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夜科アゲハ&セイバー」(2014/07/12 (土) 07:47:26) の最新版変更点

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 ガコン。  公園に備えられている自動販売機から出てくる缶の音は深夜に響く。  男は炭酸の缶を取り出すと自動販売機の前でそのまま口に含む。  最後まで一気に飲み干しゴミ箱に缶を投げ込み、缶はそのまま箱の中に落ちていった。 「あー……帰ったら相当どやされるぞ、俺……」  男は手で頭を押さえながらため息と共に愚痴を零す。  夜も遅いため学生である男が家に帰れば怒られるのは仕方がない……問題はそれではない。  手に刻まれた令呪を見る。聖杯戦争と呼ばれる一種のゲームに強制参加させられたのだ。  男は元々深い眠りについていた。その帰りを待っている人が大勢存在してその声も聞こえていた。  その声に返事をするように男は目覚めた筈だったのだが。 「だぁー! 何で毎回毎回こんなのに巻きこまれるんだよ……。  やっと全てを終わらせた……『これから迎えに行く』所だってのによ……」  青年の名前は夜科アゲハ。高校生でありサイレンドリフトの資格を持っていた。  サイレンのゲーム――荒廃した未来の世界を舞台にした最悪の遊戯。  赤いテレホンカードを公衆電話に使用したら日常との別れ、長い長い闇の中に巻き込まれてしまう。  未来の世界は荒廃しているだけでなく怪物と表現できる種族に襲われる事もあり死ぬことなど造作も無い。  絶望の中でも青年は仲間と共に戦い、修行、出会い、別れ……様々な運命を乗り越え塗り替えてきた。  そして遂に終止符を打つ寸前まで辿り着くも青年は力の代償に深い眠りに陥ってしまったのだ。  その後目覚める直前まで来ていたのだが……目覚めた先は見知らぬ場所。  脳に走る知識は摩訶不思議、だがサイレンに参加していた影響か混乱はしていない。 「他の参加者を殺す……か。いや、殺さなくてもいいのか……?  分かんねぇなおい……『聖杯』ってのに辿り着かなきゃ駄目っぽいな」  真実に辿り着くには全てを終わらせるのが一番の近道だろう。  アゲハ自身は別に聖杯戦争に興味はないが人が死ぬゲームの存在を知ってしまったら見過ごす訳にはいかない。  クソッタレな遊戯はぶっ潰す――誰もが皆運命に踊らされる必要なんて存在しない。  最後の一人になるしかないのなら別の法則を見つけ出し世界を暴く。  もしそれも見つからないのなら――。 「願いが叶うってのを信じるしかねぇな……」  自分が最後の一人になればいい。  他者を切り捨てることは心が痛む、けれど『出来ない訳ではない』のだ。  アゲハはお人好しの分類だ。だが偽善者ではない。選択が出来る人間である。  答えが一つしか無い迷路ならば自分が出るしか無いのだ。甘えなんて許さない。 「悪く思うなよ、俺だって簡単に負けたくはねぇんでな」  腕を広げるとその筋に走るは黒い閃光。  稲妻のような擬音が似合うソレを広げながら不敵に笑うアゲハ。  少量を自動販売機に当てると狂ったように何本も缶を吐き出してしまった、中身を弄ったのだ。  電子機器はそのまま全てを出し切るまで止まらず、自動販売機の下には大量の缶で溢れていた。  その力は超能力に分類される通称『PSI』、その中でもアゲハの力は暴王の月と呼ばれている。 「随分と面白い事してんじゃあねぇかよ、アゲハ」  犯罪を普通に犯してしまったアゲハを咎めること無く寧ろ共感する女性。  彼の事を名前で呼んでいることからそれなりに親しい仲のようだ。  だがアゲハはこの空間に巻き込まれた存在であり知り合いは今の所誰にも出会っていない。  此処は聖杯戦争の舞台でありアゲハには令呪が宿っている、つまりマスターである。  ならばその相棒であるサーヴァントが存在する、つまり……。 「マスターって呼ばないのか?」 「嫌だって言ってのはお前じゃないか、お互い様だろ?」 「ああ、違わなぇな!」  スカジャンを羽織りジーンズを履いた女性は口悪そうにアゲハに言葉を返した。  姿こそ悪さに憧れている学生に見えるがやりとりから連想するにアゲハのサーヴァントのようだ。  バイクに跨がりながら笑っているとアゲハから一本の缶ジュースが投げられた。  さんきゅ。軽く呟くと速攻で飲み干しゴミ箱に缶を投げる……アゲハと同じように収まった。 「で、お前は何してんだ? それとバイクはどうした?」 「別にどうってことはねぇよ、ただパクっただけだぜ?」  マスターとサーヴァントが似通うかどうかは分からない。  アゲハとセイバーに共通している事の一つはこれで分かってしまう。  この男女、どちらも不良と呼ばれる種族のようだ。  エンジンを吹かし不敵に笑う女、言葉を語らずとも意図を感じた男もまた不敵に笑う。  似たような思考回路をしているらしく全部吐き出させた自動販売機に興味は既に無くっていた。 「乗れよ、適当に走って帰ろうぜ」 「メットあんのか? 不良女?」 「不良はお前だろ……いやあたしもか……メット何ていらねぇ、違うか?」  女の問に答える事無く無言で後ろに跨ったアゲハ。  ポケットから缶を取り出しサーヴァントに一本譲りこむと煽るように言葉を放つ。 「んじゃ、さっさと行こうぜ? まさか後ろに男乗せて緊張するような奴じゃないよな?」  アゲハから発せられた言葉に鼻で笑う女、コイツは何を言っている、そんな仕草。  ハンドルを握り無言で車体を走らせ彼を驚かせる、虚位を突かれたアゲハだがテンションは上がっていた。  誰もいない公園をそれなりの速度で走り切る男女の姿は正に不良、それにしか見えない。  女を気遣い身体にしがみついていないアゲハだがそろそろ安定を取るのは難しくなっている。 「変な気遣いすんなって、ほら腕回せって」  男勝りな女は気にすること無くアゲハに身体に腕を回すよう促す。  彼は彼なりに気を遣っていたがここは言葉通りにするしかないようでそもそも抗うこともない。 「……わりぃ」  小声で呟くアゲハの顔は夜でも分かるほど赤く染まっていた。  彼もまだ高校生であり思春期の最中、女性の身体に触れる行為は緊張してしまうのだ。 「そ、それでいいんだって……そ、速度上げるからな! 落とされんなよ!?」 「何で公道で落とされなきゃならねぇんだよ!!」  サーヴァントである女も英霊ではあるがその姿は女子高校生だ。  男勝りでアゲハと接するも異性に身体を触れられるのはどうも緊張、胸を焦がす感情になってしまう。  促した手前。此方が恥ずがしがる訳にもいかず誤魔化すように速度を上げ始めた。  そのまま空気を変えるよに彼に発破をかけそのまま公道に入り夜の街を爆走し始める。  速度こそ規律を超えてしまってはいるが信号は全部守る。  音も無闇に鳴らさず、無駄にエンジンを吹かす事も行わない、不良でありながら一定の線引はしている。  何も関係の無い人を巻き込まない、二人に共通している事の一つだ。 「しっかしお前も目覚めたら聖杯戦争って漫画か何かか?」 「るせぇ……俺だって理解してねぇってのによ、なんだよ英霊って」  適応はそれなりにしているし知らない知識も頭の中にインプットされていた。  頭では分かるが本質は理解出来ない、感じてはいるがその先にある意思が全く見えて来ないのだ。  アゲハは死ぬつもりはない。甘い考えも持たないつもりだ。  他の参加者が全員ロクでもない人間ならば全員ぶっ潰す覚悟と意思は持っている。 『怖くて戦えない、誰かを傷付けたくない、助けてもらいたい』そんな考えはないのだ。  無論他者を傷付けることを一番と捉えているわけではないが襲ってくる奴に手を抜くつもりはない。  この考えはサーヴァントも共感しており敵を倒すことに問題は感じていない。  そして現実をしっかりと捉えているのだ、切り捨てる覚悟も持ち合わせている。 「それはあたしにも分かんねぇ、いや知ってるぞ?  でもよぉ、どうでもいいんだ……前にも言ったろ?あたしはもう願いが叶っちまった。  だからお前を居場所に帰る手伝いをしてやる、ナンカの縁だしな!」  サーヴァントのクラスはセイバーだ。その素質はサーヴァントの中でも上の部類を堂々と走る。  そんな彼女に願いはあった。それは別れてしまったとある存在との再会だ。  しかしその願いは叶ってしまったのだ――会いたい存在は宝具となって彼女の下に帰ってきたのだ。  それだけで彼女は満足だった。ならばやるべき事はサーヴァントとしての役目である。  つまりマスターであるアゲハのために戦うことだ。 「あたしはお前のサーヴァントだ……これ自分で言うと結構恥ずいな……まぁいいか。  だからよ、変な気遣いはいらねぇからな? お前のサーヴァントになったおかげでアイツにも再会出来たんだ。  お前のおかげかどうかは分かんないか! わりぃわりぃ……絶対勝ち残るぞ」  女でありながらその言葉には惹かれる強さがある、英霊何て関係無く彼女は強い。  その意思が存在したからこうして英霊となって聖杯に招かれたのかもしれない。  生前の彼女は運命の糸に螺旋のように何十にも絡まれてしまった。  その中から真実に辿り着くために何本もの糸を断ち切り、手繰り寄せきた。  運命の試練は出会い、対立、真実、別れ……彼女は高校生でありながらアゲハと同じように抗ってきた。  だから彼の事を簡単に見捨てることなど出来ないのだ、サーヴァントもマスターも関係ない。 『運命に抗う奴を笑うなんてあたしが許さねぇ、断ち切れない絶対なんて存在しねぇ」と。 「へっ……下僕の女にここまで言われるとは俺も落ちぶれっちまったか?」 「誰が下僕だ!! ぶっ殺すぞ!!」  言いたい言葉はそんな煽りではない。  面を向かって感謝を告げるのは人間という種族にとっては一部難しいと感じてしまう層がある。  アゲハは恥ずかしい、それも女に言う、と云うのは彼なりの男としてのプライドに触れてしまう。  その事をセイバーである彼女も理解している、言葉に表さなくとも伝わっている。 「ありがとな……暴王の月で俺は戦えるから極力お前に迷惑や負担を掛けるつもりはない。  PSIもどうやら魔力って奴に分類されてるからお前がもし戦う時は気にせず存分に暴れろ」 「何小せぇ声でボソボソ喋ってんだよ?   そんな小せぇ男があたしを従えると思ってんのか?  お前の好きな通りにしろ、あたしはそれを全開で協力してやるからな……マスターさんよぉ!!」  困りながらも自分の気持を彼女に伝えたアゲハだが肝心のサーヴァントに煽られてしまった。  煽りではない、彼女はアゲハの気持ちを理解しているのだ……だが彼女も思春期の最中だ。  そのまま礼を言い返すのも気恥ずかしいためこうして言葉で濁らせるしか無い。  どちらも不器用な存在だ、だが共通項は存在していて通じ合っている。  言うならば背中を任せられる存在同士、戦場においてこれ程頼もしいことはない。    彼女の言葉を受け思考が止まってしまうアゲハだがそれは一瞬だ。  気付けば自然と顔は笑っていた。『可愛く無い奴だ、他に言葉が無かったのか』そう思っている。  元の世界に帰りたい一心と全てを投げ出した形になってしまった自分に焦っていたようだ。  此処が聖杯戦争だと言うならば儲け物だ、そう捉えよう、そう捉えればいい。  最後の組になれば願いが叶う……いい手土産だ、彼の帰還に相応しい代物だ。  ならば変に気負う必要も、焦る必要もない。今まで通り戦うだけだ。 「そうだ……そうだったな!  なら全員ぶっ潰す勢いで勝ち残るから遅れんなよ、纏!!」 「お前だって遅れんなよ、アゲハ!  あたしだって負けるつもりなんて微塵も思っちゃいねぇからな、やるからには全員潰すぞ!」  こうして夜の街を男女は走り続ける。  迷いなんて無い、覚悟は在る、甘さも捨てる時には切り捨てる心も在る。  運命の意図何て関係ない、全て断ち切るだけだ。  敵も思惑も何もかも――。 【マスター】夜科アゲハ@PSYREN -サイレン- 【参加方法】ムーンセルによる召還(木片は現段階では不明) 【マスターとしての願い】皆の元へ帰る。              【weapon】PSIと呼ばれる超能力を扱う、また力の酷使は脳に多大な影響を与える。       【能力・技能】彼はPSIと呼ばれる超能力を扱う。        特に扱うのライズと呼ばれる身体能力の強化。これにより超人的な体術と運動技能を得る事ができる。        彼の代名詞と呼ばれる力が暴王の月(メルゼズ・ドア)と呼ばれる力。        黒い球体を召喚しその球体は周囲のPSIに反応し無差別で全てを消し去る力を持つ。魔力などを吸収する性質も持つ。        燃費が悪すぎるためアゲハそれをプログラムによって幾つかの技として扱う。        主に扱うのは暴王の流星(メルゼズ・ランス)と呼ばれる遠距離攻撃である。        相手の魔力を自動で数回に別けて追尾する矢のような攻撃、しかし魔力が一帯に充満していると追尾プログラムは失われてしまう。         【人物背景】学校一のトラブルバスター(+メーカー)と呼ばれていた俗にいう不良少年だった。ある日偶然赤いテレホンカードを手に入れ運命を歪められた。       サイレンゲームと呼ばれる未来の荒廃した世界で行われる悪趣味な遊戯に巻き込まれるが仲間と共に乗り切っていた。       その中で超能力であるPSIを学び戦力を増しつつ来たる最終決戦に備えていた。           そして己の力えお全て出し切り一つの区切りを付けたが本人は力の行使により眠ってしまう。       そして自身を呼ぶ皆の声に導かれるように目を覚ますが――今宵、月の聖杯戦争に招かれる。 【方針】セイバーだけには戦わせず自分も戦う。     相手を倒すことに戸惑いはない、殺す必要が絶対ならば最後まで勝ち残り聖杯に全ての復元を求める。 【クラス】セイバー 【真名】纏流子@キルラキル 【パラメータ】筋力B 耐久A 敏捷B 魔力E 幸運E 宝具B+ 【属性】秩序・中庸 【クラス別スキル】  対魔力:C…第二節以下の詠唱による魔術を無効化する大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない  騎乗:C…騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。 【保有スキル】  生命繊維:A…彼女の心臓は生命繊維と呼ばれる物で構成されており厳密には人間ではない。            そのため心臓を外部に晒しても生存が可能であり、普通の人間が致命傷レベルの傷でも問題なく動ける。         英霊となった今では驚異的な打たれ強さを得るため戦闘続行能力も兼ねる。         だが痛みを伴うのは変わらないため強くなった訳ではない。   直感:C… 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。敵の攻撃を初見でもある程度は予見することができる。  ラーニング:D…戦闘の最中に相手の行動から自分の攻撃手段に応用する力。   【宝具】 『片太刀バサミ』  ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1~50人  巨大なハサミであり普段は片方のみを獲物として扱うが場合によっては二刀流の時もある。  扱い方としては剣と変わらず『武滾流猛怒(ぶった切るモード)』になると更に刀身が伸びる。  生命繊維を断ち切る力を持っておりマスターからの魔力供給にブーストを掛ければ一部魔術等を断ち切ることが可能である。 『神衣鮮血』  ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――  一言で表わすならば喋るセーラー服である。  生前の流子の相棒であり彼を着こなす事によって戦う力を得て運命に抗ってきた。  着ることにより身体の露出は増えるが戦闘能力は上昇する。  また、形態を変えることによって飛行能力を得るなど応用性も高い。  鮮血は流子から魔力を吸収する特性がある。   『鮮血更衣』  ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――  生命繊維を吸収した鮮血の更なる姿、その力は大気圏を単騎で突破可能である。  この姿により流子はセイバーとして本来のポテンシャル以上の力を引き出せる。 【weapon】宝具に依存する。 【人物背景】  父も母も居らず唯一残った手掛かりであるハサミを頼りに仇を探していた。辿り着いた本能寺学園で自分の運命に大きな転機を迎える。  喋るセーラー服鮮血との出会い、真実を知るとされている鬼龍院皐月との対立、それを拒む四天王、暗躍する裸の猿……。  その先には『服』と呼ばれる概念との戦い、世界を守るために彼女達は運命の意図に抗っていた。 【サーヴァントとしての願い】  鮮血との再会が願いだったが彼が宝具として現れたため願いは叶った。  マスターであるアゲハに聖杯を捧げるためその力を振るう。 【基本戦術、方針、運用法】  向かって来る奴に容赦はしない、コソコソ隠れるつもりもない、正面から断ち切るだけ。
 ガコン。  公園に備えられている自動販売機から出てくる缶の音は深夜に響く。  男は炭酸の缶を取り出すと自動販売機の前でそのまま口に含む。  最後まで一気に飲み干しゴミ箱に缶を投げ込み、缶はそのまま箱の中に落ちていった。 「あー……帰ったら相当どやされるぞ、俺……」  男は手で頭を押さえながらため息と共に愚痴を零す。  夜も遅いため学生である男が家に帰れば怒られるのは仕方がない……問題はそれではない。  手に刻まれた令呪を見る。聖杯戦争と呼ばれる一種のゲームに強制参加させられたのだ。  男は元々深い眠りについていた。その帰りを待っている人が大勢存在してその声も聞こえていた。  その声に返事をするように男は目覚めた筈だったのだが。 「だぁー! 何で毎回毎回こんなのに巻きこまれるんだよ……。  やっと全てを終わらせた……『これから迎えに行く』所だってのによ……」  青年の名前は夜科アゲハ。高校生でありサイレンドリフトの資格を持っていた。  サイレンのゲーム――荒廃した未来の世界を舞台にした最悪の遊戯。  赤いテレホンカードを公衆電話に使用したら日常との別れ、長い長い闇の中に巻き込まれてしまう。  未来の世界は荒廃しているだけでなく怪物と表現できる種族に襲われる事もあり死ぬことなど造作も無い。  絶望の中でも青年は仲間と共に戦い、修行、出会い、別れ……様々な運命を乗り越え塗り替えてきた。  そして遂に終止符を打つ寸前まで辿り着くも青年は力の代償に深い眠りに陥ってしまったのだ。  その後目覚める直前まで来ていたのだが……目覚めた先は見知らぬ場所。  脳に走る知識は摩訶不思議、だがサイレンに参加していた影響か混乱はしていない。 「他の参加者を殺す……か。いや、殺さなくてもいいのか……?  分かんねぇなおい……『聖杯』ってのに辿り着かなきゃ駄目っぽいな」  真実に辿り着くには全てを終わらせるのが一番の近道だろう。  アゲハ自身は別に聖杯戦争に興味はないが人が死ぬゲームの存在を知ってしまったら見過ごす訳にはいかない。  クソッタレな遊戯はぶっ潰す――誰もが皆運命に踊らされる必要なんて存在しない。  最後の一人になるしかないのなら別の法則を見つけ出し世界を暴く。  もしそれも見つからないのなら――。 「願いが叶うってのを信じるしかねぇな……」  自分が最後の一人になればいい。  他者を切り捨てることは心が痛む、けれど『出来ない訳ではない』のだ。  アゲハはお人好しの分類だ。だが偽善者ではない。選択が出来る人間である。  答えが一つしか無い迷路ならば自分が出るしか無いのだ。甘えなんて許さない。 「悪く思うなよ、俺だって簡単に負けたくはねぇんでな」  腕を広げるとその筋に走るは黒い閃光。  稲妻のような擬音が似合うソレを広げながら不敵に笑うアゲハ。  少量を自動販売機に当てると狂ったように何本も缶を吐き出してしまった、中身を弄ったのだ。  電子機器はそのまま全てを出し切るまで止まらず、自動販売機の下には大量の缶で溢れていた。  その力は超能力に分類される通称『PSI』、その中でもアゲハの力は暴王の月と呼ばれている。 「随分と面白い事してんじゃあねぇかよ、アゲハ」  犯罪を普通に犯してしまったアゲハを咎めること無く寧ろ共感する女性。  彼の事を名前で呼んでいることからそれなりに親しい仲のようだ。  だがアゲハはこの空間に巻き込まれた存在であり知り合いは今の所誰にも出会っていない。  此処は聖杯戦争の舞台でありアゲハには令呪が宿っている、つまりマスターである。  ならばその相棒であるサーヴァントが存在する、つまり……。 「マスターって呼ばないのか?」 「嫌だって言ってのはお前じゃないか、お互い様だろ?」 「ああ、違わなぇな!」  スカジャンを羽織りジーンズを履いた女性は口悪そうにアゲハに言葉を返した。  姿こそ悪さに憧れている学生に見えるがやりとりから連想するにアゲハのサーヴァントのようだ。  バイクに跨がりながら笑っているとアゲハから一本の缶ジュースが投げられた。  さんきゅ。軽く呟くと速攻で飲み干しゴミ箱に缶を投げる……アゲハと同じように収まった。 「で、お前は何してんだ? それとバイクはどうした?」 「別にどうってことはねぇよ、ただパクっただけだぜ?」  マスターとサーヴァントが似通うかどうかは分からない。  アゲハとセイバーに共通している事の一つはこれで分かってしまう。  この男女、どちらも不良と呼ばれる種族のようだ。  エンジンを吹かし不敵に笑う女、言葉を語らずとも意図を感じた男もまた不敵に笑う。  似たような思考回路をしているらしく全部吐き出させた自動販売機に興味は既に無くっていた。 「乗れよ、適当に走って帰ろうぜ」 「メットあんのか? 不良女?」 「不良はお前だろ……いやあたしもか……メット何ていらねぇ、違うか?」  女の問に答える事無く無言で後ろに跨ったアゲハ。  ポケットから缶を取り出しサーヴァントに一本譲りこむと煽るように言葉を放つ。 「んじゃ、さっさと行こうぜ? まさか後ろに男乗せて緊張するような奴じゃないよな?」  アゲハから発せられた言葉に鼻で笑う女、コイツは何を言っている、そんな仕草。  ハンドルを握り無言で車体を走らせ彼を驚かせる、虚位を突かれたアゲハだがテンションは上がっていた。  誰もいない公園をそれなりの速度で走り切る男女の姿は正に不良、それにしか見えない。  女を気遣い身体にしがみついていないアゲハだがそろそろ安定を取るのは難しくなっている。 「変な気遣いすんなって、ほら腕回せって」  男勝りな女は気にすること無くアゲハに身体に腕を回すよう促す。  彼は彼なりに気を遣っていたがここは言葉通りにするしかないようでそもそも抗うこともない。 「……わりぃ」  小声で呟くアゲハの顔は夜でも分かるほど赤く染まっていた。  彼もまだ高校生であり思春期の最中、女性の身体に触れる行為は緊張してしまうのだ。 「そ、それでいいんだって……そ、速度上げるからな! 落とされんなよ!?」 「何で公道で落とされなきゃならねぇんだよ!!」  サーヴァントである女も英霊ではあるがその姿は女子高校生だ。  男勝りでアゲハと接するも異性に身体を触れられるのはどうも緊張、胸を焦がす感情になってしまう。  促した手前。此方が恥ずがしがる訳にもいかず誤魔化すように速度を上げ始めた。  そのまま空気を変えるよに彼に発破をかけそのまま公道に入り夜の街を爆走し始める。  速度こそ規律を超えてしまってはいるが信号は全部守っていた。  音も無闇に鳴らさず、無駄にエンジンを吹かす事も行わない、不良でありながら一定の線引はしている。  何も関係の無い人を巻き込まない、二人に共通している事の一つだ。 「しっかしお前も目覚めたら聖杯戦争って漫画か何かか?」 「るせぇ……俺だって理解してねぇってのによ、なんだよ英霊って」  適応はそれなりにしているし知らない知識も頭の中にインプットされていた。  頭では分かるが本質は理解出来ない、感じてはいるがその先にある意思が全く見えて来ないのだ。  アゲハは死ぬつもりはない。甘い考えも持たないつもりだ。  他の参加者が全員ロクでもない人間ならば全員ぶっ潰す覚悟と意思は持っている。 『怖くて戦えない、誰かを傷付けたくない、助けてもらいたい』そんな考えはないのだ。  無論他者を傷付けることを一番と捉えているわけではないが襲ってくる奴に手を抜くつもりはない。  この考えはサーヴァントも共感しており敵を倒すことに問題は感じていない。  そして現実をしっかりと捉えているのだ、切り捨てる覚悟も持ち合わせている。 「それはあたしにも分かんねぇ、いや知ってるぞ?  でもよぉ、どうでもいいんだ……前にも言ったろ?あたしはもう願いが叶っちまった。  だからお前を居場所に帰る手伝いをしてやる、ナンカの縁だしな!」  サーヴァントのクラスはセイバーだ。その素質はサーヴァントの中でも上の部類を堂々と走る。  そんな彼女に願いはあった。それは別れてしまったとある存在との再会だ。  しかしその願いは叶ってしまったのだ――会いたい存在は宝具となって彼女の下に帰ってきたのだ。  それだけで彼女は満足だった。ならばやるべき事はサーヴァントとしての役目である。  つまりマスターであるアゲハのために戦うことだ。 「あたしはお前のサーヴァントだ……これ自分で言うと結構恥ずいな……まぁいいか。  だからよ、変な気遣いはいらねぇからな? お前のサーヴァントになったおかげでアイツにも再会出来たんだ。  お前のおかげかどうかは分かんないか! わりぃわりぃ……絶対勝ち残るぞ」  女でありながらその言葉には惹かれる強さがある、英霊何て関係無く彼女は強い。  その意思が存在したからこうして英霊となって聖杯に招かれたのかもしれない。  生前の彼女は運命の糸に螺旋のように何十にも絡まれてしまった。  その中から真実に辿り着くために何本もの糸を断ち切り、手繰り寄せきた。  運命の試練は出会い、対立、真実、別れ……彼女は高校生でありながらアゲハと同じように抗ってきた。  だから彼の事を簡単に見捨てることなど出来ないのだ、サーヴァントもマスターも関係ない。 『運命に抗う奴を笑うなんてあたしが許さねぇ、断ち切れない絶対なんて存在しねぇ」と。 「へっ……下僕の女にここまで言われるとは俺も落ちぶれっちまったか?」 「誰が下僕だ!! ぶっ殺すぞ!!」  言いたい言葉はそんな煽りではない。  面を向かって感謝を告げるのは人間という種族にとっては一部難しいと感じてしまう層がある。  アゲハは恥ずかしい、それも女に言う、と云うのは彼なりの男としてのプライドに触れてしまう。  その事をセイバーである彼女も理解している、言葉に表さなくとも伝わっている。 「ありがとな……暴王の月で俺は戦えるから極力お前に迷惑や負担を掛けるつもりはない。  PSIもどうやら魔力って奴に分類されてるからお前がもし戦う時は気にせず存分に暴れろ」 「何小せぇ声でボソボソ喋ってんだよ?   そんな小せぇ男があたしを従えると思ってんのか?  お前の好きな通りにしろ、あたしはそれを全開で協力してやるからな……マスターさんよぉ!!」  困りながらも自分の気持を彼女に伝えたアゲハだが肝心のサーヴァントに煽られてしまった。  煽りではない、彼女はアゲハの気持ちを理解しているのだ……だが彼女も思春期の最中だ。  そのまま礼を言い返すのも気恥ずかしいためこうして言葉で濁らせるしか無い。  どちらも不器用な存在だ、だが共通項は存在していて通じ合っている。  言うならば背中を任せられる存在同士、戦場においてこれ程頼もしいことはない。    彼女の言葉を受け思考が止まってしまうアゲハだがそれは一瞬だ。  気付けば自然と顔は笑っていた。『可愛く無い奴だ、他に言葉が無かったのか』そう思っている。  元の世界に帰りたい一心と全てを投げ出した形になってしまった自分に焦っていたようだ。  此処が聖杯戦争だと言うならば儲け物だ、そう捉えよう、そう捉えればいい。  最後の組になれば願いが叶う……いい手土産だ、彼の帰還に相応しい代物だ。  ならば変に気負う必要も、焦る必要もない。今まで通り戦うだけだ。 「そうだ……そうだったな!  なら全員ぶっ潰す勢いで勝ち残るから遅れんなよ、纏!!」 「お前だって遅れんなよ、アゲハ!  あたしだって負けるつもりなんて微塵も思っちゃいねぇからな、やるからには全員潰すぞ!」  こうして夜の街を男女は走り続ける。  迷いなんて無い、覚悟は在る、甘さも捨てる時には切り捨てる心も在る。  運命の意図何て関係ない、全て断ち切るだけだ。  敵も思惑も何もかも――。 【マスター】夜科アゲハ@PSYREN -サイレン- 【参加方法】ムーンセルによる召還(木片は現段階では不明) 【マスターとしての願い】皆の元へ帰る。              【weapon】PSIと呼ばれる超能力を扱う、また力の酷使は脳に多大な影響を与える。       【能力・技能】彼はPSIと呼ばれる超能力を扱う。        特に扱うのライズと呼ばれる身体能力の強化。これにより超人的な体術と運動技能を得る事ができる。        彼の代名詞と呼ばれる力が暴王の月(メルゼズ・ドア)と呼ばれる力。        黒い球体を召喚しその球体は周囲のPSIに反応し無差別で全てを消し去る力を持つ。魔力などを吸収する性質も持つ。        燃費が悪すぎるためアゲハそれをプログラムによって幾つかの技として扱う。        主に扱うのは暴王の流星(メルゼズ・ランス)と呼ばれる遠距離攻撃である。        相手の魔力を自動で数回に別けて追尾する矢のような攻撃、しかし魔力が一帯に充満していると追尾プログラムは失われてしまう。         【人物背景】学校一のトラブルバスター(+メーカー)と呼ばれていた俗にいう不良少年だった。ある日偶然赤いテレホンカードを手に入れ運命を歪められた。       サイレンゲームと呼ばれる未来の荒廃した世界で行われる悪趣味な遊戯に巻き込まれるが仲間と共に乗り切っていた。       その中で超能力であるPSIを学び戦力を増しつつ来たる最終決戦に備えていた。           そして己の力えお全て出し切り一つの区切りを付けたが本人は力の行使により眠ってしまう。       そして自身を呼ぶ皆の声に導かれるように目を覚ますが――今宵、月の聖杯戦争に招かれる。 【方針】セイバーだけには戦わせず自分も戦う。     相手を倒すことに戸惑いはない、殺す必要が絶対ならば最後まで勝ち残り聖杯に全ての復元を求める。 【クラス】セイバー 【真名】纏流子@キルラキル 【パラメータ】筋力B 耐久A 敏捷B 魔力E 幸運E 宝具B+ 【属性】秩序・中庸 【クラス別スキル】  対魔力:C…第二節以下の詠唱による魔術を無効化する大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない  騎乗:C…騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。 【保有スキル】  生命繊維:A…彼女の心臓は生命繊維と呼ばれる物で構成されており厳密には人間ではない。            そのため心臓を外部に晒しても生存が可能であり、普通の人間が致命傷レベルの傷でも問題なく動ける。         英霊となった今では驚異的な打たれ強さを得るため戦闘続行能力も兼ねる。         だが痛みを伴うのは変わらないため強くなった訳ではない。   直感:C… 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。敵の攻撃を初見でもある程度は予見することができる。  ラーニング:D…戦闘の最中に相手の行動から自分の攻撃手段に応用する力。   【宝具】 『片太刀バサミ』  ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1~50人  巨大なハサミであり普段は片方のみを獲物として扱うが場合によっては二刀流の時もある。  扱い方としては剣と変わらず『武滾流猛怒(ぶった切るモード)』になると更に刀身が伸びる。  生命繊維を断ち切る力を持っておりマスターからの魔力供給にブーストを掛ければ一部魔術等を断ち切ることが可能である。 『神衣鮮血』  ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――  一言で表わすならば喋るセーラー服である。  生前の流子の相棒であり彼を着こなす事によって戦う力を得て運命に抗ってきた。  着ることにより身体の露出は増えるが戦闘能力は上昇する。  また、形態を変えることによって飛行能力を得るなど応用性も高い。  鮮血は流子から魔力を吸収する特性がある。   『鮮血更衣』  ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:――  生命繊維を吸収した鮮血の更なる姿、その力は大気圏を単騎で突破可能である。  この姿により流子はセイバーとして本来のポテンシャル以上の力を引き出せる。 【weapon】宝具に依存する。 【人物背景】  父も母も居らず唯一残った手掛かりであるハサミを頼りに仇を探していた。辿り着いた本能寺学園で自分の運命に大きな転機を迎える。  喋るセーラー服鮮血との出会い、真実を知るとされている鬼龍院皐月との対立、それを拒む四天王、暗躍する裸の猿……。  その先には『服』と呼ばれる概念との戦い、世界を守るために彼女達は運命の意図に抗っていた。 【サーヴァントとしての願い】  鮮血との再会が願いだったが彼が宝具として現れたため願いは叶った。  マスターであるアゲハに聖杯を捧げるためその力を振るう。 【基本戦術、方針、運用法】  向かって来る奴に容赦はしない、コソコソ隠れるつもりもない、正面から断ち切るだけ。

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