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桂木弥子&アーチャー」(2014/07/13 (日) 00:59:57) の最新版変更点

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「ああ、お腹減った」 とある国の見知らぬ地で金髪の少女――桂木弥子は行き倒れていた。高校が休みのときに世界を見て回ろうとしていたのだが、途中でどこかの森に入てしまい迷ってしまった。さらに持ってきた食料も底をついてしまい、絶体絶命なのである。 (こ、このままでは餓死してしまう。雑草だけで餓えをしのぐのは流石にきつい。何か、何かないの!?) 弥子は辺りを見渡し、何か他に食べ物がないか探した。 「あ、あれはッ!」 そんな彼女が見つけたのはそこら辺に落ちていた木片であった。 「あれも食べるには難しいけど雑草ばっかりで飽きてきた頃だし、ちょうどいいわ。最低限の調味料はまだあるし大丈夫ね」 倒れた身体をすぐさま起こして、木片に向かって走り出し手を伸ばした―― ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「ということがあって、気づいたらここに居たんです」 「それはまあ、大変でしたね。いやそれよりも雑草を食べて平気なんですか」 「はい、母の料理じゃなければ大抵のものは調味料があれば大丈夫です」 「そんなことをよく笑顔でいえますね、桂木さん」 「神父さんも実物を見ると私の気持ちが分かると思いますよ」 先ほどまで何処かの森に居た彼女は夜の路地を神父服を着た男と共にここに来た経緯を話しながら歩いていた。 彼女はあの時、食料にしようとした木片に触れた瞬間にこの場所へ飛ばされた。 一瞬、何が起こったのか分からずに混乱している時に右手に焼けるような痛みと頭に聖杯戦争についての知識が流れ込んでくることに伴う痛みを同時に受けた。 痛みには不本意ながら耐性がついていたため大事はなかったが、同時に自分が置かれた状況を知り、途方に暮れていたとき今一緒に歩いている神父に出会ったのである。 ふと神父が足を止め、弥子がいる方向に身体を向ける。 先ほどまで穏やかだった神父の口調がにわかに真剣みを帯びたそれに気づいた弥子は気を引き締める。 それを見て神父は淡々と話を始めた。 「さて桂木さん、本題に入りましょう。聖杯戦争については先ほど頭に流れ込んで、ある程度は把握したと思います。 その上でお聞きします、あなたはこの聖杯戦争に参加するおつもりですか。 もし無いのであれば左手にある三画の令呪を破棄してください。 それでこの聖杯戦争には関わることはありません。あなたの望むようにすればよろしい」 神父が投げかけた質問に弥子はしばし沈黙した。 聖杯戦争――万物の願いをかなえる“聖杯”を奪い合う争い。数多くの者が自らの願いを叶えるべく参加する殺し合い。 己のため、誰かのため、世界のため、様々な思いを持ってこの方舟に乗り込んでいる。 そんな中、ただ巻き込まれただけである彼女が戦っていけるのか。生半可な気持ちでいけば必ず破滅する、 神父は言葉には出さなかったがそう訴えていることを弥子は感じた。サーヴァント――彼もまた人知を超えた存在であると理解した。 「私には特別な能力なんてものはないし、並外れた身体能力があるわけでもない。 魔術とかいうものをつかえる訳でもない、ただの足手まといになるかもしれない。だけど――」 そこで弥子は一息つく。これは宣戦布告、そして彼女が覚悟を決めた宣言でもある。 「私は挑むよ、この戦争を仕組んだ犯人に。主催者を暴いて他の参加者と一緒にここから出る」 「ここにいる『探偵』は私だけ、もう『謎』からは逃げないって決めたから。だから私がこの『謎』を解いてみせる。 この『謎』を解いて、元の世界に帰って、そして戻ってきたアイツにぎゃふんと言わせてやる!」 彼女はそう言って目の前の神父に宣言した。自分はこの場から逃げないと、向き合っていくと、今度は彼女のほうから言葉に出さずに訴えた。 その答えに対して神父は満足したように笑みを浮かべた。 「成程、よく分かりました。いろいろと言いたいことはありますが一先ずはこの辺にしておきましょう。これ以上は余計なお世話になりそうですからね。 では改めて。サーヴァント――アーチャー、あなたをマスターと認め、全力を尽くして共に戦い抜くことをここに宣言いたしましょう」 苦笑いを浮かべながらも神父――アーチャーは頭を下げ、彼女を自身のマスターと認めた。 「そ、そんないきなり畏まらないでください。私、そこまでされるほど立派な人じゃないですよ。 こんな未熟な私のためにありがとうございます」 そんな自分のサーヴァントになったアーチャーに慌てつつも、礼を述べた。 「でも、アーチャーってちょっと呼びづらいのでこのまま神父さんで呼んでもいいですか」 「構いませんよ。私としてもそちらの方が都合がいいので、こちらも桂木さんと呼ばせてもらいます」 「分かりました、それじゃこれからよろしくお願いします」 互いに自分の情報を交換し、ひと段落で今後の方針について話した。 「とりあえず私たちはまだまともな拠点すら持っていないため、そちらの確保が最適かと思いますが、それでよろしいでしょうか?」 「はい、お願いします。……ところで話は変わるんですけど」 行動として拠点の確保を提案したアーチャーに同意した彼女は少しよそよそしく言った。 「ここに来てまだ何も食べて無いので、何か食べたいんですけど」 「そういえばそうでしたね、分かりました。近くのお店で済ませましょう、一応令呪は隠しておいてください」 「やったー! それじゃあ、バイキング店を数件行きましょう。どんな料理があるか楽しみだな」 「バイキングを数件……桂木さんどのくらい食べr「とりあえず全部!」……あなたの胃袋は異次元空間か何かに思えてきましたよ」 彼女のご飯を食べたいという場違いな提案にアーチャーは何も言わず快く了承し、それを聞いた彼女も嬉しそうに食べ物のことを考えていた。 だが、そんな彼女でも気になることがあった。 (今のところ神父さんは手を貸してくれるみたいだけど、この人もサーヴァントなんだから願い事があるはずよね。 それを私に教えてくれないのはまだ信用されていないんだろうな) 今までの会話を振り返り今の自分とサーヴァントの関係について考える。 どういうサーヴァントであるのかまでは教えてくれたが、アーチャー自身の話を聞いていない現状はあまり良好ではない。 とはいえ初対面の相手にいきなり話すことも不自然であるため警戒するほどのことでもないはずである。 (相手が話す気がない状態で聞いても逆に険悪になるだけだから、今は聞けないけど――) だが彼女は一度、ある人の中にある狂気を読み間違えてしまい、死なせてしまった人がいる。そのようなことが二度とないよう見極めなければならないと思っているからである。 自分とともに戦ってくれるサーヴァントだけではない、ほかの参加者たちのこともできるだけ知ろうとする。それが彼女にとっての『探偵』であるのだから。 (でも、今は食べることを優先しよう。その中で、もしかしたら話してくれるかもしれないし。焦らずに一歩一歩進んでいくしかない。私にはそれしかないから) 優れた頭脳や能力がない彼女だからこそできること。彼女はまだ見ぬ参加者と共に戦ってくれるアーチャーがどのような存在であるのかを見誤らないことをここに誓った――。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ (さて――) 彼女がこれからについて考えていたとき、アーチャーもまた今後の方針について考えていた。 (まずは見込みのあるマスターを見つけることが目的でしたが、とりあえずうまくいきましたね) 弥子の方を見て、一人納得する。このアーチャーは自身にとって都合のいいマスターかどうかを値踏みしていたのだ。 時は少し遡る。彼を召喚したマスターはひどく愚かであった。予選を突破しただけで聖杯を手にしたと確信し、机上の空論を述べるばかり。 能力も優れているとは言えずひどく凡庸であり、ただ運が良かっただけで予選を突破しただけの人物。 そんなマスターをアーチャーは表情一つ変えずに殺害した。理由は単純、このマスターでは勝ち残れないと確信したからである。 先のマスターでは何か自身では対処しきれない脅威が迫ったとき、令呪で捨て駒にされる危険性があるからだ。 そんなどっちつかずの味方がいては邪魔でしかない。 そう思い、早々に切り捨て自分が動きやすいマスターを探していた時に弥子を見つけたのである。 特筆すべき能力はないが、彼女なりの信念を持ち、戦う意志を持っていたのは彼にとって都合がよかった。 能力がないということは戦闘になれば自分に頼らざるを得ないため切り捨てられる危険がなく、善性であるため変に敵をつくる心配もない。 よって彼は彼女をマスターと認めたのである。 最もマスターとして都合が悪かった場合はその場で殺して、次のマスターを探していたのだが。 ともかく彼は無事、彼女のサーヴァントとなり今は聖杯戦争を勝ち抜く算段を建てているのであった。 (今、彼女に死なれては私も困りますからね。しばらくの間は彼女の方針に従っていくことにしましょう。 動き始めるとしたら中盤あたりですかね、そこから独自にほかの陣営と手を組む準備をし、 終盤でマスターを切り捨て一気に聖杯に近づく……。大まかな道筋としてはこのようなところでしょうか) かくして聖杯を獲る算段を考え始めたアーチャー、彼は何としてでも聖杯を獲らなければならない。 それこそが彼の償いでもあり、罰でもあるのだから。 (私は何としてでも聖杯を手に入れなければならない。 無力であった私の肉体(うつわ)ではなく、この私の知る最高の肉体(うつわ)であれば取りこぼさずにすくうことができる。 それまでにどれほどの犠牲が出ようとも止まりなどしない) 狂徒の司祭は救いを求めず、祝福を拒み、自分の犯した罪を償うために歩き続ける。 アーチャーは改めて願いを叶えることをここに誓った――。 *【CLASS】 アーチャー *【真名】 ヴァレリア・トリファ@Dies irae~Amantes amentes~ *【パラメーター】 筋力:C(E) 耐久:A++(E) 敏捷:E 魔力:A++(E) 幸運:D 宝具:EX(―) ※()内は創造の使用直後、または黄金聖餐杯を放棄したときのパラメーター *【属性】 混沌・悪 *【クラススキル】 対魔力:A++(―) A++以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、魔術ではアーチャーに傷をつけられない。 単独行動:A(―) マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 *【保有スキル】 エイヴィヒカイト:A(―) 人の魂を糧に強大な力を得る超人錬成法をその身に施した存在。 聖遺物(この場合は聖人の遺品ではなく、人の思念・怨念・妄念を吸収した魔道具のこと)を核とし、 そこへ魂を注ぐことによって、常人とはかけ離れたレベルの魔力・膂力・霊的装甲を手に入れた魔人。 エイヴィヒカイトには四つの位階が存在し、ランクAならば「創造」位階となる。 隠形:A+ 自分の霊質を操る事で一般人に擬態したり、騎士団員すらも欺くほどの隠形をも可能とするスキル。 同ランク以上の直感または察知するスキルを所持しているか、アーチャーの宝具『黄金聖餐杯』を看破した相手にはこのスキルの効果はなくなる。 「A+ランクの気配遮断」と「ステータス、スキルを隠蔽しサーヴァントとしての正体を隠す」、二つの効果を兼ね備えた特殊スキル。 仕切り直し:B 窮地から離脱する能力。 不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。 加えて逃走に専念する場合、相手の追跡判定にペナルティを与える。 感応能力:―(A+) アーチャーが生来持っていた超能力、いわゆるサイコメトリー。「石がラジオに、人が本に見える」というほどに強力なもので、相手の本質を手に取るように理解できる。 対象と同調することにより対象自身も忘れ去り、あるいは心の奥に沈めている真実を抉り出すことができる。 しかし宝具により自らの肉体を捨て他者の肉体を得たことにより自らの肉体の持つ感応能力の呪縛からの開放されたため、このスキルは消失している。 人心掌握術:B 他者の心を探り、同調して言葉巧みに誘導する人心掌握・操作術に長けていることを示すスキル。 彼は元々聖職者であり、さらに生来持っていた感応能力を失った今であってもその名残から人心を把握することに長けている。 ただし形はどうあれ精神的に一定の極地に達している者には効果はない。 精神汚染:A 精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。 本来であれば同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しないが、人心掌握術により表面上は可能となっている。 *【宝具】 『黄金聖餐杯(ハイリヒ・エオロー)』 ランク:A++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:― 最大補足:1人 「一部のステータス上昇」と「対魔力の強化」、 「防壁やレベル差を無視できる概念殺しの一撃とA++ランクの対城、対国、対界宝具以外による攻撃を除いたA++ランク以下の攻撃は総て無効化にする」、三つの恩恵を受ける。 またこの宝具は常時展開型であるため真名解放の必要はない。 この鎧を突破する方法は大別して3つであり、一つは防壁やレベル差を無視できる概念殺しの一撃、二つはこの宝具の許容量を超えた攻撃、 三つに後述する究極の矛を抜いた際に生じる鎧の隙間を狙うことである。 この宝具は自らの意志で放棄することができる。その場合、クラススキルと「エイヴィヒカイト」、「仕切り直し」、宝具は二度と使用することができない。 代わりにアーチャーは本来の肉体と「感応能力」を取り戻す。 本来は"数百万の魂により編まれた鎧"だが、今回は"桁外れの魔力によって編まれた鎧"として再現してあるため魂の容量自体は並の英霊程度である。 数百万の魂を吸収し、聖遺物と呼ばれるに相応しいほどに恐怖を吸ったラインハルト・ハイドリヒの肉体そのもの。 自らの異能と力の無さに絶望したヴァレリアは 「自らの知る最高の器であるラインハルトになりたい」 という渇望と、生来の霊的感応能力 そしてエイヴィヒカイトにより自らの魂をラインハルトの肉体へと移し変えている。 その真価は防御力。内包する魂の総量は同じ聖遺物の徒である他の団員と比較しても桁違いの魂であり、 それに加え肉体にはメルクリウスによる対物理・対魔術・対時間・対偶然とあらゆる防壁が施されている究極の鎧。 これを生かし、相手の攻撃を無視して反撃することができる。ただしこれはあくまで鎧でしかないためにマスターはともかくサーヴァントに対しては攻撃力自体はそれほどでもないので、攻撃に転ずる時はもう一つの宝具を発動せねばならない。 『神世界へ翔けよ黄金化する白鳥の騎士(ヴァナヘイム・ゴルデネ・シュヴァーン・ローエングリーン )』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大補足:1~2人 ヴァレリア・トリファの「創造」位階。発現は求道型。詠唱は『ローエングリン』。 発現した能力は、城から聖槍――聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)を限定召喚すること。 本来ラインハルトしか扱えないはずの聖槍を「自分はラインハルトだ。(だから聖槍も使えるはずだ)」という狂信を具現化することで、本当に使用可能にしてしまう能力である。 とはいえ、自由自在に使いこなせるわけでもなく、召喚した聖槍をそのまま矢のごとく凄まじい速さで射出するだけの技だが、それでもその破壊力は強大で必殺必中と言われるほどのものである。 異界の壁すら貫通して対象を射ることも可能、まさに究極の矛。また聖槍は神のような存在には特効的な効力を発揮するため、対象の神性が強ければ強いほど威力が上がる。 弱点は、究極の矛と鎧が両立できないという鉄則。すなわちこの宝具の使用直後は聖槍を召喚した亀裂が究極の鎧の隙間となり、無敵の防御力が消失する隙が生まれる。 また、創造であるが故にいかに強く自分を信じられるかによって精度が変わってしまうため、彼の信念が揺らいでしまうと最強の矛ではなくなり、必殺必中の穂先がずれる。 *【weapon】 聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント) アーチャーが宝具でのみ限定的に使用することができる切り札。 聖槍十三騎士団黒円卓第一位、首領ラインハルト・ハイドリヒがその身に宿す聖遺物。 十字に磔にされた彼の者の腹を突き貫いたとされる、伝説の神槍。いわゆるロンギヌスの槍。神気を纏う神殺しの槍。 遙か古の時代に鍛冶士トバルカインによってノドの地に降り注いだ隕鉄から鋳造された神話の武器であり、槍の正統な後継者であるラインハルトにしか扱うことが出来ない。 エイヴィヒカイトの真の後継者であり、全ての聖遺物を扱うことができる藤井蓮でさえこの槍だけは操れないという、当に規格外の聖遺物である。 *【人物背景】 聖槍十三騎士団・黒円卓第三位・首領代行『神を運ぶ者(クリストフ・ローエングリーン)』。 幹部が不在である騎士団の暫定的最高司令官。裏で策を練り、団員達を指揮・煽動している。 仮の姿は教会の神父。表面上はドジなうえ気が弱く、柔和な笑顔を絶やさない聖職者として振舞っており、自分に不幸がある度に神に嘆いている。 教会の主で古い付き合いのシスター・リザには頭が上がらず、娘のような玲愛を溺愛しているが、彼女には冷たくされている。 元は東方聖教会の司祭であり、本名はヴァレリアン・トリファ。 生まれながらにして強力すぎる霊的同調能力を有しており、それによって他者と世界観を共有できない恐怖感に苛まれていたが、ラインハルトとメルクリウスに出会ったことで彼らに忠誠を誓う。 だが、そのあまりの恐ろしさに彼は黒円卓から逃げ出し、孤児院を作って孤児達と暮らしていたが騎士団に見つけ出され、その代償として十人の子供の命を奪われた。 そしてラインハルトの城に捕らえられてしまった子供たちの魂を解放するため、黄金錬成を劣化させて子供たちだけを復活させ、更にそのための生贄となる者たちを救うために未来永劫同じことを繰り返そうとしている。 その思考は一見すると最もまともなようでいて、その実最も狂っている。その異常性は狂犬と称されるシュライバーですらも認めるほどである。 またメルクリウスからは「自分に近しい存在から死んでいく」という呪いの言葉を受け、『邪なる聖人』とも呼ばれている。 これはヴァレリアがラインハルトが望む破壊を忌避しながら彼になりたいという渇望を抱いているという矛盾を皮肉ったものであり その渇望を捨て去らない限り、ラインハルトの破壊の愛に引きずられて愛した者たちを苦しめることしかできないという意味である。 そのためこの呪いから脱却するには自身に生じた矛盾から逃げないことが肝要となる。 *【サーヴァントとしての願い】 ラインハルトへの生贄として「城」の一部になった子供たちを救う *【基本戦術、方針、運用法】 <基本戦術> 最大の特徴は防御力。大半の攻撃ではびくともしない。逆にいうと特筆すべきものが防御力しかなく、それを突破されればほぼ無力になってしまう。 性能的にはアーチャーの皮をかぶったアサシンであるため、戦闘よりも裏で動くことが敵の情報を徹底的に収集したり 様々な陰謀・策謀を巡らせて消耗させるなどして下準備を整えてから不意打ちで仕留めにいくことが定石となる。 もう一つの宝具は弱点があるため、多用しないこと。確実に相手を仕留めるときに発動したほうがよい。 <方針> 優勝を狙って行動し、そのためならばどんな犠牲を払ってでも成し遂げようとする。 基本的にはマスターの指示には従うが、あくまで表面上だけで裏ではいろいろと手をまわし聖杯を取りに行く。 いざとなれば鞍替えも辞さない。 <運用法> 宝具の肉体は常時発動型ではあるが、エイヴィヒカイトで魔力消費はさほど多くはない。 ただもう一つの宝具は規格外であるため魔術師でないものがマスターである場合、魂喰いなしでは最大四発が限界である。 *【マスター】 桂木弥子@魔人探偵脳噛ネウロ *【参加方法】 あまりの空腹で食べようと思って拾った『ゴフェルの木片』により召喚された *【マスターとしての願い】 聖杯戦争の主催者を暴き、元の世界に帰還する *【weapon】 なし *【能力・技能】 人と対話する能力と逆境に萎えない向上心、人間観察力・相互理解力がある *【人物背景】 「桂木弥子魔界探偵事務所」の所長で女子高生探偵……というのは建前で、その実体はネウロの正体を隠すための傀儡であり、実際に事件の真相を解明しているのはネウロである。 当初は、ネウロの強要・脅迫に屈し、父を殺した犯人を見つけてくれたことへの恩義もあって、渋々探偵役を引き受け、ネウロに流されるまま行動していた。 しかし数々の事件に関わっていくうちに犯人の心理に興味を持ち始め、自身で思索を深めていく中、前向きに彼の協力をするようになる。 胃袋以外は普通の人間と変わらず、元々普通の女子高生だった事もあり身体能力も高いわけではない。 その為、常識を超えた活躍を見せるネウロに対して、自分の無力を嘆く事がしばしば。 しかし魔人であるネウロは「人の心」と言うのを理解できない為、それが関与した時は彼の代わりに人間として活躍する。 また、元々聡明かつ人間の観察力は高いようで、思い遣りの強さもあり、犯人に対して慰めの言葉をかけ影響をもたらしている。 また危険なヤクザや殺人鬼に対しても、まっすぐに自分の意見を言うことのできる度胸を持っている。 非常にうたれ強く、並の人間が揺さぶられてしまいそうな逆境の中でも、自分を見失ったりしない。 身体の燃費が異常に悪い体質らしく 「回転寿司のレーンを回らなくする」→「一人でホテルのバイキングを全メニュー撃沈させる」→「ものの数秒で超巨大アロワナの香草焼きを半分以上たいらげる」など、 巻を重ねるごとにバケモノじみた悪食さを発揮している。 食う量と比例してゲテモノ食いとしての才能も発揮しており、「カマドウマがエビっぽくて美味しそう」「ダンボールハウスが肉まんに見える」と言った名言にも事欠かない。 ネウロが去ってから3年後の世界で、それまでの経験・人脈・名声を利用して難事件を重箱1つで解決する交渉人として各地を飛び回る「世界一の探偵」となっている。 *【方針】 基本的にはまず話し合いや交渉から入る。 話を聞かない相手には応戦、できれば無力化。 サーヴァントは倒すが、マスターは殺さない。
「ああ、お腹減った」 とある国の見知らぬ地で金髪の少女――桂木弥子は行き倒れていた。高校が休みのときに世界を見て回ろうとしていたのだが、途中でどこかの森に入てしまい迷ってしまった。さらに持ってきた食料も底をついてしまい、絶体絶命なのである。 (こ、このままでは餓死してしまう。雑草だけで餓えをしのぐのは流石にきつい。何か、何かないの!?) 弥子は辺りを見渡し、何か他に食べ物がないか探した。 「あ、あれはッ!」 そんな彼女が見つけたのはそこら辺に落ちていた木片であった。 「あれも食べるには難しいけど雑草ばっかりで飽きてきた頃だし、ちょうどいいわ。最低限の調味料はまだあるし大丈夫ね」 倒れた身体をすぐさま起こして、木片に向かって走り出し手を伸ばした―― ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「ということがあって、気づいたらここに居たんです」 「それはまあ、大変でしたね。いやそれよりも雑草を食べて平気なんですか」 「はい、母の料理じゃなければ大抵のものは調味料があれば大丈夫です」 「そんなことをよく笑顔でいえますね、桂木さん」 「神父さんも実物を見ると私の気持ちが分かると思いますよ」 先ほどまで何処かの森に居た彼女は夜の路地を神父服を着た男と共にここに来た経緯を話しながら歩いていた。 彼女はあの時、食料にしようとした木片に触れた瞬間にこの場所へ飛ばされた。 一瞬、何が起こったのか分からずに混乱している時に左手に焼けるような痛みと頭に聖杯戦争についての知識が流れ込んでくることに伴う痛みを同時に受けた。 痛みには不本意ながら耐性がついていたため大事はなかったが、同時に自分が置かれた状況を知り、途方に暮れていたとき今一緒に歩いている神父に出会ったのである。 ふと神父が足を止め、弥子がいる方向に身体を向ける。 先ほどまで穏やかだった神父の口調がにわかに真剣みを帯びたそれに気づいた弥子は気を引き締める。 それを見て神父は淡々と話を始めた。 「さて桂木さん、本題に入りましょう。聖杯戦争については先ほど頭に流れ込んで、ある程度は把握したと思います。 その上でお聞きします、あなたはこの聖杯戦争に参加するおつもりですか。 もし無いのであれば左手にある三画の令呪を破棄してください。 それでこの聖杯戦争には関わることはありません。あなたの望むようにすればよろしい」 神父が投げかけた質問に弥子はしばし沈黙した。 聖杯戦争――万物の願いをかなえる“聖杯”を奪い合う争い。数多くの者が自らの願いを叶えるべく参加する殺し合い。 己のため、誰かのため、世界のため、様々な思いを持ってこの方舟に乗り込んでいる。 そんな中、ただ巻き込まれただけである彼女が戦っていけるのか。生半可な気持ちでいけば必ず破滅する、 神父は言葉には出さなかったがそう訴えていることを弥子は感じた。サーヴァント――彼もまた人知を超えた存在であると理解した。 「私には特別な能力なんてものはないし、並外れた身体能力があるわけでもない。 魔術とかいうものをつかえる訳でもない、ただの足手まといになるかもしれない。だけど――」 そこで弥子は一息つく。これは宣戦布告、そして彼女が覚悟を決めた宣言でもある。 「私は挑むよ、この戦争を仕組んだ犯人に。主催者を暴いて他の参加者と一緒にここから出る」 「ここにいる『探偵』は私だけ、もう『謎』からは逃げないって決めたから。だから私がこの『謎』を解いてみせる。 この『謎』を解いて、元の世界に帰って、そして戻ってきたアイツにぎゃふんと言わせてやる!」 彼女はそう言って目の前の神父に宣言した。自分はこの場から逃げないと、向き合っていくと、今度は彼女のほうから言葉に出さずに訴えた。 その答えに対して神父は満足したように笑みを浮かべた。 「成程、よく分かりました。いろいろと言いたいことはありますが一先ずはこの辺にしておきましょう。これ以上は余計なお世話になりそうですからね。 では改めて。サーヴァント――アーチャー、あなたをマスターと認め、全力を尽くして共に戦い抜くことをここに宣言いたしましょう」 苦笑いを浮かべながらも神父――アーチャーは頭を下げ、彼女を自身のマスターと認めた。 「そ、そんないきなり畏まらないでください。私、そこまでされるほど立派な人じゃないですよ。 こんな未熟な私のためにありがとうございます」 そんな自分のサーヴァントになったアーチャーに慌てつつも、礼を述べた。 「でも、アーチャーってちょっと呼びづらいのでこのまま神父さんで呼んでもいいですか」 「構いませんよ。私としてもそちらの方が都合がいいので、こちらも桂木さんと呼ばせてもらいます」 「分かりました、それじゃこれからよろしくお願いします」 互いに自分の情報を交換し、ひと段落で今後の方針について話した。 「とりあえず私たちはまだまともな拠点すら持っていないため、そちらの確保が最適かと思いますが、それでよろしいでしょうか?」 「はい、お願いします。……ところで話は変わるんですけど」 行動として拠点の確保を提案したアーチャーに同意した彼女は少しよそよそしく言った。 「ここに来てまだ何も食べて無いので、何か食べたいんですけど」 「そういえばそうでしたね、分かりました。近くのお店で済ませましょう、一応令呪は隠しておいてください」 「やったー! それじゃあ、バイキング店を数件行きましょう。どんな料理があるか楽しみだな」 「バイキングを数件……桂木さんどのくらい食べr「とりあえず全部!」……あなたの胃袋は異次元空間か何かに思えてきましたよ」 彼女のご飯を食べたいという場違いな提案にアーチャーは何も言わず快く了承し、それを聞いた彼女も嬉しそうに食べ物のことを考えていた。 だが、そんな彼女でも気になることがあった。 (今のところ神父さんは手を貸してくれるみたいだけど、この人もサーヴァントなんだから願い事があるはずよね。 それを私に教えてくれないのはまだ信用されていないんだろうな) 今までの会話を振り返り今の自分とサーヴァントの関係について考える。 どういうサーヴァントであるのかまでは教えてくれたが、アーチャー自身の話を聞いていない現状はあまり良好ではない。 とはいえ初対面の相手にいきなり話すことも不自然であるため警戒するほどのことでもないはずである。 (相手が話す気がない状態で聞いても逆に険悪になるだけだから、今は聞けないけど――) だが彼女は一度、ある人の中にある狂気を読み間違えてしまい、死なせてしまった人がいる。そのようなことが二度とないよう見極めなければならないと思っているからである。 自分とともに戦ってくれるサーヴァントだけではない、ほかの参加者たちのこともできるだけ知ろうとする。それが彼女にとっての『探偵』であるのだから。 (でも、今は食べることを優先しよう。その中で、もしかしたら話してくれるかもしれないし。焦らずに一歩一歩進んでいくしかない。私にはそれしかないから) 優れた頭脳や能力がない彼女だからこそできること。彼女はまだ見ぬ参加者と共に戦ってくれるアーチャーがどのような存在であるのかを見誤らないことをここに誓った――。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ (さて――) 彼女がこれからについて考えていたとき、アーチャーもまた今後の方針について考えていた。 (まずは見込みのあるマスターを見つけることが目的でしたが、とりあえずうまくいきましたね) 弥子の方を見て、一人納得する。このアーチャーは自身にとって都合のいいマスターかどうかを値踏みしていたのだ。 時は少し遡る。彼を召喚したマスターはひどく愚かであった。予選を突破しただけで聖杯を手にしたと確信し、机上の空論を述べるばかり。 能力も優れているとは言えずひどく凡庸であり、ただ運が良かっただけで予選を突破しただけの人物。 そんなマスターをアーチャーは表情一つ変えずに殺害した。理由は単純、このマスターでは勝ち残れないと確信したからである。 先のマスターでは何か自身では対処しきれない脅威が迫ったとき、令呪で捨て駒にされる危険性があるからだ。 そんなどっちつかずの味方がいては邪魔でしかない。 そう思い、早々に切り捨て自分が動きやすいマスターを探していた時に弥子を見つけたのである。 特筆すべき能力はないが、彼女なりの信念を持ち、戦う意志を持っていたのは彼にとって都合がよかった。 能力がないということは戦闘になれば自分に頼らざるを得ないため切り捨てられる危険がなく、善性であるため変に敵をつくる心配もない。 よって彼は彼女をマスターと認めたのである。 最もマスターとして都合が悪かった場合はその場で殺して、次のマスターを探していたのだが。 ともかく彼は無事、彼女のサーヴァントとなり今は聖杯戦争を勝ち抜く算段を建てているのであった。 (今、彼女に死なれては私も困りますからね。しばらくの間は彼女の方針に従っていくことにしましょう。 動き始めるとしたら中盤あたりですかね、そこから独自にほかの陣営と手を組む準備をし、 終盤でマスターを切り捨て一気に聖杯に近づく……。大まかな道筋としてはこのようなところでしょうか) かくして聖杯を獲る算段を考え始めたアーチャー、彼は何としてでも聖杯を獲らなければならない。 それこそが彼の償いでもあり、罰でもあるのだから。 (私は何としてでも聖杯を手に入れなければならない。 無力であった私の肉体(うつわ)ではなく、この私の知る最高の肉体(うつわ)であれば取りこぼさずにすくうことができる。 それまでにどれほどの犠牲が出ようとも止まりなどしない) 狂徒の司祭は救いを求めず、祝福を拒み、自分の犯した罪を償うために歩き続ける。 アーチャーは改めて願いを叶えることをここに誓った――。 *【CLASS】 アーチャー *【真名】 ヴァレリア・トリファ@Dies irae~Amantes amentes~ *【パラメーター】 筋力:C(E) 耐久:A++(E) 敏捷:E 魔力:A++(E) 幸運:D 宝具:EX(―) ※()内は創造の使用直後、または黄金聖餐杯を放棄したときのパラメーター *【属性】 混沌・悪 *【クラススキル】 対魔力:A++(―) A++以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、魔術ではアーチャーに傷をつけられない。 単独行動:A(―) マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 *【保有スキル】 エイヴィヒカイト:A(―) 人の魂を糧に強大な力を得る超人錬成法をその身に施した存在。 聖遺物(この場合は聖人の遺品ではなく、人の思念・怨念・妄念を吸収した魔道具のこと)を核とし、 そこへ魂を注ぐことによって、常人とはかけ離れたレベルの魔力・膂力・霊的装甲を手に入れた魔人。 エイヴィヒカイトには四つの位階が存在し、ランクAならば「創造」位階となる。 隠形:A+ 自分の霊質を操る事で一般人に擬態したり、騎士団員すらも欺くほどの隠形をも可能とするスキル。 同ランク以上の直感または察知するスキルを所持しているか、アーチャーの宝具『黄金聖餐杯』を看破した相手にはこのスキルの効果はなくなる。 「A+ランクの気配遮断」と「ステータス、スキルを隠蔽しサーヴァントとしての正体を隠す」、二つの効果を兼ね備えた特殊スキル。 仕切り直し:B 窮地から離脱する能力。 不利な状況から脱出する方法を瞬時に思い付くことができる。 加えて逃走に専念する場合、相手の追跡判定にペナルティを与える。 感応能力:―(A+) アーチャーが生来持っていた超能力、いわゆるサイコメトリー。「石がラジオに、人が本に見える」というほどに強力なもので、相手の本質を手に取るように理解できる。 対象と同調することにより対象自身も忘れ去り、あるいは心の奥に沈めている真実を抉り出すことができる。 しかし宝具により自らの肉体を捨て他者の肉体を得たことにより自らの肉体の持つ感応能力の呪縛からの開放されたため、このスキルは消失している。 人心掌握術:B 他者の心を探り、同調して言葉巧みに誘導する人心掌握・操作術に長けていることを示すスキル。 彼は元々聖職者であり、さらに生来持っていた感応能力を失った今であってもその名残から人心を把握することに長けている。 ただし形はどうあれ精神的に一定の極地に達している者には効果はない。 精神汚染:A 精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。 本来であれば同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しないが、人心掌握術により表面上は可能となっている。 *【宝具】 『黄金聖餐杯(ハイリヒ・エオロー)』 ランク:A++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:― 最大補足:1人 「一部のステータス上昇」と「対魔力の強化」、 「防壁やレベル差を無視できる概念殺しの一撃とA++ランクの対城、対国、対界宝具以外による攻撃を除いたA++ランク以下の攻撃は総て無効化にする」、三つの恩恵を受ける。 またこの宝具は常時展開型であるため真名解放の必要はない。 この鎧を突破する方法は大別して3つであり、一つは防壁やレベル差を無視できる概念殺しの一撃、二つはこの宝具の許容量を超えた攻撃、 三つに後述する究極の矛を抜いた際に生じる鎧の隙間を狙うことである。 この宝具は自らの意志で放棄することができる。その場合、クラススキルと「エイヴィヒカイト」、「仕切り直し」、宝具は二度と使用することができない。 代わりにアーチャーは本来の肉体と「感応能力」を取り戻す。 本来は"数百万の魂により編まれた鎧"だが、今回は"桁外れの魔力によって編まれた鎧"として再現してあるため魂の容量自体は並の英霊程度である。 数百万の魂を吸収し、聖遺物と呼ばれるに相応しいほどに恐怖を吸ったラインハルト・ハイドリヒの肉体そのもの。 自らの異能と力の無さに絶望したヴァレリアは 「自らの知る最高の器であるラインハルトになりたい」 という渇望と、生来の霊的感応能力 そしてエイヴィヒカイトにより自らの魂をラインハルトの肉体へと移し変えている。 その真価は防御力。内包する魂の総量は同じ聖遺物の徒である他の団員と比較しても桁違いの魂であり、 それに加え肉体にはメルクリウスによる対物理・対魔術・対時間・対偶然とあらゆる防壁が施されている究極の鎧。 これを生かし、相手の攻撃を無視して反撃することができる。ただしこれはあくまで鎧でしかないためにマスターはともかくサーヴァントに対しては攻撃力自体はそれほどでもないので、攻撃に転ずる時はもう一つの宝具を発動せねばならない。 『神世界へ翔けよ黄金化する白鳥の騎士(ヴァナヘイム・ゴルデネ・シュヴァーン・ローエングリーン )』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:??? 最大補足:1~2人 ヴァレリア・トリファの「創造」位階。発現は求道型。詠唱は『ローエングリン』。 発現した能力は、城から聖槍――聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)を限定召喚すること。 本来ラインハルトしか扱えないはずの聖槍を「自分はラインハルトだ。(だから聖槍も使えるはずだ)」という狂信を具現化することで、本当に使用可能にしてしまう能力である。 とはいえ、自由自在に使いこなせるわけでもなく、召喚した聖槍をそのまま矢のごとく凄まじい速さで射出するだけの技だが、それでもその破壊力は強大で必殺必中と言われるほどのものである。 異界の壁すら貫通して対象を射ることも可能、まさに究極の矛。また聖槍は神のような存在には特効的な効力を発揮するため、対象の神性が強ければ強いほど威力が上がる。 弱点は、究極の矛と鎧が両立できないという鉄則。すなわちこの宝具の使用直後は聖槍を召喚した亀裂が究極の鎧の隙間となり、無敵の防御力が消失する隙が生まれる。 また、創造であるが故にいかに強く自分を信じられるかによって精度が変わってしまうため、彼の信念が揺らいでしまうと最強の矛ではなくなり、必殺必中の穂先がずれる。 *【weapon】 聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント) アーチャーが宝具でのみ限定的に使用することができる切り札。 聖槍十三騎士団黒円卓第一位、首領ラインハルト・ハイドリヒがその身に宿す聖遺物。 十字に磔にされた彼の者の腹を突き貫いたとされる、伝説の神槍。いわゆるロンギヌスの槍。神気を纏う神殺しの槍。 遙か古の時代に鍛冶士トバルカインによってノドの地に降り注いだ隕鉄から鋳造された神話の武器であり、槍の正統な後継者であるラインハルトにしか扱うことが出来ない。 エイヴィヒカイトの真の後継者であり、全ての聖遺物を扱うことができる藤井蓮でさえこの槍だけは操れないという、当に規格外の聖遺物である。 *【人物背景】 聖槍十三騎士団・黒円卓第三位・首領代行『神を運ぶ者(クリストフ・ローエングリーン)』。 幹部が不在である騎士団の暫定的最高司令官。裏で策を練り、団員達を指揮・煽動している。 仮の姿は教会の神父。表面上はドジなうえ気が弱く、柔和な笑顔を絶やさない聖職者として振舞っており、自分に不幸がある度に神に嘆いている。 教会の主で古い付き合いのシスター・リザには頭が上がらず、娘のような玲愛を溺愛しているが、彼女には冷たくされている。 元は東方聖教会の司祭であり、本名はヴァレリアン・トリファ。 生まれながらにして強力すぎる霊的同調能力を有しており、それによって他者と世界観を共有できない恐怖感に苛まれていたが、ラインハルトとメルクリウスに出会ったことで彼らに忠誠を誓う。 だが、そのあまりの恐ろしさに彼は黒円卓から逃げ出し、孤児院を作って孤児達と暮らしていたが騎士団に見つけ出され、その代償として十人の子供の命を奪われた。 そしてラインハルトの城に捕らえられてしまった子供たちの魂を解放するため、黄金錬成を劣化させて子供たちだけを復活させ、更にそのための生贄となる者たちを救うために未来永劫同じことを繰り返そうとしている。 その思考は一見すると最もまともなようでいて、その実最も狂っている。その異常性は狂犬と称されるシュライバーですらも認めるほどである。 またメルクリウスからは「自分に近しい存在から死んでいく」という呪いの言葉を受け、『邪なる聖人』とも呼ばれている。 これはヴァレリアがラインハルトが望む破壊を忌避しながら彼になりたいという渇望を抱いているという矛盾を皮肉ったものであり その渇望を捨て去らない限り、ラインハルトの破壊の愛に引きずられて愛した者たちを苦しめることしかできないという意味である。 そのためこの呪いから脱却するには自身に生じた矛盾から逃げないことが肝要となる。 *【サーヴァントとしての願い】 ラインハルトへの生贄として「城」の一部になった子供たちを救う *【基本戦術、方針、運用法】 <基本戦術> 最大の特徴は防御力。大半の攻撃ではびくともしない。逆にいうと特筆すべきものが防御力しかなく、それを突破されればほぼ無力になってしまう。 性能的にはアーチャーの皮をかぶったアサシンであるため、戦闘よりも裏で動くことが敵の情報を徹底的に収集したり 様々な陰謀・策謀を巡らせて消耗させるなどして下準備を整えてから不意打ちで仕留めにいくことが定石となる。 もう一つの宝具は弱点があるため、多用しないこと。確実に相手を仕留めるときに発動したほうがよい。 <方針> 優勝を狙って行動し、そのためならばどんな犠牲を払ってでも成し遂げようとする。 基本的にはマスターの指示には従うが、あくまで表面上だけで裏ではいろいろと手をまわし聖杯を取りに行く。 いざとなれば鞍替えも辞さない。 <運用法> 宝具の肉体は常時発動型ではあるが、エイヴィヒカイトで魔力消費はさほど多くはない。 ただもう一つの宝具は規格外であるため魔術師でないものがマスターである場合、魂喰いなしでは最大四発が限界である。 *【マスター】 桂木弥子@魔人探偵脳噛ネウロ *【参加方法】 あまりの空腹で食べようと思って拾った『ゴフェルの木片』により召喚された *【マスターとしての願い】 聖杯戦争の主催者を暴き、元の世界に帰還する *【weapon】 なし *【能力・技能】 人と対話する能力と逆境に萎えない向上心、人間観察力・相互理解力がある *【人物背景】 「桂木弥子魔界探偵事務所」の所長で女子高生探偵……というのは建前で、その実体はネウロの正体を隠すための傀儡であり、実際に事件の真相を解明しているのはネウロである。 当初は、ネウロの強要・脅迫に屈し、父を殺した犯人を見つけてくれたことへの恩義もあって、渋々探偵役を引き受け、ネウロに流されるまま行動していた。 しかし数々の事件に関わっていくうちに犯人の心理に興味を持ち始め、自身で思索を深めていく中、前向きに彼の協力をするようになる。 胃袋以外は普通の人間と変わらず、元々普通の女子高生だった事もあり身体能力も高いわけではない。 その為、常識を超えた活躍を見せるネウロに対して、自分の無力を嘆く事がしばしば。 しかし魔人であるネウロは「人の心」と言うのを理解できない為、それが関与した時は彼の代わりに人間として活躍する。 また、元々聡明かつ人間の観察力は高いようで、思い遣りの強さもあり、犯人に対して慰めの言葉をかけ影響をもたらしている。 また危険なヤクザや殺人鬼に対しても、まっすぐに自分の意見を言うことのできる度胸を持っている。 非常にうたれ強く、並の人間が揺さぶられてしまいそうな逆境の中でも、自分を見失ったりしない。 身体の燃費が異常に悪い体質らしく 「回転寿司のレーンを回らなくする」→「一人でホテルのバイキングを全メニュー撃沈させる」→「ものの数秒で超巨大アロワナの香草焼きを半分以上たいらげる」など、 巻を重ねるごとにバケモノじみた悪食さを発揮している。 食う量と比例してゲテモノ食いとしての才能も発揮しており、「カマドウマがエビっぽくて美味しそう」「ダンボールハウスが肉まんに見える」と言った名言にも事欠かない。 ネウロが去ってから3年後の世界で、それまでの経験・人脈・名声を利用して難事件を重箱1つで解決する交渉人として各地を飛び回る「世界一の探偵」となっている。 *【方針】 基本的にはまず話し合いや交渉から入る。 話を聞かない相手には応戦、できれば無力化。 サーヴァントは倒すが、マスターは殺さない。

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