第五章 初めてだらけのバースデイ


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時は遡り10年前の8月23日…
当時しょうへいの7歳の誕生日だった

夏休みが始まっていたため、仲のいい同級生たちがしょうへいの誕生日を祝うため、しょうへいの家に集まった。

その中にはもちろん、ケンと高林もいた。


「お誕生日おめでとー!!」


皆が一斉に、しょうへいに向かって祝福の言葉を投げ掛ける。

照れるしょうへいはいつもの数十倍の速度で、左手で頭部をかきむしる。

しょうへいの残り少ない髪の毛たちが抜け落ちて行く…。

「(し…しまった!!)」
心の中で絶叫するしょうへい。
お誕生日会、開始そうそう、しょうへいはドン底につき落とされた…。

そんなしょうへいの耳にある言葉が届く。

「しょうへいくぅん、どうしたの?誕生日なのに、浮かない顔して」

異常な程までに驚いたしょうへいは飛び上がって、華麗なステップを刻んだ。

先ほどの声の主は、密かにしょうへいが想いを寄せている、クラスのマドンナこと
星野なつみ
であった。

「ほ、星野…」
彼女のお陰で少し明るくなったしょうへいだった。

~~~~~~~~~~~

楽しい時間とはあっと言う間に過ぎるものだ。
もちろん、しょうへいの誕生日会もその例外ではない。

5時の鐘が鳴ると、
「じゃあねー!」
と言い残し、同級生たちは次々としょうへいの家をさってゆく。


星野もまた、皆と同じく帰ろうとしていた。


「待って!!」
気がつくとしょうへいは彼女の手を握っていた…。


「え?」
戸惑うなつみ…。


「あ…あの…
ほ、星野?

今日、花火大会…

い、いいい、一緒にいかない…か?」

手を握っていても目は斜め下を向いているしょうへい…。



「うん…いいよ」
少し間を空けてから、彼女は、その誘いに優しく答えた。


「え…え…やった…

い、いや、ありがとう星野!!…

じゃ、じゃあ6時に公園でいい?」

「うん!

じゃあ、またあとでね!」


午前から開いていた誕生会にくらべ、たった一時間というわずかな時間であるのに、なつみを待つその時間は永遠のように永く感じられた…。


「よし!」
わずか七歳にして髪のセットをし終えたしょうへいは公園へと急ぐ。


「(まだかな、まだかな)」
胸を踊らせるしょうへい。

「ごっめん!お待たせ!ちょっとコレ着るの難しくて…」

顎をワナワナ震わせるしょうへい…。
恐怖ではなく、感心のあまりに。

しょうへいの目の前には浴衣の女性がいた。
もちろん、なつみである。

何も言うことのできないしょうへいはただなつみを凝視する。

ヒュ~~

ババーーンッ!!!

花火大会の開始を告げる花火の光が、精液で濡れるしょうへいの鼻を輝かせていた。

「ああ~もう始まっちゃったよ…早くイこう、しょうへいくん!」

「あ、ああ」

二人は会場である、土手へと急いだ。


「うっわーすごい!
お店がいっぱいだよ!
わたしもうお腹ペッコペコ(笑)
あ~とうもろこし
おいしそー」

まるで子豚…いや子供のように目をキラキラさせるなつみ。

すると、目ではなく鼻をキラキラさせていたしょうへいは何も言わず、なつみを置いて人混みの中へと消えてしまう。

「え…ちょ、しょうへいくんっ…」
しょんぼりするなつみ…。

しばらくして、遠くの方から新幹線のような甲高い音が聞こえてきた…

キィィィイイインアッ!!!

とうもろこしを2本抱えた新幹線がなつみの前で急停車した…

「ば…ばい゛ごで…
(ハイ、これ)

ゼェ…ハァ…ゼェ…」

「しょうへいくん…
これ…くれるの?
(滑舌悪くて何言ってんのかわかんないヨ…)」

首を縦にふるしょうへい。

「ありがとう!」
花火に負けないほど、輝かしい笑顔を見せるなつみ。


「ねぇ…もっと見えるとこ行ってみない?」
「あ、うん、じゃあ行こうか…」

もろこしを頬張りながら二人は歩く。


すると、土手で遊んでいる子供たちに出くわす。

一人が
「あ~カップルだぁ~
ひゅ~ひゅ~」
と言うと、
他の奴らも
「ひゅ~ひゅ~」
と二人を茶化し始めた。

頬を赤らめる二人…


「お…お゛い!
やめ゛ろ゛よ゛っ!

そんなんじゃねーよっ」
しょうへい、お決まりのフレーズである。


「わぁ~逃げろ~」
子供たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


「うう…なんか
ご、ごめんな…」

「あ…い、いいよ
別に…」

互いの紅潮した顔を見ずに会話をする、しょうへいとなつみ…。


次第に人混みが険しくなってきた。

「あっ…しょうへいくんっ…」

人波に飲まれる二人…。
「星野っ!!」

二人はどんどん離されていく…。


バッ


次の瞬間、しょうへいは自分の手に、温かい、柔らかな力が加わるのを感じた。

「しょうへいくん…

は、はぐれちゃう…から…
そ…その…手繋いじゃった…

嫌…かなぁ…?」


ただ何も言わずに、なつみの目を見つめながら、そのまま強くその手を握りしめるしょうへい…

流れ行く人波の中で、二人の時間だけが止まっているように見えた…。


ドンッ

「う、うわぁっ」
「きゃっ…」

またもや二人は人波にさらわれる。
しかし、さっきとはうってかわって、二人の距離は一気に縮まった…。

「(ああ…なつみちゃん、いい匂いがする…)」
なつみのうなじから香る、豊潤な香りがしょうへいの鼻を刺激する。


「(…!?)」
しょうへいはあることに気づく…

なんと、なつみのたわわに実った乳房がしょうへいの胸に当たっているではないか!

「あっ…ちょ、ぃや…あん…」
人混みに押され、変な声をあげるなつみ。

二人の体は密着していたため、その声はしょうへいのすぐ耳元でささやかれた…

しょうへいの意識はだんだんと薄れてゆく…


ズバババババァーンッ
ドーンッドーンッ
(ドピュ、ドピュピュッ)

今日一番の花火が上がる…
その音と共にしょうへいは未知の感覚に陥る…。

「ぁ…あ゛ぁ……」
思わず声を漏らしてしまったしょうへい。
しょうへいは初恋の相手を前に、人生初の射精をしてしまったのである。


人混みを出た二人はひと気の少ないところへと引き返した。

「なんか、すごい混んでたよね~」
しょうへいに微笑みかけながら話しかけるナルミ。

「あ…ああ」
しょうへいは未だに射精の感覚に浸っていた…。

「なんか男子と二人っきりでこんなに遊ぶの初めてだったからすごいドキドキしたけど…
すごい楽しかった!!

しょうへいくん、

誘ってくれてありがと!


あっ…
もうこんな時間!
パパとママが心配しちゃう…
じゃあ帰ろっか!」

「星野…」

「ん?…」

「あのさ…
ずっ…ずっと前から…
そ、その…」

二人の鼓動は高鳴る…

「星野のこと…
す、すk…


ババァーンッ


その言葉は虚しくも、花火の音にかき消された…

「え?…」


「だ…だから、お、俺

お前のこと好きだから!!!

付き合ってくれ!星野!」

想いを伝えたしょうへいは手をなつみへと差し伸べる…



「え…





はぁ!?
何ソレw?
告白ぅ???ww

マっジうけんだけどw

お前みたいな鼻チンが、この私と付き合えると思ってんの!?w

少し遊んでやったからって付け上がってんじゃねぇよ、マジきめぇw

んじゃ、帰るわ!
お前マジでキモいなw
鼻チン男はとっとと帰って三枝子のおっぱいでも吸ってろっww」

と言ってなつみは、鼻と目を濡らすしょうへいにツバを吐きかけ、置き去りにしていった。

しょうへいの初恋は花火大会終了のアナウンスとともに儚く散っていった…

小学校一年生には、あまりにも残酷すぎる結末である。

顔を涙と精液とツバで濡らしながら重い足どりで家に向かうしょうへい…

彼の回りには花火大会の雰囲気に浸り、楽しそうに話している者たちばかりであった。

一人うつむきながら歩くしょうへいの耳に聞きなれた声が聞こえてくる。

「おーい!しょうへいへ~い」
そこにいたのは、同じく花火を見に来ていたケンと高林だった。

醜態をさらすわけにはいかないしょうへいは一目散に逃げる!

「おい!しょうへいどうしたんだよっ」
二人は後を追いかける。


いつの間にか二人はしょうへいの家の前にいた。

「っれ?おかしーな
しょうへいのやつ、どこ行ったんだ?」
しょうへいを見失った高林が言う。


う゛っ…うう゛ぅ…
ズズッ…ズッ…


家の裏庭から奇妙な音が聞こえた二人は、裏庭へと急いぐ…

そこには、うずくまりながら嗚咽するしょうへいがいた…


「おい…しょうへい…
どうし…」

「う゛っるぜぇ!!!
う゛ぁう゛ぁびだびだだ、う゛ぁばえばいーだほッ
(笑いたいなら、笑えばいいだろっ)」
泣きながら叫ぶしょうへいはいつもより遥かに聞き取りずらい滑舌を発揮していた。


「しょうへい、
俺らはお前の親友なんだから、なんでも言ってくれよ…」
優しく抱擁する高林。
その高林の心の奥底には友情以外の黒い何かが息を潜めていた…

「な?…しょうへい?」

「(ああ…なんて温かいんだ…)」
しょうへいはそのまま、高林に体を預ける…

気がつくとしょうへい高林と口づけを交わしていた…

「(!?…た、高林!?…
何やっ…いや、
でも、不思議と気持ちが楽になってくぞ…)」


「おい、高林!
ここしょうへいん家だぞ!さすがにやべぇって」焦りを感じるケン。

「だいじょーぶだよっ(笑)
つか見てみろよ、コイツ、キスしてやっただけなのにもうこんな鼻濡らしてやがるぜ」
そう言うと、高林はしょうへいのズボンへ手を忍ばせる。


その時…
「ちょっとアンタ!!
うちの子に何してんの!!!」
ベランダから三枝子の怒声が飛ぶ。

「や、やべぇ!
あ、あいつぁ三枝子じゃねぇか!!!」
高林が叫ぶ!

「ほら言ったじゃねぇか!!」
ケンはあきれたように言う。

端っこにいたケンはともかく、自分の息子に愛撫を施す高林の姿はしっかりと三枝子の目に焼き付けられたのだった…


この日を境に、しょうへいの、夜遅くまで男友達と遊び歩いたり、部屋に島耕作のポスターを貼り出したりなど、奇怪な行動が始まったのである。