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安藤潤也&アーチャー」(2014/07/17 (木) 20:26:20) の最新版変更点

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*安藤潤也&アーチャー ◆QyqHxdxfPY あの『木片』を手にれたのは殆ど偶然のようなものだった。 その意味さえ全くと言っていい程知らなかった。 だが、今となっては解る。 俺は、『そいつ』をこの目で見ていた。 俺の目の前で跪く『そいつ』の姿を、見下ろしていた。 そいつのことは此処で初めて目にした。 だけど、何となくだけど、理解出来る。 この目の前の『赤衣の男』が、俺の『相棒』だと言うことを。 この血塗れた殺し合いで俺が使役する、『サーヴァント』だということを。 私闘を勝ち残る為に、俺が振るう『剣』だということを。 殺し屋と同じ。仲間であり、俺の殺しの道具だ。 これは俺の為の闘い。 目の前から消え去ってしまった未来を取り戻す為の闘いだ。 『どこへも行かない』約束をした兄貴を、取り戻す為の闘い。 覚悟はとうに出来ている。殺し屋を雇って、令嬢を叩き潰して、連中を殺したんだ。 今更『殺し合い』なんかで怯むワケも、それを否定するワケも無い。 今の俺に恐怖なんて無かった。此処に来たことへの後悔すら無かった。 そうだ。とっくに俺は変わっている。 あの日々を取り戻す為なら、俺はどんな手だって使ってみせる。 『他人』という犠牲を払って、この闘いの頂きに辿り着いてみせる。 そう。これは失ってしまった、もう二度と戻らないはずだった『大切なもの』を取り戻すための私闘。 目の前で跪く男が、それを取り戻す為の『力』―――― 「お前が、俺のサーヴァントか」 目の前で跪く『赤衣の男』に対し、俺は声をかける。 そいつはゆっくりと、俺の方へと顔を上げる。 ―――そいつの真紅の目を見たその時、俺はすぐに気付いたんだ。 その瞳が物語っている。こいつは、どこまでも冷徹になれる漆黒の意思を持っている。 目的の為ならどんな敵でも叩き潰すような、残忍な心を持っている。 そして――――俺が出会った殺し屋達とは比にもならないような、深い深い『闇』を孕んでいる。 傲岸な笑みを浮かべる『そいつ』は、ゆっくりと口を開いた… 「此度の闘争では、アーチャーのクラスとして召還された」 あくまで冷静沈着に、だか確かな『威厳』を感じさせる声で俺に語りかける。 その口元には相変わらず不敵な笑みが浮かんでいる。 俺はその男を、ただ何も言わず、表情も変えずに見下ろし続けていた… 「名は、『アーカード』」 目の前で跪く男は、そう名乗った。 俺のサーヴァント――『アーカード』は、短い名乗りの直後に立ち上がる。 そのままそいつは俺を指差すように、自らの指をゆっくりと向けた。 真紅の瞳で真っ直ぐに俺を見つめるアーカードから漂うのは、ピリピリと感じる威圧感。 「問おう、人間“ヒューマン”。お前は、私のマスター足り得る男か?  銃は私が構えよう。照準も私が定めよう…  弾“アモ”を弾倉“スライド”に入れ、遊底“スライド”を引き、安全装置“セーフティー”も私が外そう。  だが―――殺すのはお前の殺意だ。何の関係もない、何の縁もない他の『人間』を殲滅するのは…お前の殺意だ」 アーカードが発した言葉から滲み出ているもの、伝わるものは…俺の覚悟を問う心。 もしくは、その不敵な笑みが物語る俺への感興らしき感情。 「さて、答えを聞こう。お前に闘争の渦へと飛び込む覚悟はあるか?」 こいつは覚悟を決めていないマスターに従うつもりなど、無いのだろう。 だが、そんなもの――――――――杞憂に過ぎない。 覚悟なんてとっくに出来てる。『此処に来る前』から、俺は覚悟している。 「…ああ、当然だよ。俺は、この闘いで勝ち残る。  俺自身、傲慢だって解っている。これで本当の意味で『人殺し』になるんだってことも。  …だけど、俺はもう後には戻るつもりはない。俺は、この闘いで屍を積み上げる。  殺して、殺し尽くして―――その犠牲の果てにある聖杯を、俺は手に入れる」 そうだ、当たり前だよ。何を今更、って言ってやりたいくらいだよ。 もう俺は人を殺したも同然だ。金でプロを雇って、憎い奴らを始末したんだから。 これはその『続き』に過ぎない。銃を構え、照準を定め、弾薬を込め、遊底を引き、安全装置を外し――― 引き金を引いて、俺は目の前の『敵』を殺す。俺の殺意で。 目の前の『アーカード』を――『武器』を使って、直接この手を血に染めることになっただけだ。 ぐずぐずして全部失うくらいなら、俺は全部を取り戻しに行く。 俺の返答を聞いたアーカードは、口の両端を吊り上げていた。 ある種の感心を抱いているかのように、面白げな笑みを浮かべていた。 「その言葉に、願いに――――嘘偽りは無いだろうな?」 「当然だ。とっくに、覚悟は決めている」 最終確認、と言った所か。 俺の答えは変わらない。多分、今の俺は酷く冷たい顔をしてるんだろうな。 こんな闇の果てまで来てしまったんだから。 俺が答えを紡いだ直後、場は暫しの静寂に包まれる。 男は真っ直ぐに、不敵に笑みを浮かべながら俺を見据えている。 俺も決して男から眼を逸らさなかった。 ―――そして、無音を破って唐突に哄笑が響き渡る。 「ハハハハハハッ!!!成る程成る程、『一先ずは』合格だ!人間“ヒューマン”!  お前のその眼を見れば解る。確かな覚悟を決めているようだ!  願いを掴み取る為に、豚共を踏み台にしてでも伸し上がろうという覚悟をな!」 耳につくような男の高笑いに、俺はほんの少しだけ怯んだ。 圧倒的なまでの威圧感と、漆黒のような禍々しさ。魔と呼ぶに相応しい――強大な闇。 目の前のサーヴァントから感じたモノは…そんな所だった。 俺が引いたのは、とんでもない怪物だったのかもしれない。 出会ってからまだ数分程度しか経っていない。でも、俺は既に直感していた。 この男は、『化物』だ。 この世に存在するどんな王様なんかよりも恐ろしい。 どこまでも傲岸不遜に、どこまでも不敵に笑う化物。 この男は、正真正銘の―――――『魔王』だ。 だけど、今の俺にとっては最高の『武器』だ。 目的の為ならどんな手段をも選ばない。 どんな冷酷な手を使う事も厭わない。 それでいい。それが最も使いやすい。 それもただの武器じゃない――――とびきり上級の『魔王』。 はっきり言って最高の当たりじゃないか。 この男と一緒なら俺は勝ち残れる。『俺達』なら、聖杯だって掴める。 そんな確信じみた感情が、俺の心中にはあった。 「…………」 ―――それでも俺は、目の前の『魔王』のように。『アーカード』のように。 傍若無人に笑う事は出来なかった。傲岸に笑みを浮かべる事は出来なかった。 今の俺は、冷ややかな表情で立ち尽くしているのだろう。 瞳に覚悟を宿していたとしても、この顔には何も浮かべていないのだろうと。 内心思考を続けていた最、一頻りの嗤いを吐き出したアーカードは再びこちらへと目を向ける。 「我がマスター、最後に問おう。お前の名は、何と言う」 あぁ、そうか。俺の方、まだ名乗っていなかったな。 これから闘いを共にするんだ。名前くらい、名乗っておかないとな。 サーヴァントへの絶対命令権―――『令呪』の浮かんだ右手の拳を握り締め、俺ははっきりと名乗った。 「―――潤也。俺の名前は、安藤潤也だ」 さあ、行こうぜ『魔王』。 やっちまおう。この闘争へ勝ちに行こう。 あんたと共に、聖杯の頂きまで上り詰めてやる。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 果てなき闘争の先に辿り着いたのが、この地だった。 己の存在を認識出来なくなった私は、世界のシステム―――英霊と化していた。 この世界にサーヴァントとして召還された、となれば… あの最期を受け入れたはずの私にも、願いがあったのか。 いや―――受け入れざるを得なかっただけか。私自身、望みは確かにあったのかもしれない…いや、ある。 『帰還を果たす』 化物へと、そして英霊へと成り果てた私の…唯一の望みだ。 『我が主』から下された『命令“オーダー”』だ。 そう、命令だ。私は帰還を果たさなければならない。幾千幾万となって、帰還を果たさねばならない! 私は、ヘルメスの鳥。自らの羽根を喰らい、飼い馴らされる存在。 私に下された命令は、まだ終わっていない。ならば、それを全うしよう。 何人たりとも邪魔はさせない。これが戦争ならば尚更。 さて。此度の闘争における私の主となる男だが―――― 中々楽しめそうじゃないか。面白い眼をしている。 奴が何を願い、何を望み、何を思い此処に辿り着いたのかは…今はどうだろうと構わない。 大切なのは覚悟の意志だ。奴の眼からは、その覚悟を感じ取れた。 恐らく私と同じ。己の目的の為には、どこまでも非情に―――冷酷になれる存在だ。 それでいい。それが素晴らしい。 覚悟を決める事も出来ず、闘いに怯え、尻込みするような小僧でなくてよかった。 どうやらこの闘争は、十二分に楽しむ事が出来るようだ! 実に面白い。久々の、闘争の感覚だ。 この男と共に屍を積み上げ、聖杯の頂きまで辿り着くとしよう。 さあ。――戦争の時間だ。 存分に楽しもうじゃないか、我がマスター。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 彼は『洪水』に飲まれず、傲然と立ち尽くす一本の木だった。 群衆の熱狂にも支配されず、ただ一人己の意志を貫き通し、対決した―――『魔王』。 彼は己が羽根を喰らい、飼い馴らされる『ヘルメスの鳥』だった。 圧倒的な暴力と狂気を振り翳し、幾千幾万もの敵を殲滅し、君臨した―――『魔王』。 『マスター』 安藤 潤也(あんどう じゅんや) 『出典』 魔王 JUVENILE REMIX 『参加方法』 ムーンセルによる召還。 偶然のきっかけで『木片』を手にした模様。 『マスターの願い』 死別した兄を取り戻す。 『weapon』 回転式拳銃 『能力・技能』 <1/10=1> 10分の1以下の確率ならば確実に当てることが出来る能力。 作中では「じゃんけんに勝ち続ける」「競馬で1位になる馬を必ず当てる」等の効果を見せている。 喧嘩の腕っ節も強いが、あくまで常人の範疇。 『人物背景』 第二章の主人公。第二章の時点で高校2年生。 兄とは対照的で楽観的な性格だが、曲がったことが嫌いな行動派でもあり、どんな場面でも周りに流されることはない。 詩織という彼女がいる。安藤(兄)いわく、昔からくじ運がいい。唯一の家族である兄をとても大切に思っていた。 2章からは、兄の死の直後からなぜかじゃんけんで勝ち続けるという不思議な力を持つようになる(潤也いわく「兄貴がツイてる(=憑いてる)」)。 兄の死の真相について疑問を持ち調べ、犬養との「対決」を決意する。 兄とは対照的に、たがが外れてしまった膨れ上がる感情のまま、思い悩まず自らの直感の示すままに行動していく。その行動は次第に狂気を帯びていき、兄の想いを継ぐことと周囲の人々を守るためなら手段を選ばない「魔王」とも呼べる行動をおこす。 能力で得た資金で殺し屋達を雇い<令嬢>を壊滅させる。 この直後、彼はムーンセルに召喚される。 『方針』 誰を利用しようと、どんな手段を使おうと。 必ずこの戦いに勝ち残る。 『クラス』 アーチャー 『真名』 アーカード 『出典』 HELLSING 『パラメーター』 筋力A+ 耐久D 敏捷B+ 魔力C 幸運B 宝具A+ 『属性』 中立・悪 『クラス別スキル』 対魔力:E 魔力への耐性。無効化は出来ず、ダメージを多少軽減する。 単独行動:E 魔力供給なしでもある程度現界していられる能力。 ただしマスター不在時には効果を発揮しない。 『固有スキル』 心眼(偽):B 直感・第六感による危険回避。 吸血鬼特有の「第三の眼」による危険予知。 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 闘争狂:A 戦いに愉悦を見出す闘争者の精神。 威圧・混乱・幻惑などの精神干渉を無効化する他、長期戦になると幸運と宝具以外のステータスにプラス補正が掛かる。 吸血鬼:A 生と死を超えた者、または生と死の狭間に存在する者。吸血鬼の真祖。 死の直前に集いし魔を受け入れ、自らの血液を取り込んだことで吸血鬼へと転じた。 並外れた身体能力、魔眼、肉体変化など生半可な怪物を凌駕する数々の異能力を持ち合わせている。 日光や流水への耐性は非常に高い。 『宝具』 「不死の血族(ノーライフキング)」 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉;- 吸血鬼の真祖であるアーチャーの肉体そのもの。 吸血によって無数の生命を取り込んでいる「個」にして「郡体」である存在。 幾千幾万もの生命を「命のストック」として内包していることにより、何度攻撃を受けようとその場で肉体を再構築出来る。 心臓を潰されようが頭部を破壊されようが問題なく再生可能。 ただしサーヴァントとして現界している為、魔力の枯渇は再生能力の大幅な弱体化を招く。 また、魔物に有効な武装や不死性を阻害する能力に対する耐性は低い。 「拘束制御術式(クロムウェル)」 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~60 最大捕捉:500人 かつて人間に打ち倒され、彼らに使役された際にその強大な力を封じる為に施された術式。 第1号・第2号・第3号の術式の解除はアーチャーの任意で可能となっており、その力を宝具化したもの。 術式を解除することで、アーチャーはその身を不定形の姿へと変える。 黒犬獣や無数の蝙蝠といった使い魔の使役、無機物との融合、無数の影の手を操るなど吸血鬼としての様々な異能力を発揮出来るようになる。 宝具『拘束制御術式 零号』はクラス制限によって失われている。 『weapon』 「.454カスールカスタムオートマチック」「対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル」 彼をアーチャーのクラス足らしめる所以。彼にとって最も手に馴染む二丁の大型拳銃。 常人の五体ならば一撃で吹き飛ばす程の凄まじい威力を持つモンスターガン。 弾丸には退魔効果が施されている為、魔物としての属性を持つ者に対しては追加ダメージを与える。 その性能は低ランクの宝具と比較しても遜色が無い。 『人物背景』 人智を超越した圧倒的な強さを誇る最強の吸血鬼。 大英帝国王立国教騎士団(通称「ヘルシング機関」)に化物狩りの鬼札として使役される存在。 かつては「串刺し公」と称された人間だったが処刑直前に吸血鬼へと転じ、後にヘルシング教授達人間に倒される。 化物としての狂気的な言動や振る舞いが多く、闘いや殺し合いを楽しむ闘争狂。 敵となる者に対してはどこまでも残忍に、徹底的なまでに葬る冷徹な性格。 しかし「化物を倒すのはいつだって人間」という理念を持ち、人間に対し憧憬のような感情を抱いている。 同時に自分を含めた化物のことを「人間でいることの出来なかった弱い生き物」と評している。 第二次ゼーレヴェ作戦ではミレニアムとイスカリオテによって壊滅状態となっていたロンドンに帰還し、 圧倒的な力で両軍の兵を蹂躙する。イスカリオテの鬼札であるアンデルセン神父を撃破し、 ヘルシング機関を裏切り吸血鬼化したウォルターをも退けたが、「自己を認識出来る限りどこにでも存在出来る」能力を持つミレニアム准尉・シュレディンガーの命を取り込んだことで彼の能力が付加される。 その結果、数百万の命を取り込んでいるアーカードはその中で自己の存在を認識することが出来なくなり、消滅した。 『サーヴァントの願い』 生前の主の元に帰還を果たす。 『基本戦術、方針、運用法』 宝具「不死の血族(ノーライフキング)」による再生能力を活かして肉を切らせて骨を断つ戦法がメインとなる。 ダメージを受け止めつつ中距離から射撃で追い詰めていくのが基本戦術となるが、吸血鬼の身体能力による接近戦を挑むことも可能。 ただし不死性を阻害する攻撃、魔物に有効な攻撃への耐性は極めて低く、魔力不足による再生能力低下も起こるので過信は禁物。 通常時はやや火力に欠ける為、三騎士クラスなどの強敵との交戦時には「拘束制御術式(クロムウェル)」によって強化させるべき。 「拘束制御術式」の魔力消費は大きく、単独行動スキルのランクの低さから自前で魔力を補うことも難しい。 一般人マスターである潤也への負担になりやすいので発動時には短期決戦を挑もう。 基本的には遠近共に優れた能力を持つサーヴァントである為、上手く使いこなせれば強力な剣と成り得る。 尤も、マスターがその手綱を握ることが出来ればの話だが。 ----
*安藤潤也&アーチャー ◆QyqHxdxfPY あの『木片』を手にれたのは殆ど偶然のようなものだった。 その意味さえ全くと言っていい程知らなかった。 だが、今となっては解る。 俺は、『そいつ』をこの目で見ていた。 俺の目の前で跪く『そいつ』の姿を、見下ろしていた。 そいつのことは此処で初めて目にした。 だけど、何となくだけど、理解出来る。 この目の前の『赤衣の男』が、俺の『相棒』だと言うことを。 この血塗れた殺し合いで俺が使役する、『サーヴァント』だということを。 私闘を勝ち残る為に、俺が振るう『剣』だということを。 殺し屋と同じ。仲間であり、俺の殺しの道具だ。 これは俺の為の闘い。 目の前から消え去ってしまった未来を取り戻す為の闘いだ。 『どこへも行かない』約束をした兄貴を、取り戻す為の闘い。 覚悟はとうに出来ている。殺し屋を雇って、令嬢を叩き潰して、連中を殺したんだ。 今更『殺し合い』なんかで怯むワケも、それを否定するワケも無い。 今の俺に恐怖なんて無かった。此処に来たことへの後悔すら無かった。 そうだ。とっくに俺は変わっている。 あの日々を取り戻す為なら、俺はどんな手だって使ってみせる。 『他人』という犠牲を払って、この闘いの頂きに辿り着いてみせる。 そう。これは失ってしまった、もう二度と戻らないはずだった『大切なもの』を取り戻すための私闘。 目の前で跪く男が、それを取り戻す為の『力』―――― 「お前が、俺のサーヴァントか」 目の前で跪く『赤衣の男』に対し、俺は声をかける。 そいつはゆっくりと、俺の方へと顔を上げる。 ―――そいつの真紅の目を見たその時、俺はすぐに気付いたんだ。 その瞳が物語っている。こいつは、どこまでも冷徹になれる漆黒の意思を持っている。 目的の為ならどんな敵でも叩き潰すような、残忍な心を持っている。 そして――――俺が出会った殺し屋達とは比にもならないような、深い深い『闇』を孕んでいる。 傲岸な笑みを浮かべる『そいつ』は、ゆっくりと口を開いた… 「此度の闘争では、アーチャーのクラスとして召還された」 あくまで冷静沈着に、だか確かな『威厳』を感じさせる声で俺に語りかける。 その口元には相変わらず不敵な笑みが浮かんでいる。 俺はその男を、ただ何も言わず、表情も変えずに見下ろし続けていた… 「名は、『アーカード』」 目の前で跪く男は、そう名乗った。 俺のサーヴァント――『アーカード』は、短い名乗りの直後に立ち上がる。 そのままそいつは俺を指差すように、自らの指をゆっくりと向けた。 真紅の瞳で真っ直ぐに俺を見つめるアーカードから漂うのは、ピリピリと感じる威圧感。 「問おう、人間“ヒューマン”。お前は、私のマスター足り得る男か?  銃は私が構えよう。照準も私が定めよう…  弾“アモ”を弾倉“スライド”に入れ、遊底“スライド”を引き、安全装置“セーフティー”も私が外そう。  だが―――殺すのはお前の殺意だ。何の関係もない、何の縁もない他の『人間』を殲滅するのは…お前の殺意だ」 アーカードが発した言葉から滲み出ているもの、伝わるものは…俺の覚悟を問う心。 もしくは、その不敵な笑みが物語る俺への感興らしき感情。 「さて、答えを聞こう。お前に闘争の渦へと飛び込む覚悟はあるか?」 こいつは覚悟を決めていないマスターに従うつもりなど、無いのだろう。 だが、そんなもの――――――――杞憂に過ぎない。 覚悟なんてとっくに出来てる。『此処に来る前』から、俺は覚悟している。 「…ああ、当然だよ。俺は、この闘いで勝ち残る。  俺自身、傲慢だって解っている。これで本当の意味で『人殺し』になるんだってことも。  …だけど、俺はもう後には戻るつもりはない。俺は、この闘いで屍を積み上げる。  殺して、殺し尽くして―――その犠牲の果てにある聖杯を、俺は手に入れる」 そうだ、当たり前だよ。何を今更、って言ってやりたいくらいだよ。 もう俺は人を殺したも同然だ。金でプロを雇って、憎い奴らを始末したんだから。 これはその『続き』に過ぎない。銃を構え、照準を定め、弾薬を込め、遊底を引き、安全装置を外し――― 引き金を引いて、俺は目の前の『敵』を殺す。俺の殺意で。 目の前の『アーカード』を――『武器』を使って、直接この手を血に染めることになっただけだ。 ぐずぐずして全部失うくらいなら、俺は全部を取り戻しに行く。 俺の返答を聞いたアーカードは、口の両端を吊り上げていた。 ある種の感心を抱いているかのように、面白げな笑みを浮かべていた。 「その言葉に、願いに――――嘘偽りは無いだろうな?」 「当然だ。とっくに、覚悟は決めている」 最終確認、と言った所か。 俺の答えは変わらない。多分、今の俺は酷く冷たい顔をしてるんだろうな。 こんな闇の果てまで来てしまったんだから。 俺が答えを紡いだ直後、場は暫しの静寂に包まれる。 男は真っ直ぐに、不敵に笑みを浮かべながら俺を見据えている。 俺も決して男から眼を逸らさなかった。 ―――そして、無音を破って唐突に哄笑が響き渡る。 「ハハハハハハッ!!!成る程成る程、『一先ずは』合格だ!人間“ヒューマン”!  お前のその眼を見れば解る。確かな覚悟を決めているようだ!  願いを掴み取る為に、豚共を踏み台にしてでも伸し上がろうという覚悟をな!」 耳につくような男の高笑いに、俺はほんの少しだけ怯んだ。 圧倒的なまでの威圧感と、漆黒のような禍々しさ。魔と呼ぶに相応しい――強大な闇。 目の前のサーヴァントから感じたモノは…そんな所だった。 俺が引いたのは、とんでもない怪物だったのかもしれない。 出会ってからまだ数分程度しか経っていない。でも、俺は既に直感していた。 この男は、『化物』だ。 この世に存在するどんな王様なんかよりも恐ろしい。 どこまでも傲岸不遜に、どこまでも不敵に笑う化物。 この男は、正真正銘の―――――『魔王』だ。 だけど、今の俺にとっては最高の『武器』だ。 目的の為ならどんな手段をも選ばない。 どんな冷酷な手を使う事も厭わない。 それでいい。それが最も使いやすい。 それもただの武器じゃない――――とびきり上級の『魔王』。 はっきり言って最高の当たりじゃないか。 この男と一緒なら俺は勝ち残れる。『俺達』なら、聖杯だって掴める。 そんな確信じみた感情が、俺の心中にはあった。 「…………」 ―――それでも俺は、目の前の『魔王』のように。『アーカード』のように。 傍若無人に笑う事は出来なかった。傲岸に笑みを浮かべる事は出来なかった。 今の俺は、冷ややかな表情で立ち尽くしているのだろう。 瞳に覚悟を宿していたとしても、この顔には何も浮かべていないのだろうと。 内心思考を続けていた最、一頻りの嗤いを吐き出したアーカードは再びこちらへと目を向ける。 「我がマスター、最後に問おう。お前の名は、何と言う」 あぁ、そうか。俺の方、まだ名乗っていなかったな。 これから闘いを共にするんだ。名前くらい、名乗っておかないとな。 サーヴァントへの絶対命令権―――『令呪』の浮かんだ右手の拳を握り締め、俺ははっきりと名乗った。 「―――潤也。俺の名前は、安藤潤也だ」 さあ、行こうぜ『魔王』。 やっちまおう。この闘争へ勝ちに行こう。 あんたと共に、聖杯の頂きまで上り詰めてやる。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 果てなき闘争の先に辿り着いたのが、この地だった。 己の存在を認識出来なくなった私は、世界のシステム―――英霊と化していた。 この世界にサーヴァントとして召還された、となれば… あの最期を受け入れたはずの私にも、願いがあったのか。 いや―――受け入れざるを得なかっただけか。私自身、望みは確かにあったのかもしれない…いや、ある。 『帰還を果たす』 化物へと、そして英霊へと成り果てた私の…唯一の望みだ。 『我が主』から下された『命令“オーダー”』だ。 そう、命令だ。私は帰還を果たさなければならない。幾千幾万となって、帰還を果たさねばならない! 私は、ヘルメスの鳥。自らの羽根を喰らい、飼い馴らされる存在。 私に下された命令は、まだ終わっていない。ならば、それを全うしよう。 何人たりとも邪魔はさせない。これが戦争ならば尚更。 さて。此度の闘争における私の主となる男だが―――― 中々楽しめそうじゃないか。面白い眼をしている。 奴が何を願い、何を望み、何を思い此処に辿り着いたのかは…今はどうだろうと構わない。 大切なのは覚悟の意志だ。奴の眼からは、その覚悟を感じ取れた。 恐らく私と同じ。己の目的の為には、どこまでも非情に―――冷酷になれる存在だ。 それでいい。それが素晴らしい。 覚悟を決める事も出来ず、闘いに怯え、尻込みするような小僧でなくてよかった。 どうやらこの闘争は、十二分に楽しむ事が出来るようだ! 実に面白い。久々の、闘争の感覚だ。 この男と共に屍を積み上げ、聖杯の頂きまで辿り着くとしよう。 さあ。――戦争の時間だ。 存分に楽しもうじゃないか、我がマスター。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 彼は『洪水』に飲まれず、傲然と立ち尽くす一本の木だった。 群衆の熱狂にも支配されず、ただ一人己の意志を貫き通し、対決した―――『魔王』。 彼は己が羽根を喰らい、飼い馴らされる『ヘルメスの鳥』だった。 圧倒的な暴力と狂気を振り翳し、幾千幾万もの敵を殲滅し、君臨した―――『魔王』。 **【マスター】 安藤 潤也(あんどう じゅんや) **【出典】 魔王 JUVENILE REMIX **【参加方法】 ムーンセルによる召還。 偶然のきっかけで『木片』を手にした模様。 **【マスターの願い】 死別した兄を取り戻す。 **【weapon】 回転式拳銃 **【能力・技能】 &bold(){<1/10=1>} 10分の1以下の確率ならば確実に当てることが出来る能力。 作中では「じゃんけんに勝ち続ける」「競馬で1位になる馬を必ず当てる」等の効果を見せている。 喧嘩の腕っ節も強いが、あくまで常人の範疇。 **【人物背景】 第二章の主人公。第二章の時点で高校2年生。 兄とは対照的で楽観的な性格だが、曲がったことが嫌いな行動派でもあり、どんな場面でも周りに流されることはない。 詩織という彼女がいる。安藤(兄)いわく、昔からくじ運がいい。唯一の家族である兄をとても大切に思っていた。 2章からは、兄の死の直後からなぜかじゃんけんで勝ち続けるという不思議な力を持つようになる(潤也いわく「兄貴がツイてる(=憑いてる)」)。 兄の死の真相について疑問を持ち調べ、犬養との「対決」を決意する。 兄とは対照的に、たがが外れてしまった膨れ上がる感情のまま、思い悩まず自らの直感の示すままに行動していく。その行動は次第に狂気を帯びていき、兄の想いを継ぐことと周囲の人々を守るためなら手段を選ばない「魔王」とも呼べる行動をおこす。 能力で得た資金で殺し屋達を雇い<令嬢>を壊滅させる。 この直後、彼はムーンセルに召喚される。 **【方針】 誰を利用しようと、どんな手段を使おうと、必ずこの戦いに勝ち残る。 アーチャーを前線に立たせて戦うが、自らも可能な限りサポート。 能力である「1/10=1」は最大限に活用する。 **【クラス】 アーチャー **【真名】 アーカード **【出典】 HELLSING **【パラメーター】 筋力A+ 耐久D 敏捷B+ 魔力C 幸運B 宝具A+ **【属性】 中立・悪 **【クラス別スキル】 対魔力:E 魔力への耐性。無効化は出来ず、ダメージを多少軽減する。 単独行動:E 魔力供給なしでもある程度現界していられる能力。 ただしマスター不在時には効果を発揮しない。 **【固有スキル】 心眼(偽):B 直感・第六感による危険回避。 吸血鬼特有の「第三の眼」による危険予知。 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。 闘争狂:A 戦いに愉悦を見出す闘争者の精神。 威圧・混乱・幻惑などの精神干渉を無効化する他、長期戦になると幸運と宝具以外のステータスにプラス補正が掛かる。 吸血鬼:A 生と死を超えた者、または生と死の狭間に存在する者。吸血鬼の真祖。 死の直前に集いし魔を受け入れ、自らの血液を取り込んだことで吸血鬼へと転じた。 並外れた身体能力、魔眼、肉体変化など生半可な怪物を凌駕する数々の異能力を持ち合わせている。 日光や流水への耐性は非常に高い。 **【宝具】 **「不死の血族(ノーライフキング)」 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:- 最大捕捉;- 吸血鬼の真祖であるアーチャーの肉体そのもの。 吸血によって無数の生命を取り込んでいる「個」にして「郡体」である存在。 幾千幾万もの生命を「命のストック」として内包していることにより、何度攻撃を受けようとその場で肉体を再構築出来る。 心臓を潰されようが頭部を破壊されようが問題なく再生可能。 ただしサーヴァントとして現界している為、魔力の枯渇は再生能力の大幅な弱体化を招く。 また、魔物に有効な武装や不死性を阻害する能力に対する耐性は低い。 **「拘束制御術式(クロムウェル)」 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~60 最大捕捉:500人 かつて人間に打ち倒され、彼らに使役された際にその強大な力を封じる為に施された術式。 第1号・第2号・第3号の術式の解除はアーチャーの任意で可能となっており、その力を宝具化したもの。 術式を解除することで、アーチャーはその身を不定形の姿へと変える。 黒犬獣や無数の蝙蝠といった使い魔の使役、無機物との融合、無数の影の手を操るなど吸血鬼としての様々な異能力を発揮出来るようになる。 ***「死の河(カズィクル・ベイ)」 ランク:- 種別:- レンジ:- 最大捕捉:- 拘束制御術式零号の解放。アーカード最後の戦場である死都ロンドンを心象風景として具現化する固有結界。 アーチャーのクラスとして召還されたことによりこの宝具は失われている。 **【weapon】 &bold(){「.454カスールカスタムオートマチック」「対化物戦闘用13mm拳銃ジャッカル」} 彼をアーチャーのクラス足らしめる所以。彼にとって最も手に馴染む二丁の大型拳銃。 常人の五体ならば一撃で吹き飛ばす程の凄まじい威力を持つモンスターガン。 弾丸には退魔効果が施されている為、魔物としての属性を持つ者に対しては追加ダメージを与える。 その性能は低ランクの宝具と比較しても遜色が無い。 **【人物背景】 人智を超越した圧倒的な強さを誇る吸血鬼。 大英帝国王立国教騎士団(通称「ヘルシング機関」)に化物狩りの鬼札として使役される存在。 かつては「串刺し公」と称された人間だったが処刑直前に吸血鬼へと転じ、後にヘルシング教授達人間に倒される。 化物としての狂気的な言動や振る舞いが多く、闘いや殺し合いを楽しむ闘争狂。 敵となる者に対してはどこまでも残忍に、徹底的なまでに葬る冷徹な性格。 しかし「化物を倒すのはいつだって人間」という理念を持ち、人間に対し憧憬のような感情を抱いている。 同時に自分を含めた化物のことを「人間でいることの出来なかった弱い生き物」と評している。 第二次ゼーレヴェ作戦ではミレニアムとイスカリオテによって壊滅状態となっていたロンドンに帰還し、 圧倒的な力で両軍の兵を蹂躙する。イスカリオテの鬼札であるアンデルセン神父を撃破し、 ヘルシング機関を裏切り吸血鬼化したウォルターをも退けたが、「自己を認識出来る限りどこにでも存在出来る」能力を持つミレニアム准尉・シュレディンガーの命を取り込んだことで彼の能力が付加される。 その結果、数百万の命を取り込んでいるアーカードはその中で自己の存在を認識することが出来なくなり、消滅した。 **【サーヴァントの願い】 生前の主の元に帰還を果たす。 **【基本戦術、方針、運用法】 宝具「不死の血族(ノーライフキング)」による再生能力を活かして肉を切らせて骨を断つ戦法がメインとなる。 ダメージを受け止めつつ中距離から射撃で追い詰めていくのが基本戦術となるが、吸血鬼の身体能力による接近戦を挑むことも可能。 ただし不死性を阻害する攻撃、魔物に有効な攻撃への耐性は極めて低く、魔力不足による再生能力低下も起こるので過信は禁物。 対魔力も低ランクである為に素の防御力は低いが、その反面単純な物理攻撃を主力とするサーヴァントには非常に有利。 通常時はやや火力に欠ける為、三騎士クラスなどの強敵との交戦時には「拘束制御術式(クロムウェル)」によって強化させるべき。 「拘束制御術式」の魔力消費は大きく、単独行動スキルのランクの低さから自前で魔力を補うことも難しい。 一般人マスターである潤也への負担になりやすいので発動時には短期決戦を挑もう。 基本的には遠近共に優れた能力を持つサーヴァントである為、上手く使いこなせれば強力な剣と成り得る。 尤も、マスターがその手綱を握ることが出来ればの話だが。 ----

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