有志によるロールのまとめ

ここには有志の方によるロールのまとめを掲載いたします。

+ 9/24〜10/2
(まとめた方のコメント:大体2回以上出た方を中心としたロールストーリーです。)
ここまでのあらすじ。一週間目。

 0
 永夜世界――
 それは、全てが闇に覆われ、絶望が支配する世界。
 突如訪れた≪夜≫は破壊をもたらす無数の≪魔獣≫を産み、人類の大半は死に絶えた。
 残された人間は僅かな資源とともに、絶大な力を発揮する≪月装≫と、さらに強力な強力ではあるが危険な力≪焔装≫で対抗し、
 ≪都市≫を中心に魔獣と≪夜≫に最後の抵抗を始めていた。

 1
 自治会の少女・エイルはタキシードの紳士・久良岐に出会う。
 久良岐はただ守るだけではなく、魔獣たちにいつか大攻勢を仕掛けるつもりだと聞かされ、その遠征の仲間を探していると持ちかけられる。
 エイルと久良岐は共に仲間を探すために奔走する。

 2
 魔獣・スカヤは強者を求め闘っていた。閃光使い、強力な概念使い、剣士といった人間の強者と闘っていく。
 スカヤの求める強者はどこにいるのか、彼は放浪をつづけている。

 3
 巨腕の≪月装≫使い・凪沙巫崩月真夢の導きで人類最後のユートピア・≪都市≫に到着する。
 彼女はここで人々と暮らし始めのが、魔獣との戦いで命を落とし、≪半魔化≫する。
 しかし彗月らにより彼女は討伐されると、奇跡的に人間に戻る。
 ≪夜≫側に堕ちて、人間側に戻った珍しい例として人々に知られるようになる。
 彼女はまた魔獣と闘い続けるものの、強力な魔獣の前に人々を守りきれず、自責の念に駆られていた。

 4
 ≪都市≫では自警団が組織されつつあった。
 自警団員であるシャーロット日向未来吉永藤治剰翔ニコラス大道竜造月城有子ジョセフといった面々は、魔獣を共同で倒したり、治療や会話などかわし、心を通わせる。

 5
 圧倒的な力を持つ魔獣。強者として知られる茶毘川端子や、戦闘狂の安藤静哉も強力な魔獣を前に苦戦を強いられる。
 リアーヌも自らの奥義の通じない魔獣にただ膝をつくばかりだった。
 だが、ガルバジークンローラン、あるいは有子、日向らはともに二人がかりで強力な魔獣を倒すなど、決して人間側もただやられる存在ではなかった。
 特に久良岐は、≪焔装≫使い陽遥を苦しめた上位魔獣を倒し、またリィオラのように、相討ちになりながらも魔獣を倒すといった者も現れた。

 6
 一方、≪焔装≫使いは、いつともしれぬ≪夜≫堕ちに恐れを抱いていた。
 陽遥の精神は極限まで追い詰められ、ジャスミンはいよいよ狂い出し闇に踊る。
 また、≪月装≫使いもまた、魔獣らにくらべ自らの力のなさを痛感していた。
 相沢雅樹は自らを"ハイエナ"と称し、死体あさりの泥棒と卑下するなど屈折した思いを抱えている。
 春野陽奈は≪月装≫でありながら魔獣と互角に渡り合うも撤退。力のなさを痛感する。

 7
 魔獣たちも悲劇を抱えていた。火柱の魔獣・フェウアゾイルはシャーロットによって撃破されるも、死のさなか「人」に戻り、真の名前を明かして死ぬ。
 蟹の魔獣Mrs.ラブクラブは「真の絶頂」を知らず死亡し、魔獣使い桐谷真は身体を真っ二つに、名無し魔獣Namelessは何者にもなれぬ自分を悔いつつ消滅した。

 8
 強力な魔獣たちはまだ闇に潜んでいる。
 全てを喰らうDoctor-P、美に狂うダンディモス、非常なるザ・リガ、闇を操るクラミツハなど、彼らは虎視眈々と人間たちを狙っている。
 そんなさなか、田村と名乗る魔獣は人間の行動に興味をもち、久良岐と接触する。
 久良岐も人間でありながら、田村と意気投合し、協力を約束してしまう……。

 遠征軍を組織せんと暗躍する久良岐の、目的とは何か。
 さらなる強力な魔獣たちの侵攻に、ヒトは耐える事が出来るのだろうか。

 永夜世界は、1週目の時が流れた。

+ 9/24
○【彼の愛した女の話】(エイル・久良岐)
 自治会の少女・エイルはタキシードに白ネクタイの伊達男、久良岐に出会う。
 久良岐の過去に愛した女の話をしつつ、二人は交流を深めていく……。

○【『再殺部隊』の閃光】(スカヤ・今清正)
 真の強さを求め瞑想にふける魔獣スカヤ。
 そこへ"不幸な焔装使い"今清正が閃光をたぎらせてやってくる。
 清正は自身を元『戦力外部隊』・現『再殺部隊』と名乗る。
 容赦なく自身の≪焔装備≫の能力を振るい光線を放つが、昆虫魔獣の皮膚を貫く事は出来なかった。
 スカヤはニンゲンの可能性を見つつ、彼の前から姿を消す。

○【教会、黒い霧】(吉永・クラミツハ)
 吉永藤治は教会で配給のシチューを子どもたちに奪われる。
しかしその子供は、黒い体毛で覆われた2足歩行魔獣・クラミツハによって分解され、トマトのように踏みつぶされる。
 大鎌遣は自身の名を名乗り突撃するも、黒い霧を操り無言の魔獣に対し始終圧倒される。
 トドメをさされたかに見えたが、鎌使いの意地を見せ密閉型の教会に渦を作り、崩落する教会に魔獣を巻き込む。
 黒い霧の魔獣は咆哮と共に退散。吉永は九死に一生を得る。

○【「ひよこっち」との邂逅】(陽遥・茶毘川)
 男から食料を奪い取る隻腕の≪焔装≫使い陽遥。
 そこへ、腹をすかせた「貧」の字を胸に刻む少女・茶毘川端子が屈託なく「缶詰おくれ」とせがむ。
 茶毘川は自己紹介がてら自らの≪焔装≫でヴィジョン化されたピエロを見せると、大いに陽遥かを驚かせる。茶毘川はからかいつづけ、「ひよこっち」とあだ名をつける。
 陽遥は、そのからかいの中に、自らの見栄張りな一面を見透かされた気がし、その場を立ち去って行った。

○【その名はガルバ】(ガルバ・梢)
 異常な身体能力を誇る人間・ガルバは壁を蹴り砕きつつ前へ進む。
 そこへ怯える≪月装≫使い梢里佳がその異音に気づき近づく。
 だが、ガルバは相手にせず、その場を立ち去って行った。

○【先輩/後輩】(珠悸・有子)
 超聴力の持ち主・珠悸は学校にて授業を子どもたちを教えていた。
 職員室に忘れ物を取りに戻ると、拳銃型≪月装≫を操る有子がソファーに寝ころび、配給を待っていた。
 有子はこのヘッドフォン女子に先輩を感じ、自らは後輩キャラだと自覚する。
 珠悸は配給に一緒に向かいつつ、配給の手伝いのためその場を去っていく。

○【≪エヴァー・ディープ≫の娼婦とサムライ】(司馬・ラブクラブ)
 六通りの刀を駆使する≪月装≫武士・司馬重座右衛門道真は闇夜で立娼婦・Mrsラブクラブに遭遇する。
 正体に警戒しつつもラブクラブの招かれるままアンダーグラウンドの秘密歓楽クラブ【エヴァー・ディープ】にいざなわれる。
 酒を注がれながらも武士はふと饒舌になり、自らを≪月装≫使いである事を看破される。突然の娼婦の攻撃を見きり防御するも、そこは彼女のホームグラウンド。娼婦は自己紹介がてら歌いだす。
 だが娼婦は≪焔装≫使いを求めていらしく、武士は眼鏡にかからなかったようだ。自らの不利を悟り、武士は地下クラブを去って行った。

○【残月、二人の影】(凪沙巫・崩月真夢)
 月光の射す中、小型魔獣に囲まれていた少年・崩月真夢。すると囲んでいた魔獣に、巨大な腕で襲いかかる少女・凪沙巫の姿が。
 協力して小型魔獣を全滅させると、少年は少女に人類最後のユートピア・≪都市≫(※)へ案内したのであった
※まとめ人の勝手な解釈です

○【魔獣使いと青年】(桐谷・紅)
 和装の青年・紅は魔獣を打ち果たし、たそがれていた。
 そこへ驚きの表情をもって迎える中性的なゴシックドレスの少年魔獣・桐谷が魔獣に乗って現れる。
 どうやら紅が撃ち果たした魔獣は桐谷の使役するものだったらしい。
 桐谷はさっそく魔犬・オルトロスを放ち、紅を試すようしむけるが、紅は大鎌を振るい、オルトロスを撃破。
 桐谷はしかし笑顔と余裕で敵意がない事を見せるが、紅もしらけた態度。その態度に興味をもった桐谷だったが、紅は反応することなく姿を消した。

○【止まるセカイで出会った二人】(シャーロット・日向未来)
 ≪都市≫の外縁を見回る少女・シャーロット。
 そこへ、≪自警団≫で同世代の日向未来が手伝いにやってくる。
 シャーロットは謹厳に自らの使命を語り、日向はどこか穏やかに自らの力について語る。
 すると、徘徊していた四足の下級魔獣に遭遇する。
 シャーロットがリーダーシップをとり、見事な連携で魔獣を打ち果たすと、二人はこの過酷な世界で同世代という得難い友情を感じ、その手にぬくもりを感じるのであった。

ロールで出た新出っぽい設定

≪自治会≫
小学校を根城として作った医療機関。

≪都市≫
人類最後の抵抗の砦にして唯一の都市。

≪自警団≫
 都市の有志によって設立されているらしい対魔獣組織。

≪『再殺部隊』≫
 今清正の所属する対魔獣部隊。

≪秘密クラブ『エヴァー・ディープ』≫
 都市の郊外に存在する、この世界唯一の享楽場。人間と、力を持たない魔獣モドキが退廃的行為に耽っている。


+ 9/25
○【ひとつの死】(モンブラン・凪沙巫)
 魔獣女・モンブランは闇を纏いつつ飛翔する。
 巨腕を操る少女・凪沙巫は地上からそれを発見するとただちに急襲する。
 魔獣は圧倒的な力の差を見せつけるが、凪沙巫が顔に僅かに傷をつけ、魔獣は闇を創造し、少女を追い詰める。
 ついに月装の少女は力尽き、槍の如き闇は少女の脳天を貫く。
 ――凪沙巫は死亡

○【サポート能力者】(珠悸・吉永)
 吉永藤治は前回受けた足の怪我と空腹に途方に暮れていた。
そこへヘッドフォン少女・珠悸に救われる。
 吉永は珠悸を民間人だと誤解するが、サポート系≪月装≫の解説と、彼女の意外な意思の強さを見る。
 吉永は人類の運命の過酷さを嘆きつつ身体を一時休める。珠悸は、いつか戦場に出た時はサポートすると約束をする。

○【夢の"ふるうつぱふぇ"】(アンナ・茶毘川)
 廃ビルの屋上で毎日祈りをささげているアンナ。
そのビルの下で、赤白の貧乏悪魔こと茶毘川端子が配給を欲張り大騒ぎしている。
 彼女の事を噂で聞いていたアンナは自分の配給を端子に分け与えつつ、話を聞く。
 端子と≪焔装≫で出現したピエロのかけあいをアンナはほほえましく見守る。

○【太陽の≪月装≫使い!】(スカヤ・春野陽菜)
 昆虫魔獣・スカヤは先日のようなな強さを持つニンゲンを探していた。
そこへ巫女姿の春野陽菜が急襲する。相手が女だという事に戸惑うスカヤだが、怪人化し対戦する。
 陽菜は太刀≪月装≫の力を解放し闘う。それはスカヤの弱点でもあった「太陽の炎」の力であった。
 スカヤも自身の能力である電撃を駆使して闘うが、≪月装≫相手に互角の闘いを強いられる。そのさなか名乗り合う二人。
 しかし、スカヤの第二の腕を両断する健闘を見せたものの、力の差は埋まらず、放電攻撃を避けるとともに撤退。
 陽奈は彼を倒すことを強く胸に誓い、スカヤもまた満足げにその身体を癒し始めた。

○【死闘! 2対1!】(桐谷・有子・日向)
 魔獣使いの中性的少年・桐谷真は無防備に≪都市≫を歩く。
 有子は居住区の近くのダイナーで寝ころんでいたが、殺気を感じ戦闘体勢に。
 そこへ、日向未来は桐谷を発見し、剣の≪月装≫によって斬りかかる。
 桐谷に対して2対1となったが、桐谷はワーウルフ三体を生成。4対2の闘いに。
 死闘が続くが、桐谷本人は死地を余裕で闊歩し、「人間の持つ「感情」に興味がある」とうそぶき、「どんな感情で魔獣を殺した?」と尋ねる。
 急造コンビで、連携に不安を感じたものの、なんとかワーウルフを撃退しながら、桐谷の問いに答える二人はまるで水と油な答えだった。
 なんとか間合いを詰めるが、有子が死にかねない間合いに。だが桐谷は不意に戦いをやめようと提案。
 日向は「問い」を発し「感情」のような物をもつ魔獣に困惑し、有子は自分の無力さとまた助かった事から来る安堵に、醒めない悪夢感を感じていた。

○【無数の魔獣】(ガルバ・紅)
 魔獣の大群に囲まれたらしいガルバ。ピンチを迎えるが、大鎌の≪月装≫・紅に救われる。さらに現れた魔獣を撃破する二人。
 ガルバは紅の実力を認め、紅もまた魔獣を倒すとその場を去って行った。

○【朋食い】(クラミツハ・Doctor-P)
 魔獣クラミツハは瓦礫の森を徘徊し、非力な人間を殺し続ける。
 そこへ現れたのは同じく魔獣のDoctor-Pであった。
 二人の血に飢えた魔獣は、ひょんなことから共食いへと発展。
 一方が黒い霧を生成し、もう一方はそれを"喰らい"続ける。
 消耗戦を嫌ったクラミツハが離脱すると、Doctor-P は落胆しつつ、周辺を喰らい続けるのであった。

○【男の隠れ家は紅茶の香り】(リアーヌ・ダニエル)
 女戦士リアーヌはスラム街で”守るべき”一般人の男らに絡まれていた。能力を遣う訳にもいかず困惑していた所、コートを着こんだ男・ダニエル・レーゼンビーが通りかかる。
 ダニエルは男たちに冷笑を浮かべ通りかかるが、リアーヌはその隙をつき男たちから逃走する。
 男はダニエルに悪態をつくが、ダニエルの脅しに退散する。助けられたリアーヌはダニエルが去って行った後を追うと、そこは半壊した喫茶店だった。
 思ったよりも小奇麗なその場所はダニエルの憩う場で、紅茶などもある。どうやら彼は自警団と一定の距離を置いているらしい。
 リアーヌもまた自警団という言葉に苦い思いをはせながら、「男を狙い精を奪う女魔獣」について警告する。
 男と女はそれ以上慣れ合う事もなく、女は男の巣から去って行った。

○【上位魔獣・その名など"無"く】(Nameless・陽遥)
 隻腕の≪焔装≫使いの陽遥は、その能力を遣い魔獣をないはずの右腕で"喰らって"いた。侵食に苦しみ悶えていると、全身を黒いスーツで纏い目深帽子で顔を隠した 名前のない魔獣・Namelessが現れ、品定めするように見つめる。
 陽遥は一目で相手が魔獣、それも上位の魔獣と知り、戦闘態勢に。
 必死の攻撃を仕掛ける陽遥だが、ダメージを与えているははずの”名無し”は余裕の笑いを浮かべるばかり。
 ギリギリの精神状態に追い詰められながらも、実力を出し始めた名無し魔獣相手に決死の攻撃を仕掛け、敵のコアにダメージを与える。
 名無し魔獣は弱点部位を晒した事でプライド傷つき、許せないと呪いつつ撤退。
 勝利した陽遥は虚栄心と見栄が重なりあって作り出す小さな笑いと共に、その場に倒れる。

+ 9/26
○【強き意志を持つ戦士を求めて】(剰翔・久良岐)
 闇市に“装遣いを探す青年・剰翔がいた。彼の目的はスカウトである。彼は自警団の欠員補充のため優秀な戦士を探していた。
そこへ白タキシードの伊達男・久良岐が一般人の女に≪月装≫遣いかと尋ね回っていた。そんな久良岐に剰翔は危機感なく話しかける。
 だが、ちょっとズレた久良岐に剰翔はペースを乱されつつも、話しを聞けば久良岐もまた力のある戦士を探していた。それも、小さな世界を守って満足するのではなく。外に出る意志のある能力者を。
 それを聞き剰翔は自警団の案内状を手渡すも、久良岐がその意を汲む事はなかった。

○【異端と異端】(エルド・リー 茶毘川端子)
 異端の男・エルド・リーは荒れた街中餓狼のように歩きまわっていると、のこのこ歩いてきたのは一人の女・貧乏紅白こと茶毘川端子。緊張感のない様子に、リーはいらだちを隠さない。
 それでも端子はマイペースを貫きリーに冗談のような言葉で惑わせる。
 だが、端子が只者ではない事に気づくリー。端子は≪焔装≫で出現するヴィジョン・ピエロを見せると、リーもまた自らの≪焔装≫を披露する。
 端子は能力の一端を見せつけると、リーは大いに驚く。自らの破壊力を凌駕する能力に、リーはただ不満そうに頬を掻くのであった。

○【高速の火炎vs破壊の拳】(ガルバ・フェウアゾイル)
 食糧の報酬を受ける代わりに魔獣を倒していたガルバ。そこへ、食べ物を恵んでほしいと一人の乞食少女が近づく。だがガルバはこの乞食少女から怪しげな気配を察すると、少女は襲いかかってきた。正体は火柱の魔獣・フェウアゾイルだったのだ!
 火炎の身体と超加速を持つ魔獣だったが、ガルバは落ち着いて敵を見極め、破壊の拳を振るう。フェウアゾイルはいままで味わった事のない痛みを追いながらも、なおも攻撃を加え、その加速はますます激しくなる
 ガルバも相手の防御力に舌をまきつつも、勢いよく落下しながらの渾身の拳をぶつける。
 フェウアゾイルは生まれて初めての恐怖を味わい、退散した。

○【Clumsy Conversation】(相沢雅樹・彗月)
 相沢雅樹はいらついていた。探索中魔獣の群に遭遇し、あわてて身を隠していた物の、自らの能力ではおよそ突破できないと思ったからだ。
 そこへ、≪焔装≫の少女・彗月がさっそうと現れ、魔獣の群を一掃する。
 相沢は礼を述べ、お互い名乗り合うが、相沢には僅かに嫉妬心がくすぶる。
二人とも交流しあいたいと内心思う物の、コミュニケーションに不器用な二人はどこかすれ違う。敵地と言う事もあり早々にその場を立ち去る二人だったが、挨拶の言葉を交わし去って行った。

○【喘声と無粋な男】(田村・ラブクラブ)
 人になりすました魔獣・田村は都市の廃ビル群を歩いている。
 そこに、廃ビルの中から男女の交わる声――それは次第に男の悲鳴に変わり、中から出てきたのは娼婦風の女・ラブクラブ。だが、田村には彼女が魔獣である事がわかった。
 ラブクラブはまさに今、男を"喰らって"いたのだった。
 ラブクラブは田村の接近を「男が寄ってこなくなるから」と嫌い、その性格やファッションセンスのなさ、無粋さを責め、ハサミと化した手を首筋にあてがい退散するよう脅す。
 田村は汗一つかかずひょうひょうとその場を去って行ったのだった。


○【あの評判の"戦闘狂"】(安藤静哉・紅)
 安藤静哉は負傷しながらも魔獣と闘っていた。そこへ大鎌遣い・紅が加勢しにやってくる。
 だが、安藤は戦闘狂だった。助けられたはずの紅が強者だと知ると、闘いを挑みだす。
 紅は、噂に聞く迷惑な戦闘狂だと気がつき、いやいやながら鎌を構える。
 紅は攻撃をあしらいつつも、何故戦うかと問う。その問いに安藤は「生きたいから」だと答えるが、興が覚めたのか、あるいは頭痛のためか安藤は闘いを止める。
 紅はそんな安藤の様子を見ると、そのまま去って行った。

+ 9/27
○【孤高と共闘】(エイル・崩月真夢)
 エイルは魔獣がひしめく無法地帯に、お菓子を探していた。
 そこへ灰髪の少年。崩月真夢が声をかける。
 エイルはヒマつぶしだと笑うが、お互い≪焔装≫使い同士、変わり者だと思いながらも両者名乗り合う。
 エイルは久良岐と共闘しないかと話題を出すが、真夢は孤高を望み、共闘の話には目もくれないのであった。

○小イベントバトル・【阿修羅が如き半魔】(GM:凪沙巫/参加者:紅、彗月、崩月真夢)
《月装》使いだった凪沙巫は、魔獣に殺害され闇に落ち……半魔【三面六臂】として復活した。
 彗月、紅は彼女の復活の現場を目撃し、交戦を開始する。
 半魔は無数に腕が生え、切断しても驚異の再生力で復活する。もはや半魔には人間だったころのような感情や知性を感じられない。
 彗月は防御不能の斬撃を無尽に放つが、それ以上の再生を見せる半魔。
 さらに凍結能力を見せ、苦戦する両人。
 崩月真夢も参加し、三人の≪焔装≫使いが一人の半魔と対決する事となった。
 真夢は前(9/24)に凪沙巫を都市に案内した事を顔を見て思い出すものの、夜堕ちした彼女に一切の容赦なく攻撃を加える。
 最後には、彗月の放った斬撃と、真夢の放ったすべてを無に帰す黒い炎で、【三面六臂】はあとかたもなく消滅し、残されたのは少女だけであった。
 二人は人間に戻り、復活する凪沙巫を救出。診療所に運び入れる
 凪沙巫はおそらく、人類初の「夜側から人間に戻った」事例として、記憶される事になるだろう。

○【痛々しいラヴ】(ラブクラブ、日向 有子)
 魔獣との戦いに傷ついた日向未来。そこに出現したのは宵闇の娼婦・ラブクラブ。
 ラブクラブは彼女を挑発し、対峙するが、それを見ていたのは≪月装≫のガンナー。月城有子であった。
 本調子でないながらも気合いの一閃を繰り出す日向だが、ラブクラブの堅い装甲を断ち切れない。しかし有子の弾丸がラブクラブの頭部を撃ち抜くと、娼婦は本格的に全身を怪人化。蟹の大魔獣と化し、二人の前に禍々しい姿を見せつける。
 日向が囮となり、有子が渾身の最大火力をラブクラブの後頭部にヒットさせるも、ほぼダメージはなく、絶体絶命のピンチを招くが――僅かな外甲の破損から弱点部位を見出した両人。有子が決死の特攻と、最後の力を出し切った日向の突きが、弱点部位を貫く。
 元人間だったラブクラブは老婆の姿に戻りながら、
「私は知性ある魔獣の中では、最弱……私をしのぐ魔獣は山ほどいる」
 と絶望的な言葉を吐いて、消滅。
 能力で劣る≪月装≫の二人は、見事な連携と決死の覚悟で、見事大型魔獣を征伐する事に成功した。
 ―――ラブクラブ死亡。

○【安藤静哉は黒空を眺める】(安藤静哉 リイオラ)
 安藤静哉は天を仰ぎながら、人類側の運命にいら立っていた。
 それを見かけたリィオラは声をかける。戦闘狂の彼のロマンチストな一面を見たリイオラは、彼を「理知的な狂人」と評する。
 リイオラは夜が明けたら「フィギュアスケーター」になりたいと夢を語る。
 安藤は、「夜が明けたら失った物が全部帰って来て日常に戻れるんじゃないか」と有りえないと思っている自分の胸の内を吐露する。
 二人は名乗り合い、黒空の下、立ち去って行った。

○【人間らしいニンゲンと、魔獣らしくない魔獣と】(田村 久良岐)
 人の運命を観察する魔獣・田村は配給所でのニンゲンの下賤な喧嘩を眺めていた。
もっと見ようと近づくと、白スーツの伊達紳士・久良岐に見とがめられる。
久良岐は何を思ったのか、田村の持っていた双眼鏡を置いていけと話す。その代わり、自警団の居場所の情報と交換を持ちかける。
 だが田村はそれを拒否。しかし、妙に協力を持ちかける人間のはずの久良岐に田村は奇妙な思いもする。
 久良岐は、「彼女のためならなんでもする」と、その目的が自分のためだという事を白状する。
 その目的に興味を抱いた田村は、久良岐の質問のままに【重力圏を自分がどう越えてきたか】【人間だった記憶を持つ元≪焔装≫持ちの魔獣はいるか】などを正直に答えていく。
 そして彼を気にいった田村は双眼鏡を渡すと、人間そのものに興味を持ち、彼が重力圏を超える事があったら、中間地点として自分の寝床を提供するときに、稀にでもいいから"夜"が来る前の世界の様子を話して欲しい、とねだる。
 久良岐の話はさらに止まらなくなり、魔獣と≪焔装≫持ちという相反する二人の語りはつきる事はなく、協力関係を結ぶに至った。

○【都市辺境遺失物センター】(シャーロット エイル)
 ≪都市≫のはずれにある巨大な遺失物センターに、自警団の隊員シャーロットがやってきていた。
 遺失物センターの古い遊戯盤に目を輝かせていると、同じ目的だったのか、「宝探し」にやってきたエイルもその場に現れる。
 シャーロットはエイルに【妖精のえじき】というボートゲームを見せるが、エイルはその説明に複雑な感情を見せる。
 しかし二人は打ち解け、お互い名乗り合う。シャーロットはこんな世界になっても文化の継承を大切にしたいと語り、そのたくましさにエイルは彼女を認める。
 いつか心休まる時が来たら、二人はこのゲームで遊ぼうと約束し、「シャロ」と「エイル」は二人で≪都市≫へと歩きだして行った。

新出施設
≪遺失物センター≫
 半ば放棄された雑居ビル群の中に、≪遺失物センター≫と呼称されているがらくた置き場がある。
 都市の辺境にあるので訪れる人は少ないが、中には宝探しをしにやってくるモノ好きがいる。

+ 9/28
○【つかの間の平穏】(神宮司茉冬・彗月)
 車いすの少年・神宮司茉冬は配給を受けていた。が、貴重なロールパンを落としてしまう。
 そこに、鷹のように鋭い目をした彗月が出くわし、落ちたパンを拾う。
 伺うように礼を言う茉冬。二人は≪焔装≫使いだと明かす。
 彗月は茉冬の足を気にするが、この怪我は夜が来る前に起きた事故によるものらしい。
 つかの間の平穏な時間に、二人は心安らぐ。

○【その実が熟す時まで】(陽遥・Doctor-P)
 陽遥の身体は急速に回復したものの、原因不明の反動に苦しんでいた。
 ≪焔装≫使いの末路、魔獣化へあと一歩というところに、何もかも"喰らう"魔獣、Doctor-Pが近づく。
 陽遥は魔獣に元人間の気配を察し、激しく反応。それを見、Doctor-Pは捕食を開始する。
 それに対し陽遥は≪焔装≫を発動し、逆に捕食をしかける。
 Doctor-Pは元?戦力外部隊?だという事をあかし、陽遥に揺さぶりをかけていく。
 精神的に追い詰められ逃亡。Doctor-Pはより美味くなり、こちら側に堕ちてくる時を待望するのであった。

○【茶毘川端子の初敗北】(スカヤ・茶毘川端子)
 魔獣スカヤは長い睡眠から目を覚ますと、狂気と洒脱の≪焔装≫使い・茶毘川端子に発見される。執念や闘志というものを感じない彼女の態度に、スカヤは困惑しつつも対峙。
 だが端子のその単純な殴打は、人外級のダメージを放っていた。その力を認め本気を出すスカヤ。端子も、この出力を受け止めきる魔獣とは初遭遇であり、計算が狂う。
 好敵手に喜び、スカヤは初めてその名字・「六芒」を名乗る。
 圧倒的な力を誇る魔獣に、端子は残存エネルギーを使い果たし、撤退を決断。スカヤはあえて追わず勝利を誇る。茶毘川端子はこの日初めて、魔獣の戦いに敗れたのであった。

○【月下、剣と拳と】(ガルバ・桐谷・ジークンローラン)
 ジークローランは満身創痍のガルバに出会う。そこへ血に餓えた魔獣・桐谷が急襲する。
 魔獣使いの魔獣・桐谷はゴレームとゾンビ兵団を召喚し、二人を追い詰める。
 ジークは≪月装≫を発動し、ガルバも無双の腕力で魔獣たちをなぎ倒して行く。
 時間稼ぎにもならない召喚魔獣たち。だが、ジークが魔獣召喚の発動体になる小剣を狙い、桐谷を攻撃。意外な攻撃に桐谷は戸惑いを見せる。
 そのスキを突き、二人は桐谷を同時攻撃。桐谷は真っ二つに分断される。
 圧倒的な力を持った桐谷はしかし、二人の連携によってついに命を止められた。
 桐谷真は死亡する――


○【可能性という名のメモ】(日向未来・アンナ)
 日向未来は崩壊を免れた建物のそばで机に座り、メモ帳を広げていた。
 そこへシスター・アンナが、この辺りは危険ですよと声をかけてくる。
 アンナは日向が作成していたメモ――それは自身が経験した事から得られた「可能性」についての考察――を目撃する。
 日向は、この世界が夜に閉ざされた原理を解明しようと奮闘しているようだ。物理法則の狂った世界を嘆く日向を、アンナは励ます。
 二人は希望に向けてまた歩み出すのであった。

○【我は"ハイエナ"】(凪沙巫・相沢)
 診療所に横たわる凪沙巫。彼女は「夜」にとらわれながら人間に戻った唯一のレアケースだ。
 そこに現れたのは、最弱の≪月装≫を持つと言われる相沢。臆病な彼は凪沙巫に魔獣かどうかを問う。
 凪沙巫は笑って否定しながら、彼に飴をあげたり。だが、相沢は「ハイエナ」の存在を示唆する。彼はその能力を駆使し、戦場で敗れた人間から物品をはぎ取る泥棒をしているのだが、それを聞いた凪沙巫は嫌悪感をあらわにし、彼を拒絶する。

+ 9/29
○【睡魔とくすぐり】(ジョセフ・凪沙巫)
 凪沙巫は人々の寝床となっている小学校跡を警備していた……はずだったが、睡魔に負けて眠っていた。
 そこへジョセフ・シェーンハウゼンは起こしてやろうとくすぐり始める。
 驚いた凪沙巫は能力を発動しジョセフを殴り飛ばしてしまう。ジョセフはその特性上、外傷では死なない身体を持っていたが、イタズラ心は加速し死んだふりをし、さらにゾンビになったつもりで彼女の肩をグラグラ揺らす。
 凪沙巫は驚いたが、ネタバラシをして和解する二人。
 一人で見張りをする少女を助けに来た青年はお互い名乗り、寝不足の彼女になり代わり見張りを引き受けるのであった。

○【喪失の少年と温情の男】(ジーク・真夢)
 崩月真夢は黒い空に向かって平穏だった日常を回想していた。そんなときに、立ったまま大いびきをかいて寝ている青年・ジークローランが目に入る。
 ジークに声をかけると、二人は魔獣と戦う戦士だと明かしあう。
 しかしジークは真夢が年少なのに驚き、なぜ闘うのかを問うた。真夢は家族を殺された事を語り、ジークの安穏とした態度にイラつくが、ジークは少年の抱える闇を見つつも、自分らしく生きるよう諭し、励ますのだった。

○【斬頭台と散柘榴】(リィオラ・ジャン)
 リィオラは月に吠える魔獣ジャン・ジェスキエールを発見する。奇襲をしかけるリィオラ。
 だが小さなダメージを与えつつも決定打を与えきれない。
逆に、傷つけられた事で激昂するジャンは殺意と怨嗟を増大させ、圧倒的な反撃をしかけ、リィオラの膝から下を削り取り、叩きつけて内臓も破壊する。
 死にゆくリィオラ。だが最後の力を振り絞り、ジャンの顔面をギロチンの如く両断。
 魔獣と≪月装≫使いは、両者命を遣い切り、相討ちとなった。
 リィオラ、ジャンジャスキエール、共に死亡。

○【Combination Chase】(ニコラス・大道竜造)
 缶詰工場跡に、ニコラスは食べられる缶詰の選別を行っていた。そこに拳銃を手に現れるのが大道竜造。どうやら工場内にいたニコラスを魔獣だと思ったようだ。
 ニコラスは冷静に人間だと応答する。大道は魔獣一匹を取り逃がし、この工場跡に追い詰めていたのだった。
 二人で魔獣を追う事になると、ニコラスは能力を使用し、魔獣を振動によってあぶり出し足止めすると、大道は剣モードにした≪月装≫で魔獣を撃ち果たす。
 魔獣を倒した後、大道はニコラスの缶詰選別を手伝うのであった。

○【月下埋葬行】(安藤静哉・日向未来)
 戦闘狂・安藤静哉は≪都市≫のはずれにて、少女の死体を放置されているのを見、埋葬のため土を掘り出す。
 それを見た日向未来は、魔獣が掘り起こされる事があると咎め、集団墓地への埋葬を提案する。安藤は悪態をつきながら名乗り、彼女に案内されつつ同行する。
 二人は「強さ」について語り合い、反発をしながらも距離を縮めつつ、墓地への埋葬を果たした二人。
 安藤は借りを作るのがシャクだからとビスケットバーを投げ与えようとするが、日向は合理的に考えそれを断り投げ返す。
 安藤はため息をつきつつ、その場を離れて行った。

新出設定
≪集団墓地≫
 死亡した人々が埋葬される施設。平野の地下には魔獣が潜んでいる可能性もあり、容易に埋葬できない事から作られたようだ。

+ 9/30
○【激戦】(ジークンローラン スカヤ)
 ジークンローランは魔獣スカヤと対峙する。スカヤは相手が≪月装≫悟るが、久々の男の戦士との邂逅に喜ぶ。
 渾身の剣を振るうが、老練なスカヤを前に苦戦するジーク。するとスカヤは電撃を放つ。電撃は直撃し、ジークは苦戦を強いられる……(いまだ交戦中)


○【堕天使の花園】(Nameless リアーヌ・シャリエ)
 名もなき魔獣Namelessは獲物を求め街をさまよう。
遭遇したのは≪焔装≫使いのリアーヌ・シャリエ。その気配に怯えつつ、ライフルを放つ。
 直撃したものの、全くダメージがない名無し魔獣。魔獣はトリッキーな攻撃を繰り出す。リアーヌは圧倒され、ついに≪焔装≫の能力で【堕天使の花園】を発動させ、異世界に
敵を引きずり込み弱体化させ、胴体の切断を試みる。
 しかし名無し魔獣はそれ以上の耐久性を発揮。【花園】は解除されるものの、闘いを楽しんだ魔獣は彼女を仕留めることなく、笑い声を残して消えて行った。
 残されたリアーヌは呆然と膝を突くのみであった。

○【あの星の神話】(ジョセフ 月城有子)
 月城有子は前回の戦闘で受けた傷を治療しつつ、自警団の本部のソファーに寝転ぶ。
そこに顔を出したのはジョセフ・シェーンハウゼン。
 彼女はこれまでの出来事を彼に話す。人に擬態する魔獣の存在にジョセフは驚く。
 話題は星座の話になり、有子の語りに熱が入る。二人は名乗り合い、いつか星座が見られるようになればいいと誓い合った。

○【心を喰らう魔獣ザ・リガ登場】(ザ・リガ 凪沙巫)
 凪沙巫は小学校跡で人々と共にカレー作りをし魔獣に備えていた。そこへ、空腹をおぼえていた魔獣・ザ・リガが目ざとく発見する。
 不穏な空気を察し凪沙巫は表に出ると、ザ・リガを発見。戦闘に。
 容赦なく人々に対し、奇砲・エネルギー弾を放つザ・リガ。瞬時に溶かすほどのパワーを持つ。凪沙巫は人々のための堅牢な壁となるべく奮戦。
 だがザ・リガは、溶けた人間を喰らうと、その姿――子供の男の子に擬態する。凪沙巫を精神的に追い詰める。
 凪沙巫はそれに屈し、動きが取れなくなくなる。ザ・リガは逃げた人々を喰らうため、その場を後にした。

○【"追剥さん"と"道無し"】(相沢雅樹 エイル)
 相沢雅樹は不穏な事を考えながら≪都市≫のはずれを行く。エイルが彼を無邪気に見つけると、相沢は彼女を"道無し"の噂を聞いており、警戒。
 エイルも相沢を"追剥さん"と認識していた。相沢はそれを聞き、深い劣等感にさいなまれる。
 一方エイルは、近いうちにに魔獣側へ攻め込むための仲間を探しており、彼を誘う。
 相沢はそれに参加の意思を示すが、なぜ攻め込むのかを問う。
 エイルは、久良岐の提案によるものだと答え、また口べたながら心のこもった理由を答えるが、相沢は一見聞いているフリをしつつも、内心では他の能力者に対する嫉妬や劣等感がうごめいていた。
 とはいえ、一応の参加を表明した相沢に、エイルは心からの感謝を述べる。しかしそれを聞いてもなお、相沢の心は冷たく閉ざされているのだった。

○【妙に気の合う二人】(ガルバ 黒木光)
 ガルバは旧防衛ラインにたたずんでいた。不意に瓦礫の崩れる音がし振り向くと、そこには腹をすかせた銀髪の少年・黒木光が頭を打っていたところだった。
 ガルバは手を貸すものの、黒木は軽い態度。ガルバを苛立たせる。それを見、冗談の通じないタイプだと悟った黒木は慌てるが、ガルバは年相応なリアクションに笑いだす。
 二人は≪焔装≫と≪月装≫の特性などを語り合いつつ、陽気な時を過ごした。

○【運搬部隊】(吉永藤治 大道竜造)
 吉永藤治は自警団により物資の運搬を担わされていた。途中で魔獣に遭遇し、撃退するも、震えながらしゃがみこんでいる。
 自警団の荷物をチェックしにきた大道竜造はその現場に急行し気遣う。吉永は手伝いに感謝しつつ、無事物資を教会に送り届けた。


○【安藤静哉は"後退"を知らない】(安藤静哉 ダンディモス)
 安藤静哉はいらだちを込めながら小型魔獣に執拗な攻撃を仕掛けていた。それは数日前に話したリィオラが死亡した事を聞いたからだ……。
 しかし、より強力な魔獣の気配を察する。それは火炎蛾の魔獣・ダンディモスであった。
 ダンディモスは、安藤の行為を美しくないと評し挑発。安藤は立ち向かうも、空を舞いつつ遠距離攻撃を仕掛ける相手にまったく攻撃を放つ事が出来ない。
 安藤の逃げない態度を彼自身の信条だと悟ったダンディモスは、一方的な攻撃を加えながら、彼自身がその信条をかなぐり捨て、絶望と共に逃げ出す事を待望する。
 しかし安藤は絶対不利の状況にもかかわらず逃げる事はなく、逆にコンクリート片を投げつけてダンディモスを一時的に退ける。しかしダンディモスはほとんどダメージは無かった……。
 ただ安藤に残された力もなく、絶対絶命であったが、ダンディモスは自分の美学に合わなかったらしく撤退。安藤はかろうじてピンチを脱し、その場に崩れ落ちるのであった。

+ 10/1
○【激闘(2)】(スカヤ・ジーク)
 9/30のロールより引き続き。
 死闘は続くが、スカヤのしかけた糸のトラップにより、魔獣有利に形勢は動く。
 しかしジークは渾身の力でそれを破るが、守るべきもののためにその場を離脱。
 スカヤはジークの撤退に怪訝な物を感じるが、魔獣となってしまいニンゲンの心を忘れつつあるスカヤは、その真意を知ることはなかった。

○【闇ふたつ】(クラミツハ ジャスミン)
 闇を操る魔獣クラミツハは、ゆっくりと人々の所へ行こうとしていたジャスミンに目をつける。
 しかしジャスミンもまた闇を操る≪焔装≫の人間。物言わぬ魔獣に対し、互角に闇を操るジャスミンであったが、ジャスミンは足場を破壊。落下するクラミツハだが、その衝撃を和らげている間に、二人の距離は遠ざかり、その場にはジャスミンの狂ったような高笑いだけが残ったのだった。

○【神宮司茉冬の夜】(神宮司茉冬 日向未来)
 日向未来は都市の外縁部の再調査として物資の調達に来ていた。そこにいたのは体の不自由な神宮司茉冬。彼は魔獣との戦いを終えつつ、力を使い果たし撤退していたのだった。
 日向は再調査をきりあげ彼の救出に。
 病院に運ぶと、茉冬はくやしそうに自分の無力さをさいなむが、日向は優しく応対するのであった。

○【そして、名を持たぬ者は誰にも知られず何も残さず】(Nameless 久良岐)
 名もなき魔獣・Namelessは≪都市≫を急襲する。
 しかしそれを阻んだのはタキシードの伊達男・久良岐。名無しの魔獣は黒い霧となり力任せに迫ってくるが、久良岐は力に技術で対抗し、ニンゲンの業を見せつける。
 なおも魔獣は重い攻撃を次々と放つが、久良岐は敵の再生能力を凍結させると魔獣にはじめて焦りが生じる。苦し紛れの炎を吐くが、しかし久良岐は「これはあの子が選んだ服だ」と、それを無理な形で回避。自ら勝利を手放すハメに。
 勝利を確信した魔獣は襲いかかるが――久良岐の渾身の一閃がコアを切り裂き、名無し魔獣は何者にもなれぬまま消滅した。
 ――Nameless消滅。

○【真の名を持つものは救済の眠りにつく】(フェウアゾイル シャーロット)
 魔獣・フェウアゾイルが人を喰らう所に、≪月装≫の少女シャーロットが推参する。
火炎魔獣は火炎弾を放つとともに突進するも、シャーロットは華麗にいなす。
 それでも魔獣の意地を見せ、シャーロットを火炎と突進で追い詰める者の、シャーロットの剣に、前回闘った≪焔装≫の者と同じくらいの痛みを感じ、魔獣は狼狽する。
 シャーロットは容赦せず、魔獣を両断。すると、魔獣は黒に侵食された部位が引き、そこには一人の少女が横たわっていた……。
 シャーロットは少女の名を聞くと、元魔獣は「火柱」ではなく両親から授かった名を彼女に告げ、静かに息を引き取った。
 ――フェウアゾイル消滅。

+ 10/2
○【自殺志願】(凪沙巫 大道竜造)
 自殺を図っていた凪沙巫。それを、大道竜造に咎められる。
 幻覚と贖罪の意識に凪沙巫はそれでも死ぬ事をやめなかったが、大道は手荒くそれを止めると、応急処置をし保健室へ。
大道は彼女を落ち着かせると、甘えるがままに一緒に添い寝し、手当をするのであった。

○【暗黒に踊るジャスミン】(ジャスミン 安藤)
 ジャスミンは肉塊の山に踊っていた。たび重なる≪焔装≫の使用により、精神に変調をきたしていたのだ。
 安藤静哉はそれを見、対峙する。安藤は相手が魔獣ではなく≪焔装≫遣いである事は見抜いていた。≪月装≫使いの彼にとって圧倒的不利だが、それでも闘う。
 やがて全ての攻撃を受け切った安藤は、重い一撃をジャスミンに喰らわせ撃破する。
 彼女の治療を自警団員に任せ、早々に立ち去る男。一方ジャスミンは彼に感謝しながらも、不穏にして妖艶に安藤の事を想うのであった。

+ 10/3〜10/9
永夜世界・2週目 ここまでのあらすじ。

 1
 久良岐エイルは、引き続き仲間を求めて戦士たちと接触していく。
 彼の魔獣遠征に賛成する戦士ら――日向未来エルド・リーといった面々も現れていた。

 2
 しかしそんな中、≪焔装≫の戦士ガルバは魔獣ダンディモスによって焼かれ、またジャスミンも強力な猛毒の魔獣・パヨカによって死に至り、魔獣と堕ちてしまっていた。
 両者の魔獣堕ちは、彼らに関係した戦士達に大きく影響を及ぼす。ジークローランは魔獣となったかつての仲間・ガルバに、最後の最後で敵意を向ける事が出来きず、苦悩する。

 3
 絶望は世界にさらに蔓延する。凪沙巫は人々を守れなかった事に絶望し、自死の眠りに堕ちた。大道竜造は魔獣となったガルバとの戦いで生死不明に。
 また相沢雅樹ニコラスなどに励まされながらも、自己否定の念は消えない。
 月城有子も闘いに疲弊していく。

 4
 一方魔獣の中には、自らの生に疑問を持つ者も現れた。魔獣スカヤは真の強者について悩み続け、敵であるジークローランと問答をする。
 パヨカは瘴気をまき散らしながら、人とのつながりを欲し続けては、その対象を病毒に苦しめていく。

 5
 人間側も、この世界の謎について考えだす者もあらわれた。アンナは、この世界の≪魔獣≫の謎について、日向未来は、この世界に現れた装備≪月装≫≪焔装≫について疑問を抱く。
 月城有子は二人の疑問を相談に受け、また日向の疑問には技術屋のアリシアなどが応答するも、はっきりとした答は、まだこの時点では明かされる事は無かった。

 6
 生物兵器であるメイラも、闇に閉ざされたこの世界の事をまるでわからないまま、戦いに明け暮れる。この世界の謎は根深く、そして誰もがはっきりとした答えなど、持ち合わせていない。
 しかし、さなかで出会った珠悸との絆は、メイラの中でしっかりと息づいているのであった。

 7
 狼牙鬼助一城小桃ラッシュ・シグナスといった戦士たちも活躍し、永夜世界はさらなる発展を見せる。
 そんなさなか、久良岐はたった一人で魔獣・ダンディモスを撃破せしめる。
 メイラとアンナも協力してジャスミンの闇落ちした魔獣・シミラーを撃退するなど、世界はまだ、絶望に完全に屈したわけではない。

 8
 シャーロットは悲観にくれる神宮司茉冬に語った。
 「ほんの少し前まで、〝あたりまえ〟だったものを取り戻す――それが、わたしの願いよ」と。

 永夜世界では死闘が続いている。
 人間側も傷つきながらそれでも、少しずつこの世界の謎へ、肉薄していく……

+ 10/3
○【此処で輝かずいつ輝く】(エルド・リー クラミツハ)
 エルド・リーは腕力で魔獣をねじ伏せていた。その血の匂いに誘われて、黒いケモノ・クラミツハが姿を現す。
 リーは截拳道の構えを見せて真正面から魔獣に立ち向かうが、魔獣は圧倒的な力でねじ伏せようとする。
 しかしリーは路地裏仕込みのラフファイトでクラミツハを追い詰める。クラミツハは黒い霧の能力を遣わざるをえず、体力を吸い取ろうと試みるが、覚悟の一撃を放ち、クラミツハを消滅に追い込む。
 リーは敵を称えつつ、全身を傷つけながらも、その顔には充実感が漂っていた。

○【無垢のままでは】(ニコラス・相沢)
 相沢雅樹は都市の外を徒歩で行く。劣等感と罪悪感にさいなまれながら、死体あさりをしていた。そこにニコラスがやって来て、死体あさりをしても望むものは何もないだろうと、その行為について暗に咎める。
 死体を埋葬する事になったが、ニコラスは自身は≪焔装≫だと明かす。
 ニコラスは、なぜ相沢が死体あさりをするのかを問う。相沢はニコラスが"善"に輝いている様を見たが、ニコラスは静かに、やんわりとそれを否定する。
 それに対して相沢は強力な自己否定の感情にかられる。


○【希望への糸口】(エイル 日向)
 墓場にて、エイルは死んだ仲間の事を思っていた。たまたま居合わせた日向未来もまた、日に日に増える魔獣の被害を憂いていた。せめて糸口さえ見つけられればと思っているが、エイルは久良岐の持ちかけた外部遠征策を日向に語る。日向はその策に無謀さを感じ取ったものの、大いに興味を持ち、自治会の存在と久良岐の名を教わる。
 お互い名乗り合い、二人はほんのわずか、前向きになったのだった。

○【業火、絶望の炎】(ダンディモス ガルバ)
 ≪都市≫居住区をどんどん焼いて行くダンディモス。破壊の≪焔装≫をつかさどるガルバが応戦するが、蛾男は空中に舞い、ガルバの攻撃をかわす。
 しかしガルバは蛾男の操る蛾がエネルギーの強い所に向かう性質を見抜き、策を用いて空中から引きずり落とすと、渾身の一撃を見舞う。
 蛾男もそれを正面から火炎の羽で受け止めようとするが、力を弱めただけで喰らってしまう。
 しかし放った火炎蛾に犯され、ガルバは炎に焼かれる。
 それでも、人間の尊厳と、怒りを込めてガルバは立ち上がり、最後の一撃を試みる。しかし、魔獣という圧倒的な基礎身体能力を前に、わけなくかわされてしまう。
 蛾男は炎を放ち、ガルバを焼く。
 ガルバの肉体は炎に巻かれ、その炎の中から――
 ≪破壊≫の魔獣・ガルバは焔誕した!!!!!

+ 10/4
○【死の灰まみれのキチガイ車】(ラッシュ・シグナス パヨカ)
 ≪月装≫の車狂い、ラッシュ・シグナスは灰色の少女パヨカに無慈悲に襲いかかる。
 パヨカは死を呼ぶ灰を撒き散らす魔獣なのだ。無邪気に「友達になってくれる?」とうそぶく少女に、ラッシュは改造車による射撃を繰り出す。
 しかしパヨカはラッシュを「敵」と見定め、目の前を全て灰と塵に変えていく。
 狂ったように攻撃を繰り出すラッシュだったが、圧倒的な能力差を埋める事は出来ず、愛車が毒に犯される前に撤退。
 毒を操る魔獣に対し、ラッシュは毒を吐き続けつつ、意地は通す事が出来たようだ。

○【"人類の希望"に微笑みはなく】(久良岐 エルド・リー)
久良岐は小学校跡の治療拠点の屋上にいた。彼の「魔獣遠征計画」とその服装と名は知られていたようで、エルド・リーに「人類の希望」という二つ名で知られるまでになっていた。
 久良岐はそれを否定もしなかったが、リーはそういった名声を欲していた。リーは久良岐に戦力と協力者、そして己が闘う理由を問う。
 やがてリーと久良岐は、お互い「足手まといにならないか」を確かめるために闘いだす。リーがやや優勢になるも、リーは自分で定めたルールを犯したため、敗北を認める。二人はお互いを認め合い、より力が欲しいと願うのであった。

○【全魔獣総"人"仮説】(アンナ 月城有子)
 自警団の月城有子は危険地帯を考え事をしながら探索していると、下級魔獣を倒した帰りのアンナと合流する。有子はアンナが評判のスコアホルダーだと知っていた。その事に、アンナはうつむく。
 アンナには一つの疑問があった。それは「魔獣が人間に戻る現象」についての謎だった。疑問をぶつけるが、有子も報告以上の事は分からないらしい。
 アンナは前のぞき見した日向未来のメモにあった「魔獣は元々"総て"が人間であった」説を想うが、有子はシンプルに魔獣だろうが人間だろうが、寝返る奴は頭を打ち抜いてやればよいと笑う。
 話しあううちお互い打ち解け、名乗り合って去って行った。

○【その名は"魔獣"ガルバ】(ガルバ 大道竜造)
 男装の少女・大道竜造は避難所にいた。悪夢にうなされていると、都市の一角に魔獣が現れる。つい最近"夜"に堕ちた元人間の魔獣・ガルバだ。
 大道は静かに構え、敵を待ちうける。ガルバは能力の実験台として少女を認識し、力任せに攻めるが、大道は距離を取り、下水口の穴に落とす事。
 しかしガルバの放った瓦礫弾が大道に腕をかすめ、激痛に気絶し穴に落下する。
 ガルバは少女に興味を無くし、退散。大道の生死は、いまだ不明――。

+ 10/5
○【釈罪の篝火】(凪沙 巫)
依然として、自分の守れなかった者達の怨念の声が頭から離れぬ凪沙 巫は、
亡霊への釈罪を晴らそうと一人、無人の校舎に火を放ち塵と化した
しかし彼女の死は他の者の中で、より魔獣への闘志を燃やす篝火となるだろう
それは運命であり、呪いであるからだ
━━━━━━━━凪沙 巫 死亡

○【病の寵愛】(パヨカ&ジャスミン)
「友達」を探そうと空を徘徊するパヨカは、魔獣を貶める一人の女性「ジャスミン」と出会う。
パヨカは初めこそそれに憤慨したものの、ジャスミンと友達になるという条件の下それを快諾。
しかしパヨカの「病魔」の力により、徐々に身体を蝕まれるジャスミン。しかし彼女はそれを拒絶しなかった。
やがてジャスミンはパヨカによって、せめて苦しまぬようにと即死の病毒を浴び、魔獣へと成り果てた

命よりも優先すべきことがあるとすれば、それはなんであろうか?
彼女等にとってそれは、双方にとっての何よりも深い友情であったまでの話である

○【深化】(日向 未来&月城 有子)
あるビルの屋上で≪夜≫の観測を行っていた日向 未来。彼女の元に、かつて共闘した月装使い・月城 有子が現れる。
先程と違い、何やら落ち着いた雰囲気を醸し出す月城に困惑する日向であったが、頭を打ったせいだと納得する。
しかし話を進めるごとに、月城の「月装」の変化が判明し、日向は月城の「心」が変わった事を理解し、月城に「自分の根幹を見失うな」と忠告する。
別れ際に新たなる「変化」を見せる月城の≪月装≫であったが、それを十分に見ることなく、また会える事を約束する二人だった

+ 10/6
○【生物兵器メイラ】(メイラ ガルバ)
《都市》から数km離れた廃ビル地帯。生物兵器・メイラは魔獣とは何かが分からないまま倒し続けていた。
そこに近づく元人間の魔獣ガルバ。しかし刷り込みでガルバを父と誤認したメイラはガルバに近づく。
ガルバは魔獣の本能でそれに殴りかかると、メイラはそれを「敵」と認識する。
 ほぼ同系統の能力の二人だが、圧倒的な力を有するガルバ。しかし攻撃はなかなか当たらない。
 だが破壊の概念を込めた拳は強く、最終的にメイラを吹き飛ばす――。

○【”あたりまえ”を取り戻す】(シャーロット 神宮司茉冬)
 シャーロットは自治会の本拠地である学校跡地の旧生徒会室にいた。
 ふと弱音をもらすシャーロット。そこに神宮司茉冬が尋ねてくる。
 茉冬もつい悲観的な事をもらすが、シャーロットは励まし、魔獣と≪夜≫から、「青空」「陽光」「緑」「自由な大地」といった
かつて〝あたりまえ〟だったものを取り戻す事を願う。
 茉冬も彼女の言葉に深く共感し、その顔は僅かに熱を帯びた。シャーロットもまた、彼が折れない事を願うのであった。

○【魔獣と人間のはざまに】(ジークローラン スカヤ)
 スカヤは、目の前で人間が自殺した事に反問し、その事に悶えていた。
 そこに現れたのは、かつて闘った≪月装≫の戦士ジークンローラン。ジークは戦闘の気配を見せるが、スカヤは問答をしたいと願い出る。意外に思うジーク。
 二人は新の強者とはなにか、尊厳とは何かを語らいつつ、ジークは彼に敬意を評す。
 スカヤもまた、魔獣にも人間にもなれない自分自身について、深く考え込むのであった。

+ 10/7
○【タマママ】(珠悸 メイラ)
 珠悸はメイラが魔獣を倒した跡を追いかける。
 珠悸は追いつくが、銃を向けられる珠悸。必死に否定すると、今度は彼女を母親と誤認する。
珠悸はなだめながら、メイラを孤児だと判断し、いわれるがまま母親役を買って出る。
メイラは珠悸に「命令」をねだりつつ、帰路についたのだった。


○【≪月装≫の秘密】(アリシア 日向未来)
 都市の中心部付近に存在する公園跡地にて日向未来は自分の≪月装≫に疑問を抱いていた。
 そこに作業着姿の女・アリシアが現れる。彼女は自警団の技術屋として知られていた。
 日向は≪月装≫の隠された力についてアリシアに尋ねるが、アリシアは否定も肯定もしない。
 二人は意気投合し、名乗り合いお互いに協力を約束した。

○【その剣は友を殺せるか】
 立ったまま寝ているジークローラン。そこにはかつて語り合ったガルバが現れる。
 しかしジークは彼の夜堕ちを知らない。ガルバは近づかないよう警告する。
 ジークはそれで、彼の魔獣化を知る……。
 ガルバは本能を押さえ闘いを回避する腹づもりだったかもしれないが、ジークは魔獣と化した彼を咎め、戦いは開始される。
 死闘となるが、かつての味方を殺す事の出来ないジークは、爆風に紛れて姿を消す。

○【戦略的逃走】(スカヤ 有子)
 月城有子は洋食レストランの屋上の熱交換器の上に寝転がる。
 そこへ、ニンゲンに対して問いを持つ昆虫の魔獣・スカヤが現れる。
戦況を不利と見た有子は逃走を開始するが、スカヤはそれを咎め、電撃の槍を喰らわせる。
 有子はダメージを受けつつも逃走に成功する。

○【小桃とお姉さん】(一城小桃 狼牙鬼助)
 一城小桃は白い巨人と共に公園でひと時を過ごす。そこに現れた狼牙鬼助。
 鬼助は小桃を魔獣と警戒するが、小桃は敵意を見せず自己紹介をする。
 ちょっとズレた小桃にペースをかき乱されながら、鬼助は名乗り、交流を深める。

+ 10/8
○【義侠の二人】(船坂総一郎 狼牙鬼助)
 廃病院にて、船坂総一郎は生存者を捜していた。狼牙鬼助もまた残された食糧を求めて病院にいたが、二人は遭遇する。
敵と誤認したが、やがて二人は語り合うと、義理と人情に熱い似た者同士である事を知る。
 再開を願い、二人は別れた。

○【お人形さん? おねえちゃん?】(パヨカ 一城小桃)
 上機嫌に荒野をゆくパヨカ。姉とともに魔獣を探す一城小桃に遭遇する。
 小桃は相手の素性が知れず、不用意に近づくが、パヨカは自らを魔獣だと明かす。
 小桃は≪焔装≫であり「姉」と慕う腐敗の巨人をパヨカに差し向ける。
 パヨカも病の瘴気操り小桃を苦しめる。
 お互い心をすり減らすように、病と腐敗がお互いを苦しめるが、パヨカはついに撤退。残された小桃も蓄積した病によって意識を失い、その場に倒れるのであった。

○【蓉蛾は闇に溶けて】(久良岐 ダンディモス)
 久良岐は重力壁に挑んだ帰り、都市の外で寝転がっていた所、火炎蛾魔獣・ダンディモスと遭遇する。
 久良岐の調子こそ良くなかったものの、ダンディモスが絶望を美というのに激しく反応。瞳を光らせて全てを飲みこむ「闇」を操る。
 ダンディモスの放つ火炎蛾は全て飲みこまれ、羽を侵食し地面にたたきつける。
 久良岐は重力壁から吸収した重力を開放し、桜紋の護り刀にてダンディモスの頭を貫く。
 ダンディモスは人間・御舟ハヤミに戻り、久良岐に「美」を失うなと遺言。ダンディモスは灰と化した。
 ――ダンディモス、消滅。

○【闘う男の差し出す手】(月城有子 ジークローラン)
 月城有子はバス停で感傷に浸る。
 しかしそれを邪魔するようにジークローランの大きないびきが聞こえる。
 お互い気づき、挨拶を交わす。ジークは彼女が闘う理由を尋ねる。
 有子はここのところの戦闘で心身が摩耗し、不意に倒れる。
 ジークは彼女を支えながら励ます。有子はその励ましに応え、差し出された手に応じるのであった。

○【市街戦!】(シミラー メイラ アンナ)
 元人間でジャスミンという名だった魔獣・シミラーは暗黒のドレスを纏い、都市居住区へ潜入を試みる。
 反応したのはメイラ。すぐさまマシンガンを乱射する。同時期にアンナもまた、彼女に気づいていた。
 すぐさま交戦となる。2対1で魔獣を追い詰める二人だが、メイラは無理するなという珠悸の言葉を思い出し深追いせず撤退。
 アンナも、敵が「身代わり」を遣っている事に気づき、メイラと共に引く。
 シミラーは二人の能力者に阻まれ、侵入は失敗した。

+ 10/9
○【チェレンコフ光、闇を切り裂く】(ホテル・キャラマール アリシア・P・シノット)
 アリシアは薄着でふらつく謎の女に話しかけられる。警戒するアリシア、威嚇射撃を行っていた銃口を女に向けると、彼女はホテル・キャラマールと名乗る。
 突如本性を現し、魔獣の触手を伸ばすキャラマール。アリシアは冷徹にその触手を打ち抜くが、徐々にキャラは魔獣の姿を晒し始め、18メートルを超す巨大なイカ魔獣となった。
 イカ魔獣は触手を伸ばし毒墨を吐くが、アリシアは距離をとる。イカ魔獣の突進に、アリシアの荷電粒子砲が放たれる。
 狙いは僅かにそれたものの、突進しに失敗したイカ魔獣は暴れまわる。アリシアは撤退しつつも、完璧主義者の彼女は敵を仕留められなかった事に対し、激しく怒り狂うのであった。

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○【蒙昧の毒】(パヨカ 船坂総一郎)
 軍服姿の船坂総一郎が軍靴をならしつつ道を行くと、灰色の病瘴魔獣・パヨカが降臨する。
 パヨカの力はすさまじく、船坂は一矢も報いれない。
 決死の離脱の一撃を図ろうとするも、船坂がどうなったかはようとして知れない……。

○【夜明けの夢】(月城有子 日向未来)
 月城有子は元製薬会社の廃ビルにて、治療道具などをあさっていた。
 顔馴染みとなった日向未来もその場に居合わせる。
 有子は器用にピッキングをこなして有用な道具を発掘しきつつ、未来と共に、≪夜≫が明けた後の世界の夢について語り合うのだった。

○【暴走、人智を越えて】(ガルバ 崩月真夢)
 退屈を持てあます魔獣・ガルバに崩月真夢は無言の奇襲を仕掛ける。
 力と力のぶつかり合う死闘だったが、ガルバは魔獣の力強さを見せつけ、真夢を追い詰める。
 超至近距離のすさまじい攻撃に、一度は死を覚悟する真夢だったが、
 秘められた能力を解放し、超高速・超反応でガルバの攻撃をかわすと、
 とても人間とは思えない超早技でガルバの身体を両断した。
 真夢は自我が崩れる感覚に苦しみながらも、浸食に屈しない決意を口にし、夜の街に消えて行った。
 ――ガルバ絶息。

+ 10/11
○【天才ジャンク屋、吠える】(アリシア・P・シノット パヨカ)
 天才的ジャンク屋・アリシア・P・シノットはゴミ溜めからジャンクパーツを拾い集め、作業機械の作成に成功していた。
 そこに現れたのは病瘴の少女魔獣・パヨカ。
 アリシアは相手が魔獣と気がつかず延々と作業機械について解説をし、彼女を乗せてやるが、
パヨカは魔獣の力でその作業機械を砂に変える。
 パヨカの正体を悟ったアリシアは攻撃を開始するが、病瘴をあやつるパヨカの感染の力は強く、アリシアは一時的に距離を取り廃ビルに撤退。
 その中から不意打ちをもくろんでいたもののパヨカはビル全体を腐食させ崩壊せしめると、空へ消えていく。
 アリシアは間一髪ビルから逃れる者の、騙し打ちが空振りに終わり、完璧主義の彼女を大いにいらだたせたのだった。

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○【死線】(メイラ パヨカ)
 メイラは魔獣との戦いで傷つき、廃ビルで傷を癒していた。
そこに現れたパヨカ。メイラに襲いかかるものの、メイラは反撃。さまざまな攻撃を仕掛けパヨカを狙うが、しかし魔獣パヨカに決定的なダメージを与える事もなく、メイラは声もなく撤退する。

○【死の雨は彼女の頭上に降り続ける】(ベノス 彗月)
 魔獣・ベノスは戯れるように人間を殺しては食糧をあさっている。
 その異臭に気づき、彗月は急襲する。無数の斬撃をかわすベノスだが、極大の刃で襲いかかる彗月に、ベノスは攻撃をかわしきれない。
 しかしベノスの放った毒液は彗月の左手を犯す。彗月は瞬時に自らの手を切断し、難を逃れるものの、ベノスは切り刻まれながら毒雨を降らせる。
 彗月は毒と大怪我にさいなまれながら、足を引きずりつつ立ち去っていった。

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○【荷電出力10000%】(シミラー アリシア)
 かつてジャスミンであった魔獣・シミラーは廃アパートで人を喰らっていた。
 そこら現れたアリシア・P・シノット。『羊たちの沈黙』の1節を引きながら、銃口を魔獣に向ける。
 シミラーは暗黒を動かし、身代わりとなる暗黒を生産し、アリシアの攻撃をやり過ごすと、アリシアは撤退を開始。
 シミラーは闇を操り暗黒をなお繰り出すが、一歩及ばず……
 そして充分な距離を取ったアリシアは出力10000%のプラズマ砲を放つ。
 シミラーは死を悟り、「楽しかった」と一言を遺し、光の中にかき消えて行った。

○【君と僕のいる壊れた絵空事世界】(日向未来 神宮司茉冬)
 日向未来は粗末なパンを口にしながら、道を生きつつ食料に思いをはせる。
 そこに声をかけたのは、以前にも出会った神宮司茉冬。日向は茉冬の回復に喜ぶ。
 日向は茉冬に魔獣出現以降で発見した事はないかを問うが、成果はないようだ。
 茉冬は図書館から数冊の本を回収し、それを見せる。
 二人は本について語らいつつ、魔獣が出現する以前のヒトの創造性と、"魔法"を手にしてしまった現在の自分らについて思いをはせつつ、
 二人は今は見る事のない星や星座の伝説を語りあうのであった。

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○【ツイン・ガンナーズ・ファイト】(パヨカvs アリシア 月城有子)
 アリシアは昨日まみえた魔獣・シミラーの笑顔について疑念が晴れなかった。
 そこに現れたのは月城有子。彼女もまた、≪月装≫の変容について考えを巡らせている。
 そこに、殺されたシミラーについて探しまわる魔獣・パヨカが現れる。
 パヨカはアリシアから、シミラーの匂いを感じ取り、シミラーを殺された恨みを、アリシアに向ける。
 気づいた有子が先制し弾幕を張り、アリシアもそれに呼応するように銃撃を開始。
 パヨカは2方向からの銃撃をまともに受けつつも、病瘴の羽を舞わせ反撃する。
 しかし、二人の連携と、アリシアの捨て身の攻撃で、パヨカは心臓を打ち抜かれ、朽ち果てる。
 アリシアは重傷を負うも、有子に救われつつ、二人は白星を一つ追加する。

○【「死神」と呼ばれた少女】(シャイナ 崩月真夢)
 「死神」と恐れられている赤い頭巾の少女・シャイナは図書館で何度も読んだ本を相手に退屈していた。
 「死神」の名にただならぬものを感じ現れた崩月真夢は、シャイナが人間だという事に落胆する。
 シャイナは「死神」の噂を快く思っていなかったようだ。妙にズレたシャイナに、真夢は調子を狂わされる。とうとう酒盛りをしだすシャイナだが、始終シャイナにペースを乱されっぱなしの真夢であった。

○【「人間」として、「魔獣」として】(スカヤ イキシア)
 いずこから帰還したイキシアは遺失物センターへ向けて歩きだす。
 そこに、「人間とは何か」を考え始め、書物を手にした魔獣・スカヤが現れる。
 スカヤはすぐに戦闘とはならず、イキシアに「心に秘める力」を問う。
 イキシアは逆に魔獣に「何故人を襲うのか」を問うが、スカヤは「強者と戦う為」と答えるものの、しかし今はそれに興味が持てないと吐露する。
 イキシアもまた、何故絶望しないのかの問いに、失う物が何もない人間の強さを解く。
 そこに、共感を示すスカヤ。分かりあえるかと思ったその時、スカヤは苦しみ出す。スカヤは封じ込められていた自分の記憶がフラッシュバックしだしたのだ!
 悲鳴をあげ、無防備な魔獣に追撃をすることなく、イキシアは人間として、性が尽きるまで人間で有り続けたいとのこし、立ち去る。
 残されたスカヤは、自分がいかに絶望に取り込まれたのかを悟りつつ、遺された物として死ぬまで自己を刻みつけようと決意した。
最終更新:2014年10月16日 08:07