◆◆◆



Was gleicht wohl auf Erden dem Jägervergnügen?


Wem sprudelt der Becher des Lebens so reich?


Beim Klange der Hörner im Grünen zu liegen,


den Hirsch zu verfolgen durch Dickicht und Teich―――――――――



◆◆◆




「Der Freischutz……『魔弾の射手』か」



夜の月明かりに照らされる雑居ビル。
薄汚れた環境の住居スペースの一室にて、一人の男が静かに呟く。
その片手に持つのは白杖。
白い濁りに染まり切った瞳は、彼が視力を失った盲人であることを物語る。
男の名はジョンガリ・A。盲目にして凄腕の狙撃手。
狙撃衛星のスタンド能力を操る、スタンド使い。
そして、このゴッサムシティの聖杯戦争に召還されし『マスター』だ。


「ああ。かつて聴いたことがある」


返答するように呟いたジョンガリは、もう一人の人物へと目を向ける。
その相手は、椅子に腰掛け音色に耳を傾ける奇怪な男―――――サーヴァントだ。
ガスマスクを装着し、プロテクターとラバースーツを身に纏った姿は異様と言わざるを得ない。
男は念話によってジョンガリに問いを投げかけたのだ。『この曲を知っているのか』と。

ガスマスクの男の前のテーブルに置かれた古びた蓄音機から流れるのはドイツ語のオペラ。
薄暗い内装とは不釣り合いな程に荘厳であり、この堕落した街には似合わない程に芸術的だ。
曲目は『魔弾の射手』。
魔王ザミエルによって授けられた百発百中の魔弾にまつわる、狩人達の歌劇。
物言わぬガスマスクの男は、さながら芸能を好む貴族のようにオペラを鑑賞していた。


「狩人カスパールは魔王より魔弾を授かった」


カシャンと、金属の音が鈍く響く。
ガスマスクの男がゆっくりとジョンガリの方へと顔を向けたのだ。

魔弾。それは魔王により与えられし弾丸。
射手の望むものへと必ず着弾させる、百発百中の弾丸。

それはまるで、己のスタンド能力のようだとジョンガリは考える。
幼き日に、彼は偉大なる『悪の救世主』と出会った。
全ての悪の頂点に立つあの御方は、魔王と呼ぶに相応しい存在だった。
そして、己はあの御方から一つの力を与えられた。
それが精神エネルギーの具現『スタンド』。
己が授かったのは、狙撃衛星によって弾丸をあらゆる標的へと命中させる能力。
どんな人間であろうと確実に仕留める――――――まさしく魔王に授けられし魔弾そのものだ、と。


「魔王を弄んだカスパールは贄となった」


オペラの中で、魔弾を授けられたカスパールは命を落とした。
魔王によって操られた魔弾に撃ち抜かれたのだ。
魔王と契約を結び、魔王に生け贄を捧げてきた狩人は、最期に己が魔王の贄なった。
狩人は天と魔王を呪いながら死んでいった。


「俺もまた、魔王の犠牲となる哀れな狩人か」


――――――――否。断じて否。
己は魔王の誘惑に負けた犠牲者ではない。
己が魂を贄とし、自らの意思で魔王へと差し出す殉教者だ。


「この命を捧げてあの御方が喜ぶのならば、俺は喜んで贄となろう」


魔王の為に魂を捧げる。
それが彼のただ一つ望み。
そして、今の彼にとっての唯一無二の存在理由。


魔王――――――悪の救世主、DIOの復活。


それがジョンガリ・Aが奇跡の願望器に望む願いだった。
あらゆる悪の頂点に立ち、あらゆる悪を肯定する魔王。
救われぬ魂に手を差し伸べ、救済をしてくれたただ一人の救世主。
悪党としてしか生きることの出来ない彼にとって、唯一の支えとなる男だった。

あの御方を蘇らせる為ならば、どんな手段でも講じてみせる。
奇跡の願望器が存在するならば、どんな手を使ってでも奪ってみせる。
DIO様が復活する為ならば、誰を犠牲にしようと決して厭わない。


「お前もそう思うだろう、アサシン」


盲目の狙撃手は、ガスマスクの男『アサシン』へと声を掛ける。
それに呼応するかのように、アサシンはゆっくりとその腰を上げる。
アサシンは一切の声を発しない。念話で僅かに言葉を伝えてくるのみ。
一見すれば不気味でしかない男だ。
しかし、ジョンガリはそんな彼を信用していた。
彼もまた、己と同じ願いを持っていたのだから。


『忠誠を誓いし者の復活』。


それがアサシンの望み。同質の願いを持つ者同士が引き合わされたのだろうか。
ジョンガリはそんな感情を抱く。

かつて軍部で出会い、心酔し、忠誠を誓った男。
先の大戦の後に数十年の時を経て復活させたものの、最後は命を落とした指導者の蘇生。
機械のように無機質なアサシンにとって、それが唯一の戦う意義だった。
アサシンは己の目的の為に、この聖杯戦争へと召還された。

棒立ちのままジョンガリを見据えていたアサシン。
そのままアサシンは、ゆっくりと会釈の体勢を取る。
かつて一人の男にしか示さなかった忠誠の証。
己のマスターを共に戦う協力者として認める姿勢。
盲目のジョンガリにその姿は見えない。
だが、『感じ取る』ことは出来る。
己に対する忠誠の意思を、心で感じることは出来る。
故にジョンガリは、不敵に笑みを浮かべる。

ああ、勝ち残ってやろうじゃないか。。
この男と共に、命を捧げし『魔王』を復活させよう。






「さあ――――――――――――“狩り”の始まりだ」






魔王に魅入られし狩人たちは、己の魂を贄とし捧げる。
迷いも後悔も、在りはしない。
狩人はただ狂信に駆られるままに戦うのみだ。




【クラス】
アサシン

【真名】
カール・ルプレクト・クロエネン@ヘルボーイ(映画版)

【ステータス】
  • 通常時
筋力D 耐久A++ 敏捷C+ 魔力E 幸運D 宝具C++

  • 宝具『機械仕掛の殺戮卿』発動時
筋力C+ 耐久A++ 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具C++

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は非常に難しい。
ただし自らが攻撃体勢に入ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】
直感:C(B)
戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。
また、視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。
宝具「機械仕掛の殺戮卿」の発動時には1ランクアップする。

自己改造:B
機械と生体の融合。
自身の肉体に機械を付加させている。
血液は砂状と化しており、生体そのものも通常のものから大きく変異している。
このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。

精神異常:A
常人と掛け離れた異常な精神。
独自の美観によって機械との融合を果たした狂人。
あらゆる精神干渉をシャットアウトする。

【宝具】
「機械仕掛の殺戮卿(モルト・マシーネ)」
ランク:D+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
胸部に埋め込まれたゼンマイ。
ゼンマイを回すことで筋力と敏捷をアップさせ、更に直感スキルを1ランク上昇させる。
高い身体能力と反射神経による強力な白兵戦能力を獲得するが、長時間の発動は相応の魔力消費を強いる。
ゼンマイを逆回転をさせることで仮死状態になることも出来るが、サーヴァントになった現状では死んだふりは意味を成さないだろう。

「機巧心音(ウン・シュテルプリヒ・カイト)」
ランク:C++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1
常時発動型宝具。
クロエネンの肉体そのものであり、機械的な改造による不死の身体。
ありとあらゆる攻撃を喰らっても決して「死なない」。
例え致死のダメージを受けようと肉体が耐え切り、戦闘の続行を可能とする。
この宝具による判定が発生した際、魔力消費は受けたダメージの大きさに比例する。

【Weapon】
トンファー型ブレード×2

【人物背景】
ナチス・ドイツ随一の殺し屋にして、トゥーレ協会の会長。
帝政ロシアの怪僧と称されるラスプーチンに忠誠を誓う。
常にガスマスクを装着しており、左手は義手となっている。
自身の肉体に嫌悪感を持つ「身体醜形障害」であり、瞼、唇、爪を自ら切除している。
更に自らの肉体を不完全と感じており、その価値観によってガスマスクの着用、精密機械との融合に至った。
その精神状態は既に常人のそれと大きく掛け離れており、一切の言葉を発しない。
しかしオペラの鑑賞を好むなど、ある程度の人間味は残っている模様。

1944年に「ラグナロク計画」の失敗と共に失踪していたが、2004年になって再び出現。
機械による不死身の肉体を得たクロエネンは、世界の破滅を目論むラスプーチンらと共に暗躍を始める。

【サーヴァントとしての願い】
ラスプーチンの復活。

【方針】
一人ずつ着実に始末する。
集めた情報はマスターに念話で報告する。



【マスター】
ジョンガリ・A@ジョジョの奇妙な冒険 第6部「ストーンオーシャン」

【マスターとしての願い】
DIOの復活。

【Weapon】
白杖に偽装した狙撃銃
拳銃

【能力・技能】
「マンハッタン・トランスファー」
破壊力-E スピード-E 射程距離-A 持続力-A 精密動作性-A 成長性-C
衛星のようなビジョンを持つ遠隔操作型スタンド。
本体の放った銃弾を中継し、標的に反射させて撃ち込む狙撃衛星としての能力を持つ。
また気流を感知し、周囲の状況を探ったり敵の動きを読むことが可能。
スタンド自体に戦闘能力は一切無い。

本来ならばスタンドはスタンド使いにしか視認出来ない。
しかし会場内ではサーヴァントとマスターならばスタンドを視認することが可能。
精神エネルギーと魔力が本質的に近しく、魔力パスさえあれば精神のビジョンを知覚できる為である。
また、そういった原理からスタンドのエネルギーはある程度なら魔力に変換できる。
ただしスタンドビジョンに干渉出来るのは神秘を帯びた攻撃のみである。

「狙撃」
卓越した狙撃の技術。
元軍人であり、風速20mの中での狙撃を成功させる程の腕前を持つ。

「盲目」
能力・技能からは外れるが、ジョンガリ・Aの大きな特徴として記載。
白内障を患っており視力の大半を失っている。
しかしこれまでに培ってきた技術、スタンドの補助も含めた気流の感知によって高い狙撃能力を保っている。

【人物背景】
グリーンドルフィンストリート刑務所に収監されている囚人。35歳。
DIOの忠実な部下であり、DIOの死後は宿敵であるジョースター抹殺の為に動いていた。
DIOの親友であるプッチ神父と結託し、ジョースターの血筋である空条徐倫を罠に嵌め刑務所に収監させる。
徐倫を餌にその父親である空条承太郎をも罠に嵌めるも、その後徐倫のストーン・フリーの前に敗北。
最後はプッチ神父に用済みと判断され殺害された。

【方針】
クロエネンを使役し、一人ずつ着実に始末する。
場合によっては自身で狙撃を行う。




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最終更新:2015年03月29日 03:47