボってても僕にはわかるんだからな!』 ◆ ◆ ◆ カツカツ、と苛立ったような足音を立てながら、商品を受け取ったワカメ頭の少年が去っていく。 その様子を見届けながら───ふう、と言峰綺礼は肺に溜まった空気を排出する。 「商売とは存外、コツのいるものらしいな」 怒りやすい客や面倒な客が世界のどこかにはいると聞いていたが、生涯で実際に出会うとは思ってもいなかった。 忙しくなるのは予想していたが、まさかこれほどとは。 時間は12時を少し過ぎた頃。 休み時間に入った食欲盛りの子供たちが一斉に食物を求めて購買へ飛び込み目当てのものを購入していく、購買部において一番多忙な時間だ。 言峰綺礼はその沢山の子供たちまたは客を捌きながら、マスターがその中にいるかどうかを念入りに確かめていたが、特に怪しい人物はいなかった。 個性の強過ぎる生徒は何人かいたようだが。 (思いの外忙しいものだな……セイバー) 『ああ、定時通達は私が聞いておいた』 言峰が呼びかけると、念話にてセイバーの声が響く。 多忙になるのは予想できていたため、放送を聞き逃す恐れがあった。 NPC時代に与えられていた職務を疎かにすれば、誰かに不信感を持たれてしまう───その『誰か』がNPCであれば問題はないのだが、マスターであれば今後の聖杯戦争に支障が出る恐れがある。 そのような無駄な被害を被らないように、定時通達をセイバーに任せていたのだ。 『伝えられた情報のまず一つ目は、参加組数だな。通達通りなら28組らしい』 『多いな』 本来の聖杯戦争の四倍。 多い───七クラスに均等にサーヴァントが存在していると考えれば、最低一クラス四騎のサーヴァントがいる計算になるのだ。 最悪、四騎のアサシンが街に、影に潜んでいる可能性すら考えられる。 (少し、この先の動き方を考えねばならんかもしれんな) セイバーが側に居ればアサシンなど恐るるに足らないだろうが、アサシンの脅威はその戦闘力ではない。 油断していたところ、他のマスターとの交戦中に狙われては一溜まりもないのだ。 『次に二つ目は、所謂”警告”というヤツだ。B-4地区で重大なルール違反が行われたらしい』 『ルール違反?誰が行った?』 『それは公表されていない。全体での通達のため詳細は伏せる、と。 建造物の破壊等のNPCの生活を著しく妨害する行為も処罰の対象らしい』 『そうか』 重大なルール違反───NPCを巻き込んだ大規模戦闘か、NPCを標的とした大規模な魂喰いか。 その何方にしてもこちらには直接的な被害は無いが、探りを入れるきこしたことはない。 『セイバー、お前はどう考える』 『ルール違反のことについてなら───私の読みでは、犯人は恐らくアサシンかキャスターだろう』 顎に手を添えて思案するセイバーは、己の予測を言峰に告げる。 意外と早く返ってきたセイバーの見解に、言峰の興味は吸い寄せられる。 『ほう・・・何故だ?』 『いや、根拠なんて殆どない、単なる直感だよ。 通達で警告を発するほどの大きなルール違反ならば、被害に遭ったNPCも相当数いるだろう。 建物の倒壊、NPCの魂喰い───そのどちらか、またはそれ以外だとしても。 それだけの被害が出ればいくら決められたルーチンをこなすNPCと言えど、通常通り学校に登校するなんてことはないだろう?』 セイバーの意見は、言峰の頭を回転させ、思考を開始させるぐらいには重大なものだった。 大規模な、危険な事件や猟奇的な事件が起こればニュースになる。それは現実でもこの場でも大した違いはない。 身近でそんなことが起これば一般人は、NPCは自らの行動を自粛するだろうし───学校側も、普通に学校生活を送るなどの愚策を行うこともないだろう。 しかし、今は見ての通り。 購買部の周りで談笑する生徒達は、平和そのものだ。 もし。 彼らNPCがルール違反による大きな被害に気付いていながら通常行動を送っているのではなく───もし、本当に、ルール違反による被害に「気付いていない」だけだとしたら? 『つまり、セイバー』 『ああ、多分キレイの考えていることで正解だろう。 重大なルール違反が行われたというのにNPCの行動に一切の変化がない。 つまり、ルール違反を行ったサーヴァントは「己の行った違反行為を隠す術を持っている」可能性が高い───それが何なのかは全く見当がつかないがね。 その術を持つ可能性が一番高いのは魔術師のキャスターか、隠れること・暗殺に精通しているアサシンぐらいだろう』 信憑性の欠片もない予想だがね、とセイバーは付け足す。 英霊の中には魔術を使用できる騎士や召喚術をつかえる剣士もいると聞く───別に、隠す術を持っている可能性が高いという理由でキャスターかアサシンと目をつけているだけで、確定ではないのだ。 『他は?』 『通達で告げられた情報は以上だ』 『そうか』 参加人数28組。B-4での重大なルール違反。 二つの情報は確かに貴重だったのだが、これからの動きをすぐさま左右するようなほどではなかった。 さてこれからどう動いたものかと思案する言峰に、セイバーの言葉が響く。 『それでマスター、これからはどう動くつもりなん───待て』 ピクン、と。 霊体化しているセイバーの眉が動く。 その声は冷静そのもので、何かを察知したことを言外に告げていた。 『ここから少し離れた場所───いや、学園内か』 『……?』 『マスター、強い「悲しみ」を感じる……悲劇、いやそれ以上の現実に直面したものか。 これ程の深い悲しみはNPCでは持ち得ない。十中八九、マスターかサーヴァントだ』 念話でそう告げるセイバーの声は、その感情を吟味しているようなものだった。 ───宝具、「憎悪の名を持つ魔王(オディオ)」。 その一部を使用して負の感情を察知する能力をセイバーは得ている。 負の感情。 それは何も、憎悪だけではない。 恨み、嫉み、怨嗟、憎悪に自棄───そして、悲しみ。 マイナス方面に向かう、人間を下へと堕とす感情の総称、それこそが『負の感情』なのだ。 その一つ、悲しみ。 悲劇に直面し、現実の非情さに憎悪し、目の前の事実に挫折する───その様な感情を、セイバーは感じ取ったのだ。 『ここからそう遠くない。向かうのなら今の内だが、どうするマスター』 問いかけたセイバーに対し、言峰はふむ、と思案する。 全員昼食の調達を済ませたのか、購買部への学生たちの足並みは途絶えている。 今ならば、自由に動けるのだ。 購買部の店員を装い、接触を試みるのも選択肢の一つとしてあり得るのだ。 『そうか、ならばセイバー、私は』 神父の向かう先は─── 【C-3 /月海原学園購買部/一日目 午後】 ※C-3において真玉橋の『正純のおっぱいがない』ことに対する強い悲しみを察知しました。。 真玉橋の元へ向かうかどうかは後続の書き手さんに任せます。 【言峰綺礼@Fate/zero】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]黒鍵、エプロン [道具]特に無し。 [所持金]質素 [思考・状況] 基本行動方針:優勝する。 0.動くか、この場に止まるか─── 1.店員役を努める。 2.黒衣の男とそのバーサーカーには近づかない。 3.学園内の施設を使って、サーヴァントの情報を得たい。 4.トオサカトキオミと接触する手段を考える。 5.この聖杯戦争に自分が招かれた意味とは、何か―――? [備考] ※設定された役割は『月海原学園内の購買部の店員』。 ※バーサーカー(ガッツ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。宝具『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』を目視済み。 ※『月を望む聖杯戦争』が『冬木の聖杯戦争』を何らかの参考にした可能性を考えています。 ※聖陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。  聖側からは霊地や戦力の提供も提示されてるが突っぱねてます。 ※学園の校門に設置された蟲がサーヴァントであるという推論を聞きました。  彼自身は蟲を目視していません。 ※トオサカトキオミが暗示を掛けた男達の携帯電話の番号を入手しています。 ※B-4におけるルール違反の犯人はキャスターかアサシンだと予想しています。 が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。 【セイバー(オルステッド)@LIVE A LIVE】 [状態]通常戦闘に支障なし [装備]『魔王、山を往く(ブライオン)』 [道具]特になし。 [所持金]無し。 [思考・状況] 基本行動方針:綺礼の指示に従い、綺礼が己の中の魔王に打ち勝てるか見届ける。 1.綺礼の指示に従う。 2.「勇者の典型であり極地の者」のセイバー(ロト)に強い興味。 3.憎悪を抱く蟲(シアン)に強い興味。 [備考] ※半径300m以内に存在する『憎悪』を宝具『憎悪の名を持つ魔王(オディオ)』にて感知している。 ※アキト、シアンの『憎悪』を特定済み。 ※勇者にして魔王という出自から、ロトの正体をほぼ把握しています。 ※生前に起きた出来事、自身が行った行為は、自身の中で全て決着を付けています。その為、『過去を改修する』『アリシア姫の汚名を雪ぐ』『真実を探求する』『ルクレチアの民を蘇らせる』などの願いを聖杯に望む気はありません。 ャスターかアサシンだと予想しています。 が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。 ※真玉橋の救われぬ乳への『悲しみ』を感知しました。 ---- |BACK||NEXT| |092:[[同じことか]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|094:[[蟲のキャスターは餌を撒く]]| |092:[[同じことか]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|094:[[蟲のキャスターは餌を撒く]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |075:[[『憎悪の魔王』/『敗者の王』]]|[[言峰綺礼]]&セイバー([[オルステッド]])||
*喜べ学生、君の商品はようやく温まる ◆DpgFZhamPE ───昼下がり、購買部にて─── 「いらっしゃいませ」 『お邪魔しますよォーッと、ヤシの実サイダー一つ貰えないっスか?』 「120円になりますが」 『えーと、120円っスね~……ほい、どうぞ』 「120円、頂戴致します。 ───温めますか?」 『ヤシの実サイダーを……!?い、いや、結構っス』 「ご利用、ありがとうございました」 『…サイダーを温めるかどうか尋ねる店員なんてよォ~……グレート!珍しい店員もいたもんだ』 「いらっしゃいませ」 『飲み物あるか』 「おしるこ、黒糖サイダー、きなこ練乳、抹茶ミルク、ヤシの実サイダーその他諸々ありますが」 『…ロクなモンねェな』 「これが当店のラインナップでして」 『あー、じゃあきなこ練乳でイイわ』 「120円になります。 ───温めますか?」 『・・・きなこ練乳をか?バカなンじゃねェの、オマエ。温めねェよ』 「ご利用、ありがとうございました」 「いらっしゃいませ」 『……何だよその顔、せっかく僕が買ってやろうってのにさ。 まあいいさ、なんか食べられる物くれよ』 「焼きそばパン、カレーパンにプレミアムロールケーキ───あと、激辛麻婆豆腐と百味ビーンズがありますが」 『百味ビーンズ?何だよソレ』 「何でも見たこともない様々な種類の味が楽しめるゼリービーンズ状の菓子類だとか」 『へぇー、じゃあ僕がそれと激辛麻婆豆腐買ってやるよ』 「500円になりますが」 『ほら』 「丁度、頂戴致します。 ───温めますか?」 『菓子をか……!?するわけないだろ』 「ご利用、ありがとうございました」 『ったく、これだから常識のない店員はさ……! しっかり働けよ、サボってても僕にはわかるんだからな!』 ◆ ◆ ◆ カツカツ、と苛立ったような足音を立てながら、商品を受け取ったワカメ頭の少年が去っていく。 その様子を見届けながら───ふう、と言峰綺礼は肺に溜まった空気を排出する。 「商売とは存外、コツのいるものらしいな」 怒りやすい客や面倒な客が世界のどこかにはいると聞いていたが、生涯で実際に出会うとは思ってもいなかった。 忙しくなるのは予想していたが、まさかこれほどとは。 時間は12時を少し過ぎた頃。 休み時間に入った食欲盛りの子供たちが一斉に食物を求めて購買へ飛び込み目当てのものを購入していく、購買部において一番多忙な時間だ。 言峰綺礼はその沢山の子供たちまたは客を捌きながら、マスターがその中にいるかどうかを念入りに確かめていたが、特に怪しい人物はいなかった。 個性の強過ぎる生徒は何人かいたようだが。 (思いの外忙しいものだな……セイバー) 『ああ、定時通達は私が聞いておいた』 言峰が呼びかけると、念話にてセイバーの声が響く。 多忙になるのは予想できていたため、放送を聞き逃す恐れがあった。 NPC時代に与えられていた職務を疎かにすれば、誰かに不信感を持たれてしまう───その『誰か』がNPCであれば問題はないのだが、マスターであれば今後の聖杯戦争に支障が出る恐れがある。 そのような無駄な被害を被らないように、定時通達をセイバーに任せていたのだ。 『伝えられた情報のまず一つ目は、参加組数だな。通達通りなら28組らしい』 『多いな』 本来の聖杯戦争の四倍。 多い───七クラスに均等にサーヴァントが存在していると考えれば、最低一クラス四騎のサーヴァントがいる計算になるのだ。 最悪、四騎のアサシンが街に、影に潜んでいる可能性すら考えられる。 (少し、この先の動き方を考えねばならんかもしれんな) セイバーが側に居ればアサシンなど恐るるに足らないだろうが、アサシンの脅威はその戦闘力ではない。 油断していたところ、他のマスターとの交戦中に狙われては一溜まりもないのだ。 『次に二つ目は、所謂”警告”というヤツだ。B-4地区で重大なルール違反が行われたらしい』 『ルール違反?誰が行った?』 『それは公表されていない。全体での通達のため詳細は伏せる、と。 建造物の破壊等のNPCの生活を著しく妨害する行為も処罰の対象らしい』 『そうか』 重大なルール違反───NPCを巻き込んだ大規模戦闘か、NPCを標的とした大規模な魂喰いか。 その何方にしてもこちらには直接的な被害は無いが、探りを入れるきこしたことはない。 『セイバー、お前はどう考える』 『ルール違反のことについてなら───私の読みでは、犯人は恐らくアサシンかキャスターだろう』 顎に手を添えて思案するセイバーは、己の予測を言峰に告げる。 意外と早く返ってきたセイバーの見解に、言峰の興味は吸い寄せられる。 『ほう・・・何故だ?』 『いや、根拠なんて殆どない、単なる直感だよ。 通達で警告を発するほどの大きなルール違反ならば、被害に遭ったNPCも相当数いるだろう。 建物の倒壊、NPCの魂喰い───そのどちらか、またはそれ以外だとしても。 それだけの被害が出ればいくら決められたルーチンをこなすNPCと言えど、通常通り学校に登校するなんてことはないだろう?』 セイバーの意見は、言峰の頭を回転させ、思考を開始させるぐらいには重大なものだった。 大規模な、危険な事件や猟奇的な事件が起こればニュースになる。それは現実でもこの場でも大した違いはない。 身近でそんなことが起これば一般人は、NPCは自らの行動を自粛するだろうし───学校側も、普通に学校生活を送るなどの愚策を行うこともないだろう。 しかし、今は見ての通り。 購買部の周りで談笑する生徒達は、平和そのものだ。 もし。 彼らNPCがルール違反による大きな被害に気付いていながら通常行動を送っているのではなく───もし、本当に、ルール違反による被害に「気付いていない」だけだとしたら? 『つまり、セイバー』 『ああ、多分キレイの考えていることで正解だろう。 重大なルール違反が行われたというのにNPCの行動に一切の変化がない。 つまり、ルール違反を行ったサーヴァントは「己の行った違反行為を隠す術を持っている」可能性が高い───それが何なのかは全く見当がつかないがね。 その術を持つ可能性が一番高いのは魔術師のキャスターか、隠れること・暗殺に精通しているアサシンぐらいだろう』 信憑性の欠片もない予想だがね、とセイバーは付け足す。 英霊の中には魔術を使用できる騎士や召喚術をつかえる剣士もいると聞く───別に、隠す術を持っている可能性が高いという理由でキャスターかアサシンと目をつけているだけで、確定ではないのだ。 『他は?』 『通達で告げられた情報は以上だ』 『そうか』 参加人数28組。B-4での重大なルール違反。 二つの情報は確かに貴重だったのだが、これからの動きをすぐさま左右するようなほどではなかった。 さてこれからどう動いたものかと思案する言峰に、セイバーの言葉が響く。 『それでマスター、これからはどう動くつもりなん───待て』 ピクン、と。 霊体化しているセイバーの眉が動く。 その声は冷静そのもので、何かを察知したことを言外に告げていた。 『ここから少し離れた場所───いや、学園内か』 『……?』 『マスター、強い「悲しみ」を感じる……悲劇、いやそれ以上の現実に直面したものか。 これ程の深い悲しみはNPCでは持ち得ない。十中八九、マスターかサーヴァントだ』 念話でそう告げるセイバーの声は、その感情を吟味しているようなものだった。 ───宝具、「憎悪の名を持つ魔王(オディオ)」。 その一部を使用して負の感情を察知する能力をセイバーは得ている。 負の感情。 それは何も、憎悪だけではない。 恨み、嫉み、怨嗟、憎悪に自棄───そして、悲しみ。 マイナス方面に向かう、人間を下へと堕とす感情の総称、それこそが『負の感情』なのだ。 その一つ、悲しみ。 悲劇に直面し、現実の非情さに憎悪し、目の前の事実に挫折する───その様な感情を、セイバーは感じ取ったのだ。 『ここからそう遠くない。向かうのなら今の内だが、どうするマスター』 問いかけたセイバーに対し、言峰はふむ、と思案する。 全員昼食の調達を済ませたのか、購買部への学生たちの足並みは途絶えている。 今ならば、自由に動けるのだ。 購買部の店員を装い、接触を試みるのも選択肢の一つとしてあり得るのだ。 『そうか、ならばセイバー、私は』 神父の向かう先は─── 【C-3 /月海原学園購買部/一日目 午後】 ※C-3において真玉橋の『正純のおっぱいがない』ことに対する強い悲しみを察知しました。。 真玉橋の元へ向かうかどうかは後続の書き手さんに任せます。 【言峰綺礼@Fate/zero】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]黒鍵、エプロン [道具]特に無し。 [所持金]質素 [思考・状況] 基本行動方針:優勝する。 0.動くか、この場に止まるか─── 1.店員役を努める。 2.黒衣の男とそのバーサーカーには近づかない。 3.学園内の施設を使って、サーヴァントの情報を得たい。 4.トオサカトキオミと接触する手段を考える。 5.この聖杯戦争に自分が招かれた意味とは、何か―――? [備考] ※設定された役割は『月海原学園内の購買部の店員』。 ※バーサーカー(ガッツ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。宝具『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』を目視済み。 ※『月を望む聖杯戦争』が『冬木の聖杯戦争』を何らかの参考にした可能性を考えています。 ※聖陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。  聖側からは霊地や戦力の提供も提示されてるが突っぱねてます。 ※学園の校門に設置された蟲がサーヴァントであるという推論を聞きました。  彼自身は蟲を目視していません。 ※トオサカトキオミが暗示を掛けた男達の携帯電話の番号を入手しています。 ※B-4におけるルール違反の犯人はキャスターかアサシンだと予想しています。 が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。 【セイバー(オルステッド)@LIVE A LIVE】 [状態]通常戦闘に支障なし [装備]『魔王、山を往く(ブライオン)』 [道具]特になし。 [所持金]無し。 [思考・状況] 基本行動方針:綺礼の指示に従い、綺礼が己の中の魔王に打ち勝てるか見届ける。 1.綺礼の指示に従う。 2.「勇者の典型であり極地の者」のセイバー(ロト)に強い興味。 3.憎悪を抱く蟲(シアン)に強い興味。 [備考] ※半径300m以内に存在する『憎悪』を宝具『憎悪の名を持つ魔王(オディオ)』にて感知している。 ※アキト、シアンの『憎悪』を特定済み。 ※勇者にして魔王という出自から、ロトの正体をほぼ把握しています。 ※生前に起きた出来事、自身が行った行為は、自身の中で全て決着を付けています。その為、『過去を改修する』『アリシア姫の汚名を雪ぐ』『真実を探求する』『ルクレチアの民を蘇らせる』などの願いを聖杯に望む気はありません。 ャスターかアサシンだと予想しています。 が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。 ※真玉橋の救われぬ乳への『悲しみ』を感知しました。 ---- |BACK||NEXT| |092:[[同じことか]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|094:[[蟲のキャスターは餌を撒く]]| |092:[[同じことか]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|094:[[蟲のキャスターは餌を撒く]]| |BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT| |075:[[『憎悪の魔王』/『敗者の王』]]|[[言峰綺礼]]&セイバー([[オルステッド]])|100:[[くだらぬ三文劇]]| &link_up(▲上へ)

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