第十一章 すすむ


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『大丈夫ですか!?…』

私の目の前には鼻がチンコのようにそそりたつ男が立っていた。

『え!?…』

その男の人、
下半身丸出しだったの(笑)
でも私もそのとき裸だったわ…

まったくわけのわからない私はとりあえず、その男に強姦されたのだと思い、泣いてしま

ったの。


だけど、実際はそうじゃなかった…
私は病院で気絶したあと、斎藤涼への『憎しみ』でどうやらP-ウィルスに感染してペチ

ンガーになっていたらしいの。

私が一年間ペチンガーとして人格を失っているうちに、世の中の情勢はいろいろと変わっ

ていたらしいの。


まず、各地で横行するペチンガーたちを鎮圧すべく、当時、国家安全保障特務機関の取締

役を勤めていた清水ヒロシ、そう、あなたのおじいちゃんが悪魔祓いの名家である長島家

と共同で、対P-ウィルス用ワクチン兵器、『イノセンス』を開発したの。

そして、各地からイノセンスの適合者が集められ、『エクソシスト』としてペチンガーを

救済することになった。


『エクソシスト』のおかげでペチンガーによる被害が減って、今までペチンガーだった人

たちも元の生活を送れるようになったわ。

全てはさっき言ってた、私の前に現れた男の人から聞いたの。

『あの…名前は?…』

『清水ススム…っていいます。』

若干、滑舌が悪かったわ。
そう、彼は国家安全保障特務機関取締役、清水ヒロシの一人息子だった。

絶望の淵から私を救ってくれた彼の力になりたい!
そう思って私はエクソシストの本部に入ることにしたの。

彼をサポートしているうちに、私たちは次第にひかれあっていった…


そして、私は彼との間には子供ができた。
スゴい嬉しかったわ…
でも、少し怖かった…
以前のことを思い出してしまって。



ある日のこと、お腹の子も順調、今日も平和な一日が始まろうとしていた…

パパは仕事で出掛けて、私は運動がてらに公園に散歩に行ったの。

『ペチンガーはまだ全滅したわけじゃない…

この子が生まれる頃には安心して外で遊べるようなりますように…

頑張ってススム…』
そう思いながら私はベンチで休憩した。

そして、夕方になって帰ろうと、公園の階段を降りようとしたとき…

一瞬何が起こったのかわからなかった。

目の前に広がるのは赤く燃える夕空。階段から誰かに突き落とされたみたい。

起き上がろうとしたけど、それどころじゃなかった…

とにかくお腹がものすごく痛かった。

そして次第に貸すんでゆく視界の端に、パッと黒い人影のようなものが映ったの。

それから気がつくと、また病院だった。

開きにくい、まぶたの隙間から射す病室の景色の中に、泣き崩れたススムがいた。

『スス…ム…?』

『三枝子ぉ~…



赤ちゃん…



赤ちゃん…



生きてたよぉ~
ホントによかった(泣)』

私はまた手を自分のお腹にあてた。

今度はしっかりと膨らんでいた。

ホッとしたのか何も言わず、私はただススムの胸で号泣した…。

今思えば私が気を失う前に見た、あの人影はきっと斎藤涼…

っくッ…どこまでも…

で、ソレから半年後、1990年、あなたたちを出産したの。

初めはビックリしたわ…
見たこともない生殖器を備えたあなたたちを見て私も、パパも一瞬、ショックだったわ…

でも、同時に私たちは何があってもこの子たちを育ててあげなきゃならない!そう誓った

わ。


そしてあなたたちが生まれた翌年、それまで着実に終わりへと近づいていたペチンガー騒

動に新たな問題が起きたの…

P-ウィルスが感染を繰り返すうちに、突然変異を起こして、従来のイノセンスでは対抗

不可能な『新型P-ウィルス』となって再流行し始めたの。

でも政府はすぐさまそれに対抗できる『強化型イノセンス』を開発したわ。
このイノセンスが現在エクソシストたちに使われているイノセンス。

だけど、強化型は圧倒的破壊力と代償に倒したペチンガーは昇天してしまうようになった


たとえペチンガーといえど元は人間。
そのペチンガーを山と言うほど殺してゆくエクソシストたち…
中には頭がおかしくなってイノセンスの乱用や自決に走るものも多かったわ。


エクソシストたちの気持ちを考慮すべく、伝説である古代悪魔祓いの『救済型イノセンス

』の開発を求める声も出たが、一刻の猶予も争えない状況だったため、強化型のまま戦争

は続いた…。

4年に渡り、多大な犠牲者を出した『ペチンガー大戦』は1992年に幕を閉じた。

そして、本当の平和が訪れた。
翌年、私はしょうへいを出産した。


それから、
今まで18年、あなたたちに囲まれて暮らせてホントに…

ホントに…

幸せだったわ……

……


でもね、今またあの悪夢がよみがえろうとしてるの。
以前よりもっと、大きくなって…

街で出没するペチンガー、黒ずくめの男、この黄色いパンドラの箱が何を意味するかもう

わかるわね?……


『第二次ペチンガー大戦』


が今始まろうとしているの。


しょうへいはまだ幼いから詳しく話していないけど、お兄ちゃんの貴方には話しておくわ


しょうへいは今、エクソシストとなって戦う力をつけたわ。
イノセンスは力を求める者にだけ答える…


あきのり、貴方にはまだソレが足りない…

この戦争を戦い抜くためには“力”をつけなくてはならないの

一気にたくさん話してごめんね、あきのり。

でも、ソレだけは頭に置いていて…」

全てを話し終えた三枝子の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「(母さん……
イロイロあったんだな…

俺、息子なのに全然知らなかった…

母さんをこの戦いから守らなきゃ…

にしても、力かぁ……)」