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裁定する者、裁定しなければならない者」(2014/09/14 (日) 02:53:49) の最新版変更点

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*裁定する者、裁定しなければならない者 ◆OSPfO9RMfA 「ところでカレン、通達はどのようにするですか?」  教会に着いたルーラー、ジャンヌ・ダルクは監督役のカレン・オルテンシアに問いかける。  正午の通達に関しては、ジャンヌに知らされていなかった。 「正午になれば、『方舟』により自動的にマスターは残生存数を知った状態になります」 「知った状態?」 「えぇ、“知った”状態です」  オウム返しをするジャンヌ・ダルクに、カレンはオウム返しで返す。 「記憶を取り戻したときに聖杯戦争のルールを知っていたのと同じように、正午になった瞬間に、現在の残生存数をマスターが“知った”ことになります。“知る”訳では無いので、その時に気を失っていようが、寝ていようが問題はありません。起きたときに思い出すことが出来ます」 「なるほど」 「ちなみに、残生存数はマスターとサーヴァント別に知ります。“残りマスター○○人、残りサーヴァント○○騎”と言ったように、ですね」  聞く限り、平等で公平のように思える。しかし、一つだけ疑問が浮かぶ。 「何故マスターのみなんでしょうか?」 「さぁ? 私にはわかりません。マスターに記憶を与えるのが簡単なのか、サーヴァントに記憶を与えるのが難しいのか、もしくは何らかの意図があるのか……ですが、マスターのみでも特に問題はないでしょう。念話で伝えれば良いだけですから」  確かに、主従間で不和が無い限り問題はないだろう。仮に主従間に不和があったとしても、それは裁定者として出る幕ではない。  と、そこまで聞いて、ジャンヌの中に再び疑問が沸く。 「『方舟』が自動で行うと言うことなら、私もですが、カレンさんが教会に戻る必要は無かったのでは?」 「ええ、全くありません」  いけしゃあしゃあ、きっぱりとカレンは肯定する。 「適当な理由を付けて、参加者と一端距離を取りたかったのです。正確に言えば、ルーラー、あなたの頭を冷やす時間を与えるための口実ですね」 「私の……ですか」  ジャンヌは言葉に詰まる。そう言われるほどの状況である自覚はある。 「えぇ、何ちんたらやってるんですか? たかだかこんな一件、実際に怪しいキャスターに直接面と向かって問えばいいじゃないですか。ランサー2騎にはやれたんです。キャスターにやれない道理は無いでしょう?」 「ですが……」  28人28騎。それが今『方舟』内にいるマスターとサーヴァントの数だ。ヴォルデモートの使い魔、大魔王バーンが作る魔物、シアン・シンジョーネ本体である約270万匹の蟲などを考えるとそれどころではない。  一方、裁定者は1人1騎。圧倒的に数で負けている。カレンの言うとおり、一つ一つの事件を精査していては、いつまで経っても終わらない。  しかし、その一方で間違いを犯したくないと言う心理も働く。生前、冤罪で紅蓮に焼かれた末路を考えれば分からないでもない。  だが、彼女らは裁定者なのだ。真実への情報が足りなくても、時間が足りなくとも、裁かなければならない。  カレンは溜息をつき、呆れた顔でジャンヌを見る。 「ルーラー、この『方舟』の四方は“無限の距離”による概念防壁がなされています。つまり、参加者はこの『方舟』から脱出することは出来ない。それはわかりますね?」 「……? はい」  何故、唐突にその話をするのだろうとジャンヌは首を傾げるが、そのままカレンの話を聞く。 「一方、参加者はNPCを殺害することは可能ですが、ルールによりNPCの大量殺害を禁じています」 「その通りですが……」 「では、問題です。参加者は『方舟』から脱出することは“出来ない”。参加者はNPCの大量殺害を“してはいけない”。この二つの違いは何でしょうか」  ジャンヌは一考し、答えを呟く。 「……“不可能”か“可能”か」 「そう。『方舟』からの脱出は“そもそも不可能”。NPCの大量殺害は“可能だけど禁じられている”。では、問題です。何故、両方とも“そもそも不可能”にしなかったのか」  ジャンヌは少し考えるが、首を横に振る。  NPCを無敵にする。NPCを除去する。あるいは参加者を別の区域に移動させる。  NPCの殺害を“そもそも不可能”にする様々な方法があるはずだ。なのに、“可能だけど禁じる”と言うスタンスを取っている。  その理由が分からなかった。 「これはあくまで私の推測です」  カレンはそう前を気をして、指を一本立てる。 「その1。『方舟』としてはNPCの大量殺害についてはそもそも禁止していない」 「それはどういうことですか?」 「『方舟』としては、NPCがいくら殺されようが問題ないというスタンス。しかし、“別の何者か”がNPCの大量殺害を良しとせず、ルールに盛り込みました。ですが、それはルーラーをパシらせ、ペナルティを与えるという事後的な方法でしか禁じられない、苦肉の策と言うことです」  『方舟』とは異なる“管理人”が存在し、NPCの大量殺害の禁止はその“管理人”による付加ルール。だが、根本的にNPCの殺害を“不可能”には出来ず、“禁じる”ことしか出来なかった。  それが、推論の1。そしてカレンはさらに指を立てる。 「その2。脱出の“不可能”と同様、NPCの殺害も“不可能”にすることはできる。しかし、あえて“不可能”にせず“禁じる”ことにした」 「それは何故ですか?」 「わかりません。ですが、この聖杯は何らかの“再現”をしようとしている可能性があります。そして、NPCを殺害“不可能”としないのは、その“再現”に必要だから。かもしれません」  『方舟』はあえてNPCの殺害を“不可能”とせず、しかし“禁じた”。そこには何らかの理由があるはずである。 「とはいえ、全て私の推論。あってるかどうかもわかりません。で、ルーラー、いいですか?」  ここからが本題です。そう言いたげに、ジッとジャンヌの顔を見つめる。 「この聖杯戦争で、何故NPCの大量殺害が禁じられているかはわかりません。ですが、NPCの大量殺害をしてはいけないと言うルールは存在します。ならば、私たち裁定者はそのルールに従って裁定をすべきである。違いますか?」 「……」  ジャンヌは黙る。  その通りだ。ジャンヌ達裁定者の役割はルールを作ることではない。ルール通りに進行させ、ルールを破った者に注意すること、それが仕事なのだ。  例えそれが己の納得がいかないことだとしても。 「……」 「まぁ、良いでしょう。B-4には私が行きます。ルーラーは別の地域を頼みます」  戦力外通告。もしくは適所適材。カレンはそう言うと教会から出て行く。 「……私は」  ジャンヌは悩む。聖杯は何を望むのか。己に何を望まれているのか。  その中で、己は何をすればよいのか。  答えはまだ出そうにない。  しかし、出さなければならない。  時は、待ってはくれないのだから。 【?-?/教会/1日目・正午】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 1. ……………………私は。 2. 遠坂凛の要請をどうするか決める。 3. 啓示で探知した地域の調査。ただ、深山町の騒ぎについても気になる。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味 1. B-4の調査。 2. ??? [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。 ※そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。  他に理由があるのかは不明。 [通達について] ※正午になれば、マスターは現時点での残生存数を“知った”状態になります。 ※“知った”情報は“残りマスター○○人、残りサーヴァント○○騎”のように、主従別です。
*裁定する者、裁定しなければならない者 ◆OSPfO9RMfA 「ところでカレン、通達はどのようにするのですか?」  教会に着いたルーラー、ジャンヌ・ダルクは監督役のカレン・オルテンシアに問いかける。  正午の通達に関しては、ジャンヌに知らされていなかった。 「正午になれば、『方舟』により自動的にマスターは残生存数を知った状態になります」 「知った状態?」 「えぇ、“知った”状態です」  オウム返しをするジャンヌ・ダルクに、カレンはオウム返しで返す。 「記憶を取り戻したときに聖杯戦争のルールを知っていたのと同じように、正午になった瞬間に、現在の残生存数をマスターが“知った”ことになります。“知る”訳では無いので、その時に気を失っていようが、寝ていようが問題はありません。起きたときに思い出すことが出来ます」 「なるほど」 「ちなみに、残生存数はマスターとサーヴァント別に知ります。“残りマスター○○人、残りサーヴァント○○騎”と言ったように、ですね」  聞く限り、平等で公平のように思える。しかし、一つだけ疑問が浮かぶ。 「何故マスターのみなんでしょうか?」 「さぁ? 私にはわかりません。マスターに記憶を与えるのが簡単なのか、サーヴァントに記憶を与えるのが難しいのか、もしくは何らかの意図があるのか……ですが、マスターのみでも特に問題はないでしょう。念話で伝えれば良いだけですから」  確かに、主従間で不和が無い限り問題はないだろう。仮に主従間に不和があったとしても、それは裁定者として出る幕ではない。  と、そこまで聞いて、ジャンヌの中に再び疑問が沸く。 「『方舟』が自動で行うと言うことなら、私もですが、カレンさんが教会に戻る必要は無かったのでは?」 「ええ、全くありません」  いけしゃあしゃあ、きっぱりとカレンは肯定する。 「適当な理由を付けて、参加者と一端距離を取りたかったのです。正確に言えば、ルーラー、あなたの頭を冷やす時間を与えるための口実ですね」 「私の……ですか」  ジャンヌは言葉に詰まる。そう言われるほどの状況である自覚はある。 「えぇ、何ちんたらやってるんですか? たかだかこんな一件、実際に怪しいキャスターに直接面と向かって問えばいいじゃないですか。ランサー2騎にはやれたんです。キャスターにやれない道理は無いでしょう?」 「ですが……」  28人28騎。それが今『方舟』内にいるマスターとサーヴァントの数だ。ヴォルデモートの使い魔、大魔王バーンが作る魔物、シアン・シンジョーネ本体である約270万匹の蟲などを考えるとそれどころではない。  一方、裁定者は1人1騎。圧倒的に数で負けている。カレンの言うとおり、一つ一つの事件を精査していては、いつまで経っても終わらない。  しかし、その一方で間違いを犯したくないと言う心理も働く。生前、冤罪で紅蓮に焼かれた末路を考えれば分からないでもない。  だが、彼女らは裁定者なのだ。真実への情報が足りなくても、時間が足りなくとも、裁かなければならない。  カレンは溜息をつき、呆れた顔でジャンヌを見る。 「ルーラー、この『方舟』の四方は“無限の距離”による概念防壁がなされています。つまり、参加者はこの『方舟』から脱出することは出来ない。それはわかりますね?」 「……? はい」  何故、唐突にその話をするのだろうとジャンヌは首を傾げるが、そのままカレンの話を聞く。 「一方、参加者はNPCを殺害することは可能ですが、ルールによりNPCの大量殺害を禁じています」 「その通りですが……」 「では、問題です。参加者は『方舟』から脱出することは“出来ない”。参加者はNPCの大量殺害を“してはいけない”。この二つの違いは何でしょうか」  ジャンヌは一考し、答えを呟く。 「……“不可能”か“可能”か」 「そう。『方舟』からの脱出は“そもそも不可能”。NPCの大量殺害は“可能だけど禁じられている”。では、問題です。何故、両方とも“そもそも不可能”にしなかったのか」  ジャンヌは少し考えるが、首を横に振る。  NPCを無敵にする。NPCを除去する。あるいは参加者を別の区域に移動させる。  NPCの殺害を“そもそも不可能”にする様々な方法があるはずだ。なのに、“可能だけど禁じる”と言うスタンスを取っている。  その理由が分からなかった。 「これはあくまで私の推測です」  カレンはそう前置きをして、指を一本立てる。 「その1。『方舟』としてはNPCの大量殺害についてはそもそも禁止していない」 「それはどういうことですか?」 「『方舟』としては、NPCがいくら殺されようが問題ないというスタンス。しかし、“別の何者か”がNPCの大量殺害を良しとせず、ルールに盛り込みました。ですが、それはルーラーをパシらせ、ペナルティを与えるという事後的な方法でしか禁じられない、苦肉の策と言うことです」  『方舟』とは異なる“管理人”が存在し、NPCの大量殺害の禁止はその“管理人”による付加ルール。だが、根本的にNPCの殺害を“不可能”には出来ず、“禁じる”ことしか出来なかった。  それが、推論の1。そしてカレンはさらに指を立てる。 「その2。脱出の“不可能”と同様、NPCの殺害も“不可能”にすることはできる。しかし、あえて“不可能”にせず“禁じる”ことにした」 「それは何故ですか?」 「わかりません。ですが、この聖杯は何らかの“再現”をしようとしている可能性があります。そして、NPCを殺害“不可能”としないのは、その“再現”に必要だから。かもしれません」  『方舟』はあえてNPCの殺害を“不可能”とせず、しかし“禁じた”。そこには何らかの理由があるはずである。 「とはいえ、全て私の推論。あってるかどうかもわかりません。で、ルーラー、いいですか?」  ここからが本題です。そう言いたげに、ジッとジャンヌの顔を見つめる。 「この聖杯戦争で、何故NPCの大量殺害が禁じられているかはわかりません。ですが、NPCの大量殺害をしてはいけないと言うルールは存在します。ならば、私たち裁定者はそのルールに従って裁定をすべきである。違いますか?」 「……」  ジャンヌは黙る。  その通りだ。ジャンヌ達裁定者の役割はルールを作ることではない。ルール通りに進行させ、ルールを破った者に注意すること、それが仕事なのだ。  例えそれが己の納得がいかないことだとしても。 「……」 「まぁ、良いでしょう。B-4には私が行きます。ルーラーは別の地域を頼みます」  戦力外通告。もしくは適所適材。カレンはそう言うと教会から出て行く。 「……私は」  ジャンヌは悩む。聖杯は何を望むのか。己に何を望まれているのか。  その中で、己は何をすればよいのか。  答えはまだ出そうにない。  しかし、出さなければならない。  時は、待ってはくれないのだから。 【?-?/教会/1日目・正午】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 1. ……………………私は。 2. 遠坂凛の要請をどうするか決める。 3. 啓示で探知した地域の調査。ただ、深山町の騒ぎについても気になる。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味 1. B-4の調査。 2. ??? [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。 ※そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。  他に理由があるのかは不明。 [通達について] ※正午になれば、マスターは現時点での残生存数を“知った”状態になります。 ※“知った”情報は“残りマスター○○人、残りサーヴァント○○騎”のように、主従別です。

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