アリシア・P・シノット

 

「『夜』は千の眼を持つ。実にも眺め麗し。
然れど自由なくして、心の日の出ぞむなし」






【名前】アリシア・P・シノット
【性別】女
【陣営】《人間陣営》
【年齢】21
【容姿】白いTシャツの下に黒い作業服を纏った長身の女性。厚いT/C素材の上からでも分かるほど、ボディラインに起伏が少ない。
     酷い隈の上にある切れ長の細い目は、おまけに蒼い三白眼で陰気臭い。ぼさぼさのままポニーテールにされた髪は艶やかな輝きを失い、肩のあたりで黒く燻る。
     常に度のきつい眼鏡をかけており、大抵口には棒付きキャンディか年代物のパイプを咥えている。
     首にかかっているのはゴーグルと、ロケットペンダント。ゴーグルは「本気の」戦闘時に着用するとのこと。
     軍手と作業靴をつけているのでほとんど素肌は見えないが、顔はいつも貧血気味で、不機嫌がち。
【能力】
《One Shot Kill,HORVATH:DiM-B》
彼女の持つ、技術者としての「浪漫」が実体となった《月装》。
「《月装》のメカニズムを解き明かす」という彼女の決意に応じたのか、その形態を新たなものとした。
外見は大型の伸縮式スナイパーライフル。しかしながら機関部に接続された剥き出しの配線など、電磁兵器としての特徴が色濃い。
また銃身上部は骨組みだけのスケルトン方式になっており、伸縮時と伸長時で弾頭特性が変化するのが最大の特徴。
銃身伸縮時には低出力のプラズマ弾を高速連射することが可能で、高い熱エネルギーによる目標破壊を可能としている。
威力としては対物ライフルと同程度だが、大気中への放熱を加味すると射程距離は最大100mに満たない。弾速には優れるが命中精度は平凡で、《魔獣》が回避行動を取ればかすりもしないこともあるだろう。
銃身伸長時にはグリップ部分にアームガードが展開され、加速された荷電重金属粒子の激流を単発発射することが可能になる。
照射時間は1発につき8秒。破壊力は極めて高く、軽く横に薙ぐだけで高層ビルを倒壊させるほど。加えて発射前に「チャージ」を行うことにより、さらにその威力を増加させることができる。
おおよそ1分(1レス)ごとに威力は乗算され、3分もチャージすれば命中部位を問わず《魔獣》にも致命傷を負わせる程の破壊性能と化す。
しかし発射後には1分の排熱を要し、また使用するごとにアリシア自身の体力を消費していく。運動慣れした一般人程度の身体能力しか持たない彼女では、1戦闘に撃てて5発といったところ。
弾速は極めて速いものの、発射前の1秒間程度には銃口から強烈なチェレンコフ光を放射するため、予測及び回避自体は難しくない。


【経歴】
イギリスのケルヴィック市・アルスウォーター付近に生まれる。生後まもなく4歳児程度の言語能力を獲得した彼女の、1歳の誕生日プレゼントはブリタニカ百科事典だった。
食い入るように見出し語を暗記し、得た語彙を総動員して2歳3ヶ月で読破したジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「THE STARRY RIFT」。それが、飽くなき探究心と持てる者の責務、そして未知の世界へのあこがれという概念を彼女に与えた。
その後、彼女は多方面で天賦の才を発揮していく。7歳の時点でロシア語・英語・日本語・広東中国語などを習得、11歳の春には国際数学オリンピックジュニア部門にて優勝。
14歳の時に執筆した「Suillus bovinusとGomphidius roseusの菌糸間における複合性及び共存性」は、菌類学の分野において国際的にも極めて高い評価を得る。
そして弱冠16歳にしてマサチューセッツ工科大学への進学を確定させた、嘗ては天才エンジニアの卵として持て囃されていた女性。
しかし《夜》の出現は、彼女が進むはずだった成長の土台も、彼女が愛しその名を轟かせたはずの世界も奪ってしまった――そして、彼女の肉親も。
そう長くない時間の後に彼女が抱いたのは、自らの世界を奪った者たちへの復讐の念。そして――自らの世界を自らの手で再び創り上げるという、覚悟。
静かな憤怒と冷え切った知性を湛えて、彼女は戦う。自らが立つべき舞台を、取り戻すために。



【性質】
典型的な技術屋肌で、ある種のマッドサイエンティスト。自らの技術力には絶対の自信を持っており、その態度に裏付けのある高慢さが表れることも多い。
実力を高めることにおいて妥協はせず、それによって更なる進化を遂げることにも賞賛されることにも尋常ならざる喜びを覚えているようだ。酷い完璧主義者でもあり、特に手掛けるモノへの拘りは狂人の域に達している。
それでも、普段は陰気に過ぎて感情の伝達方法に乏しいだけの女性ではあるが――苛立った時のヒステリックな様子からは、まるで知性が感じられない。
恐らく先天的な発達障害を抱えていると思われるが、彼女が過去に残した輝かしい実績はその異常性に由来しているのだろう、というのもまた無理のない推論である。


【近況】
自力で回収・修理した工業製品などを嗜好品と対価に販売しつつ、自警団や配給所などで故障した機械の修理などを行っている。
が、どの依頼も彼女からすればルーチンワークと大差はなかった。そして、その行為が自らの望む世界に繋がる由もないことも、知っていた。
現在、彼女は日向未来の協力を得て《月装》の生成メカニズムの研究を開始している。
最終更新:2014年10月13日 10:46