黒崎壱哉&ライダー ◆7bpU51BZBs

――月が出ているな。
黒崎壱哉は、そう口にした。

独り言である。
何かを思っての発言ではないし、誰かに向けた感情もない。
ただ、月は壱哉の手の届かぬ、遥かな上方に存在している。
壱哉がどれほど高い場所にいようとも、地に足を付けている限りは決してそこに辿り着けないのだ。
月からは――見下されるだけである。

「壱哉様、何か……?」
壱哉に声を掛けたのは、吉岡啓一郎である。
吉岡は、仕事からプライベートまで、壱也の全てをサポートする、忠実にして有能な秘書である。
「フ――いや、何でもない」
吉岡の主である壱哉もまた、英才と呼ばれるに相応しい能力を持つ。
業界新進気鋭の消費者金融・クロサキファイナンスの社長にして、クロサキ企業グループを治める若き青年実業家――それが黒崎壱哉の、表向きの顔だ。
もっとも、クロサキグループの実態は、世には殆ど知られてはいない。
そして、現在壱哉が巻き込まれている『聖杯戦争』……その渦中では、壱哉の肩書きは正しく仮初めのものに過ぎないのだった。

ソファに腰掛けた壱哉は、しばらく自らの秘書――正確には、それを模倣した存在――を観察していた。
だが、本物の吉岡との区別は、できなかった。

「――それでは、壱哉様……」
ただ壱哉の傍にあった吉岡が、居住まいを正して、言葉を発した。
「……壱哉様が為されようとしている事は、私には分かりません。私がそれに関わる事は――許されないのでしょうか」
「……くどいぞ、吉岡。俺は――」
「――いえ、いいのです。ですが……どのような事があろうとも、私は壱哉様の味方です。それだけを、お伝えしておきたかった」

吉岡は一礼し、壱哉に背を向けた。
壱哉は何も言わず、秘書が部屋を出て行くのを見つめていた。
頭の中には、吉岡の顔が――眼鏡の奥の憂いを帯びた瞳が、焼き付いていた。

視線を落とす。
その先には、自らに刻まれた令呪がある。
薔薇の形をしたそれは、サーヴァントを縛る鎖だ。
本来ならば、壱哉の前には姿を現す事すら無い存在。
――英霊。
今の壱哉は、それを服従させられるのだ。
だが。

(……つまらん)

面白くないと――壱哉は思っていた。

立ち上がる。
壱哉が向かったのは、自分の寝室だった。

――ベッドの上には、先客の姿があった。
人外じみたほど、美しい少年だった。

少年の物憂げな瞳には、絶望と虚無が宿っている。
深い深い金色の瞳。なのにそこに決して光は無く。
在るのは、わだかまる闇。泥のような闇。
闇黒よりも更に深い、無明の金色。

「――何をしていた、ライダー」

少年に――自らのサーヴァント・ライダーに、畏怖する事もなく、壱哉は語りかける。
自らの金色の髪を弄ぶ少年は、その声で壱哉に初めて気がついたようだった。
「さて――何を、という事もないが」
「お前なら他の連中を探すのも倒すのも簡単だろう」
氷河が流れるような冷たい声で告げた壱哉は、少年へと近づいていく。
そして、
「魔力が足りんと言うのなら――俺を抱けばいい」
当たり前のように、そう言った。

「お前にとっては俺の抵抗など、ただの愛撫のようなものだろう。それとも――俺にして欲しいか」
「――ク」
空気が凍てつく。
だが、それは少年に起因するものではない。

「…………」
音もなく、黒い少女が少年のすぐ傍に出現していた。
少女の瞳が壱哉を睨み付ける。
怒りと嫉妬が、そこにあった。
少年は少女の頭に掌を置く。
何処か優しげにも見える手つきで、その黒い髪を梳いた。
「良い――エセルドレーダ。下がれ」
「――イエス、マスター」
少年の一声。
それを受けた少女の姿は、その場から消え去った。

「ふむ――貴公は聖杯が欲しいのか」
サーヴァントの問い。
それに対し、壱哉はぶっきらぼうに答えを返す。
「さあ、な。くれるというなら貰ってやるし、丁度ワーカホリック気味な自分をどうかと思っていたところだ。
 だが――俺は聖杯よりも、お前に興味がある」

圧倒的な力。
全てを跪かせ、支配する力。
それを持ちながら――自分こそが何かに縛られている。
聖杯戦争も、マスターとサーヴァントの関係もない、何かに。
ライダーも。壱哉も。

「フ――貴公の運命の相手は余ではあるまい」
「関係ない。俺は、目をつけた男はこれまで必ず手に入れてきた」

ライダーの衣服から露出した肌に、壱哉は指を這わせてゆく。
腹から胸へ。
胸から項へ。
項から頬へ。

「――万能の願望機などと言っても、所詮は人の手が入ったモノ。
 如何なる魔術師、英霊、可能性が集おうと――余を満足させる愛しき宿敵はただ一人のみ」

表情を変えない少年に対する壱哉の行為はエスカレートしていく。
――鎖骨の窪みに舌を乗せる。
少年の心中を識る事は出来ない。
金色の闇が抱える絶望は、壱哉が抱えるものとは根本的に異なるものだ。

「しかし――或いは退屈凌ぎにはなるやもしれん。
 貴公の命に従い、未だ見ぬ英雄と刃を交えるのも一興か――」
「――俺を見ろ」

繰り返す。
繰り返す。
繰り返す。
言葉と、肉の音。
精神を踏みにじってやる喜びは、他の何よりも代え難い。
快楽に歪む顔を見せろ。
――お前を堕とす。


「俺の下で――あがくがいい、ライダー」

【クラス】
ライダー

【真名】
マスターテリオン@斬魔大聖デモンベイン

【パラメーター】
筋力A 耐久C 敏捷B 魔力A+ 幸運E 宝具A+

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:A+
騎乗の才能。幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。ただし、竜種は該当しない。

【保有スキル】
魔術:A+
空間転移、重力結界、原子分解等、多岐にわたる魔術を行使可能。魔術師として規格外の力量を持つ、世界の天敵。
キャスターではなくライダーのクラスで召喚されているため、陣地の作成、及びそれによって生み出されるモノのコントロールは現時点では不可能となっている。

神性:A+
神霊適性を持つかどうか。高いほどより物質的な神霊との混血とされる。
外なる神の一柱たるヨグ=ソトースと人類最強の魔術師ネロの子であるマスターテリオンは最高クラスの神霊適正を持つ。
それに加え、邪神の██████████████。█████、███████████████████。
マスターテリオンに対する威圧・混乱・幻惑といった精神干渉は無効化され、正気度判定はパスされる。

【宝具】
『魔導書・ナコト写本(エセルドレーダ)』
ランク:A+ 種別:対魔術宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
人類誕生の5000年前に地球を支配した古の種族によって書かれたとされる最古の魔導書、及びその精霊。
マスターテリオンと契約を交わしており、盲目的な忠誠を誓っている。
魔術師・魔導書・鬼械神の三位一体こそが機神召還の真髄であるため、彼女無しでは鬼械神は真価を発揮する事が出来ない。

『鬼械神・法の書(リベル・レギス)』
ランク:A++ 種別:対神宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1000人
高位の魔導書によってのみ招喚することができる神の模造品。
ナコト写本より召喚されるリベル・レギスは搭乗者であるマスターテリオンとエセルドレーダの能力も相俟って凄まじい戦闘能力を有する。

『輝くトラペゾヘドロン(シャイニング・トラペゾヘドロン)』
ランク:EX 種別:対神宝具 レンジ:██ 最大捕捉:██
窮極呪法兵装。
本体は中核部分にある多面体結晶であり、剣のような形状をとっているのは結晶を封じている「函」が変質した物。
撃ち抜いた相手を触れた対象を異次元である偏四角多面体内へと吸収する。

本来は一つであったものだが、██████████████████。
██████████████████████████。

血塗れて、擦り減り、朽ち果てた聖者の路の果ての地で、我らは今聖約を果たす。
深き昏き恩讐を胸に。埋葬の華に誓って。我は世界を紡ぐ者なり

『這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)』
████:██ ████:████████ ██████:██ ██████:██
█████████。████████████。
██████████████、█████████████████████。
――█████████。███████。█████████。█████。████████████。
█████████████████████、████。████████████。

███████████。

【weapon】
各種魔術のほか、高層ビルさえも両断し、数千発のバルカンを薙ぎ払う光の十字架による近接戦も行う。
あとアッパーで巨大ロボを吹っ飛ばしたりする。

【人物背景】
最大最悪の魔術結社ブラックロッジの首領にして大導師。
「七頭十角の獣」「背徳の獣」「666の獣」等の異名を持つ金髪金眼の美青年。
その正体、そして目的は████████████████████████。
██████████████████、███████████。

【マスター】
黒崎壱哉@俺の下であがけ

【マスターとしての願い】
不明。

【weapon】
無し。

【能力・技能】
経営者としての能力の他、様々な工作活動を行える。
ターゲットの家に自ら侵入して水道を出しっ放しにしたり、壺を売りつけたり、ビルを崩壊させたり、大津波を発生させたり、隕石を落としたり。

【人物背景】
ノンバンク系金融グループ、クロサキファイナンスの社長。
目を付けた標的を罠に陥れて自分の奴隷にするのが趣味。
ターゲットを陥れるためなら手段を選ばないが、天然な面もあり、突っ込みを入れられる事も多々。でも基本的には鬼畜。
幼少期の家庭環境に起因するトラウマを抱えている。

【方針】
ライダーを手に入れる。

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最終更新:2015年01月25日 10:15