アート&アサシン ◆9u1Bq1HCTk



僕がフリーマムや最恐と共に行動していた頃、裏社会の中で奇妙な噂が広まっていた。
なんでも、「月のない夜に出てくる紅い月が、夢を叶えてくれる」というものだ。
最初にそれを聞いた時は、よくある噂として聞き流していた。
確かに僕には叶えたい願いがある。夢がある。それは、罪を集める者として、ミニマムを根絶しなければならない。
だが、その願いを叶える事は僕の手でも成し遂げられることでもあった。
だから、そんなロマンチックな噂に関心を寄せるようなことはこれっぽっちもなかった。


実際に、紅い満月を見るまでは


真っ暗な夜空に浮かぶ不気味な虚像。何者をも魅了するような、魔性の輝き。
他の人も見ていたかどうかはわからないが。それを見ればすぐにあの噂を思い出させる、衝撃的なものだった。
本当に願いが叶えられるのではと、信じられるほどに。

だが、そのような感傷に浸ったのはほんの一時の間だけ。すぐさま僕は現実に戻っていた。
目的を成す為には立ちはだかる壁も多い。だが、例えどんな壁であろうと僕は成し得てみる。
例え友達を失う事になろうとも、ミニマムが原因で亡くなった弟のために、どの様な事でも成し遂げる覚悟もある。
だから噂の事はすぐに忘れ、明日に備えるためにまた闇へと紛れ込んだ。


それがまさか、本当にその噂を体験する事になるとは―――


 ◆


「はじめまして、アート君。いや、ここはマスターって呼ぶべきかな。ボクは『キルバーン』。アサシンとして喚ばれた、君のサーヴァントさ」

気付いた時には、僕は見知らぬ場所にいた。そして全身黒づくめで奇抜な恰好をした道化師と対面した。
何も感知する間もなく連れ去らわれるなんて想定外な事態に驚愕し、当然ながら警戒した。
目の前の人物が誘拐犯ではないかと疑いの目を向けたが、僕の緊張など目もくれず彼は色々と語りかけてきた。

紅い月の事、聖杯戦争について、ムーンセル、再現された東京、サーヴァント、令呪、魔術、等々…

要約すると、願いを叶えるための儀式に招待された、ということを教えてくれた。
俄かに信じがたいが、しかし目の前の存在だけでも僕の常識の外にいるということはすぐに分かった。
僕がある程度納得したところでアサシンは問いかけてきた。

「それでマスター、君は何を願うんだい?」

つまり、覚悟はあるのか、と。
それに対して僕は、この聖杯戦争を勝ち残り聖杯を手に入れてみせる、と宣言した。
こちらに召喚されてしまった以上、元々立てていた計画は頓挫した。
ならばハイリスクではあるものの、聖杯で願いを叶えられるのならばそれに託すしかない。
それに元の計画でも不安要素は多数はあった。それが無くなったとも思えばいい。
何より、ノーウェアの面々とも争わずに済む。ナイス君を、この手に掛ける必要もなくなる。

とはいえ、それは聖杯が絶対の物であるという前提があればの話である。
無論願いの為に人を殺める事は全く厭わない。しかしただの殺戮者になるつもりもない。
参加者全員が望んで戦いに身を投じるのならばその首を狙おう。だがそれ以外の参加者もいるのでは。
このような儀式を行う思惑は何だ。この戦争から途中で降りる事が出来るのか。
現状でわかる事はアサシンが語ったことのみ。それ以外の情報もあるのかもしれない。
無知のままでは、逆に下手を撃つかもしれない。見誤らないためにも、聖杯戦争を見極める必要がある。

「へぇ、ただ優勝を狙うだけじゃないんだ」

だから僕はアサシンに行動方針を伝えた。
優勝を狙いつつも無闇に騒ぎ立てずに静かに情報を集める事。
他の主従を見つけ観察し、場合によっては接触し情報交換や協力も得る事。
逆に無益と判断したらアサシンに間引いてもらう事。
自分たちが優位になれるように行動し、最終的に勝ち残れる状況に持っていくのが理想だ。
幸い偽物の東京での僕の役割は本庁勤務の警察官だそうだ。なんという皮肉だろうか。
ともあれ、立場も情報収集も他者より優位に立てているだろう。

「つまりボクの本領が発揮できるってことだね、特に問題はないからそれでいいよ」

思いのほか軽い感じで受け止められたが、これで彼との契約が結ばれることとなった。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


ナイス君、ミニマムの孤独から解放されるのももうすぐかもしれない。

友達である君の死と、君の大切な人の絶望で終わるはずだった結末が変わるかもしれない。

*、僕は君を―――---‐-‐…


【マスター】
アート @ Re:_ハマトラ

【マスターとしての願い】
罪(ミニマム)を根絶する

【能力・技能】
身体にいかなる怪我を負っても無傷の状態に戻る「再生のミニマム」。
発動条件は心臓にある中枢神経を損傷すること。

人並みならぬ努力家であり、優秀な頭脳の持ち主。
一通りの武道も心得ていて、警察官としての技能も習得している。

【人物背景】
特殊な能力・ミニマムの保持者達を襲撃し、彼らのミニマムを奪っていく「罪を集める者」。

元々はミニマムホルダー達の育成機関であるファクルタース学園出身だが、アートだけは滞在中にミニマムを覚醒させることができなかった。
能力が無い弱者であることにコンプレックスを抱いていたが、それを補うべく勤勉と鍛錬を必死に重ねた。
その甲斐もあって21歳の若さで警視というエリート警察官となり、持ち前の強い正義感で職務に励んでいたが、
ミニマムホルダーたちの脳髄を狙った謎の「連続猟奇殺人」を追う最中、犯人・モラルからある事実を告げられた後に射殺された。
しかし、心臓に銃弾を受けた事で「再生のミニマム」が覚醒し蘇生。
同時に過去に学園で起きた事故で「自分が弟・スキルを殺した記憶」が蘇ったことで、彼の罪たるミニマム全てを根絶すべく暗躍を開始する。

【方針】
優勝狙い。
ただし序盤は情報収集のためにマスターであることを隠しながら行動し、戦闘もなるべく回避する。
場合によっては他者との情報交換や協力にも応じる。

【備考】
ミニマム能力により、通常よりも魔力回復が早まってます。
ただし、異常なほどではない、ちょっと優秀に収まる範囲です。


【クラス】
アサシン

【真名】
キルバーン@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-

【パラメーター】
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:C 幸運:C 宝具:B

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
使い魔(道化):B
一つ目ピエロのような魔物・ピロロを使役する。
戦闘には参加しないが、回復や呪文を使いサポートに回る。
また、キルバーンとピロロは空間に関係なく意志疎通ができる。

【宝具】
『死神の笛』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:10
死神を彷彿させるような大振りの鎌。柄の部分は笛にもなっている。
鋭利な刃には小細工が施されており、鎌を回転させると風切り音により相手の感覚を奪うことができる。
その死の音色を聞いたマスターやNPCの五感を奪い、元々人であったサーヴァントならば筋力・敏捷を一つダウンさせる。
ただし、人の存在から遠ざかるほどに効き目は薄くなる。
また、繊細な武器であるため、少しでもヒビが入ると上記の超音波を出せなくなる。


『大魔王の死神(キルバーン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
誰にも知られなかったある秘密により、己が存在自体が宝具となった。
何度倒されても復活した逸話から、たとえ絶命する攻撃を受けても、ムーンセルの消去から暫く経った後に復活することが可能である。
このカラクリを見破れない限り、彼を倒すことは不可能ではある。
ただし、致命傷を回復するには相応の魔力が不可欠であるため、何度も復活するのは難しい。
また、キルバーンの血液は魔界のマグマと同じ成分でできており、通常の武器を溶かしてしまうほどの超高熱・強酸性をもつ。
たとえ宝具であれど、腐食作用により血液を浴びた場合はランクが一つ落ちてしまい、威力・能力も弱まってしまう。
この血液を応用し、身体の一部を魔力で点火させ巨大な火球として相手に投射する攻撃「バーニングクリメイション」を奥の手として使うことができる。
その他、頭部の髪飾りに完全不可視の刃「ファントムレイザー」を隠し持っている。


【weapon】
メインの獲物は『死神の笛』。
サブに細身のサーベルを持っている。

なお、生前には『殺しの罠(キル・トラップ)』を使用していたと伝えられているが、
「ダイヤの9」以外の罠が描写された伝承(物語)がないため、「ダイヤの9」以外は使用できない。
他にも『決闘の審判(ジャッジ)』を所有していたが、アサシンのクラスで召喚されたため使用できない。

【人物背景】
冥竜王ヴェルザーの部下にして大魔王バーンの協力者。
冥竜王の勅命を受け、もしバーンの地上侵攻計画が失敗した場合は彼を暗殺するよう「キルバーン」と命名された。
バーンと対面した時からその真意を察知されたが逆に気に入られ、大魔王からの誘いもあり魔王軍の客人として仲間になる。
魔王軍の中でも軍団長レベルの実力を誇るが、基本は非道な策を弄して相手を貶める事に喜びを感じる、陰湿かつ残酷極まりない性格。
一方で自分のプライドを傷つけられた時は、相手の命を奪うためにあらゆる手段で付け狙う執念深さを持つ。
当初は前線に赴くことはあまりなかったが、勇者一団がバーンパレスに侵入してからは暗殺者として罠を張り巡らせ、彼らを幾度となく危機に陥れる。
しかしアバンが登場してからは逆に辛酸を舐めることとなり、怒りに燃えるキルバーンはアバンに復讐するため一対一の決闘を申し出る。
結局は尋常な勝負をせずに卑怯な手段でアバンを抹殺するが、奇跡的に復活したアバンの罠により敗れ去った。

【サーヴァントの願い】
大魔王バーンを打倒したその後の世界に復帰する。
その後の予定として、新たな戦いで傷つき弱った勇者達の前に姿を現して驚愕と絶望の顔を拝みながら彼らを殺す。

【基本戦術、方針、運用法】
こちらは姿を見せないように立ち回り、弱った相手の隙をついて罠に嵌めたり、相手の動きを封じて嬲り殺す。
勝利のためならどんな非道な手段も朝飯前。卑怯は褒め言葉。
逆に正面切っての勝負はしないが、万が一戦闘になっても多少は凌げる。
通常の戦闘であれば数度の打ち合いで逃げる。
逃げるのが難しい場合は、傷を負う代わりに相手の武器・宝具を腐食させたり、ワザと退場したフリをして後々復活する。
ただし、おいそれと手の内を晒すつもりはなく、復活も魔力消費が多いため、やはり基本に忠実、アサシンらしく闇討ち狙い。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇






どうやらマスターの目も上手く欺けるようだね。
うん、やっぱりボクの正体には気付いていないようだね。
まさか今まで応対していたボクが機械人形で。
ただの使い魔にしか見えないボクが“真のキルバーン”だなんて。

クククククッ!!

しかし、なかなか使えそうなマスターに出会えたのは幸運だったね。
そうだね、頭が回って行動力も悪くない、何より他者を蹴落とす覚悟もある。
すぐさま優勝狙いに定めて、ボクが立ち回りやすい方針を立ててくれた。
そんな君に敬意を表し、今は素直に従ってあげようじゃないか。

だから、ボクの願いを叶える為にも期待に応じてちょうだいね、アート君





【クラス】
アサシン

【真名】
ピロロ@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:D 魔力:B 幸運:B 宝具:B

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
正体秘匿:A
サーヴァントとしての素性を秘匿するスキル。
たとえ契約を結んだマスターでも、裁定者であろうともピロロのステータスを視認出来なくする。
代わりに宝具『大魔王の死神(キルバーン)』のステータスが表示され、ピロロは使い魔としか認知されない。
ただし自ら正体をばらした場合はその限りではない。

自己保身:C
自身はまるで戦闘力がない代わりに、宝具『大魔王の死神(キルバーン)』が無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。
もし宝具が倒されても、相手が弱者にも容赦ない場合でない限り高確率で危機から逃れることができる。


【宝具】
『大魔王の死神(キルバーン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
ピロロの正体を隠匿・偽るための宝具。その正体はピロロが操る機械人形。
生前、敵対した勇者達や協力していた魔王軍の誰であろうとも人形を本体と思い込ませた振る舞いから、
たとえ契約者であろうとも、スキル“真名看破”であろうと、この宝具がサーヴァントであると誤認し、上記のステータスが表示される。
何度も復活する秘密も、ピロロが壊れた人形を修復しているに過ぎない。
さらに何度も復活したという逸話を再現するため、ムーンセルが脱落者を消去する現象も偽装できるようになっている。
この復活は所有者ピロロを討つか、“頭部を叩き割る”もしく“人形を完全に消滅させる”事で止める事ができる。
ただし、後者の破壊によるものだと宝具『黒の核晶(くろのコア)』を起爆させかねない。


『黒の核晶(くろのコア)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~999 最大補足:???
魔界で禁忌とされている伝説の超爆弾。
宝具『大魔王の死神(キルバーン)』の頭部に隠されており、それが起爆すると大陸一つが消し飛ぶ程の威力を持つ。
ただし、あまりにも規格外な破壊力を持つため、制限により爆弾は超小型となり爆発の範囲も抑えられている。
所有者の魔力で起爆させるほか、火炎系の呪文などで誘爆させることができる。
通常であれば爆弾を凍結すれば爆発を阻止することができるが、宝具『大魔王の死神(キルバーン)』の魔界のマグマにより凍結させる事ができない。
なお、この宝具が使われた時、宝具『大魔王の死神(キルバーン)』も共に消失する。


【weapon】
宝具『大魔王の死神(キルバーン)』が唯一の武器。
回復と氷系の呪文は使えるが、戦闘には向かない。

【人物背景】
キルバーンの使い魔としていつもそばにいた一つ目ピエロ。
しかしそれは仮の姿、彼こそが冥竜王ヴェルザーに遣わされた“真のキルバーン”であった。
普段は自分より大きい機械人形に“キルバーン”を演じさせ、自身もそれに付き従う魔物として演じていた。
その結果、人形の方が警戒される一方、非力である本体には害が及ぶことはなく、最期までは生き残る事ができた。
死闘の末に大魔王バーンを倒した勇者ダイ達の前に突如姿を現し、賞賛の言葉を贈ると共に自身の秘密をばらす。
そしてバーン暗殺用に用意していた『黒の核晶』を勇者達の前で起爆させ、彼らが絶望する顔を拝みながら魔界に帰ろうとした。
しかし即座に反応した勇者達の攻撃でピロロは倒され、『黒の核晶』も上空で爆発させられたため、勇者達を抹殺することはかなわなかった。

【サーヴァントとしての願い】
大魔王バーンを打倒したその後の世界に復帰する。
その後の予定として、新たな戦いで傷つき弱った勇者達の前に姿を現して驚愕と絶望の顔を拝みながら彼らを殺す。

【基本戦術、方針、運用法】
本体ピロロはひたすら目立たず、宝具『大魔王の死神(キルバーン)』を使って暗躍する。
宝具『黒の核晶(くろのコア)』は最後の切り札。
これを使ってしまったら全ての宝具を失ってしまうため、その時は聖杯戦争を諦めるしかない。
ゆえに、宝具『大魔王の死神(キルバーン)』が致命傷を負ったら一度姿をくらませて「アサシン一騎脱落」と周囲に思い込ませる。
その後聖杯戦争が佳境に入り決着がついたところで再登場、宝具『黒の核晶(くろのコア)』で全員脱落させる。
というのが最上の策。
ただし、ルーラーの探索機能やムーンセルが生存・脱落を把握しているため、脱落者リストなどを偽る事は出来ない。
素性とカラクリがバレないように上手く立ち回りながら暗躍と嫌がらせをしよう。

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最終更新:2015年01月10日 02:27